【感想・ネタバレ】乙女の本棚7 蜜柑のレビュー

あらすじ

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人気シリーズ「乙女の本棚」第7弾は芥川龍之介×イラストレーター・げみのコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

私の心の上には、切ないほどはっきりと、この光景が焼きつけられた。
横須賀線に乗った私。発車間際に乗り込んできた小娘と2人きり、列車は動き出すのだが......。

書籍の装画やCDジャケットなどで活躍し、幅広い世代から支持を得ているイラストレーター・げみが芥川龍之介を描く、珠玉のコラボレーション・シリーズです。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

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Posted by ブクログ

2025/10/31
p.8
 それは油気のない髪をひっつめの銀杏返しに結って、横なでの痕のある皸だらけの両頬を気持の悪い程赤く火照らせた、如何にも田舎者らしい娘だった。しかも垢じみた萌黄色の毛糸の襟巻がだらりと垂れ下った膝の上には、大きな風呂敷包みがあった。そのまた包みを抱いた霜焼けの手の中には、三等の赤切符が大事そうにしっかり握られていた。私はこの小娘の下品な顔だちを好まなかった。それから彼女の服装が不潔なのもやはり不快だった。最後にその二等と三等との区別さえも弁わきまえない愚鈍な心が腹立たしかった。

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2025年10月31日

Posted by ブクログ

目を閉じて朗読を聴いた。
今は珍しくなった新聞や汽車、素朴な子供の描写が鮮明に浮かんできた。
タイトルの蜜柑の場面はあまりにも美しかった。

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

芥川龍之介の文章は久しぶりに読みました。研ぎ澄まされた言葉で綴られた文章が、やはりすごいと思いました。

そして、げみさんが描いた鮮やかな蜜柑が、一気に物語に光をもたらしたのが印象的でした。

乙女の本棚シリーズ、いいですね。
イラストのおかげで、取っつきにくく感じてしまう文豪の小説がとても読みやすいです。

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2025年05月20日

Posted by ブクログ

芥川の『蜜柑』は名作だと思っているので、そのイメージを損なわないか、ちょっと不安に思いながら手にしたが、これはその不安を見事に吹き飛ばしてくれた。完成度の高い、絵がつくことが前提となっていない小説に絵をつけるのだから、どの場面にどういう絵をつけるかが重要になるが、それが非常にうまくいっているように思う。特に、「するとその瞬間である。」以降が素晴らしい。この作品が、多くの若い読者の手に届くことを期待したい。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

立て続けにおネェの本棚ですわ

芥川龍之介の『蜜柑』です
イラストは乙女心をキュンキュンさせるげみさん

ちなみに『蜜柑』は知りません、、、
ま、いいじゃないですか
だって『おネェの本棚シリーズ』は素敵なイラストを楽しむものだから
(また言ってるわ!)

また本作も素敵イラスト楽しませてもらったわ〜


特に、
物語のクライマックス!

女の子が窓から蜜柑をパッと投げたその瞬間から、、、

アタシの心の上には、せつないほどはっきりと、この光景がやきたけれましたわ
(げみさんのイラストが素敵すぎる!)


そして最後に、

大きな風呂敷包みを抱えた手に、しっかりと三等切符を握っている女の子の姿に、、、

ズッキューン♡としてアタシの2冊目のおネェの本棚は終わるのでした(*´ω`*)

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2025年03月26日

Posted by ブクログ

娘がトンネルの手前で汽車の窓を開けて、車内に黒い煤っぽい煙が入ってきた様子が絵で描かれたのが良かった。
次のページで、男が煙の中で苛ついている様子も。
「暮色を帯びた町はずれ」で美しい夕焼け空が描かれたのも。
背景がとても美しい挿絵だと思う。文章にもよく合っている。

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2024年11月20日

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世の中を憂い、平凡で退屈な出来事ばかりの記事を汽車の中で読む。3等車から来た田舎娘にうんざりしながらも存在感を消すべくうたた寝をしていると隧道に入る直前に娘が窓を開けようと悪戦苦闘している。煙が入るのに頓着する様子もなく、また、紳士らしく主人公も注意しない。長閑さが絵と共に溢れてみえる。
そして夕焼け色が芥川龍之介の作品らしい。
そして最後に3等切符を大切に持ちながら2等車に座っている。その描写にも長閑さが感じる。

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2024年08月16日

Posted by ブクログ

芥川龍之介文学忌、河童忌

1919年「私が出逢った事」から改題
横須賀線での出来事
あーまた読んでしまった
田舎娘は、これから東京へ働きに行くのだろう
2等列車に乗り込んだ田舎娘
娘の切符は三等切符
その音、身なりに作者の表現は手厳しい
しかし、疲労と倦怠のどんよりとした陰を娘の投げた鮮やかなみかんの色が消し去っていく

そして、今まで活字で読んでいた「蜜柑」を乙女の本棚で読んで びっくりした
長い間、この列車をボックスシートでイメージしていたのでした
ロングシート!
車両の表現を探してみたら、そうです
ロングシートでした
頭の後ろに窓があったり
娘が隣に来たり反対に行ったり
思い込みで読んではイメージ間違うね
ありがとう、乙女の本棚
ありがとう、げみさん

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2024年07月24日

Posted by ブクログ

乙女の本棚3連発、3つ目。
檸檬、蜜柑、と続きました。たまたまです。
イラストレーターさんが檸檬と蜜柑、一緒なのは敢えてですよね、きっと。

鮮明さは手前で読んだ檸檬のほうがビビッドなんですが、夕暮れどきの汽車、煤、蜜柑、の色の移り変わりと、主人公の世の中を胡乱でダウナーなところから、少女の勝手な行動に気持ちが落ちきって、そこから蜜柑と少女の光景に心が彩られる移り変わりが凄く伝わってきました。

芥川龍之介、好きなんです。
この作品、知らないと思ってたんですが読んでいる途中で思い出しました。
あ、この作品、芥川龍之介だったのか、やっぱり私、好きだ、芥川、って乙女のように自分の気持ちを再確認できました。
乙女のように、は流石にこのシリーズに託けすぎました笑

2024.3.24
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2024年03月24日

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ネタバレ

絵本の醍醐味を堪能した!舞台情景が鮮明に(リアル)に脳内に飛び込んできた。汽車の二等席は自分しかいない。動き出す直前、みすぼらしい13,14歳の娘が入ってきた。不快に思う主人公。気を紛らわすために新聞を読むが、退屈な人生を感じる。ウトウトしたが娘は自分の席の横に移動し、窓を開けようとする。そして石炭の真っ黒い煙が入ってきた。咳き込む、怒りが。娘は蜜柑を汽車の外へ。見送りのため懸命に手を振っていた弟達だろうか。この娘はこれから奉公に行くのか。娘を見る目が一気に変わる。個々の人生模様、強く生きなくては。⑤↑

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2024年02月10日

Posted by ブクログ

これはいいぞ!
今のところシリーズベストかと

はい、12おネエは芥川龍之介&げみさんの『蜜柑』です
郷愁をそそる古いフイルム映画のようなげみさんの蜜柑の舞うイラストが良すぎです

この一枚を見るためだけに手に取っても良いですね

そして龍ちゃんの文章からは存分に日本語の美しさを感じることが出来ました!
まぁ半分はそんな分かったようなこと言いたかったのと半分は身贔屓と半分は心からそう思ったのです


ん?

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2023年10月27日

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なんともあたたかく、せつなく、美しい情景。
娘の手からこぼれる蜜柑をこの眼で視たような心持ちになった。
同じ果物を表題にしたという点で、太宰の“桜桃”をつい思い出し、両者の世界観の違いにほくそ笑んだ。

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2023年04月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

横須賀線に乗った私がみた、発車間際に乗り込んできた小娘の行動に感動したお話。
奉公に出る女の子が、見送りに来ていた弟たちに、車窓から蜜柑をなげる。横須賀線に乗った私がみた、発車間際に乗り込んできた小娘の行動に感動したお話。
奉公に出る女の子が、見送りに来ていた弟たちに、車窓から蜜柑をなげる。鮮やかなその一瞬に、私の憂鬱だった気持ちが晴れる。
蜜柑をなげるイラストが、効果的で、とても素敵だった。

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2022年06月10日

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黒色の景色がラストで一気に橙色に変わる、色の変化が美しい作品でした。読後感が心地よく、蜜柑のいい匂いまでしそうな気がした。
著者である、芥川龍之介さん曰く「文章の中にある言葉は、辞書の中にある時よりも美しくなければならない」
文章の中に、その人がいる。

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2021年09月19日

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『蜜柑』
この短編は学生時代にも授業で取り上げられていたし、大人になってからも何度か読み直す機会があったのですが、歳を重ねるにつれ、娘が投げた蜜柑の色鮮やかさに切ないものがこみ上げてきます。

疲労と倦怠、退屈な人生に辟易している「私」の目に飛び込んできた、心が踊るような暖かな色。走り去る汽車で起きた一瞬の出来事。娘の優しく美しい心に、忘れてしまった歓びがよみがえる。しかしそれも汽車が走り去るように、すぐに消えてしまうのでしょうけど…
さすが芥川。文章だけなのに、蜜柑が落ちる様子から汽車の速度まで情景が浮かび、読後、一枚の写真のように心に残ります。

ところで、こんな画集があるとは知りませんでした。ぜひ買って読んでみたい。

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2021年06月29日

Posted by ブクログ

夕陽と蜜柑の色が鮮やかで、深く心に残る話。
芥川龍之介はほぼ全作品読んでいて、
「蜜柑」は好きな作品。
こんなに素敵なイラストをつけてくれて、げみさんありがとう。

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2021年03月31日

Posted by ブクログ

心が暖かくなるお話でした(^-^)
げみさんのイラストがいい感じにお話とマッチしててとても読みやすかったです♪
このシリーズ読みやすくて本当におすすめです♪

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2021年03月07日

Posted by ブクログ

私の心の上には、切ないほどはっきりと、この光景が焼きつけられた。
横須賀線に乗った私。発車間際に乗り込んできた小娘と2人きり、列車は動き出すのだが……。

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2024年09月01日

Posted by ブクログ

芥川龍之介の作品は子どもの頃以来かも。
蜜柑を汽車の窓から弟達に向かって投げる少女(おそらく)とその光景が文章から鮮やかに目の奥に浮かび上がるのだが、この絵本がさらに鮮やかなものにしてくれる。
辛い別れの場面なんだろうが、暮れゆく夕焼け空と金色の蜜柑、本当に綺麗な絵だ。

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2024年01月25日

Posted by ブクログ

 乙女の本棚シリーズから、芥川龍之介さんとげみさんのコラボ作品「蜜柑」です。やっと手にすることができました!!

 横須賀線の汽車の車中が物語の舞台…。鬱々としていた私が出会ったのは、見すぼらしい風情をした13,14歳くらいの少女だった…。そもそもなぜ自分とこの少女が一緒の車両に乗らなければならないのか…と感じながらも、その少女から目が離せない…。だけど、少女が車窓から見送りの弟たちに蜜柑を放る場面は、そこまでの重い雰囲気が一気に晴れて清々しさを感じさえ感じさせます。きっと、少女は家族のもとを離れて奉公先に行くのであろう…見知らぬ場所へ行くのに不安もあるだろうに、こうして家族の幸せを願っている…そんな風に思うと私の心も穏やかになって、車内にもあたたかな空気が流れる…というもの…。

 「蜜柑」のあたたかみと清涼感を感じさせるオレンジ色、そして、汽車の車内に差し込む夕陽や空を染める夕焼け、じんわりと心に染み入るげみさんのイラストもとってもよかったです。あぁ…読めてよかったっ(*^^)v

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2023年10月07日

Posted by ブクログ

過去に読んだ記憶がうっすらとあったが、こんなにしっくり読めたのは年を重ねたせいかもしれない。

挿し絵のタッチが変化していくのも良かった。
挿し絵が、というより文章が挿し絵を引き立てているように感じた。
とにかく文章表現が天才的。

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2023年10月04日

Posted by ブクログ

檸檬の白熱灯に対して、この蜜柑では夕焼けに踊る蜜柑。蒸気機関列車の疾走感と陽の温かみにほんのり心が温まる。

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2023年02月20日

Posted by ブクログ

芥川の大好きな短編「蜜柑」。
少女(小娘)が、走りゆく電車の窓から弟たちに蜜柑を勢いよく放るシーンはこれまでも目に浮かぶほど鮮やかで、それがそのままイラストとして再現されており感動しました。蜜柑と夕焼けの、あたたかなオレンジ色がとっても素敵。
乙女の本棚は考案した人にお礼を言いたいほど素晴らしいシリーズだと思ってる。毎月2冊ぐらい読んでいって今年のうちに読破するのが目標!

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2023年02月18日

Posted by ブクログ

素敵な絵に惹かれて、読んでみました。
芥川龍之介の著書はほとんど読んだことがなく、蜘蛛の糸くらいしか知りませんでした。
この話も少女の実情を知れば、本当はせつないお話なんですね。
文章だけよりも絵があることで、より情景が見えてわかり易かったです。

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2022年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昔の話ではあるけど、読んで何だかホッとした。

イライラした気持ちだと周りにあるもの全てが気に食わない。

でもそんな主人公の気持ちは、たまたま同じ車両に乗り合わせた女の子の行動を目の当たりにする事で穏やかなものになった。

自分1人の力で暗い気持ちを変える事は難しい。

自分ではない何かに触れる事によって変えられるのなら、部屋の中で一人悶々と考える事がバカバカしく思えてくる。

何かに行き詰まった時は何かに触れよう、と改めて思えた一冊でした。

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2019年09月16日

Posted by ブクログ

乙女の本棚シリーズ。
ほんのわずかな時間を切り取っただけの内容なのに、登場人物達の背景が伝わってきます。さすが芥川龍之介。主人公の態度が終始、女の子に対して上から目線だなと思わなくもないですが…。
今作は、げみさんのイラストによって、ちょっとした映画を見たような気分になれました。それくらい、イラストと内容が合っています。素敵でした。

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2025年08月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の理解力がないからかもしれないが、なぜ小娘が蜜柑を投げる必要があるのか、さっぱり分からなかった。
弟に分かれを告げるなら、家で蜜柑を渡せばよかったのでは? 弟が隣町にいるとかで家で普段会えないからそうせざるをえなかったの? 踏切に来てと伝えたのは手紙? 印象的にするためにわざわざそういうシチュエーションを作った? 蜜柑って当時、高価なものだったの? 周りにすみませんとも何も言わずに窓を開けて煙で車内をモクモクにしてたけど、もっと乗客が多くても同じ事をしたの?    こんな疑問がわんさか湧いてきて、主人公とは違い、私は小娘に対する嫌悪感を払拭することができなかった。
しかし、それを差し置いても、イラストの美しさには天晴だ。イラストのお陰で、なんとも言えぬイライラ感が若干収束した気がする。
もっときちんと読めるよう、再読したほうがいいかなと思った。

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2024年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ふつうに小娘に怒るなり注意するなりしてもいいのにな。迷惑この上ない。しないのは小娘と、雑多なこととかかわりあいたくないからだろうか。
そんな主人公の心の変化が、ラストのイラストの色のやわらかさで表れていてとてもよかった

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2023年05月09日

Posted by ブクログ

乙女の本棚。

横須賀線に乗った「私」。
発車間際に乗り込んできた田舎娘と相乗りに。

退廃的な心持ちでいた私は小娘の蜜柑を見送りに来た兄弟にまくという行為にひととき心を慰められる。
読みやすかった。

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2023年03月20日

Posted by ブクログ

<乙女の本棚>シリーズ。たぶん2018年に読んでいたのに、登録し忘れていた。この本は芥川個人の体験を基にしたのものだろう。読後にほっこりする。絵もいい感じだ。

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2021年05月09日

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