あらすじ
被災・疎開の極限状況から敗戦という未曽有の経験の中で、我が身を燃焼させつつ書きのこした後期作品16編。太宰最後の境地をかいま見させる未完の絶筆「グッド・バイ」をはじめ、時代の転換に触発された痛切なる告白「苦悩の年鑑」「十五年間」、戦前戦中と毫も変らない戦後の現実、どうにもならぬ日本人への絶望を吐露した2戯曲「冬の花火」「春の枯葉」ほか「饗応夫人」「眉山」など。(解説・奥野健男)
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Posted by ブクログ
すごく気に入りました!その中でも太平洋戦争が起き、疎開する太宰一家の話がまとめてある「薄明」が好きでした。
やはり戦争は苦々しいですが、だからといって目を逸らしていい様な薄っぺらい出来事ではありません。私たちが今住む日本を守るべく沢山の尊い命が散った戦争を、文章に表し継承してくださった太宰さんには感謝しかありません。(熱が入って思想が強くなってしまいました、、、すいません)グッド・バイという小説は、おばあちゃん家の畳のような小説ですね。これからも愛読していきたい。
Posted by ブクログ
今まで太宰治の作品はYouTubeの朗読で聴いていたけど、目で読む方が自分に合ってることに気づきました。
難しい、よくわからない、という印象がガラッと変わりました。
こんなに繊細さとユーモアを兼ね備えた美しい文章だったなんて!
食べるものがない、病気の子どもを病院に連れていけない、いつ家が焼かれるかわからない、ひしひしと伝わってくる戦時下の切迫感。
「ああ、みんな焼けちゃったね。」という幼い子供の一言に、戦争の残酷さと愚かさが詰まっているように感じました。
もっと太宰の作品に触れたくなる一冊でした。
Posted by ブクログ
太宰治特有の面白さが滲み出ていた文章で読み進む手を止められなかったが、未完なのが唯一残念。
女たらしな男がこれからどんな風にズタボロになりながら愛人達と別れていくのか、今までも面白かったが物語はこれから…!というところで作品は終わっている。
そこで一つ、この後の展開について私が思うことを書くことにする。
まず、水原ケイ子の兄には絶対殴られるであろう。(太宰治の事だ、ここで殴らないで兄と仲良くする展開になるだろうか…それはきっと、ないだろう。)とメタ発言は置いておいて、あの見返りを常に求めるキヌ子が、報酬も何も提示しない状態で助けてくれる訳などまずないだろう。ケイ子を誑かしていたのはあくまで田島だけなのだから、キヌ子が殴られる理由もなし。
また損をする田島が残り8人近くの愛人と別れる時にキヌ子に対してどういう行動をとるのかが太宰治にしか表現できないのが非常に勿体無い。妄想のしようがないのかもしれない…。
そして田島は田舎から妻子を呼び寄せ、幸せな家庭を築こうとしているが果たして本当にこの夢が叶うのだろうか。呼び寄せる、ということは、田島のいる場所に来てもらうということであるが、田島の周りには、愛人の女達10人近く、そしてキヌ子がいるのである。手伝ってやった田島の妻子という絶好の機会をキヌ子が逃すことはあるだろうか?愛人との別れの途中で弱味一つ握れば、それだけで田島を思い通りに動かせるかもしれない。
田島は最初から最後までキヌ子の掌の上で踊らされ、得する事などなく最後は妻子にまでフラれる…こういう展開になるのではないだろうか?
今長々と述べた事は全て私の妄想であるが、他の考えの人もたくさんいるだろうから他のラストを想像している意見も是非読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
タイトルからは想像できない、ポップな作品。
主人公の田島は過去の愛人との関係を清算するために、絶世の美女に仮面夫婦となってもらう話。
未完なのが惜しまれる。完成していたらコメディ映画として作品化されていただろうなと思う。太宰作品としては考えずに読める作品。
Posted by ブクログ
続きが読みたい!となる作品です。
愛人と入水自殺した太宰の最後の作品であり、「愛人との別れ方!」をテーマに描かれた作品ですが、暗い感じはなく、とてもリアルで、作品が未完に終わったことがとても残念です。
Posted by ブクログ
戦中、戦後を生きた人々の苦悩が伝わってきた。全体的に、否定的で、ニヒルな雰囲気が漂っており、読んでいてブルーな気分になったけれど、独特のユーモアと描写の巧みさのお陰で、本をめくる手が止まらなかった。人間の本質を描くことに、臆することなく向き合い、現代にも通ずる価値観を提示している作品達だった。
Posted by ブクログ
好きな作品とそうでない作品が入り乱れていた。でも、結局表題作の「グッド・バイ」で最後に盛大なコメディで締めくくられて、ああこれが太宰かと。遺作がグッド・バイで良かったなと思える、明るく軽快で未来を向いた作品だった。
もったいない、もったいない、続きが読めないなんて。でもなんだかこれを書きかけで逝ってしまうのはとても、喜劇みたいな、悲劇みたいな、人生。
戦後ずっと、世の中の変わらなさに絶望しつづけていた太宰が、この遺作でこんなことを言う。驚いた。
「けれども、それから三年経ち、何だか気持ちが変わって来た。世の中が、何かしら微妙に変わってきたせいか、...(中略)小さい家を一軒買い、田舎から女房子供を呼び寄せて、......という里心に似たものが、ふいと胸をかすめて通ることが多くなった。」
以下、その他の作品について
■薄明
子煩悩な平凡な父の姿。結膜炎になった子がしんぱいでおろおろ、酒を飲んでも酔えず、吐き、路傍で合掌。
父親の姿が見られほっこり。その一方戦争だけが太宰を家庭につなぎとめ、命をつなぎとめていたようにも感じてしまう。
「もし、この子がこれっきり一生、眼があかなかったならば、もう自分は文学も名誉も何も要らない。みんな捨ててしまって、この子の傍にばかりついていてやろう、とも思った。」
「『そうか、偉いね。よくここまで、あんよが出来たね』」
■冬の花火、春の枯葉
2作とも戯曲のスタイル。新ハムレットより完成度が高い。戦後日本に対するみじめで、やりきれない思いが、とても悲しく美しい旋律の中で繰り広げられる、悲劇。
「冬の花火、冬の花火、ばからしくて間が抜けて、清蔵さん、あなたもあたしも、いいえ、日本の人全部が、こんな、冬の花火みたいなものだわ。」
「永い冬の間、昼も夜も、雪の下積になって我慢して、いったい何を待っていたのだろう。ぞっとするね。雪が消えて、こんなきたならしい姿をあらわしたところで、生きかえるわけはないんだし、これは、このまま腐って行くだけなんだ。めぐり来たれる春も、このくたびれ切った枯葉たちは、無意味だ。」
■フォレスフォレッセンス
太宰にとっては夢も現もすべて同じ。小説も生活も同じ。どこまでも一元的で主観的で、だから好きなんだろうなと思わされた話でした。
■男女同権
時代的に仕方ないのかもしれないが、かなり無理。
太宰は好きだけどこれは......
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戦時中から戦後に移って、変わったかと思えばそうではない、そんな自分の中の期待の裏切りを登場人物の赤裸々な感情を通して描いているような作品。人のあり方が大人らしく、自分もいずれそんな世の中をそんなふうに過ごしていくのかなぁと少し悲しくもなった。
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この作品を読んで初めて、太宰治はラブコメのライトノベル作家だと思った。
未完であることが残念でならないけれど、先の展開や結末を想像するのも楽しい。大好きな作品。
Posted by ブクログ
愛人との別れのセリフが「グッド・バイ」だってぇ。キザなやつ!!!!そんな色男気取ったいけ好かない男が主人公のこの作品。ちょっと今までの太宰作品とは毛色が違う。私は音読して読んでいるのだが、太宰史上一番読みやすかった。そして青空文庫で読んだのでこの作品が未完なのを知らなかったのだ。さあこれから!と興が乗ってきたところでブッツリ終了。息を吸ったまましばし呆然。文章もセリフもテンポが良く、主人公のキャラもヒロイン?のキャラもぶっ飛んでいてとても面白かったのに。あああ残念。
Posted by ブクログ
終戦後から自殺するまでの3年間に書かれた短編集。著者の反抗精神が随所に出てくる
新潮文庫 太宰治 「グッド・バイ」
最初の短編「薄明」に描かれた 敗戦直後においても「捨て切れない一縷の望み」とは、田舎臭さや乞食根性が持つ 人間の自由思想、反抗精神、高貴さのことかな、と思って読んだ
「苦悩の年鑑」「十五年間」は、言葉のインパクトが強いが、ストレートな敗戦国民の心情を理解することができる作品だった
「春の枯葉」の「人間は現実よりも、その現実にからまる空想のために悩まされている〜世の中は決して美しいところではないけれど、無限に醜悪なところではない」は名言
昭和22年に書かれた「メリイクリスマス」以降、作風が軽妙になり、戦後を脱した印象を受ける。人間の俗と聖を描いた作品群が多い
終盤の「眉山」「女類」「グッド・バイ」は 物語の設定そのものが面白い。「グッド・バイ」の絶筆は残念
薄明
「女房や子供がさきにやられて、自分ひとり後に残されてはかなわん〜とにかく妻子を死なせてはならない」
「一縷の望みを捨て切れなかった」
苦悩の年鑑
「時代は少しも変わらない〜一種のあほらしい感じである」
「私は市井の作家である。私の物語るところのものは、私という小さな個人の歴史の範囲内にとどまる」
「日本は無条件降伏をした。私はただ恥ずかしかった」
十五年間
「私の田舎臭い本質を窮めたい〜真の芸術は醜いものだ〜巨匠の青年時代は、例外なく醜い」
「この戦争には、はじめから何の希望も持てなかったが、しかし日本は、やっちゃったのだ」
「自由思想〜本来の姿は反抗精神〜破壊精神といってもいい〜圧政や束縛のリアクションとして同時に発生し闘争すべき性質の思想」
たずねびと
「戦争がもっと苛烈になって、にぎりめし一つを奪い合いしなければ生きていけないようになったら、生きるのをやめる〜今では、おれの唯一の、せめてものプライド」
「乞食の負け惜しみ〜虚栄というのでしょうか。アメリカの烏賊の缶詰の味をひそひそ批評しているのと相似たる心理」
美男子と煙草
「わたしのたたかい。それは〜古いものとのたたかいでした。ありきたりの気取りに対するたたかい〜見えすいた体裁に対するたたかい」
Posted by ブクログ
新年の一冊目は、太宰治の後期作品集。
太宰はひさしぶりに読んだけど、あらためて好きだなぁと思わせてくれるような文体や世界観で、収録作のほとんどが掌編(随想?)ながら満足度が高かった。
そして、彼が死の間際まで連載のために執筆していたという未完の遺作が「グッド・バイ」。
太宰はこれを書きながら、自分ももうグッド・バイでいいと思ったのかもしれないね。
主人公である色男が数多の愛人と縁を切るため、絶世の美女(だけどひどい鴉声で大喰らいで金遣いが荒くて部屋は汚い。実写にするなら橋本環奈一択)に助けを乞い、クセの強い彼女を手懐けながら二人三脚で別離行脚にでるというような、明るくてユウモアと可能性に満ちた楽しい話なんだけど。
最後まで読みたかったなー。太宰が自殺を遂げたという事実をわかった上で読むとなおのこと心寂しい。
「唐詩選の五言絶句の中に、人生足別離の一句があり、私の或る先輩はこれを、『サヨナラ』ダケガ人生ダ、と訳した。まことに、相逢った時のよろこびは、つかのまに消えるものだけれども、別離の傷心は深く、私たちは常に惜別の情の中に生きているといっても過言ではあるまい。題して『グッド・バイ』、現代の紳士淑女の、別離百態と言っては大袈裟だけれども、さまざまの別離の様相を写し得たら、さいわい。」
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最悪だった。
だってこの続きは一生読めないのだから。
『グッド・バイ』は、晩年の作品らしく、のびのびしてユーモアに溢れた作風で、続きが読めないのが本当に悲しい。
手を出そうとした女に殴られて、「ゆるしてくれぇ。どろぼう!」と叫ぶ主人公が哀れすぎて滑稽すぎてたまらない。
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『グッド•バイ』は面白かったですが、他の作品は正直微妙でした。
他の作品を完成させる気力が残っていたのなら、この名作を完成に導いてほしかったというのが正直な感想です。
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伊坂幸太郎氏の小説のモチーフになっていたことから読みました。
グッド・バイの他にも、作者の戦時下でのエピソードが記されております。私は戦争を経験しておりませんが、文章から読み取れる日本の敗戦による絶望を強く感じました。戦後、太宰治へ自らの生き方を賭ける方が多くいらした、とのことでしたが、その思想に強く共感するほど引き込まれました。
Posted by ブクログ
太宰治の絶筆であるグッド・バイを読みたくて購入、その後2年間積読してた
ユーモアに富んだ作品で、登場人物のキャラも立っているから、ラノベみたいな作品だなぁと思った
未完なのが残念、この先も読みたかった
善をなす場合には、いつも詫びながらしなければいけない。善ほど他人を傷つけるものはないのだから
Posted by ブクログ
苦悩の年鑑、十五年間は面白かったのだが、それ以外の短編はあまり内容が入ってこなかった。。
たぶん自分の読解力がまだ足りていないからだと思う。解説を読むと、あぁ、太宰さんはこういう意図でこの短編を書いたんだ、この時のセリフは戦後の日本への憂いを込めていたんだ、というのがわかったので悔しい。
また読み返したい。
Posted by ブクログ
太宰治の後期作品16編を収めた作品集。
被災・疎開、そして敗戦を経て戦後のどうにもならない現実を描いている。どの作品にも明るさは感じられず、暗い雰囲気(ともすれば絶望感と言っても良い)が漂っている。
Posted by ブクログ
気にはなっていたけど、読んでなかった。
太宰治のグッドバイがドラマで引用されていたから読んでみた。
雑誌の編集長を務めている田島。愛人がたくさんいるがそろそろ家族と共に暮らそうと愛人一人づつに別れを言いに行くことにするけど、綺麗に別れるために女性を1人同伴させることにしたけれど…
愛人がたくさんいて思うようにしてきたであろう田島がこの女性に振り回されているのは、ちょっとおかしい。
この作品は未完で終わっている。
太宰はこの続きをどう書くつもりだったんだろう…残念…
Posted by ブクログ
太宰治は学生時代、といっても、まだ、男女の酸いも甘いもわからぬ少年(少女)時代に名を知れたものを読んで以来ぶり…女と心中したために、未完の絶筆となった作品というのに惹かれて読んでみた。こんなに軽快で明るく伸びやかでコケティッシュに書かれたものとは!どうしようもなく女にだらしない情けない男が、そのたくさんの愛人と別れるために、卑しくも美しい女を淑女のようにしたてて連れ歩き、愛人たちと別れることを試みるという…なのに、この女性に翻弄されて、堕としたいのに堕とせなくて手を焼いて…無様さまでもが魅力的で。。。いつの世も人のやる事は変わらないなぁと笑えてくる。爽快な逸品。最後まで読みたい気持ちと、いや、これが、この中途半端なのが、この本のタイトル同様、グッド・バイなのかなとも感じて。別れこそが、強く印象に残るものなのだなと。
Posted by ブクログ
連載中に作者が自死してしまった為未完のままの小説。
主人公が田島(太宰の本名 津島)、複数の愛人、酒豪である事から自己を登場させている模様。人間失格や斜陽でも必ず太宰らしき人が出てきますしね。
太宰の友人、坂口には不評でしたが(笑)私は楽しんで読めました。エンターテイナー太宰を感じる事が出来る小説だと思います。
愛人に別れを告げる為、容姿端麗なキヌ子に妻として装ってもらう事をお願いする田島でしたが…。当時としては珍しく女性性に囚われない生き方をしているキヌ子に戸惑う田島。
もりもりと食事をし(田島のお金で)、服を買い(田島のお金で)、髪をセットしてもらいます(田島のお金で)
まだまだ読みどころはあるのですがこの辺で。
青空文庫であればアプリでもWEBでも無料で読む事ができます。
Posted by ブクログ
これは愛人を何人も抱えた主人公、田島が青木という超絶美人を実嫁という設定にして、愛人達に別れ話をしに行くお話である。実嫁は青木の他にいる。一見暗い設定に思えるが、田島と青木の掛け合いがコミカルに描かれていて、物語の雰囲気としてはとても明るい。未完なのが悔やまれる作品である。
Posted by ブクログ
読んでる間は酒飲みの登場人物や風刺的な内容に辟易するし読後感も良くはないけど、読み終わってみると面白かったと思う
文章がうまくて読みやすい
たずねびと、冬の花火、春の枯葉、メリイクリスマス、フォスフォレッセンス、饗応夫人、美男子と煙草が好き