太宰治のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ葉桜と魔笛が読みたくて購入。
私は、ただ美しい物語ではないのではないかと感じた。
妹は本当に彼と付き合って、深い仲になっていた。戦時下、時代的にもしそれが世間にバレたら命を絶たなければならないほどの秘密。
姉の手紙により、姉に知られる訳にはいかず嘘をついた(予めバレた時の用意をしていたのかもしれない)
姉は姉で、妹だけ恋愛を楽しんでいた事に嫉妬心を抱いた。
魔笛を吹いたのは厳格な父親かもしれない。けどそれは妹のためというより、自分も知った事を妹に知らしめるため。
妹が急逝したのは、自ら命を絶ったから。
全て知っていた姉が、抱えきれずに晩年告白という形をとった。 -
Posted by ブクログ
学生の頃は文学に興味がなく、きっとこの作品を読んでも暗すぎて読んでいられなかったと思う。大人になった今、なぜか読みたくなり読んでみたら、自分も感じたことのある感覚が表現されていてゾッとした。
「その見はった眼には、驚愕の色も嫌悪の色も無く、ほとんど救いを求めるような、慕うような色が現れているのでした。ああ、このひとも、きっと不幸な人なのだ、不幸な人は、ひとの不幸にも敏感なのだから」
主人公が、人から同情してもらえない、身から出た錆のための不幸に苦しんでいる時に、抜け出すことのできない不幸を抱えた女性と出会うシーンでの表現が印象に残った。
大人になってから、というか深い希死念慮を経験してから -
Posted by ブクログ
苦い海に浮かぶ安寧の島「津軽」
名家津島家にとっては黒い種
友人にとっては愛すべき厄介な男、薄いつながりの糸でも大きな安らぎにしてきた哀しい人
人生では自分の人生のあざなえる縄に周りをまきこんだひと
作家として私小説という泥の浮き沈みに身を任せ、女体を巻き添えにして沈んでしまった人。生きる悲しみにあふれた生き方に流されていった人。
野獣派とはそれぞれ勝手な生き方を選んだ人々。大雑把に一括りにされた作家のひとり。
「津軽」を読めば心の底に潜んでいた悲しみに気がつく。苦しみにムチ打たれ続けた日々を書いた作品は読者を傷つける。たまたま日ごろ目を背けている自分の些細な出来事が、この苦しみの根源ではな -
Posted by ブクログ
ネタバレ太宰治がどういう人生を送ってきたかを知らなければ、普通の小説として読めただろうが、彼の生き様を知ると葉蔵の心理や行動が現実味を帯びたものに感じられる。
左翼の活動から逃げたのが自死を決意する理由になってしまえるのか。死へのハードルが低くて驚いた。
人間失格に至る責任は自分にあるが故に他人を責めたり恨んだり出来ない。他人に責任を押し付けられるだけそっちの方が幸せだという考え方は興味深い。自滅への道が明らかに描かれる。
人と関わったことで失敗を続けるのに人と関わり続けてしまう。なぜなら人に助けてもらわないと生きていけないから。これは逆説的に見えるが人間の実存を突いた一つの真実であるように思え -
Posted by ブクログ
ネタバレ
大好きな本。
・p13 弟と太宰は仲が悪かったが、ふたりで故郷を離れて暮らすとお互いの気性が分かってきた。弟は修治の吹き出物を心配して薬を買いにも行ってくれた
→私自身の兄弟関係にも重なるところがあると感じた。遠く離れた場所へ来ると、お互いようやく向き合う覚悟ができる。みたいなものかな。この弟は2、3年後に亡くなったとあるけど、何でも打ち明けて話せる相手がいるというのは自分で思っているより遥かに心を強くする気がする。
・p23 弘前で暮らすうちに「め組の喧嘩」の鳶の者の格好をしようとして、股引を求めて呉服屋に聞き歩いて、結局消防士用の赤線の引かれた代物を提示されて消沈して諦める
・p5 -
Posted by ブクログ
人間失格は新潮文庫で3回読んでるが、帯の場面が大好きなのと他の人の解説を読みたくて購入。自分へのクリスマスプレゼント。
帯の「それは世間が許さないではない。あなたが許さないのでしょう」という場面が1番好き。ずっと心に残ってる。筑摩書房がそこに焦点を当ててくれてこの上なく嬉しい。SNS上の不毛なやり取りにも通ずるものがある。
古典の条件は時代が変わっても新しいことにあるというが、その定義でいうと人間失格は間違いなく古典。解説にもあったが、現代の問題意識に通ずるものがある。
解説も名文だったな。気軽な気持ちで読んで欲しいというのが頭に残っている。筑摩書房と太宰の関係も知れてよかった。