あらすじ
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人気シリーズ「乙女の本棚」第46弾は、文豪・太宰治×イラストレーター・しまざきジョゼのコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
この小さい、幽かな声を一生忘れずに、背骨にしまって生きて行こうと思いました。
売れない画家と結婚した「私」。徐々に夫が有名になるにつれ、彼女はどこか違和感を感じるようになる。
太宰治の名作が、叙情的なイラストを得意とするイラストレーター・しまざきジョゼによって描かれる。名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
売れない画家に惚れ込んだ奥さんが
富と名声を得た主人に別れをつげるなんてあり得ない。
しかしこの感情は意外と女性の中にある気はします。
パッっとしない男で自分だけが必要で手を尽くしている間は愛おしく、いざ自分から離れて独り立ちした男が憎らしくなる。
作中の奥さんは実は正直であるゆえに弱い人のように感じる。その弱さを不思議な感覚にできる作品でした。
人間の感情って我儘だとつくづく思うけど
その我儘さを自分なりに折り合いをつけて人と関わりを上手に形成出来るのが強い人間だと年を重ねる毎に感じます。
内容もきちんと理解できない学生の頃
太宰治作品を沢山読んでました。
人間の弱さやずるさの表現の仕方が
妙に惹きつけられる作家さんですよね
30年ぶりぐらいに読んだ太宰治作品ですが…やっぱり何となくいいんですよ〜
Posted by ブクログ
理想とする、人に見えない月桂樹の冠をつけたような、天使のような美しい男性に(わたしはキリストを想像しながら読んだ)、主人公がいつか出会えたらな。アリとキリギリス のキリギリスの美しさは、人には理解されづらいのかもしれないけど、わたしも信念をもった芸術家の美しさは尊いと思うので、そういう人に主人公がほんとうに出会えたらないいなと思った。
あと主人公が貧乏暮らしを好むのは理想の男性をお支えする副産物を好むだけなのであって、夫の性格が俗にならなければ裕福な暮らしを受け入れたと思うのだけど……
Posted by ブクログ
木綿のハンカチーフをしんみり聴きたくなる話でした。遠くで変わってしまう恋人へ変わらないでと歌う曲と、誰よりも近くで変わっていく夫に嫌いですと嘆く妻。変わった人だなあと少し思いながら読んでいましたので、私は奥様が嫌う側の人間のようです。でもね奥さん、私も人の悪口を簡単に言う人は嫌いなのですよ。
Posted by ブクログ
これは何とも…奥さまの心が美しすぎる。
裕福=幸せではないこと。
人間として忘れてはならないことがあるということ。
奥さまの心が最後まで人間として描かれていのが何とも切ない。
絵も儚い感じがしてとても合っている。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズの一冊。このシリーズを読むのは、これで12冊目だが、今のところ乙女でない自分にとっては、これがベスト。文章と絵のバランスがいい。太宰のこの告白体は、名人芸。絵も抑制が効いている。初老にはこれくらいがいいのだが、乙女には物足りないのだろうか。
Posted by ブクログ
「乙女の本棚」シリーズ、太宰治・きりぎりす。19歳の私はとある画家の作品に魅力を感じ、この画家と結婚したいという願望に溢れる。この画家は家族の評判は悪く、身内から愛想を尽かされ、酒におぼれ、展覧会に画を出さない、左翼らしい、美術学校を本当に出ているのか?私は貧乏であるが、生活を楽しめた。しかし、夫が偉く、有名になり、人の悪口を言うようになる。妻はそんな夫と別れる決意をする。この作品は太宰自身への戒めの作品なんだろう、すなわち、清貧で、憂愁で、孤高を保ちながら創作していくことへの決意だったんだろうか。⑤
Posted by ブクログ
周囲の反対を押し切ってまで結ばれた、うだつのあがらない絵描きとの貧しくも幸福な結婚生活から一転、妻から夫への三下り半。
あなたは絵が売れてお金を手にしてすっかり変わってしまったわね、と。思いがけない好転と裕福さは、彼女を怯えさせた。(寄り添うようにずっとそばにいてくれる黒猫ちゃんがめちゃ可愛い。)
別人のようになった夫の一挙手一投足にそら恐ろしさを覚える日々にいよいよ限界がきた様子で、そのときの心情が淡々と綴られていく。
「あなたは、気違いです。」はちょっと辛辣すぎて笑ったけど、でもとても心の綺麗な奥さん。夫よ、これは失ってから気づかせるタイプの大切さだぞ……。
読み終え、「おわかれ致します。」という、冒頭の一文に込められた強く凛とした決意がとても美しかった。
〈この世では、きっと、あなたが正しくて、私こそ間違っているのだろうとも思いますが、私には、どこが、どんなに間違っているのか、どうしても、わかりません。〉
Posted by ブクログ
はい、というわけで47オネェは治ちゃんの『きりぎりす』ですよ
これで『乙女の本棚』は既刊全部読んで追いついちゃったのかな?
作品集はあるけど、それはまぁ読む(見る?)気は今のところありません
はいはい、治ちゃんね
これはね〜
なんか非常にすっとした
清貧のこころよね
ひと言で言うと
成功してなんか卑しくなっちゃった夫に、こんなはずじゃあとがっかりした妻が別れの決意表明!というお話です
俗に言う「がっかりこん」ですな(初耳!)
いやでも、うんうん治ちゃん分かるわ〜となりました
『乙女の本棚』なので、絵にも触れたい
絵のタッチとしては非常に好み!なんだけど、切り取り方がね
うーん、そこじゃないよな〜とあまりピンと来なかった
なんていうか、文章読んで簡単に思い描けるシーンを絵にしてもらう必要ないのよね
わいが『乙女の本棚』に期待するのは、担当した絵師の方々が、その物語をどう解釈してどう表現しているのかなのよ
その絵をさらにどう解釈するのかというやり取りなのよ
勝負なのよ絵師さんとわいの
オネェってそういうことだからね!
オネェってつまり勝負師ってことだから!
(うん、ぜんぜん違うし、そもそもオネェって誰も言ってない)
Posted by ブクログ
独白。女々しくなくさっぱりしてた。
素敵な女性だなぁと思った。
男性一人称のはかなり女々しく感じるけど、女性一人称のは相手の男性が悪く見える。やはり太宰治の作品の男性登場人物はクズっぽい。
Posted by ブクログ
太宰治の凄さかな。今読んでも古びれず。清貧な心と愛情深い人。価値観の相違は、如何ともし難いか。夫婦間で、この真逆もありかも。それは、見合いでは、見抜け辛いであろう。いやはや…。
Posted by ブクログ
読み終わって、ほおっと嘆息が漏れました。
これは、19歳で風采の上がらない貧しい画家に嫁ぎ、5年間の結婚生活を経て、夫となった男の本性が少しずつ露わになる中で、その違和感に苦しんだ挙句に、別れを告げることを決意した妻が、夫にしたためた手紙です。
「おわかれ致します。あなたは、嘘ばかりついていました。」で始まる太宰独特の語り口は、淡々と、しかし、ひりひりと妻の心情を伝えます。
本の帯に書かれた「小説としても 画集としても 楽しめる 魅惑の1冊」という言葉そのままに、しまざきジョゼさん書き下ろしのイラストは、読解を助けるとともに、作品の風情を視覚化して空気感を画にしているかのようです。
しっとりした雰囲気は、雲一つない青空を見上げて読むよりも、雨がそぼ降る少し肌寒い昼下がりに静かにページを繰るほうが似合うと思います。
士族の出、華族の出という言葉がでてくる時代背景の中、妻の和服姿の佇まいは美しくて切なさすら漂います。
「乙女の本棚」シリーズ第46弾の本作は、画家の話ということも相まって、画集のように本棚に置いて時折手にとるのに相応しい作品です。
タイトルの「きりぎりす」は、なぜこのタイトルなのか不思議に思うころに出てきます。表紙の意味が分かる瞬間です。
キィキィといった心細げな鳴き声と、痩せた(でも凛としている)キリギリスといったイメージが脳裏に浮かび上がることでしょう。おたのしみに♡
今の乙女とかつての乙女の皆様におすすめいたします♡
Posted by ブクログ
久々の乙女の本棚シリーズ
画家として成功した旦那様と離縁しようとする女性の独白作品。
こんな人だったっけ。。。?って思ってしまった人と一緒にいるのって結構しんどいよね
2025.11.30
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Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ。
妻が売れっ子画家になってしまった夫に、別れの意を伝える話です。夫の反応や言葉の描写は一切無し。妻視点でしか、夫の事は分かりません。でも「いるよね、こういう人」とウンザリしたし、嫌になる気持ちに共感を覚えました。
妻も世間知らずなのでは?別れて大丈夫なのか?と思わなくも無いけれど…。
このあと2人はどうなったのでしょうか。何ともいえない余韻の残る作品でした。
Posted by ブクログ
太宰治文学忌、入水遺体が発見された日
1940年昭和15年の短編 太宰治30歳
売れない画家へ望んで嫁いだ女性
結婚後徐々に世間に認められる夫
名声と共に失われる清貧
金にも地位にも固執していく
価値観の相違に耐えられなくなった妻からの
5年目の夫への別れ
きりぎりすの鳴き声を背骨にしまって生きていく
物語は理解しやすいが、最後コオロギの声を女は認識しながらきりぎりすへと言葉を転換させる
さらっと読むと不思議な一節となる
ご本人も名声と仕事が欲しかったのではと思うのですが、それを逆手に取った戒めでしょうか
しまざきジョゼさんのイラストは昭和前半の雰囲気があり良かったです
きりぎりすとコオロギは古語では、ほぼ同じかな?