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「私はこの短編集一冊のために、十箇年を棒に振った。まる十箇年、市民と同じさわやかな朝めしを食わなかった。……私はこの本一冊を創るためのみに生れた」(「もの思う葦」)。第一創作集『晩年』(昭和十一年刊)と、それにつづく“苦悩の時期”に書かれた諸篇を収める。晩年(葉思い出 魚服記 列車 地球図 猿ヶ島 雀こ 道化の華 猿面冠者 逆行 彼は昔の彼ならず ロマネスク 玩具 陰火 めくら草紙)ダス・ゲマイネ 雌に就いて 虚構の春 狂言の神
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Posted by ブクログ
やっとこさ購入した太宰治全集。晩年から始まる暗い太宰のオンパレード。理解しがたい作品も多数あったが、やっぱり買って良かったと思える。迷っている人はぜひ購入すべし。特に「雌について」は素晴らしく鳥肌が立ったなあ。現実の友達とぜひ語り合いたいものである。希望に沿う友人、求む。
やっぱり、太宰がいちばん愛おしくてたまらないのです。しばらくのあいだ彼から離れていても、ちょっと読みたくなってまたページをめくると、途端にその世界に引き戻されてしまう。「葉」や「道化の華」を読むと、趣味とはいえ小説を書いている身としては、彼の気持ちが痛いほどわかって、胸が苦しくなる。ほんとうに小説を...続きを読む愛していたのだろうなあ。個人的には、「逆行」が芥川賞を取らなかったことは、逆によかったのではと思います。
今さら説明しなくても誰もが知っている太宰治の第一創作集。「葉」、「思い出」、「魚服記」、「列車」、「地球図」、「猿ヶ島」、「雀こ」、「道化の華」、「猿面冠者」、「逆行」、「彼は昔の彼ならず」、「ロマネスク」、「玩具」、「陰火」、「めくら草紙」の短編15編から成っており、大半は太宰が23〜24歳の頃に...続きを読む書かれた作品です。 多彩な実験的手法のオンパレードで、デビュー作にして、その後の太宰作品のエッセンシャルがつまりまくっています。
ふわ〜、やっと読み終わった。 晩年(葉、思い出、魚服記、列車、地球図、猿ヶ島、雀こ、道化の華、猿面冠者、逆行、彼は昔の彼ならず、ロマネスク、玩具、陰火、めくら草紙)、ダス・ゲマイネ、雌に就いて、虚構の春収録。 彼は昔の彼ならずと雌に就いてが好きかな。
『死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色の細かい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。』 ここから全ては始まった。
読書力読書7冊目。 ちくま文庫の全集、太宰治です。全10巻。芥川同様、いろいろな本も読みながら、ゆっくり読んでいきます。 1巻の収録作品は以下。 晩年 葉 思い出 魚服記 列車 地球図 猿ヶ島 雀こ 道化の華 猿面冠者 逆行 彼は昔の彼ならず ロマネスク 玩具 ...続きを読む陰火 めくら草子 ダス・ゲマイネ 雌について 虚構の春 狂言の神 本書も発表順に収録されていますが、最初の『晩年』(「葉」から「めくら草子」までの15篇)は第一創作集であるため、初版本の編成順のまま収録したそうです。 おもしろく読んだのは、「道化の華」、「彼は昔の彼ならず」、「ロマネスク」、「ダス・ゲマイネ」、「狂言の神」でした。 太宰治の作品は、かつて国語の教科書に載っていたものに授業で触れた程度で、ほとんど自主的に読んだことはなかったように思います。正直、読んでもよくわからなかった。なんか暗いし、文章がいつも唐突で、全然ピンと来なかった。でも今回読んでみたら、まったく暗く感じなかったし、えも言われぬ哀愁に、これでもかと打ちのめされました。またしても、芥川同様、大人になった今、読んで良かったとつくづく思います。私の、太宰治の読みどきは、間違いなく今だったのだと確信しています。 ちょうどいい言葉が見つからなくてもどかしいのですが、一言一句、惹きつけられます。どのページをパッと開いてみても、文字の並びが美しく、何度でも読みたくなる。漢字とひらがなの割合が絶妙なんですよね。文学とはことばの芸術作品なのだと、実感しました。 どれも小説ではあるものの、すべて太宰自身のことが描かれているようにしか思えませんでした。本書を一冊読んだくらいで太宰を語る気なんてさらさらないけれど、本書を読んで感じたのは、太宰治というと死のイメージが強かったのですが、実はものすごく生きたかった人なのではないか、めちゃくちゃ全力で生きていた人だったのではないか、だからこそ人一倍苦しかったのではないか、ということでした。 読んでいると、すごく危うい感じがします。ふらふらと、今にも足を踏み外しそうに歩いているけど、なんとか道の上に踏みとどまっているような、危なくて目が離せない感じ。この放っておけない危うさこそが太宰の魅力なのかな、と思ったりもしました。 これからどんな太宰に会えるのか、2巻以降を読んでいくのが楽しみです。
「私はこの短篇集一冊のために、十箇年を棒に振つた。まる十箇年、市民と同じさはやかな朝めしを食はなかつた。(中略)私はこの本一冊を創るためにのみ生まれた。」
自分が編集者だったらこれらの作品はもっと後の巻に収めるわ。 暗くて読みにくいのが多い。でも太宰ってそういうイメージか。 『葉』や『虚構の春』はちょっと読み方が分からなかった。 『猿ヶ島』『彼は昔の彼ならず』『ダス・ゲマイネ』あたりはおもしろかった。
★3.5 「魚服記」「地球図」「道化の華」「彼は昔の彼ならず」「ロマネスク」 全集の一番最初に「晩年」がくるとは。
印象に残った言葉たち 死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きようと思った。(葉 p.11) 安楽なくらしをしているときは、絶望の詩を作り、ひしがれたく...続きを読むらしをしているときは、生のよろこびを書きつづる。(葉 p.28) 私は、すべてに就いて満足し切れなかったから、いつも空虚なあがきをしていた。私には十重二十重の仮面がへばりついていたので、どれがどんなに悲しいのか、見極めをつけることができなかったのである。そしてとうとう私は或るわびしいはけ口を見つけたのだ。創作であった。ここにはたくさんの同類がいて、みんな私と同じように此のわけのわからぬおののきを見つめているように思われたのである。作家になろう、作家になろう、と私はひそかに願望した。(思い出 p.57) 感想 まず、第一巻を読み終えた感想として、太宰治は自分を切り売りして小説を執筆しているという印象を受けた。自分の自殺未遂事件、友人、師匠、読者からの手紙、家庭、生い立ちをすべて小説にぶつけている。なので、その時々の太宰治の生の感情を味わうことができる。 しかし、如何せん内容が暗い。人が死んだり、破滅願望が見えてきたりする。ぶっ続けで太宰治全集だけ読んでいると、死の世界に引きづり込まれそうな感じがする。ちょっと、危ない気がするので間に生に対する明るい小説、ビジネス書などを挟んで二巻以降も読んでいこうと思う。
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