あらすじ
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乙女の本棚シリーズ最新作は江戸川乱歩×「刀剣乱舞」イラストレーターのコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
「あれらは、生きて居りましたろう」
蜃気楼を見に行った帰り、私は汽車のなかで押絵を持った男と出会った......。
『刀剣乱舞』のキャラクターデザインなどで知られ、pixivフォロワー21万人越えを誇るイラストレーター・しきみが江戸川乱歩を描く、珠玉のコラボレーション・シリーズです。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
江戸川乱歩の『押絵と旅する男』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ第5巻です。
主人公の汽車に乗り合わせた黒髪の老紳士、彼は額に入った何かを持ち歩く変わった人物でした。
主人公は気になって仕方がなくなり、老紳士にそれは何かと尋ねます。
彼が持ち歩いていたのは押絵でした。
押絵には美しい色娘とその老紳士に似てはいるが白髪の男が描かれているのです。
老紳士は語ります、この押絵の男は自分の兄であると。
そしてこの娘は…。
美しい純文学を美しいイラストが彩り、世界観を更に色濃く描く良書です。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩、めちゃくちゃ美しい文章を書くな。背広の流行、「黒天鵞絨」「緋鹿の子」なんて素敵な表現。
長野まゆみさんの本を思い出す。
また、題材は京極夏彦の『魍魎の匣』のモチーフだろうな。
浅草凌雲閣の細かな描写あり、こちらにも興味を持った。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩を初めて読んだ。こんな素敵な作品を書く人なんだ。乙女の本棚シリーズはなかなかイメージしにくい文豪作品をイラストがあるから理解しやすい。集めたくなってきた。
Posted by ブクログ
これは良い試みー!
実際タイトルは知ってたけど読んだことなかった作品を読むきっかけになった
イラストはまぁ好みがあるから…私はもちょっと暗くおどろおどろしい方が好みだけど(京極夏彦作品の人形のイメージ)
でも楽しいのでこのシリーズ読も
Posted by ブクログ
読めば読むほど、不気味な感じがしてきました。
望遠鏡を覗き込んで、視点が合うまでの表現が、ここまで文章で表せるのかとビックリしました。
海に沈んでいる海女が水上に浮上してくるかのようにといったような内容で、ふむふむ、なるほど!と思いながら読みました。
面白かった。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズの一冊。
複雑な気持ちになる。話自体はもう何度目かわからないくらい読んでいる。やはり傑作だ。で、今回は初めてイラストつきで読んだ。そこで思ったことは、乙女の本棚シリーズに入っていることで、イラストつきの「押絵と旅する男」に出会うことの意味である。イラストで固定されたイメージで読むことになってしまい、イラストなしで初めて読む経験が奪われてしまうことになる。それは不幸なような気がするのだ。しかし、一方で、乙女の本棚シリーズに入っていなかったら、この作品とは出会わなかったことも考えられる。それもまた不幸なことだ。これは、イラストなしで読むことができた優越感から出た感想なのかな。乙女の本棚シリーズの功罪といえばいいか。もう少し考えてみたい問題だ。
Posted by ブクログ
イラストは現代風の可愛い系のイラスト。物語は明治28年から約30年後が舞台。昭和になってるかどうかという感じ。古風な世界観がすごくいい。
最初は『魚津の蜃気楼を見に行った』とある。これ、ラストのあたりで「東京から富山に引っ込んだ」とあるけど、魚津が富山県だとわからないと結びつかないのでは?と思ってしまった。
そして、蜃気楼の描写が……なんていうかすごい的確というか正確というか、そうなのよ『よくわからないモヤッとしたもの』が蜃気楼なんだよね。だから、普段見ていない人が見ても正直『それが蜃気楼』だと気が付かないことも多々ある。たぶん、私も言われないとわからない蜃気楼が沢山ある。写真になってるのは『はっきりと分かりやすいもの』が出てくるけど、その写真は本当に『初心者にもわかりやすい説明用』で本物はもっと『わからん』というのが正しい。
そのわからなさを言葉で長々と表現してあるのすごい。
『蜃気楼は、不思議にも、それと見る者との距離が非常に曖昧なのだ。遠くの海上漂う大入道のようでもあり、(略)見る者の角膜の表面に、ポッツリと浮んだ、一点の曇りの様にさえ感じられた。』08p
最初の蜃気楼の表現で心を鷲掴みにされた。
そこからどう話が続くのかと言えば、列車の中で不思議な老人と出会い、『絵の額(がく)』を見せてもらい、その絵の身の上話を聞く……という不思議続きの物語。
特にこれといった大きなことは起こらないけど、『小さな不思議』が続くのでぐいぐい惹きつけられていく。
何でそうなったのかがさっぱりわからないけど、『そういう世界なんだな』という共通認識が徐々に広がって『そういう物語』だと納得してしまうような感じ。
そしてラストは、老人が闇に溶けて終わる。……こういうのは、ある意味定番のような気がするけど、でもここまでが小さな不思議とゾッとする感じの世界観が広がってるので、やっぱりと思いながらも、ゾッとする感覚も残ってる。
たぶん、細かく見たらテクニックがあちこちにちりばめられてるんだろうけど……そういうの考えたくない。このまま受け取って『ゾッとしたい』ので、私はそう読む。
この本、イラストと名作の融合だけど、正直、この絵柄でこの作品は合わないなぁと思ってしまった。でも、興味のない人が名作を手に取るにはちょうどいいのだろうし、私も手に取ってしまったので、やられたなとも思う。
うーん。でも、個人的にはもっと雰囲気ある絵が見たい。文字だけでも充分引き込まれたので、文字だけでもいいんだよな。
最後に『※本書には、現在の観点から見ると差別用語と取られかねない表現が含まれていますが、原文の歴史性を考慮してそのままとしました。』と注意書きがある。
引き込まれてしまってその点がどこなのか気が付けなかったので読み直した。
『外国船の船長の持物だったという奴を、横浜の支那人町の、へんてこな道具屋の店先で』33p
この辺りの『支那』がアウトなのだろうか。外国船の船長が持ってたものを高い金で売りつけてきた……怪しい奴みたいな感じに読めるのは差別に入りそう。
惨殺されてる支那人の見世物人形もそういう差別的意味合いの人形ってことだろうか?
そして、この部分しかわからなかった。他にあったのだろうか。
手に取りやすさ(絵が挟まってると、小休止になる)が丁度いい。ごちそうさまでした。
Posted by ブクログ
蜃気楼を見に出かけた主人公は、列車の中で不思議な絵を持つ男に出会う。
いつの時代も二次元に恋をする人はいたんだな!と思いました。
昔の文学なのにとても入り込んでするすると読めました。
ある種の噂話を聞いているような、そんな興味が湧いていきます。
何が夢で、何が本当かはわかりませんが、冒頭に出てきた蜃気楼を表しているのでしょうか。
ある意味この押絵を持つ男は、かなりできる営業マンな気がします。
Posted by ブクログ
久しぶりの乱歩作品。やはり良いですね、大乱歩様。冒頭の語りだしから乱歩節。それに続くは魚津の浜の蜃気楼、大気のレンズが引き起こす妖しい現象に何かが起こりそうな気配が漂います。
今回はイラストレーターのしきみさんとのコラボ作品。
表紙のイラストは下記の場面。イラスト付きもなかなか良いです。
『黒天鵞絨の古風な洋服を着た白髪の老人が,窮屈そうに座っていると、緋鹿の子の振袖に、黒繻子の帯の映りのよい十七八の、水のたれる様な結綿の美少女が、なんとも云えぬ嬌羞を含んで、その老人の洋服の膝にしなだれかかっている。』
Posted by ブクログ
好きなイラストレーターさんと好きな文豪なので即購入しました。絵本なので多少の文章量の省略があるのかな…?原作だともっと長い感じだけど…。私個人としては小説を持ち歩くより、こっちの乙女の本棚シリーズ持ち歩きたいと思うくらい好きです。全巻集めてみたいけど、絵本だから凄く高くて全巻集めるのは流石に無理かも。年々イラストレーターも増えて来たのが嬉しい。
Posted by ブクログ
文豪と言われる人の書く話は難解すぎて何を伝えたいのか、自分らだけが分ればいいとおもっているのか、それともかまってちゃんのように難解にすることによってこの作品だけを考えて、理解してから次の作品を読んで欲しいと考えているのか??感想を書くようになって徐々にだけど、本を読むことが苦痛になって全然読めなくなった時に前の本の内容を考える。そんな時だけじっくりとそして感想を書きながら吟味。
蜃気楼を見に行くところから話が始まり、行ったことを話すと周りはそれは夢だと言う。確かに有名な名所に行った記憶があり帰りの汽車で一風変わった男の人に出会い話を聞く。蜃気楼のような内容で押し絵の中の男は自分の兄だという。
蜃気楼の話といいたいのかな??
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、江戸川乱歩さんとしきみさんのコラボ作品「押絵と旅する男」です。表紙からは、なんとも言えない違和感を感じてしまったけれど、読み進めるとその訳もわかってきます。
蜃気楼を見に行った帰りの汽車の中で、押絵を持った男性と出会う…。男性は押絵を車窓にむけて、押絵に外の景色を見せているかのように見えたため、興味を持って近づくと見事な押絵を見せてくれた上にその由来を語りだす…。
押絵の初老の男性は兄で、兄のために押絵を持って旅を続けているのだと…。この兄弟の想いを推し量ろうとすると、切ない気持ちになってそれが読後の余韻として広がります…。しきみさんのイラストも、この作品にぴったりです!
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ。
どこからが現実で、どこからが妄想なのか?それとも全て妄想なのか?不思議なお話。ある意味、本人達が幸せならばそれで良いんですが…。押絵になったお兄さんは、今も本当に幸せなのか?お兄さんと同じスーツを着ている男は、本当に男の弟なのか?という疑問も出てきたりして…。夢を見たような読後感のお話でした。
Posted by ブクログ
汽車の中で相席となった男は押絵を持って旅しているようであり、不思議な身の上話を語り始めた…
静かで幻想的、余韻を残す終わり方は美しさすら感じられる愛の物語。
短編自体は昔読んだことがあったのだが、導入部分に「魍魎の匣」の導入部分も重なって脳内再生された。京極先生もインスパイアされたのかな?
Posted by ブクログ
江戸川乱歩文学忌、遺作は、「超人ニコラ」
読んだ記憶は無いかな
1929年昭和4年の作品
魚津の蜃気楼を見た帰りの電車
包まれた“推し絵の額”を 抱えた老人と乗り合わせる
その絵にまつわる老人の兄の不思議な昔話
蜃気楼のような物語
もう一つの舞台は 兄がその絵を見つけた1890年建築の浅草十二階段
そこに入り込む描写も夢物語
その絵は「八百屋お七」ののぞきからくり
お七は、恋した男会いたさに放火事件を起こし死刑となった娘
推し絵の熱情系女子に恋した兄は 自分が推し絵となっても彼女と添いたい
推し絵の中で歳を重ねる兄と若いお七を見守る旅する男
しきみさんのラストのイラスト
車窓を一枚の絵画のようにするのが良いなと思いました
Posted by ブクログ
蜃気楼を見に行った帰りの汽車で、わたしは押絵を持った男と出会った。男はその押絵について語りはじめ……。
物語が独特の怪しさを含んでいて、変てこれんな気持ちになった。
読みやすいんだけど、特殊な癖が滲み出ているように思う。
Posted by ブクログ
語り手が蜃気楼を見にでかけた帰りの汽車で居合わせた、黒い背広姿のスマートな男性。
四十前後にも六十くらいにも見え、西洋の魔術師を思わせるような風采の彼が、大切そうに抱きかかえる荷物に興味をひかれた語り手は、風呂敷をほどいて中を見せてもらうことになる。それは、一目して奇妙な押絵だった——。
やや怖ろしげな文体ではあるものの、結末も含めて私には素敵な話に感じられた。メリーバッドエンド系というか。押絵に魅入られた兄と、旅をする弟の不思議な物語。