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昭和19年5月12日から6月にかけて津軽地方を取材旅行、7月「津軽」完成。12月、仙台に赴いて魯迅在留当時のことを調査、それをもとに20年2月「惜別」によって若い日の魯迅の思想的苦悩と変転を描き上げる。引きつづく空襲警報下の3月「お伽草子」執筆にとりかかる。妻子を甲府に疎開させたが、4月2日未明、空襲により家を損傷される。敗色濃い状況のなか、戦火に追われつつも、旺盛な執筆活動はつづく。津軽 惜別 お伽草子
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Posted by ブクログ
津軽の風土記として楽しんでいたら、ふいに最後に泣かされた。あのメッセージは何なのか、唐突だけど、とても心に響いた。
饒舌で愉快、ユーモアに富んだ太宰の文体。その魅力を再確認。若き日の魯迅を題材にした「惜別」に惹かれた。「お伽草子」は何度読んでも面白い。昔話において釈然としなかった部分を太宰流にとらえ直し、読者を読書の歓びの中に招き入れてくれる。
「津軽」はけんちん汁みたいな一冊。地の物満載、郷土愛に溢れ、田舎出身のわたしにはどこか懐かしい味がする。 自分が生まれ育った故郷への愛情を幾千万人に伝えることのできる幸せを、太宰は果たして感じていたのだろうか。顔向けのできない愛する郷土の為に、太宰は情熱をもって仕事をしていたのだろうと推測する。 ...続きを読む 「人は、あてにならない、という発見は、青年の大人に移行する第一課である(40項)」 「『や!富士。いいなあ。』と私は叫んだ。富士ではなかった(132項)」 「親孝行は自然の情だ。倫理ではなかった(179項)」 登場人物の会話がなかなかにシュールでとても面白い。高尚な道化を交えるからこそ至言格言がまぁ生きる生きる。 続く「惜別」も太宰の大事業の1つ。そして個人的に太宰の凄さを改めて思い知った一冊。材料を元に自由に書き認めたとは言え、自分が同じようにこうして復元してもらえるのだとしたら、暗誦するまでこっそり読むと思う。人知れず。 「このように誰にも知られず人生の片隅においてひそかに不言実行せられている小善こそ、この世のまことの宝玉ではなかろうかと思った(263項)」 「文明というのは、生活様式をハイカラにする事ではありません。つねに眼がさめている事が、文明の本質です(273項)」 「人間の生活の苦しみは、愛の表現の困難に尽きるといってよいと思う(294項)」 周さんすげぇなあ。分かりすぎてしまうから生きづらく、知りすぎてしまうから悩んでしまう。天才が突っ走ったら誰も追いつけない。その苦悩と情熱の葛藤が苦々しくありありとこちらに伝わってきた。かの魯迅が過去日本にいたことすら知らなかった。今後読んでみたいな。
文芸イベントでよく見かける「太宰治」、しっかり読んだことがないので、太宰治を読んでみたい、読むなら全集を買ってしまおう、ということで第七巻。 津軽、惜別、御伽草子(瘤取り、浦島さん、カチカチ山、舌切雀) いや、純文学というから難解なんだとずっと思っていたのだけれど、巻を増すごとに太宰治のユーモアにく...続きを読むすりと笑ってしまう。たまにおいおいなんてつっこみつつ。 肩ひじ張らず、お堅いことを言わず、楽しんで読んでいいんじゃないか、純文学。何を純文学というのか知らないのだけれど。
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