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Posted by ブクログ
「津軽」はけんちん汁みたいな一冊。地の物満載、郷土愛に溢れ、田舎出身のわたしにはどこか懐かしい味がする。
自分が生まれ育った故郷への愛情を幾千万人に伝えることのできる幸せを、太宰は果たして感じていたのだろうか。顔向けのできない愛する郷土の為に、太宰は情熱をもって仕事をしていたのだろうと推測する。
「人は、あてにならない、という発見は、青年の大人に移行する第一課である(40項)」
「『や!富士。いいなあ。』と私は叫んだ。富士ではなかった(132項)」
「親孝行は自然の情だ。倫理ではなかった(179項)」
登場人物の会話がなかなかにシュールでとても面白い。高尚な道化を交えるからこそ至言格言がまぁ生きる生きる。
続く「惜別」も太宰の大事業の1つ。そして個人的に太宰の凄さを改めて思い知った一冊。材料を元に自由に書き認めたとは言え、自分が同じようにこうして復元してもらえるのだとしたら、暗誦するまでこっそり読むと思う。人知れず。
「このように誰にも知られず人生の片隅においてひそかに不言実行せられている小善こそ、この世のまことの宝玉ではなかろうかと思った(263項)」
「文明というのは、生活様式をハイカラにする事ではありません。つねに眼がさめている事が、文明の本質です(273項)」
「人間の生活の苦しみは、愛の表現の困難に尽きるといってよいと思う(294項)」
周さんすげぇなあ。分かりすぎてしまうから生きづらく、知りすぎてしまうから悩んでしまう。天才が突っ走ったら誰も追いつけない。その苦悩と情熱の葛藤が苦々しくありありとこちらに伝わってきた。かの魯迅が過去日本にいたことすら知らなかった。今後読んでみたいな。
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