太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ太宰治が故郷・津軽を3週間旅をした話。
今まで読んだ作品の中で、1・2位を争うくらい好き作品。
松尾芭蕉の行脚掟(あんぎゃのおきて)を、独自の解釈で破ってお酒を飲むところ、また
「他の短を挙げて、己が長を顕すことなかれ。
人を誹りておのれに誇るは甚だいやし。」
の掟を破り、「芭蕉だって、他門の俳諧の悪口は、チクチク言ったに違いない。」と、某五十代作家(志賀直哉だと言われている)の悪口を言うシーンは、太宰治の卑屈さとユーモアある性格が現れていて笑った。
また津軽の歴史や寺社仏閣、その土地柄の人たちの性格・風土について知ることができたのも良かった。
津軽へ行く機会があったら、必ずこの本を -
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購入済み
鬱屈していない作品
太宰治といえば「人間失格」に代表されるような鬱屈した 自棄自暴な作品をすぐに連想してしまうが、メーテルリンクを連想させるこの作品は不思議な それでいてホッとさせられる雰囲気を持っている。随分以前に読んだことがあったが、今回再読した。
特に湖の畔の再会シーンが好きである。 -
Posted by ブクログ
高校時代の愛読書。
死(自殺)を予感した天才青年の「遺書」として読んだ。
エピグラムに掲げられたヴェルレーヌの「選ばれてあることの恍惚と不安とふたつ我にあり」というセリフに、太宰の天才としての矜持と、その裏の天才なるが故に何でも見えてしまう底なしの恐怖とを感じて胸が詰まった。
太宰は、処女作において、既に自分の最後を幻視していたとしか思えない。
その美しくも痛ましい心の震えに感応して、読者も途轍もなく苦しくなる。
しかし、そこには甘美さもある。
妖しくも危うい魅力に若者はハマる。
本書は、太宰治の魅力に満ちた初期の傑作作品集だ。
最初に最高傑作を書いてしまった者は、悲劇的な人生を予定されてい -
Posted by ブクログ
太宰が晩年、自分のルーツとなる青森をしっかり見ておきたいという動機で足を運ぶ。それが『津軽』だ。寺社仏閣に興味がなかった小学生も大人になる頃にはその魅力に気づくのと同様に、地元の魅力を感じずに地元を離れた若者たちも、いつかは地元をゆっくり歩きたくなる日が来るのだろう。
特に、アヤ(太宰の育ての親らしい)との再会の場面は良かった。太宰はかなり思い出補正を強め、主観的にこれまでの思い出を美化しているのだが、それで良い。美しき地元愛である。
15歳の夏。私が読書を好きになる前のこと。夏休みの課題で読書感想文を書かねばならず、ページ数の少ない『津軽』を選んだ。
結果的に、不真面目な私はこの『津軽 -
Posted by ブクログ
どこかであらすじを見知って、ずっと読みたいと思っていた一冊。
なぜか、女生徒と教師の恋愛話だと思っていて、期待して読み進めていったが、全然二人に大したつながりはなく、ある女生徒の思春期独特の心の内を淡々と語ってゆくだけで終わってしまった。
あれ?と思って少しがっかりしたものの、この女生徒が抱えている生きづらさは、私自身に重なるところが多々あり、もう一度読みたい作品の一つになった。
太宰は男であるのに、なぜ、こんなにも女の苦しみがわかるのだろう。
「ああ、汚い、汚い。女は、いやだ。」
というフレーズがあったが、始終、自分のことを醜いと思って、汚いと思って、自分に嫌気がさして汚らわしく思う感じ