あらすじ
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梶井基次郎の『檸檬』が人気イラストレーターとコラボレーション!小説としても、画集としても楽しめる1冊。
不朽の名作が、いま新たによみがえる。
梶井基次郎の『檸檬』が、書籍の装画やCDジャケットなどで活躍し、twitterへのイラスト投稿では5万いいねをたたき出す人気イラストレーター・げみによって、鮮やかに現代リミックス。全イラスト書き下ろしで贈る、珠玉のコラボレーション・シリーズです。自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2025/11/03
――それをそのままにしておいて私は、何喰わぬ顔をして外へ出る。――
私は変にくすぐったい気持がした。「出て行こうかなあ。そうだ出て行こう」そして私はすたすた出て行った。
変にくすぐったい気持が街の上の私を微笑ませた。丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなに面白いだろう。
Posted by ブクログ
イラストの綺麗さに惹かれた一冊。
元々小説を読んだ時、難しいなと感じたが
イラストの雰囲気や文章で少しわかった気がする。
身体的・精神的に暗くなっていた日常の中、鮮やかに見えた檸檬。
もしもこの檸檬が爆弾で爆発したら…。
なんてよく分からない気もするが、分かる気もする。
難しいと感じていたがこの本を読んで、分かる様で分からない、それで良いのかなと納得できた。
Posted by ブクログ
梶井基次郎の『檸檬』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ第4巻です。
懐の寒い主人公が様々な考えを巡らせながら京の街を放浪する物語です。
自らが貧しくみすぼらしいので美しいものに強く引き付けられる反面、好きなはずの丸善も格調の高さから重苦しい場所になっていました。
店頭が薄暗い青果店に珍しく檸檬があり、一つだけ買う主人公。
素晴らしい芳香のせいか幸福感を得た彼は、避けていた丸善へ向かい…。
イラストは私が想像していた『檸檬』の世界観そのものでした。
美しい純文学を美しいイラストが彩り、世界観を更に色濃く描く良書です。
Posted by ブクログ
げみさんのイラスト、いいですね。特に暖色系の色合いが、いいなと思いました。
鬱々とした「私」がわりとイケメンに描かれていて、それが余計に想像していることの不気味さを増している感じがしました。
爽やかな檸檬に託した気持ちで、少しは彼の中の不吉な塊が減って、前向きになれたのだろうか。この後の彼がどうなったのかが、気になりました。
Posted by ブクログ
青空文庫で初めて読んだときから好きな作品です。乙女の本棚シリーズのこの本は美しい挿絵もあり、絵本のように楽しめました。
檸檬の瑞々しさ、ひんやりとした温度、爽やかな香りなどが想像できます。
スーパーで檸檬を見たら、本作品を思い出します。オチも衝撃的です。
Posted by ブクログ
綺麗なイラストが、梶井基次郎先生の文体、作品の世界観に合っていて、何度も何度も読み返していた。
今回ので3、4回目くらいだろうか。
何かにつまづいたりしたら、檸檬の奇っ怪な爆弾を弾けさせるのが丁度いい
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、梶井基次郎さんとげみさんのコラボ作品の「檸檬」です。まずは、いつものように表紙から…なんとも懐かしいようなぬくもりを感じるような、それでいて檸檬の色彩がはっきりしていて、思わずわくわくしてしまいます(^-^)
肺病を患い、借金もあり友人宅を転々としている主人公の青年…。町を歩きふと手にした檸檬…檸檬によって一時的に鬱々としていた気持ちが晴れたため、丸善に立ち寄ったのだが、またしても心が沈んでいく…。そこで先ほど手に入れた檸檬の存在を思い出す…。
檸檬爆弾か…手榴弾って檸檬のサイズくらいなのかも!何気にそんなことを感じました。青年の抱える孤独感、疎外感などのマイナスな感情を、檸檬を手にしたことで得たプラスの感情が上回ったんじゃないかと感じました。こうやって、視点を変えてみると色んなことが目新しく感じられたり、変化のない日常もドラマチックに感じられるのもいいですよね!また、げみさんのイラストは、あたたかみがあって、この作品の作風にぴったり!檸檬もみずみずしく感じられました。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ。
梶井基次郎の「檸檬」初めて読みました。
檸檬が爆弾!?文豪ストレイドッグスの梶井基次郎の異能力と同じだ!と思いました。
げみさんの温かみのあるイラストも素敵です。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズの一冊。
乙女でなくても楽しめた。乙女ではない自分には、小説と絵の距離が近いほうがいいのだということがわかった。絵本というくくりで読んでいるからなのかな。
Posted by ブクログ
絵が付いていて、読みやすくなっていた。
病気で身体が弱っていて辛く感じているのを随所で読める。
でも丸善の本屋さんで大型書籍をたくさん出しっぱなしにして帰ってしまうのは、どうかなあ。
檸檬が爆発する想像が絵になっているのは良かったね。
Posted by ブクログ
絵がとても綺麗。
病気だとか貧困だとか、健康だとか、
そういうので、人の幸せの価値観はガラリと変わるのだなと思った。
不吉の塊は、誰の心にもある気がする。
得体の知れない、何かわからないけれど憂鬱な気分。何かわからないから解決策も見つけられない。
多分、色んな黒いものが混ざっている。
そんな中、明るくてパキッとした黄色のレモンに惹かれたのかな。
おまけに香りまで爽やかだし。
小さな爆弾は、絵もあって気分爽快。
そんな風に、想像するのは自由だよね。実際にやったらダメだけど。
Posted by ブクログ
久しぶりのこのシリーズ。『檸檬』もちゃんと読んだのは初めてなのですが、ちょっと印象が変わったかも。最初の方、裏通りを歩きながら遠く離れた街にいるような錯覚を起こそうとするシーンが好き。
あと、花火や、びいどろ、南京玉の描写。いいですよね!と本のこちら側でひとり頷いてみたり。
檸檬のシーンは美しいけれど、後片付けする羽目になった店員さんのストレスが…、といらんことを考えてしまったり。発表されてからこの方、多数の人が思ってるんだろうけど。
Posted by ブクログ
乙女の本棚3連発の2作目。何気にちゃんと読んだのは初めての、檸檬。
イラストも相まってとても美しくビビッドな作品でした。真っ暗なところからみずみずしい黄色い檸檬に情景が変わるところがありありと目に浮かび、だから檸檬一つで心持ちが変わる主人公の気持ちも理解できました。
それにしてもマジで爆弾だったんだ(文ストで知ったのが先って言う)
2024.3.24
52
Posted by ブクログ
梶井基次郎文学忌、檸檬忌。
何回目かの「檸檬」は、げみさんのお陰様で今までになく理解できた気がしています。
得体の知れない不吉な塊。
焦燥や嫌悪等では言い表せないその塊から檸檬爆弾という彼の希望の象徴で解放される。
丸善は西洋の思想の表現か、贅沢の象徴かな。
ずーっと丸善は東京駅のところ丸善だと思っていた。ここが檸檬爆弾の丸善ですというような紹介を読んだ気がするんですよね。丸善カフェで檸檬スウィーツもいただいたし。
げみさんの描く丸善が、本当に素敵でした。
“ずかずか”と入るも疎外感。
彼の檸檬爆弾は、確かに彼の気持ちを軽くしたようだ。
今でも丸善には檸檬を入れるカゴを用意しているらしい。悩みの種類は違ってきても 若い苦悩を解放したい読者を長く惹きつけている。
Posted by ブクログ
〈乙女の本棚シリーズ〉
梶井基次郎+げみ
表紙の絵に釘付け…。
美しい青年と檸檬のバックに浮かぶ色彩のレトロ感に惚れ惚れする。
何に憂いているのか…この青年には孤独が似合う。
身体の辛さか借金なのか、街を浮浪し続けては、見すぼらしくて美しいものに強くひきつけられた。
檸檬を買った。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も丈の詰った紡錘形の恰好も好きだから。
始終私の心を圧えつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか弛んで来たと見えて、わたしは街の上で非常に幸福であった。
この檸檬の重さが彼にとってちょうど良かったのか。
丸善へ入り本を積み上げ、その頂きに檸檬を据えつける。
爆弾に見立てた檸檬。
彼の奇妙な企みに驚かされる。
檸檬。
彼にとって檸檬色は眩しすぎたのか。
Posted by ブクログ
乙女の本棚5冊目は梶井基次郎!
いやーなんだか甘やかされてる
おじさんたちが若い頃はなーもっと苦労して苦労して一人前になっていったもんだ
こんなことだから最近の若いヤツは軟弱ですぐ泣きごと言うんだわ!
と飲み会の席で最も嫌われるおじさん代表的な考えもなくはないんよ
梶井基次郎なんてほぼ詩やからね
意味なんてわからんのよ
そもそも本人が易しく伝えようなんてしてないんだから
その棘だらけの難解な文章を苦労して苦労して読み解くのに意味があるんだから
そういった意味では乙女の本棚なんて天津甘栗と一緒ですからね
しかもすでに剝いて袋詰めしてあるタイプの天津甘栗ですからね
いがぐりの状態すっ飛ばしての甘栗ですからね
だから、若い子たちは乙女の本棚は読んじゃダメ!
これはもう一通り苦労したおじさん、おばさんの読みものやで逆に
げみさんのすんばらしいイラストを手にするのは君らにはまだ早い!
18年早い!(具体的)
Posted by ブクログ
どんな美しい音楽も、どんな美しい詩の一節も、辛抱がならなくなるほどの、えたいの知れない不吉な塊。
それを抱えながらとある果物屋で魅入られ手にした檸檬を、京都の丸善で積みあげた画本の頂きにのせる。そしてそのまま店を立ち去る。
くすぐったい悪戯心によって取り残された檸檬は、あと十分後にはきっと大爆発をするのだ──。
ひさしぶりに読み返したけれど、これってメタファーとして現実に置き換えるとけっこう恐ろしいよな、と思う。
駅とかに不審物が置かれていた、なんてニュースを最近よく耳にするからだろうか。
日常に倦んだ誰かの気まぐれ。怖いけれど、でもそれが、檸檬の色彩のように鮮やかで魅惑的な響きを伴っているのもまた確か。
Posted by ブクログ
学生時代に読んで以来
です。
路地裏や街角の暗さに
惹かれる主人公。
しんしんと降ってくる
雪の様に紡がれる言葉。
心がしんと鎮まります。
そして薄暗いトーンの
世界に唐突に投げ入れ
られた、
鮮烈極まる原色の檸檬。
檸檬を置いて踵を返す
その刹那一瞬の気持ち、
ほんの少しだけわかる
気がします。
げみさんによる寂しさ
をたたえた挿絵が素敵
です♪
Posted by ブクログ
これは小説なのか、エッセイなのか。夭逝の作者自身と重ねて読む。
イラストの書生はあまり病的な感じがなく、いまひとつ感情移入しにくいが、白熱灯のオレンジの光の中でそれでも黄色く輝く檸檬は印象的。
Posted by ブクログ
未読の有名作品が乙女の本棚シリーズにあったので手にとってみた。
えっ何コレ?こんな話だったのかとビックリ。
主人公の鬱屈した日々に、苦い檸檬の匂いがスパイスになったのなら、まあ良かったのかな?
ただ迷惑だよね~(笑)
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ。あらすじは知っていましたが、実際読むのは初めてでした。
文章全体で、男性の鬱々とした心持ちが伝わってきました。檸檬がどうして彼の心を慰めたのか。丸善で主人公が最後に積上げた本とレモン、きっと相当奇妙な姿だったんじゃないか、と想像します。
これから彼はどうなるのか。これからも檸檬は彼を慰めてくれるのか。その後に思いを馳せる作目でした。
Posted by ブクログ
絵と文章がちゃんと融合していて、他のシリーズより絵本っぽさがあって良かった。
身体の病気だから辛くて無気力になっているのではなくて、精神的な病気になって生きる気力が無くなったから身体の病気になってる気がする。
ちょっとした迷惑行為をしてスッキリしたのかもしれないけど、この人はせっかく出会った興味惹かれるものである檸檬を置いていって大丈夫なのか不思議だった。
男性作家が書いたって感じの話。
Posted by ブクログ
うーむと思う。病気が今までワクワクしていたものを暗くさせて、今まで大切に思っていた物を爆破させたいぐらいに存在感を消し去りたいのだなぁ
少し気が重くなる作品だった。
Posted by ブクログ
話が簡潔にまとめられていて読みやすかった。
イラストレーターによる絵が本文のように、繊細で美しく描かれていたため、情景をイメージしやすかった。
近代文学を最後まで読み切ることは、今まで大変だったが、これは短時間で読めるため、シリーズになっている他の本も読んでみたいと思った。
気持ちに余裕がない時、何となく現実逃避したくなったり、妄想が止まらなくなったり…
また現実から引き戻された時の胸が苦しくなる感じが、細かく表現されていた。
画集の上に檸檬を置き、因縁の場所が爆発されるという妄想(?)は、うんざりしている現実が吹き飛んでしまえばいいのにという主人公の思いを表現していてすごいなと思った。
また、せっかく現実と向き合う勇気を出せたのに、妄想だけで満足してしまうのも人間らしくて好きだなと思った。
嫌な現実を忘れられるくらいの檸檬なんとも言えない純粋さは、主人公が現実と向き合う勇気をくれた。
案外、勇気を出せずにいる時に、寄り添ってくれるのは檸檬のような些細なものなのかもしれないと感じた。
檸檬の美しい描写そして健康的な黄色が、読んだ後ずっと頭の中に残っている。
私も今度、八百屋で檸檬を買ってみようと思う。
Posted by ブクログ
病気になると趣が変わることはとても共感できました。
ほんの些細な小さなモノに感動や美しさを感じる事ができるようになること、つまりそれは、それだけ自分も儚く小さな存在になってしまった事を自覚したときではないかと個人的に考察します。それまで好きなものは、自分に自信があるからこそ、まだまだ自分が健在だからこそ扱えるものばかりで、命短くなった今、それらを扱える力がもうなく、むしろ、無機質なモノや儚く綺麗なモノに感動を覚えるようになったと感じました。
追求されたことは「無」。その無の頂点が主人公にとっては爆破であったから、ああいった想像をしたのかもしれないです。
個人的には、額に檸檬をあて檸檬の存在を楽しんでいるシーンが好きでした。
人が美しいと思うポイントは本当にそれぞれです。しかし、この本を読んで、個人的にびいどろおはじきを集めたくなる衝動にかられました。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ3冊目。
物語というより、どちらかというと絵に惹かれて読む。
学生と思われる若い男性の鬱々とした気分と、描かれている絵がしっくりくる。
「檸檬」は初めて読破。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ♪
有名だけど読んだ事なかった「檸檬」。
げみさんとのコラボ作品でした。
まず、げみさんのイラストの色使いや雰囲気がとても素敵だった!
どこか懐かしい様な、あたたかい様な。
お話自体はちょっと解釈が難しく感じるとこもあったけど、イラストがすごくマッチしてたのもあって、私なりに理解してこの世界に入り込めたと思う。
得体の知れない不安に苛まれている主人公。
人は心の持ち様で良くも悪くもなるもんだな〜。
もう場所も変わってるけど、京都の丸善本店には何度か行った事があります。
その時、檸檬コーナーには気づかなかったけど(--;)、今度は重い気持ちの時にぜひ立ち寄ってみたい!