あらすじ
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太宰治の『女生徒』が人気イラストレーターとコラボレーション!
太宰治の『女生徒』が、ファッションブランドAngelic Prettyなど、乙女心をくすぐる作品で知られるイラストレーター・今井キラによって、鮮やかに現代リミックス。全イラスト書き下ろしで贈る、珠玉のコラボレーション・シリーズです。巻末には、『グッドモーニング』『死んでしまう系のぼくらに』などで知られ、今をときめく詩人・小説家である最果タヒのシリーズ共通エッセイを収録。自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「太宰治の作品を初めて読んだのは、多分、現代文でやった『羅生門』だと思う。
ロングスリーパーな私にとっては、ほとんど子守唄のような時間だったけれど、なんとなく、太宰治特有の人間のドロドロした部分を描いていたような気がする。
そう思っていたからなのか、今回の作品を太宰治らしくないかも?と思った。
でも、女生徒が毎日、何を思い何を見て何を感じ、悩み傷つき、悶々とひとりで考えているのか。そしてその一連の思考が、私も同じように感じていたことがあったことに懐かしく感じた。
10代だからといって、侮るなかれ。
彼女たち、現代ならば彼らたちは、我々大人より遥かに重く、解決しがたい悩みや葛藤を抱えている。
私たち大人もそういう時期を通過したのだと考えると、彼らに幸多からんことを私は、祈る。」
Posted by ブクログ
2025/11/04
p.23
この雑誌にも、「若い女の欠点」という見出しで、いろんな人が書いて在る。読んでいるうちに、自分のことを言われたような気がして恥ずかしい気にもなる。それに書く人、人によって、ふだんばかだと思っている人は、そのとおりに、ばかの感じがするようなことを言っているし、写真で見て、おしゃれの感じのする人は、おしゃれの言葉遣いをしているので、可笑しくて、ときどきくすくす笑いながら読んで行く。宗教家は、すぐに信仰を持ち出すし、教育家は、始めから終りまで恩、恩、と書いてある。政治家は、漢詩を持ち出す。作家は、気取って、おしゃれな言葉を使っている。しょっている。
2025/11/05
p.16
新聞では、本の広告文が一ばんたのしい。一字一行で、百円、二百円と広告料とられるのだろうから、皆、一生懸命だ。一字一句、最大の効果を収めようと、うんうん唸って、絞り出したような名文だ。こんなにお金のかかる文章は、世の中に、少いであろう。なんだか、気味がよい。痛快だ。
Posted by ブクログ
こんな女の子が、昔にもいたんだと思うとなんだか嬉し。家庭環境も、考えることやることなすこと、わたしとそっくりなのだもの。このおはなしは、淑、という少女の日記を太宰が小説にしたもの。そして、私以外のたくさんのひとが、私のことがかかれてある、と思うのだろう。なんて、おかしいんだろう。にんげんには、なにかしら、ひとにはいえないことがあり、じつはそれはどこか似通っていて、万巻の書の片隅で文学になっていたりするのかもしれない。
Posted by ブクログ
太宰治の『女生徒』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ第1段2冊中の2巻です。
14歳の女生徒の起床から就寝までが日記のような散文として綴られる小説です。
思春期の女の子ならではの不安定な内面が描き出されています。
その世代の女性らしく思いや考えが二転三転しますので、読者が大人の男性であると共感するのが難しいのではと思います(私がそうでした)。
そこで驚くのが、これを書いたのが太宰治という大人の男性であることです。
本シリーズは表紙や挿絵のイラストが秀逸で、今作は様々な情報や知識に染まりやすく安定しない年頃の女の子の儚さが表現されています。
美しい純文学を美しいイラストが彩り、世界観を更に色濃く描く良書です。
Posted by ブクログ
無邪気に転げ回る子猫のように思考が右往左往する若い女学生の日常を描いた名著。子供の世界から、大人の世界に半歩踏み込んだ自分や環境への戸惑いと嫌悪や、でもワガママなままの子供っぽさも同居する混沌とした内面の描写が素晴らしかった。
Posted by ブクログ
太宰治はこんな文も書いたのか、乙女そのものだと驚愕した。自分も周囲もなんだかわからないけれど醜く見えていやらしいと思ってしまったり、さっきまで憎くて仕方がない感情がどこかにいってやっぱり好きだと思ってみたり、いきものにですら優劣をつけて自分の感情を大きく汚す感じ。たたみかけるような女生徒の心情の流れに身を任せていると、「あ、自分もこうだったかも」と思えてくる。浮き沈みのおおきな得体の知れない感情に翻弄されつつ自分の【ほんとうのきもち】には気が付かない、辿り着けない。
まだまだ子どもなのだ。
イラストの今井キラ氏がまた文に彩りを添えている。美麗で耽美なイラストがとても良い。本棚に一冊あると素敵だろうな。
Posted by ブクログ
どこかであらすじを見知って、ずっと読みたいと思っていた一冊。
なぜか、女生徒と教師の恋愛話だと思っていて、期待して読み進めていったが、全然二人に大したつながりはなく、ある女生徒の思春期独特の心の内を淡々と語ってゆくだけで終わってしまった。
あれ?と思って少しがっかりしたものの、この女生徒が抱えている生きづらさは、私自身に重なるところが多々あり、もう一度読みたい作品の一つになった。
太宰は男であるのに、なぜ、こんなにも女の苦しみがわかるのだろう。
「ああ、汚い、汚い。女は、いやだ。」
というフレーズがあったが、始終、自分のことを醜いと思って、汚いと思って、自分に嫌気がさして汚らわしく思う感じ、すごくよくわかる。
自分を殺して、愛想笑いを浮かべたり、気持ち悪くて嫌なのに我慢しなくてはならなかったり…。そんな自分がますます嫌いになってゆく感覚が手に取るようにわかった。
大好きだった父親が死んで、忙しい母親の代わりに家事をたくさんこなしたり、考えなきゃいいのに余計なことを考えて落ち込む感じ、病んでいる感じ、すごくわかる。
最初から最後までずっと陰鬱で、自己否定感ばかり募っていく感じが、私だけしか知らなかった感覚を代わりに書いてくれている感じがして、何だかとても嬉しかった。
太宰作品、病みつきになりそう…。
もっと他の太宰治の作品を読みたいと思った。
Posted by ブクログ
巻末エッセイを含め、白地の背景に焦茶色(?)の文字のページが、印刷が上手くいかなかったのか何なのか、字が少しずれてぼけて見えて、目がチカチカして気になった。せっかく可愛くて素敵で好きなのに、残念。
それはさておき、引用したくなる、線を引いて覚えておきたくなる文章だらけだった。とっても鋭い。
この『女生徒』は、わたしの鏡だ。
ふいに「お父さん」と口に出してみて気恥ずかしくなったり、「よいしょ」と掛け声をした自分に気持ち悪さを感じたり、可哀想な犬に居た堪れず敢えていじわるをしてやったり、理不尽な状況を前に結局何もできず、悔しさに「こんなくだらない事に平然となれる様に、早く強く、清く、なりたかった。」と思ったり。
お父さんが後で「中心はずれの子だ」と言う。
他のレビューを見て、人がこの作品の是非を論じる様子をチェックして、素直に好きなものを好きと、人の目を気にせず全力で訴えることができないでいる自分に気づき、ああ、くだらないと思う。
バスから降りたところ、くすくす笑ってしまった。
「いい娘さんになろうと思った。」
Posted by ブクログ
大好きな『女生徒』を乙女の本棚シリーズで再読。
朝の目覚めから夜の眠りにつくまで、多感で読書家な少女のとある一日を生きる。
光を集めてさまざまに模様をかえてゆく万華鏡のように、少女の脳内はくるくると忙しい。それらを可愛らしくかけがえのない喜怒哀楽、と思ってしまうのは、私がすっかり大人になってしまった証拠なのだろうね。〈いま〉が手をすり抜けていく不思議な感触をたしかに自分でみつけて知っていたのに。苦しくて苦しくて、いつまでも、恥ずかしいスッポカシをくらいながら、少女たちはいつだっていまを生きている。「わるいのは、あなただ」
読むたびに新鮮で、気づきがある。私はこの作品を好きすぎている。一言一句をおぼえて誦じることができたらいいのに。そうやってきっと自分の命が消えるその瞬間にも、幸福は一夜おくれて来る、と唱えているはず。
Posted by ブクログ
『女生徒』の素晴らしいところは、感情の描写のリアリティさにあると思う。
本当に繊細に、丁寧に伝わる。美しい。
実際に共感できるし、なるほどこの子ならそう言語化するのかと関心する。
ヒロインの名前が最後まで明かされないミステリアスさも魅力。太宰作品は、苗字か名前どちらかでも明かされることが多い気がするので、なんとなく気になる。どんな名前なのか想像してみるのも結構楽しい。
(元ネタは有明淑という太宰ファンの日記らしいので、少女の名前は「シズ」とかかもしれないなぁ。と思ったり。ちなみに元ネタの資料は青森近代文学館で販売されているのでぜひ!)
ヒロインの行動は時に才女で、時にあどけなく、急にしょげたり、おどけてみたり、難しいことを考えてみたりでとてもかわいい。
思考する話題がころころ変わったり、感情の浮き沈みが激しかったり。まさに成長期真っ只中。
主人公のことを知れば知るほど親近感が湧いて、友達になりたくなる。まったく作り物という感じがしない。
初めて読んだ中学3年生の頃からずっと、ずっと大好きな作品です!!これからも読み返して、こんな感覚あったなーと懐かしみたい。私のバイブルの1つです♡
Posted by ブクログ
この作品を初めて読んだ時は自分も同じ女生徒であり本から得た言葉に頼っている狡くて厭なやつでした
少女のまま死ねそうにないので自分も美しく生きたいと思います
Posted by ブクログ
自分しか知らないと思っていた感覚が沢山描かれていて、恥ずかしくなった。今井キラさんのイラストが可愛くてページをめくるのが楽しかった。心に残る一冊。
Posted by ブクログ
考えてることを全部文字に起こしたような、つらつらとした文体がずっと続くため人によっては読みにくいと思うかも。自分は他人の考えを覗けた気がして、そして少し共感できるところもあって、女生徒と呼応できた気がした。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズの一冊。
うん、これは確かに乙女の本棚だ。絵も内容にふさわしい。
今の乙女も共感できるのではないか。いや、自分は乙女ではないので、実際のところはわからないのだけれども。少なくとも初老の男にそう思わせるだけの「女生徒」が、そこにはいたね。
スマホなどの、今の女生徒に欠かせないアイテムが出てこないことだけが、現役作家との違いかな。
今だったら、芥川賞を受賞できるかもね。
Posted by ブクログ
これは「大人の絵本」。(そのまんま笑)
その昔深夜にやっていたそっちの意味じゃなくてね。(知らなくて興味ある方は調べてみてもいいけど、結果に責任は持ちません笑)
Posted by ブクログ
自分が“女生徒”くらいの年齢だった頃を思い返しながら読みました。今の歳でも、分かるなぁということが詰まっていましたが、若い頃に読んでいたら分かりすぎ、共鳴し過ぎて何かが狂っていたかもなあとも。
今井キラ先生の画が美しすぎます。儚く、物憂げなイラストは文章と相まっていっそう美しく、ため息が出る程です。
Posted by ブクログ
〈乙女の本棚シリーズ〉
太宰治+今井キラ
あさ、目をさますときの気持ちは、面白い。の書き出しで始まる女生徒。
1日の出来事で感じたことを言葉にしている。
その言葉ひとつひとつが音符のようでリズムを感じる。
女生徒ならではの女に関する言葉も鋭い。
草をむしっては、形はちっとも違っていないのに、いじらしい草と、にくにくしい草と、どうしてこう、ちゃんとわかれているのだろう。
理屈はないんだ。女の好ききらいなんて、ずいぶんいい加減なものだと思う。
けさ、電車で隣り合わせた厚化粧のおばさんをも思い出す。ああ、汚い、汚い。女は、いやだ。
自分が女だけに、女の中にある不潔さが、よくわかって、歯ぎしりするほど、厭だ。
女生徒の言葉とは思えないほど辛辣である。
彼女には亡くなった父への思いがあるのだろうが、母には何も求めていないことに不穏さを感じる。
朝目覚めるとまた灰色で虚無で意地悪だと思うのだろうか。
王子さまのいないシンデレラ姫だと言うのは辛い。
儚さが絵に現れている。
色も柔らかく、溶けていきそうだ。
そっと箱を開ける手は、何かを期待しているのに…。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ、記念すべき第一作目。
少女の朝目覚めてから眠るまでの一日、その心象を描いた作品。
少女というには時間が経ちすぎたけれど、「ああこんなこと考えていたな」と懐かしく思う箇所もあれば「今もこんなことで悩んでるな」と成長してない自分に辟易したりする、それくらい人の心に丁寧で気持ちに寄り添う物語。
Posted by ブクログ
ある女生徒の朝起きてから、夜眠るまでの日常を描いた短編。
ひたすら眼にしたものに対する感想、ちょっとした不満など女生徒が頭の中で考えている事をとりとめもなく書き連ねている。
太宰のイメージとは正反対の乙女感丸出しの作品。
今井キラさんのイラストと相まってまさに“乙女”の本棚に相応しい作品だなと感じた!
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ。
少し厚めだなと思ったら、かなりの文字量でした。思春期の女の子の繊細で、揺れ動く心情がとにかくツラツラと書かれています。作者がオジサンだとは、とても信じられません。
自分はこんな思春期を過ごしていないけど、当時の心情を文章にしたら、これぐらい揺れ動いていたのかな?昔を懐かしく、この感性をどこか眩しく感じるような作品でした。
Posted by ブクログ
はい44オネェはおさむちゃんです
TheSECOND見るの忘れちゃったんだよなー誰かマジでスケジュール管理してほしいwってそっちのお、お、お、おさむちゃんじゃなーい
どうなの?
なんか最後に最果タヒさんが、違うんだけど共感するみたいなこと書いてましたけど
いや、そんなこと言ったら東京タワーにいるインチキ占い師と一緒でこんだけ色々言ったら何かしら当てはまるわ!って言う
特に『女生徒』なんか、すぐ「あ〜それわたし〜」とか言いそうじゃない(ド偏見)
かの太宰治をインチキ占い師呼ばわりです
でも、なんか分かる
このあっちこっちに揺れて、ぐるぐるしながら膨れ上がる、なんか醜い気持ち
乙女やなー
( ゚д゚)ハッ!
でもそうか!
別に太宰は、あなたの気持ちを言い当てます!とか言うでないわ
読み手が勝手に言ってるだけだわ
ごめん
インチキ占い師とか言ってごめん
ただの妄想日記を書いただけなのにインチキとか言ってごめん
猛省しとります
いやただの妄想日記て!
失礼か!( ゚д゚ )クワッ!!
Posted by ブクログ
中学生ぐらいの女の子の視点で、1日の生活模様が書かれているお話。
特別な刺繍を施したアイテムをこっそり身につける感覚、自分は特別なんとも思っていないけど相手は親友と思ってくれている関係、外面の良い母親を見て苛立つ瞬間、2匹の犬の片方だけを可愛がる残酷さなど、作者は女の子だったことがあるのではないかと思うような場面が多々あった。
若さの特有の苦しみを、「大人になれば苦しくなくなります」って受け流すことは、確かに根本的な解決策ではないなと思ったけど、そういう苦しみは自分自身でしか取り除けないことだから、他人はそう言うしかないことだとも思う。
文字数が多いからか挿絵は少なめだが、印象的な絵ばかり。
Posted by ブクログ
九段さんのスクールガールが読みたくて、だったらその前にこっちを読んでおいた方が、という気持ちで本書を手に取りました。
思春期女子の気持ちの揺れ動きが瑞々しく描かれ、うーん分かる、とか、懐かしいなあ、などと私自身も思えた作品。
多感な時期は必ずあるよね。
そして、本書のイラストもとても素敵で、それこそ思春期真っただ中の女の子にプレゼントしたらおしゃれなおばさん、って思われそうだ(笑い)
乙女の本棚シリーズ、だそうですが、他の作品もこのシリーズから読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
太宰治文学忌、死因は入水自殺、場所は玉川上水
1939年の作品
太宰治のファンの日記から
3カ月分を1日にぎゅうっと
100年近く前の少女の気持ちは、不変だ
太宰治は女生徒だったのかと思わせる程の語口
少女の朝起きてから、その日寝るまでの一日を
語り尽くす
思春期の自意識が ぱたぱた変わる
とはいえ、朝起きて学校行って美容院行ってお客様もてなして、忙しい女生徒だわ
絵は今井キラさん、ちょっとクラシックで優雅さもある女生徒でした
Posted by ブクログ
自分も同じ事を考えてると共感できる部分がでてからスラスラ読めるように、内容も分かるし、頷きながら読んでた。振り返ると内容は忘れてしまったけど綿菓子のような金平糖を食べているような甘くてふわふわ時にはジャリっと鋭さを持った感覚。
Posted by ブクログ
東京に暮らす一人の少女。
彼女のある1日の心の動きを描く。
繊細なようで図太い。
猫のように気まぐれで子リスのように臆病、万華鏡のように気分が移ろう少女。
これぞ思春期って感じがした。
Posted by ブクログ
ようやく購入できた本の一冊。
乙女の本棚シリーズの「女生徒」
物語が素敵なイラストとコラボレーションして、より一層イメージが付きやすい。
「私」と同じ時代を経たことですべてではないけど、共感しやすいなと感じた。
この本に描かれている「私」の想いや、感情が切なく、悲しく、時に心温まる。
もどかしさや、自分の中では処理できないどうしようもない感情。
どれも自分で感じたことのある感覚。
思っていたほど、読みにくくなくさらっと読むことが出来た。
イラストもとっても素敵で物語の雰囲気がより感じられた。