【感想・ネタバレ】人間失格 1巻のレビュー

あらすじ

太宰治の希代の問題作「人間失格」を、現代社会を舞台に変え、完全コミック化! 「恥の多い生涯を送ってきました」――ネット上に見つけた大庭葉蔵の独白が赤裸々に綴られたページ。掲示されていた3枚の写真は、葉蔵の転落の人生の軌跡を描いていた。読み進めるほどに堕ち、崩壊していく葉蔵の人生。彼は何を恐れ、逃げていたのか。鬼才×鬼才、100年に一度の出会いが生み出した究極にして最強のコラボレート作! ここに登場!!

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Posted by ブクログ

「恥の多い生涯を送ってきました」――
ネット上に見つけた大庭葉蔵の独白が赤裸々に綴られたページ。
掲示されていた3枚の写真は、葉蔵の転落の人生の軌跡を描いていた。読み進めるほどに堕ち、崩壊していく葉蔵の人生。彼は何を恐れ、逃げていたのか。
大庭葉蔵は、「道化」を演じることで生きてきた。
同級生が声を掛けてきた時は変顔で応じ、先生の前で答えを発表する時はツメの部分でわざと間違え、高校までは「面白い奴」というキャラで人気者になり、そんな道化が息苦しくなると美術予備校に逃げ場所を求め、風俗でしか自然な笑顔を見せることが出来ず、周りが求める「普通」の正解に沿って演技をすることで人間関係を成り立たせていた。
それは、「普通の人間」が怖い葉蔵にとって、人間に繋がる唯一の手段だった。
そんな葉蔵が友人になったのは、美術予備校の同級生堀木正雄。堀木と夜の遊びに夢中になる中で葉蔵は、政治的な集会に身を投じる。
別に思想に共鳴したからではなく、人間観察の延長だし、葉蔵は「非合法」「日陰者」を見ているとうっとりするほど優しくなれるから。
そんな中で政治的団体のリーダー佐々木に信頼されある企業のビル爆破計画を見せられた葉蔵は、そのビルが自分の父親が経営している会社であることから、葉蔵の生き方の根源の「道化」が父親の自分に対する抑圧的な接し方にあると気付いてしまう。
高校にろくに行っていなかったことが父親にバレてカードやマンションを取り上げられた葉蔵は、バイトしながら高校生活をすることになる。
政治的団体のリーダー佐々木の彼女と関係したり、キャバクラのホステスのアゲハと関係したりしながら女の金にすがり生きてきた葉蔵はドン底まで堕ち、鎌倉の海でアゲハと心中未遂をする。
アゲハとの心中に失敗し、ひとり、生へと取り残された葉蔵は、送られた留置所の中で、彼女への償いを生きる糧にしていこうと決心する。
そして釈放、父親の側近に居候生活。平穏な生活を取り戻したかのように見えたその裏には、葉蔵を再び絶望の闇へと落とし込む事実が隠されていた。
自分の罪も金で帳消しされ父親に金で縛られる人生に絶望した葉蔵は、うわべだけの無気力な人生を生きていくしかなかった。
つかむ場所のない深い暗闇の波間で、葉蔵がようやく掴んだもの……それは「女」だった。
自分が女に寄生する天才としった葉蔵は、出版社に勤める田中静子のアパートに転がり込み、自分の人生を日記スタイルの小説で描いていく中で、得意な絵を生かした漫画で生きていこうとする。
だが読者や静子の娘の期待に息苦しさを感じた葉蔵は、原稿料を酒と煙草に費やし、原稿料を飲み尽くすと静子のものを質に入れ酒代にした。
田中静子から逃げた葉蔵は、バーのママの2階に居候する。バーのお客やママのお陰で世界に対する恐れが薄れた葉蔵は、煙草屋のバイト朝井佳乃に恋をする。
朝井佳乃と結婚した葉蔵は、幸せな結婚生活をするが、隅田川花火大会の夜に会社から解雇された布川が佳乃を犯してしまう。
佳乃の清らかさを汚した罪の意識から葉蔵は、酒浸りになり、ついには覚醒剤に手を染めてしまう。
佳乃に売春させるまで堕ちた葉蔵は覚醒剤を断ち漫画家として立ち直ろうとするが、葉蔵を破滅させたのは葉蔵の父親だった。
太宰治の希代の問題作「人間失格」を、舞台を現代社会に移し、鬼才古屋兎丸が完全漫画化。

葉蔵が人間関係を成り立たせていた「道化」までいかなくても、学校や家庭やネットでキャラを変えて器用に立ち回る現代の若者の方が、葉蔵の「僕は人間が怖い、だけど理解して愛されたい」という葛藤を共感し易いと思う。
古屋兎丸は今まで負の感情に押し流され破滅する人間を描く作品が多いだけに、葉蔵が抱えた「普通」という価値観や人間が理解出来ず怖いがために「道化」という手段を使い人間関係を成り立たせていた心情や女に寄生する一方で救いを求める弱さが丁寧に描かれ、後半の覚醒剤中毒になった葉蔵の幻覚や撹乱状態の描写、極めつけは古屋兎丸自身が出会う生きながら彼岸に行ってしまった葉蔵はトラウマ級です。
自分の感覚や価値観を葉蔵に押し付け、葉蔵が「道化」という生き方を身につける原因の父親は毒親そのものだし、現代でこそ読まれるべき「人間失格」漫画版です。

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2024年02月17日

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現代版「人間失格」か。この鬱蒼とした雰囲気に侘びしく苦しい気持ちにさせられてたまらない。
原作も大好きだがこれも素晴らしい!

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2013年10月29日

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基本的に、舞台を現代社会に変えると原作の持つ雰囲気が台無しになるケースがよく見られると思う。しかし、この作品に関しては、その原則が全く当てはならない。
舞台を変えるために様々な設定は変わっているが、その変えられた箇所にすら、原作と同じ匂いを感じた。原作のファンとしては、嬉しいのを通り越して、感動した。原作と並んで、すばらしい作品だと思う。

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2012年07月15日

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太宰治的名作。古屋兔丸將時代背景設定到現在,重新詮釋。

沒讀過原著,對漫畫與原著究竟貼近不貼近,又貼近到什麽程度沒法評論。只是單純就表現力來說,實在是讓人非常印象深刻、會思考很多的作品。作畫力自然更不用說。

主角的大庭葉藏是個典型的美少年,但讓人喜歡不起來,而喜歡不起來的原因,正是漫畫作者和太宰治的厲害之處——因為他不是別人,就是你自己不管是曾經經歷過的,又或暗暗期待過的醜陋的另一面。也許並非所有人都有這種感覺,但我總覺得那個人一點不陌生,他就潛藏在我內心。

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2010年02月22日

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太宰府の"現代版人間失格"です。
漫画なのであまり原作ほど引きずられることはないと思いますが、それでもやはり人間失格のあの独特の空気は感じられます。

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2012年09月25日

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あの古屋兎丸さんが描いた人間失格!
ファンなら買って損はないです。
絵も良く、現代版“人間失格”として、
読みやすい作品だと思います。
続きが早く見たい!

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

原作は読んだことがなかったけれど、この作品単体でも十分楽しめた。うーんさすが兎丸先生!実におもしろい作品に仕上がっているなと思う。ジャンプSQで「幻覚ピカソ」も連載中の兎丸先生。大変なんだろうなぁとは思いつつ、この「人間失格」もぜひぜひ続けていってもらいたい。

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2009年10月07日

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現代に置き換えてのコミック版。よく考えられている。葉蔵の可愛らしさ、好青年さと醜い成長のギャップがすごい。原作の耽美な雰囲気が良く出ている。

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2009年10月10日

Posted by ブクログ

太宰治の「人間失格」を現代風にアレンジ。

私は原作を読んだ時に「この人、なんで私の事分かってんの?」って思ったものです。
そしておそらく太宰に傾倒していく人間ってのはみんな「なんで分かってくれるんだー」って気持ちなのだと思います。

古屋兎丸は個人的に大好き作家なので、この先どうなっていくのか楽しみです♪

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

あー古屋さんの絵でさらに迫力を増している気がします。この物語。
続きがものすごく気になるけど、読むのが怖い。

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2009年10月07日

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ネタバレ

太宰治の人間失格をベースに、現代に置き換えて
アレンジが加えられている。
古屋さんの絵と人間失格の世界観も合っていて、引き込まれる。
気怠く空恐ろしく思いながら、ついついページを捲ってしまう。

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2021年08月18日

Posted by ブクログ

2011年4月30日(土)にジュンク堂書店大阪本店にて購入。同日読み始めて同日読み終える。古屋兎丸が太宰治の『人間失格』を現代版のコミックとして描いたもの。

20160429追記
2016年4月28日に小説を読み返したのを機に、同日マンガの方も読み返す。

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2019年01月22日

Posted by ブクログ

現代訳人間失格 古屋兎丸ver.といった感じ。昔の設定だと思っていたので、一瞬そうくるかと身構えたが人間失格の世界観はどの時代でも生きるんだなと思った。

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2011年11月04日

Posted by ブクログ

全3巻。
太宰治の小説を現代風にリライト。ネタに行き詰まった漫画家が、ネットで大葉要蔵という名の人物の手記を見つける。堕し続ける主人公の容貌が衝撃的。

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2011年06月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恥ずかしながら原作未読。
舞台が現代という設定みたいだが詳しいことは解らん!未読だから!!!

古屋先生の描く陰鬱で排他的な世界観が大好き。

人間て弱いです。もろいです。不器用です。
だからこそ生きたいんですね。
色々考えちゃう今の年齢だからこそガツンと衝撃を受けるものがありました。

原作の『人間失格』が無性に読みたくなったので、この企画はある意味成功だと思います。ちょっと古本屋行ってくる。

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2010年12月30日

Posted by ブクログ

まず、構成がいい!
古屋先生が漫画の題材を探すためにネットーサーフィンしてて見つけたのが、この主人公の日記。
これで一気に惹かれました。
でも・・・なんか重い・・・。
原作を読んだことはないのですが、まさかここまでとは・・・。
あの一行目の「恥の多い人生を・・・」のところまでたどり着くのにこんなにも壮絶なことがあるとは。
人間、堕ちるのは簡単なんだと思い知らされました。

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2010年08月03日

Posted by ブクログ

この暗いエロいジ~メジメした感じが、なんとも好きです。
太宰の原作から現代っぽくアレンジされてます。
続きが早く読みたい!!!!

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2010年07月21日

Posted by ブクログ

かなり面白い。
名作小説をマンガ化したものは、たいがい、原作のイメージを超えることなく、駄作に終わってしまうことが多いと思うのだけれど、この「人間失格」は、原作の魅力を損なうことなくリライトしていると思う。

原作そのままを作品化しているわけではなく、設定は現代になって、もし、主人公の葉蔵が今の世に生きていたら、どういう人生を送ることになっていたか、という変換がされており、これがとても上手く出来ている。

小説の中にあった、上野桜木町の屋敷は六本木ヒルズに舞台を移し、カフェの女給はキャバクラ嬢に替わり、時代設定は大幅に変わっているにもかかわらず、見事なまでに原作の重要なポイントはそのまま引き継がれて、物語の中に生きている。

もとの「人間失格」から大きなインスピレーションを得ながら、それを増幅させて、原作の魅力を再確認させることに成功した、稀有な作品だと思う。

しかしこの男の道化は僕のように計算されたそれとは違いました。
彼は裏表のない道化・・苦悩していないただの道化でした。
ああ楽だ・・
この男を見てると自分を演じる必要がない。(第一の日記)

つまり僕は全く人間というものが解っていないのです。
僕は人間が怖いのです・・(第一の日記)

自分の感情を表す言葉が見つかりました
今・・僕は侘しいのです・・(第三の日記)

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2020年07月15日

Posted by ブクログ

原作を読んでから読みました。
漫画版ということで、原作とはまた違う
独特の雰囲気が良かったです。

だけど私的に、人間失格は昔の印象が強いので
時代は昭和、制服は学ランが良かったです。

心情の表現がとても上手なので、2巻が楽しみ!

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2010年01月31日

Posted by ブクログ

太宰の人間失格を、現代に置き換えた作品。
生きることの虚しさなどは、現代のほうが痛々しく描けるのかもしれない。
続きが楽しみな作品。

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2009年12月18日

Posted by ブクログ

人間失格…読んだことないけど、現代版のマンガといったところかな。大庭は人間が怖いけど、興味はあって、17才にして疲れきっているのか、流されるように生きている。
苦しみを避けて逃げ続けるんだけど、何も執着なく身軽に逃げ出すのがすごい。そして、人嫌いでも、怒ったり、積極的に人を傷つけたりはしないんだよな
不法行為に惹かれるのって、人間への負の感情の代弁なのか、それとも自分の気持ちに共感できそうな人を探してるのかな…?
大庭が侘しいって感じるのがわからなかったんだけど、見た目も良くて賢くてモテるのに、無抵抗に人生転がり落ちてくのが…侘しいということなのかな。まだ理解は難しい。

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2021年11月02日

Posted by ブクログ

実際は電子本で最終まで終了。
太宰の『人間失格』を現代に設定を移し、著者がネット上の独白を読み進める形になっている。

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2020年07月25日

Posted by ブクログ

小説のコミック化はあまり好きじゃないのですが、古屋兎丸作というのに惹かれ読んでみました。
一巻は結構面白かったと思う。
二巻に期待大です。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

古屋兎丸×人間失格って、確かにこれ以上マッチする組み合わせもそうそう無い。
これからもっともっと、どうしようもなくなるのを期待。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

原作がウロ覚えだからマンガで読み返せるなら丁度いいや、とばかりに、普通ーに原作小説のコミカライズだと思って購入したら…とーころがどっこい! 現代を舞台に都会的にアレンジされてるほぼ別作品だったのでビックリしました。でも、この作者さんの絵の雰囲気は、原作小説の醸し出す雰囲気と相通じるものがあるカンジを受けるので、すごく似合いの取り合わせだと思います。相乗効果とでもいうべきものさえも感じられます。読みながら鬱々と気分が滅入ってくる感じも似てるかも。ひどく退廃的で刹那的で利己的で閉鎖的で…そしてイヤラシクなく多分にエロティック。気は滅入るけど…でも続きが気になる気持ちもあるかも。太宰『人間失格』を原作として、古屋『人間失格』は、どこを終着地点とするのか、と。同じ道を辿るのか、別の道を行くのか、そこの展開は多大に気になります。

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2009年10月10日

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