太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2025/11/04
p.23
この雑誌にも、「若い女の欠点」という見出しで、いろんな人が書いて在る。読んでいるうちに、自分のことを言われたような気がして恥ずかしい気にもなる。それに書く人、人によって、ふだんばかだと思っている人は、そのとおりに、ばかの感じがするようなことを言っているし、写真で見て、おしゃれの感じのする人は、おしゃれの言葉遣いをしているので、可笑しくて、ときどきくすくす笑いながら読んで行く。宗教家は、すぐに信仰を持ち出すし、教育家は、始めから終りまで恩、恩、と書いてある。政治家は、漢詩を持ち出す。作家は、気取って、おしゃれな言葉を使っている。しょっている。
2025/11/ -
Posted by ブクログ
ネタバレ世界を信じられなかった人間の話。
自分を大罪人のように捉えていて「世間」を酷く恐れているが、これは自分あるいは他者に対する期待値が高いことの裏返しのようにも思え、その価値観の頑なさはある種信仰のようにも見える。自分にも他者にも幻滅し裏切られているように感じられるのは、生来の性質か或いは理想を植え付けるだけして内実は混沌とした世であるからか。
真実の自分は醜く皆を騙していると話すが、マダムから見た「神様みたいないいこ」も一つの真実ではなかったか。
本来人間には失格も合格もないはずだが、その線引きは確かに存在しているように思え、その息苦しさは現代にも通ずる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ## 感想まとめ
太宰は意外と家族のことを想っていたのだなあと思う。
家族を想い、仕事に苦しみ、そして家族との関係に苦しみ、自分を追い詰める。
それが作品にも滲み出る。
太宰治の作品は最近少しずつ読んできているが、『人間失格』の息苦しくて暗い雰囲気から、『富嶽百景』の爽やかな雰囲気まで、色々な作品が書ける素晴らしい作家さんだなと思う。
しかし、素晴らしい作品を生みだせる感性は他人とは違うものがあるからこそだと思うが、それがあるからこそ世間からは浮いてしまって生きづらさがあるはず。
そう思うと、素晴らしい作品を届けてくれる芸術家の皆さんたちの苦労には頭が上がらない。
そしてその作品