太宰治のレビュー一覧

  • 津軽

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    人間失格の太宰はキザったらしい言い回しをするメンヘラ放蕩野郎という感じがして、まったく共感できなかった。が、津軽人としての太宰はかなり好きだ。
    教科書で使われてたりするので、たけとの再開にスポットが当たりがちだけど、違う、そうじゃない。
    同じ津軽出身の立場としては、津軽人の人間性、郷土料理、風土、自分の思い出話などを面白おかしく書いている点がこの作品の本当の価値だと思っている。これを読むと太宰も津軽の人間であることを実感し、キザ野郎と切り捨てることができなくなる。
    角川文庫版の解説は町田康氏が書いていて、それがさすが、この作品の面白さをうまいこと言語化していらっしゃるので、実はこれがおすすめポ

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    2024年01月07日
  • 女生徒

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    中二病女子の毒を吐く独白

    ●中二病っぽい女子が何気ない日常の出来事等に対し、心の奥で毒づいたり悶えたりしつつ過ごすさまを描く。●太宰は、少女の心理を美しく畳み掛ける筆致で犀利明哲に綴る。モテ男だけに、浮草の如き女心に眉をひそめることなく寄り添うことができる故だろう。●よく言われるところの「女性は女性に厳しい」理由や、非モテ男がモテない理由について、一言で決定的に要約するなど、女心のハウツー本のようでもある。●また十五年戦争期の作家として、オブラートに包みつつ軍国批判を行っている。その巧みな筆の運びに唸らされる。

    #深い

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    2023年12月27日
  • パンドラの匣

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    スマホを見ていたら、「正義と微笑」の勉強についての一節が出てきて、気になったので買った。
    この文庫本に収録される2作品は、どちらも若者が主人公の青春小説。若い頃ならではの葛藤や希望などが表現されている⋯という言葉だけでは表せないほど絶妙なところまで書き上げていると思った。
    例えば勉強についての先生のセリフを読んで、最初は感銘を受けても、実行に移すとなると難しいし、実際できない。まさに今、中学生の自分。笑
    感じのいいだけの陳腐な文章じゃなくて、作者個人の、特有の思いが伝わる文章が魅力的である。
    そして、この小説からは、太宰治だからこそ書ける日々の尊さ、そして生きる希望を感じられる。
    (解説までち

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    2023年12月08日
  • 駈込み訴え(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    ユダがどういう心持ちでキリストを裏切ったかが、ユダの一人称で綴られている名作。

    GOの影響で、新国立劇場の演劇「骨と十字架」を観たりして、この手のものに興味が向いてる。
    太宰治、じつはあまり好きじゃないんだけど、これは非常によくできてる。むかーし若い時にも読んだけど、今の方が理解できる。年を重ねたんだろうな、それなりに。
    イラストも不気味で美しくて善き。
    このシリーズ、良いですね。

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    2023年10月18日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズより、何年ぶりかに読み返した太宰の掌編「待つ」です。
    すべての見開きページを飾る、今井キラさんの挿絵がぴったりすぎる。
    それにしても、こんなに可愛らしくいじらしい話だったかしら?
    自分がだれを、なにを待っているのかもさっぱりわからぬまま、それでもただ信じて冷たいベンチに腰かけている二十歳の少女を、期待と不安と覚悟をごちゃまぜに抱きしめながら信じるように待ちつづけている彼女を、はやく見つけてあげてほしい。
    『女生徒』を彷彿とさせるような、心のうちから弾け飛ばんばかりの、行き場のない乙女の可愛らしい咆哮のようなものが好き。

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    2023年10月16日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    好きな作品とそうでない作品が入り乱れていた。でも、結局表題作の「グッド・バイ」で最後に盛大なコメディで締めくくられて、ああこれが太宰かと。遺作がグッド・バイで良かったなと思える、明るく軽快で未来を向いた作品だった。
    もったいない、もったいない、続きが読めないなんて。でもなんだかこれを書きかけで逝ってしまうのはとても、喜劇みたいな、悲劇みたいな、人生。

    戦後ずっと、世の中の変わらなさに絶望しつづけていた太宰が、この遺作でこんなことを言う。驚いた。
    「けれども、それから三年経ち、何だか気持ちが変わって来た。世の中が、何かしら微妙に変わってきたせいか、...(中略)小さい家を一軒買い、田舎から女房

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    2023年10月16日
  • もの思う葦(新潮文庫)

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    ネタバレ

    太宰の随想が単行本として死後まとめられたもの。
    随想ともなると作品以上に、より太宰治の直接的な思考の断片が見えるようでおもしろい。切れ味の良い言葉が沢山あった。
    太宰作品をいくつか見たあとに読むととても良い。
    「もの思う葦」というタイトルがあまりにしっくりくる。

    「太宰治ほど生きるのに真剣でド真面目ひとはいない」というのが読み終えた今の一番の印象だ。ド真面目というか、嘘をつきたくない思いというか。
    彼は、考えたことは実行し、また小説と生活は一致しなければならないという思いがとても強い。その思いの強さがある一方、圧倒的な批評能力が自分自身に向き、弱い自分とひたすらに真正面からむきあってしまうか

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    2023年10月12日
  • お伽草紙(新潮文庫)

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    太宰によるフォークロア新解釈をたっぷり味わえる一冊。新釈諸国噺などは、西鶴の原文にちかいのだろうなという話と、『粋人』『遊興戒』『吉野山』など太宰節が滲み出ている話とに分かれている。
    特に好きだったのが『竹青』と『浦島さん』。
    こうも伸びやかな想像力、幻想的な世界を鮮やかにいきいきと書くことができる作家とは。戦時中の制限された中で、ひとびとを、そして自分自身を鼓舞させるような、そんな切実とした思いも裏に感じる。両者、あまりにうつくしい世界観で、もっと色んな人に読んでもらいたいなぁと思った。これを作者名を伏せて読んで、一体どのくらいのひとが太宰と気づくだろうかと。
    そうした美しい描写のなかで、太

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    2023年10月08日
  • 津軽通信(新潮文庫)

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    ネタバレ

    好きなタイプの太宰作品が多い、良い短編集だった。
    『一燈』、『庭』の雰囲気がすきだった。どちらも長兄とのエピソードなので、私はその2人の関係性が好きなんだろうか....
    落ち着いていて、しおらしく、それでいてユーモアやあたたかさのあるこうした系統の太宰作品が好きだ。
    『未帰還の友に』は取り残された太宰のやりきれないどうにも苦しい気持ちが全体に流れており、こちらも苦しくなる。「自分だけ生き残って、酒を飲んでいたって、ばからしい」なんて。
    『チャンス』は前半の恋愛に関する御託が面白い。「『ふとした事』から異性と一体になろうとあがく特殊な性的煩悶、などという壮烈な経験は、私には未だかつてないのである

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    2023年10月05日
  • 津軽(新潮文庫)

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    司馬遼太郎の「北のまほろば」を読み、そこに登場する太宰治、そして津軽に興味が湧き本著を読む。
    太宰治自体読んだことがなかったので、その意味でも新鮮。

    最後の「たけ」とのシーンが感動的。
    この旅は、自分探しの旅。実際見る物理的な風景もそうなのだが、どのような人に囲まれて育ったのか、そして、それが人格を形成するうえでも、大切なことであることを改めて感じる。

    文章も読みやすく、表現も巧い。
    本著で触れられている津軽の歴史、それは日本の歴史でもあるのだが、も興味深い。

    青森県は、行ったことがないので、司馬遼太郎の「北のまほろば」と、この「津軽」を携えて訪れたい。(よく調べると「津軽」をベースとし

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    2023年10月01日
  • きりぎりす(新潮文庫)

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    電子書籍『きりぎりす』を読む。
    短編ですぐに読めてしまう。

    お金が入ってくると、別のものを失っていく寂しさ、悲しみ。もう戻ってこないのだなと思った妻はお別れする。
    きりぎりすの声が聞こえてくるようだ。

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    2023年09月19日
  • 惜別(新潮文庫)

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    ふるさと文学全集の宮城編で読んだ。魯迅の藤野先生の日本語版である。魯迅のオリジナルよりもはるかに丁寧に書いている。どこまで取材したのかがよくわからないが、より詳細により分量も多く書いているので、読みごたえがある。魯迅のオリジナルと一緒に東北大学に行く前に読むとよい。高橋源一郎の紹介である。

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    2023年09月14日
  • 津軽(新潮文庫)

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    ラストの、自分に文学の素養を身につけてくれたと言っても過言ではない使用人の女性との再会は、感慨深い。

    蝦夷地とも言われていた頃からの津軽の歴史に言及することにも多くのページが割かれている。

    辺境の地としての津軽を、そこよりも南の地域とは区別して人が都会化していないとして、時には愛情を持ってさげずむ。

    古い友人と津軽半島東側をを大酒をくらって旅する姿と、後半は一人で黙々と西側を行き来する対比は対照的である。

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    2023年09月03日
  • きりぎりす(新潮文庫)

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    ネタバレ

    表題作、「きりぎりす」を聴き読書。最近暑すぎて散歩ではなく自転車なので自宅で。わたし(24歳の女性)は19歳の時にとある画家と結婚した。絵を見て身震いがするほど絵に共感する。しかし夫は口下手で展覧会など興味を持たず好き勝手な絵を描く画家だった。そんな夫との結婚生活が心地よく、貧乏でもハリを感じた。しかし、個展を開いてから、夫は人が変わる。お金に固執し、成功者と一緒にいるようになり、夫への魅力、関心が無くなる。このわたしの寂寥感が夫には伝わらず、別れることを決意する。妻が思う過去の夫への未練が伝わった。⑤

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    2023年09月03日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    戦時中から戦後に移って、変わったかと思えばそうではない、そんな自分の中の期待の裏切りを登場人物の赤裸々な感情を通して描いているような作品。人のあり方が大人らしく、自分もいずれそんな世の中をそんなふうに過ごしていくのかなぁと少し悲しくもなった。

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    2023年09月02日
  • 駈込み訴え(乙女の本棚)

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    もう絵が最高です。
    としか言えない。

    ストーリーは元あるものとして、
    それに掛けた絵がもう見てて飽きない。
    どんな意図でこの絵を描き込んだのか、
    細かく見ているのが楽しい。

    文豪の好きな短編と好きなイラストレーターのコラボ。

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    2023年07月24日
  • 津軽(新潮文庫)

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    わたしは太宰治の一読者にすぎず知り合いでもなんでもないが、この小説にあらわれているのは最も素に近い太宰ではないかと思う。不躾に他者を容赦なく批評するかと思ったら急に弱気になって自分を卑下したり、酒を飲みまくったり、だらしがないかと思えばしっかり土地のことを知っている。いつも一緒にいたくはないけどたまに旅行に行ったら楽しいだろう。しかもいく先々で暖かく迎えられるのである。
    自分という存在を書くことに関しては太宰治の右に出るものはいないということがわかる。とくにたけと会うまでの気持ちのはやりや実際あったのちのなんとも言えない雰囲気には目頭が熱くなった。
    この小説を読むと後ろに故郷を残してきた人間を

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    2023年07月23日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    戦争の時代、彼女は何を待ったのか。
    この短い文章に太宰さんの中の乙女から見た世界が濃くみえる。
    そういえば、私も何かをずっと待っている気がしてくる。

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    2023年07月05日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    この作品を読んで初めて、太宰治はラブコメのライトノベル作家だと思った。
    未完であることが残念でならないけれど、先の展開や結末を想像するのも楽しい。大好きな作品。

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    2023年06月23日
  • 駈込み訴え(乙女の本棚)

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    うあああ・・!
    文庫でこの作品は事前に読んでいたけれど、やはりスゴい・・!
    愛憎、思慕と幻滅、自己嫌悪と裏切り、推しを思う心と勝手?それとも的を得てる自己解釈。
    人間の心情って決して単純ではない。移り変わる心は複雑。
    でもなにか(小説などの作品や報道記事)を作るとついわかりやすくしてしまう。
    煩雑、まとまらない気持ちを本当に丁寧に、しかししっかり描いているのはさすが文豪。
    イラストのホノジロトオジ氏ははじめて読む人のために「私」が誰なのか、徐々にわかっていく過程を楽しんでもらうためにわかりやすいシンボルは最初は避けていたとのこと。
    わかりやすい挿し絵ではないけれど、独特の雰囲気はすごい。

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    2023年06月20日