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「私の一身上に於いても、いついかなる事が起るか予測出来ない。この際、読者に日本の作家精神の伝統とでもいうべきものを、はっきり知っていただく事は、かなり重要な事のように思われて、私はこれを警戒警報の日にも書きつづけた。……むきになって書いた」(「新釈諸国噺」)。強い憧憬と親近感をもって精神の貴族のすがたを描いた長編「右大臣実朝」ほか、息苦しい戦時体勢下に成った秀作諸篇を収める。鉄面皮 右大臣実朝 作家の手帖 佳日 散華 雪の夜の話 東京だより 新釈諸国噺 竹青
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Posted by ブクログ
鉄面皮、赤心、右大臣実朝、作家の手帖、佳日、散華、雪の夜の話、東京だより、新釈諸国噺、竹青収録。 佳日、雪の夜の話、東京だより、新釈諸国噺が面白かった。 右大臣実朝は大変な力作でしたね(偉そうに!)。凄い。
まだどこか、この国のしていることを信じているけれど、うるさいぎらぎらした「言葉」が鬱陶しかったのかな…という印象の「散華」が好き。 その反動が戦直後の作品に現われていて、かわいそうなほど。 この時期が転換点になっていそうな気がした。 勉強したことがないから、太宰については全然詳しくないのだけれど。
プチフールみたいな1冊。主に新訳諸国噺についてだけど、どれを取って食べても甘くて美味しい。「西鶴は世界で一ばん偉い作家である」と太宰が評するほどの名手、存分に堪能しました。 なかでも 「人魚の海」「赤い太鼓」「吉野山」かな。人魚の海のラスト一文かっこいいな。「此段、信ずる力の勝利を説く」か。単なる...続きを読む小噺かもしれないけど、とってもかっこいい。「赤い太鼓」のラストは素直に感心したし「吉野川」の主人公は清々しいほどのクズで笑ってしまった。素直に面白い。 新訳諸国噺を抜くなら「佳日」も良かった。ちょっとイイ話。ここまで5巻ほど太宰治の全集を読んできたけど、扱う題材の豊富さと文章を書く卓越した技能(巻頭巻末の一文に宿る)、そこに不器用な人柄が相まってか、誰もが「太宰」と親しく呼ぶその魅力に今更ながら引き込まれている。
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