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太宰治が短篇の名手であることはひろく知られているが、ここに収めた作品は、いずれも様々な題材を、それぞれ素材に適わしい手法で描いていて、その手腕の確かさを今更のように思い起こさせる。表題作の他、『東京八景』『女生徒』『きりぎりす』『駈込み訴え』『魚服記』『ロマネスク』『満願』『八十八夜』を収録。 (解説 井伏鱒二)
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Posted by ブクログ
人間の悩みのほとんどは、他人についてなのかもしれない。 太宰治の短編集を読み、そう思う。 以前『人間失格』を読んだときに、世間や他人に合わせた生き方ができない自分のことを「人間失格」と主人公の要蔵は言い表していた。 そのときにふと感じた、「じゃあ何が人間の合格なんだ?」という疑問は、ずっと胸に...続きを読むある。 世間に合わせ、他人にへつらい、自己を曲げて生きていくことが、人間としての正しい姿か? そうは思えない。 私見だが、自分が自分らしくあることこそが生き方であると思っている。 この短編集の中でも、そうした周囲との不調和に関する話が多くある。 特に『東京八景』なんかは、ほぼ太宰治の自伝のようだ。 ただ、私の太宰治へのイメージは『人間失格』から陰鬱なものだったが、この短編集の、特に『ロマネスク』や『満願』、『富嶽百景』からは、明るく爽やかな印象を受けた。 こんなものも書けるのかと衝撃的だった。 私はこの中でも、『女生徒』が好きだ。 「あすもまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。」(p124 女生徒) こんな言葉があった。 『女生徒』では、主人公の女生徒の内面が語られ、亡くした父への回顧、母への不満、自分の体の変化など、暗い気持ちが吐き出される。 しかもそれはいつまで続くかも分からない。 それでも、最後に先の言葉を言って終わるところに、希望も絶望も合わせ持った、複雑な心境を感じる。 生きていれば楽しいことばかりではなく、辛く悲しいこともたくさんある。 それでも、寝れば明日は来る。 『東京八景』の中で、 「多くの場合、人は、いつのまにか、ちがう野原を歩いている。」(p236 東京八景) という言葉がある。 自分の力だけで変えられるものはそうなく、人生の多くは自分の意志とは関係なく、転がっていくものだと思う。 だからこそ、何があっても、とにかく寝て明日を待つ。 そうすることで、少し生きていくことに希望が持てるのだと思う。 太宰治の作品は、人の暗い部分も明るい部分も、抉り出すような感じがある。
誰もが読んだことのある『走れメロス』の他、八編を収録した戦前の太宰治の短編集である。 伝承から私小説まで幅広い題材を扱い、『人間失格』だけでない太宰の魅力を存分に示してくれる。 それでいて、太宰の自身の世界観に引きずり込む引力は強烈で、読者は感情移入せずにはいられない。 苦悩と救いに揺れ、周りに...続きを読む素直になれない太宰の生き様は、令和の時代になっても人々を共感させ、魅了し続けている。
富嶽百景ー 絶望の淵からの希望の描き方が とても素敵で、太宰に目覚めるきっかけとなったお話。太宰っていうと堕落していく様な暗くて湿っぽいイメージを持たれがちだけどこれは 前に進んでいくお話。太宰食わず嫌いの人に勧めたいな。あ、読まず嫌いか(笑)
表題作の他、女生徒、ロマネスク、東京八景など10作の短編集。 太宰の短編はどれも好きだけど、特に印象的なものをメモ。 『富嶽百景』…最初は富士の一辺倒な姿を横目で見るような様子だった主人公は、茶屋の人々や彼を訪ねてきた人々との交流を通して少しづつ富士の様々な表情に触れ、心を許し始める。富士はそこにあ...続きを読むるだけでいい。 『走れメロス』…学生の時に初めてこの作品を読んだ時はメロス身勝手、という身も蓋もない感想だったけれど、年を重ねてこの直球の友情ストーリーが沁みるようになった。 『女生徒』…思春期特有の揺れを表現する秀逸さ。この危なっかしい様がまた魅力。 井伏鱒二のあとがき…太宰とのエピソード。不思議と愛を感じる。 読む度に違う印象や感想を持たせてくれる作品。何度も読み返したい。
斜陽? 人間失格? 知らん。 太宰はやっぱ短篇だよね。 「女生徒」のすごさ。その現代性。十分に今この時代の小説として読むことができる。 小気味よい、よく練られた彼の文章は、音楽にたとえればプログレではなくポップスだ。
太宰の私小説にしては、生きることの後ろめたさを感じさせない「富嶽百景」。むしろさわやか。 富士と戯れる太宰が描かれる。ときに俗な書き割りだと罵り、ときにその存在に感服し、ときに月見草と並置する。 なんだかんだ言っても、富士に惹かれる己を認められないのでしょうね。
女生徒を読むと今も昔も一定の変わらぬ価値観が思春期の少女達には存在しているのではないかと思わされる 盛り上がりがあるわけではないがそれでも何度も読み返したくなる作品
太宰治というとディープな面がたまらない、という方も多いでしょうが、私はこの「富岳百景」のおちゃめさが どうしようもなく好きなのです。本人の語り口のような文体も、おしゃべりを聞いているようで楽しい。お嬢さんにカメラ撮影を頼まれて へどもどしている姿は秀逸です!
富嶽百景: 太宰自身がモデルとのことで、「私には誇るべき何もない」と言いながら「高尚な虚無の心」の記述もあり、生きにくさが垣間見える。 富士の描写がメンタルと共に色々代わり、「いつ見ても素敵」と思う私は単純だなと思い知らされる。 女生徒:有明淑の日記から ジェットコースターみたいな感情の起伏。コロ...続きを読むコロ思考が豹変し、「とても論理的に考える良い子」かと思えば毒舌炸裂だったり、時代を超えて、みんな思い当たる不安定な時期。 八十八夜: 「文学は高尚」と思い、自らをがんじがらめにしていた笹井さん。結局普通の男やん!暗黒王になれたら良いね。 きりぎりす: 最後まで読まないとタイトルの意味は分からない構成。妻の気持ちがとても丁寧に描かれ、その潔癖さがカッコいい。
駆け込み訴えの話や東京八景など、状況による人の感情の揺れが激しく描かれていた。どうしようもなく追い詰められていく中での逃げる弱さ、その弱さにも立ち向かえないやるせなさ、誰もが大なり小なり持ったことのある情動が描かれていて、不快な部分もありつつ共感もできる不思議な感覚だった。
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