あらすじ
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
太宰治の『葉桜と魔笛』が人気マンガ家とコラボレーション!
不朽の名作が、いま新たによみがえる。太宰治の『葉桜と魔笛』が、畠中恵原作の人気シリーズ『まんまこと』のコミカライズなどで知られ、色彩豊かな和服イラストで人気のマンガ家・紗久楽さわによって、鮮やかに現代リミックス。全イラスト書き下ろしで贈る、珠玉のコラボレーション・シリーズです。巻末には、『グッドモーニング』『死んでしまう系のぼくらに』などで知られ、今をときめく詩人・小説家である最果タヒのシリーズ共通エッセイを収録。自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
美麗イラストと文豪作品コラボの乙女の本棚シリーズ。
短い物語の中に多くのテーマと軸があって、何処に重きを置くかで印象の変わる作品だなと驚きます。
乙女軸らしいイラストも可愛くて、悲しさと儚さの中に夢と理想が垣間見えました。
Posted by ブクログ
太宰治の『葉桜と魔笛』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ第3巻です。
老夫人が35年前の思い出、青春を語る物語です。
当時の夫人は厳格な父と病弱な妹との3人暮らしでした。
妹がいよいよ駄目になってしまうことがわかり、寝たきりの状態をただ見守る日々が続きます。
そこで妹がM・Tと名乗る男と文通をしていることがわかり、夫人はそれに介入してしまうのです。
それを知った妹は…。
美しい純文学を美しいイラストが彩り、世界観を更に色濃く描く良書です。
Posted by ブクログ
再読。もう一度みてみると、妹の気持ちと寿命が儚げで雪のように消えてしまいそう。姉目線だからこそ思うところはあるかもしれない。切ない恋愛モノが読みたい人に。
Posted by ブクログ
葉桜が印象深かったのか、今年の桜は遅く開花し、1週間ぐらいで葉っぱがちらほら出てきて緑とピンクのコラボレーション。会社の桜は老木で貧相な満開だが、今年は緑が映えてキレイで葉桜と魔笛の表紙がインプットされ、来年も葉桜をみるとこの小説を思い出すのだろう。
Posted by ブクログ
太宰治文学忌、と同時に誕生日でもある
1939年の作品
葉桜の季節になると思い出す
あの妹の死際
と 老婦人の回想として語られる
母を早く亡くした二人の姉妹と厳格な父親
病気がちな妹を優しく包む姉
妹の恋に 一人悩む姉
妹の死期を知った姉の優しい嘘
恋も知らずに逝く妹の悲しい嘘
厳しすぎた父親の後悔の嘘の口笛
イラストの植物がどれも素敵だった
太宰治の乙女度高い作品
Posted by ブクログ
「あたしは、ほんとうに男のかたと、大胆に遊べば、よかった。あたしのからだを、しっかり抱いてもらいたかった。…お悧巧すぎた。…あたしの手が、指先が、髪が、可哀そう。死ぬなんて、いやだ。いやだ。」
病気で死ぬ間際にある妹のこの言葉が胸に刺さった。若い時分に死ぬということは、したいことが叶えられぬうちに死ぬということ。人はいつ死ぬかわからない。だからこそ、お悧巧でいすぎるよりも、自分の望みを叶える行動をとっていかないと、死の淵が見えたときに後悔してしまう。そう思う前に、やりたいことをやれるうちにしっかりしたいと思った。
太宰治は、本当に人の心の奥底にある本音をえぐり出すのがうまい。死にたくない、という妹の気持ち、それを感じとる家族の気持ちが、痛いほど伝わってきた。
Posted by ブクログ
初めて読んだ作品です。
太宰治作品はあまり縁がないが縁ある作品が女性主人公多し。太宰治って女性の視点が上手いのか?情緒のある物語でした。
妹の、薄命が故の望みをこんな形で手紙に認める気持ち、そこにある恥じらいや欲望。姉の妹の不憫さを思いやる気持ちと姉としてのプライドや羨望。いろんなものが滲み出ている作品で、それを漂わせるイラストも良かったです!
2023.12.30
205
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、太宰治さんと紗久楽さわさんのコラボ作品の「葉桜と魔笛」です。鮮やかな表紙で、少女漫画から抜け出してきたような姉妹が描かれていますね♪って、いうか…お姉さんなのって、彼かと思っちゃった(^-^;)
桜が散って、このように
葉桜のころになれば、
私は、きっと思い出します。
で、はじまるストーリー。なんともきれいで切ないはじまり…老夫人が語りだしたのは、今は亡き妹と父のことでした。35年前、妹は腎臓結核の診断にて余命いくばくもない状態…ある日妹がしまい込んでいた、恋人と思われる男性からの手紙を発見する…。妹を元気づけるために、姉は恋人になりすまし手紙を書いて妹の枕元におく…。姉が書いた手紙だといとも簡単に見抜いた妹、そのわけは…。
切なすぎる(涙)。そして、家族愛を思いっきり感じられる作品でした!!家族の思いを最期に感じとることができた妹は、この手紙のおかげでこの世での悔いをちょっと減らせたのかもしれない…きっと、そうだと思う、と解釈しました。
Posted by ブクログ
島根の城下町に暮らす姉妹。
病気の妹はある秘密を抱えていた。
姉妹の苦悩が美しく描かれていた。
太宰の人間描写が潔癖な乙女のように清らかで憂いに満ちていた。好き。
紗久楽さんの絵が太宰の文と絶妙に合っていて艶やかで美麗だった。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃおもしろかった!と太宰さんに伝えたい。
最初の二行、絵本だからできることかなと思った。
完全に女性に憑依している文体。すごい。
文と背景の配色が瑞々しい葉桜で好き。
これお姉ちゃんだったのか。三つ編みの子が主人公だと思ってたわ。口紅してるし女性だよなぁ。そうだよなぁ。
何故檸檬の描写なのだろう。
Posted by ブクログ
まさに「乙女の本棚」という感じで、共感性羞恥というか、昔の自分の日記を読む気持ちというか、幾度となく照れてしまい、面映ゆい気持ちになってしまった。
姉「思ったより2人の仲が醜く進んでいる!」
妹「この手紙、お姉さんが書いたのね」
妹「私、この手紙自分で書いたの」
父「(口笛)」←全部聞かれていることがわかる
とはいえ、自分の死を予感している妹と、その妹を思う姉の心は沁みた。姉は後年「物欲」が増していると語るが、この物欲とはなんだろう?
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ。
亡くなった母に代わり、家を取り仕切っている姉が、病を患い死期の近い妹と過ごした最後の時期を回想するお話です。
姉妹愛があふれています。お互いを思いやる気持ち、姉の辛さや、妹の辛さ、それらがスッと胸に響いてきました。
イラストも素晴らしく合っています。特に妹の手紙を盗み見た姉が想像したであろう、妹と2人で楽しく過ごしている様子のイラストは、生き生きして素敵でした。だからこそ、現実の辛さが刺さります。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズの一冊。
シリーズ最初期のものだけあって、乙女の本棚のコンセプトがはっきり打ち出されているような気がする。こういうのを作りたいんだという思いが、きちんと形になっていると思う。
まあ、確かにこの絵は乙女だねえ。