太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
太宰治はこんな文も書いたのか、乙女そのものだと驚愕した。自分も周囲もなんだかわからないけれど醜く見えていやらしいと思ってしまったり、さっきまで憎くて仕方がない感情がどこかにいってやっぱり好きだと思ってみたり、いきものにですら優劣をつけて自分の感情を大きく汚す感じ。たたみかけるような女生徒の心情の流れに身を任せていると、「あ、自分もこうだったかも」と思えてくる。浮き沈みのおおきな得体の知れない感情に翻弄されつつ自分の【ほんとうのきもち】には気が付かない、辿り着けない。
まだまだ子どもなのだ。
イラストの今井キラ氏がまた文に彩りを添えている。美麗で耽美なイラストがとても良い。本棚に一冊あると素敵だ -
Posted by ブクログ
なぜ太宰があんなに自虐的に、卑屈に育ったのか、すこし分かる気がした。
育ての母、女中たけに影響を受けた性格により、豪族の家の生まれでも、どこか平民気風が抜けずに兄弟とは折り合いが悪く、それがいつも自分のせいのように感じている。
自分は気品がなく、粗野でがらっぱちだという。
太宰治の文章は、いつもどこか女々しくて、自己内省が激しく、怒りの刃はいつも自分に向けられている。
優しい人なのだ、と思う。
「津軽」の最後、たけとの再会で、涙がはらはら出てくるのは、やっぱり太宰が優しい人で、社会の不条理さえも自分のうちに抱え込んでしまう、そんな太宰の最期を思うから、それで泣けてくるのだと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ太宰治が故郷・津軽を3週間旅をした話。
今まで読んだ作品の中で、1・2位を争うくらい好き作品。
松尾芭蕉の行脚掟(あんぎゃのおきて)を、独自の解釈で破ってお酒を飲むところ、また
「他の短を挙げて、己が長を顕すことなかれ。
人を誹りておのれに誇るは甚だいやし。」
の掟を破り、「芭蕉だって、他門の俳諧の悪口は、チクチク言ったに違いない。」と、某五十代作家(志賀直哉だと言われている)の悪口を言うシーンは、太宰治の卑屈さとユーモアある性格が現れていて笑った。
また津軽の歴史や寺社仏閣、その土地柄の人たちの性格・風土について知ることができたのも良かった。
津軽へ行く機会があったら、必ずこの本を -
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購入済み
鬱屈していない作品
太宰治といえば「人間失格」に代表されるような鬱屈した 自棄自暴な作品をすぐに連想してしまうが、メーテルリンクを連想させるこの作品は不思議な それでいてホッとさせられる雰囲気を持っている。随分以前に読んだことがあったが、今回再読した。
特に湖の畔の再会シーンが好きである。