太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とてもとても面白かった。
笑いあり、涙あり。
母の「おしっこよ」と一番最後のMC「マイコメディアン」のオチにチェーホフじゃないんかよ!!wと爆笑してしまった。
なんだかシュールで、、
母が弱っていく描写はとても泣けた。
自分の母を看病するカズコ、とても強く優しい女性だ。
私と同じ歳なので、特に共感した。
そして何よりも最後の弟の手紙に感動した。
彼は根っからの貴族なんだ。
どんなに一般人に合わせようと不良になったとしても、貴族として育てられた貴族なんだ。
凄く感動した。
最後の分の「僕は貴族です。」凄い泣けた。
弟、どうしようもない奴だとばかり思っていたが、素直でお母さん思いのいい子じゃないか。
太宰治初めて読んだが、こんなに面白いとは…。
特に華族に対して興味を持っていたが、あまり華族がテーマの小説って私の知る中では少ない。
凄い良いテーマだと思ったし興味深かった。
一気読みだった。
そしてボリュームもたっぷりでどれも面白かった。
用語の解説がそのページに書いてあるのがとてもよかった。
どの小説も面白く、可笑しく、人間臭さがあり素直な文体が気に入った。
特に気に入ったのは「富嶽百景」
知的可笑しさが満載。
富嶽百景は太宰が精神的にも一番安定しているときに書かれたものらしく、落ち着いた文体とストーリー、美しく静かな小説だ。
彼はきっとユーモアたっぷりの面白おじさんなんだと思った。
私はこういう男性、チャーミングで可愛いと思う。 -
Posted by ブクログ
ヤク中になって次元上昇ラリってる描写が圧巻すぎる。
でも、狂った時点でそこに救いがある。
自己を失ったまま死に至ることができるのだから。
古屋先生が、自らの作品を批判的に評しているように、狂うことの中に救いのようなものを見たような気がした。
太宰治の小説は、あまりにも現実味がありすぎて、また、あらゆる救いを拒絶する。
正常になることもできない、かといってギリギリのところで壊れ死ぬほどの苦痛と罪の一切が霊魂を束縛し支配するのだが、それでも、あらゆる愛からの離反と世界への恐れを抱えながら、人生を放棄することもできない、
霊魂の「生殺し」が生きている限りつきまとい、そこから逃れ解放されることはないのだ。
キルケゴールの言う、
「絶望してなおも自己自身であろうとする絶望」の極致が太宰作品には描かれている。
人間にとって最も苦悩であり、苦しみであることは、
事件や悲劇そのものよりも、
恐れることそのものであり、
いつ、恐れていたことが現実となるのかわからないこと、
そしてその恐れから逃げ惑えば逃げ惑うほどにその恐れは確実にその身に降りかかるのだという経験が、
その人間の人生をさらに不安定なものにしているのだ。
あがけばあがくほど、
右にいっても左にいっても、
戦っても逃げても
その人は不幸に絡め取られていき、袋小路の中に追い詰められる。
では、救いはあるのか。
私は、あらゆる絶望下、一切の希望が考えうるすべて閉ざされたとしても、
ある、
と断言しよう。
むしろ絶望の度合いが増すほど、その力は強くなる。
それは、むしろ絶望さえも利用し、一切の闇に打ち勝つ権能を持つ。
それが何かというのは、それぞれ答えを出してみてほしいのですが。 -
ドラマ&映画化作品
コンセプトがわからないという声が各所でちらほらとありますが、
BUNGO -日本文学シネマ-という題で放送されていた短期ドラマと
同シリーズで映画化された作品を集めたものです。
数年前に短期ドラマを見てそれっきりでしたが、
最近になり原作をじっくり読みたいと思い出したとき、
こういう短編集になっていると知り(紙で)購入しました。
これら全部をそれぞれに読もうとすると、
(特に短編は)ちょっと苦労するので
こんな短編集はありがたいですね。
もっと増えてほしいです。
映像の方もおすすめですので興味のある方はぜひ。 -
Posted by ブクログ
さすがは並みいる男性作家が選んだ作品集である。全部面白い。
「ちょっとちょっと…」と傍で話しかけられるような親しげな語り口と
抜群のリズム感が心地いい。特に気に入ったものを少し…。
「道化の華」
ラスト3行でいきなり視界がぱあっと広がり、ぞくっと怖くなる。
視点のトリックで読者を驚かせるのが上手い。
「彼は昔の彼ならず」
心の本質が似通った人間が近くにいると、お互いに感応してしまうのだろう。
口先三寸のペテン師のような男を非難している主人公の男もまた、
親の遺産で遊び暮らす怠け者。
才能ある芸術家のパトロンになりたいという、
彼の下心を見透かしたペテン師の作戦勝ち。 -
Posted by ブクログ
表題作の他、女生徒、ロマネスク、東京八景など10作の短編集。
太宰の短編はどれも好きだけど、特に印象的なものをメモ。
『富嶽百景』…最初は富士の一辺倒な姿を横目で見るような様子だった主人公は、茶屋の人々や彼を訪ねてきた人々との交流を通して少しづつ富士の様々な表情に触れ、心を許し始める。富士はそこにあるだけでいい。
『走れメロス』…学生の時に初めてこの作品を読んだ時はメロス身勝手、という身も蓋もない感想だったけれど、年を重ねてこの直球の友情ストーリーが沁みるようになった。
『女生徒』…思春期特有の揺れを表現する秀逸さ。この危なっかしい様がまた魅力。
井伏鱒二のあとがき…太宰とのエピソード。不思議と愛を感じる。
読む度に違う印象や感想を持たせてくれる作品。何度も読み返したい。