太宰治のレビュー一覧
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物事は捉え方次第だし、出会う人次第でもあるし、それを選びに行くのは自分なのだよなと 早くも3巻にて完結。葉蔵の闇は、幼少期からその命が果てるまで結局癒えることはなかったということか。世の中の見方を、ある一方向でしか捉えられないかつそれがこんがらがった捉え方だと、最期まで自分が自分を結局苦しめてしまうことになるのか。物事の捉え方は自分次第、というのは、たまたま最近私自身にも起こっていて、実は好きなアーティストの死によってそのバンドメンバーのコメントが明らかにどこを向いて、もしくは向こうとしているかの違いで、読んでいてこんなにも違うんだ、ということに衝撃を受けていて。
葉蔵自体に惹かれてしまう女を人たちも分かるし、救ってあげたいのはやまやまだけど、とあるひとりの若者の人生、という小説自体で考えれば、堕ちるループを描く様はこちらも息苦しいものはあるものの、怖いもの見たさの気持ちで彼の人生を追わずにはいられない魅力もあるな、と思う。 -
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マンガで読みやすい日本文学。ただ内容は暗く闇でしかない あの名著太宰治の「人間失格」を題材にしたコミック版。設定を現代にして描かれていて、導入部分からすぐさま興味をそそられる。マンガで読めるので、絵で魅せるグロテスクな面と人物の気味悪い表情などでページ毎のインパクトは大。文章自体も多くはないので、すぐに読み終わってしまう。ただなぜ最初から主人公の葉蔵は闇が多いのか、どうしてそう考えるようになったのか、何でなんだろう、ときっかけを探しつつ、感情を想像しながら次のページ、次のページと進むともう一冊読み終わってしまった。1巻であれやこれやと言えるものではないが、この絵のタッチが苦手な人はこの1巻で終わってしまうだろう。私は葉蔵の美貌に似ている人を投影して読んだので、この絵のタッチおよび葉蔵がどうなるのか、彼の人生、今後の展開が気になって仕方ない。
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作品字体だけでなく、太宰治自身についても掲載されている興味深い資料となる一冊 旧字体で綴られた日本文学を読みやすく新字体に改められた版なので、非常に読みやすい。また古屋氏のマンガを読んでからというのもあるため、ストーリーがすっと入って来やすかった。実際、古屋氏のマンガの展開とその原材となった太宰治の作品とでは内容や結末が異なることを知っていて読んでいたので、どのような展開になるか楽しみながら読めた。
また桜桃、という作品も合わせて掲載されているので、人間失格以外の太宰作品を読めるのも嬉しい。
最後に寄稿されている解説は、実際の太宰治そして作品に対しての解説および太宰自身の年表も掲載されており、これがまた太宰をより知る上で貴重な情報となっている。 -
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ネタバレ太宰は小説家というより、詩人みたいだと思う。
読んでいると、断片的な言葉がキラキラと辺りを舞うような感覚になる。
●雌に就いて
2人の人物の会話のみの形式で進んでいく。
理想の女との妄想をくりひろげるはずが、話は妙に具体的。
ずっと会話のみが続くからこそ、最後の地の文の威力、余韻がすごい。
「女は寝返りを打ったばかりに殺された。私は死に損ねた。七年たって、私は未だに生きている」
●喝采
演説形式の話。
独白体が得意な太宰の文と相性が非常に良く、好きだ。
●二十世紀旗手
正直話のすべては理解できなかったが、言葉の巧みさが伝わる。最後のパラグラフがまるごと素敵。
「それも三十にちかき荷物のうち、もっとも安直の、ものの数ならぬ小さいバスケット一箇だけ、きらきら光る真鍮の、南京錠ぴちっとあけて、さて皆様の目の前に飛び出したものは、おや、おや、これは慮外、百千の思念の子蟹、あるじあわてふためき、あれを追い、これを追い、一行書いては破り、一語書きかけては破り、しだいに悲しく、たそがれの部屋の隅にてペン握りしめたまんま、めそめそ泣いていたという」
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この娘は誰を待っているのだろう。明確な答えは本人にもわからない。でも、この感覚、すごくよく分かる。
誰かにかまってほしくて、誰かに見つけてもらいたくて、でも、そんなことがあったらと思うとドキドキしすぎて、白昼夢みたい、というのはその通りで…。
待っているのは、ただ、漠然と寂しいから。人間が怖いから、一人でいる時間のほうが安心するけれど、それでも自分を受け入れてくれる、温かい誰かが現れたらいいなと幻想を抱いている。そんなことをする自分を、みだらな女だと思ったり、不埒な計画が燃えていると認識していても、こんなことでしか、寂しさを紛らわせられない。こんな自分を壊してしまいたいし、誰かに救い出してほしいと思っているのだろう。
すごく短い絵本といった感じなのに、深い。手元に置いて自分の心境の変化と比べながら都度確認したくなった。 -
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ネタバレ巻末エッセイを含め、白地の背景に焦茶色(?)の文字のページが、印刷が上手くいかなかったのか何なのか、字が少しずれてぼけて見えて、目がチカチカして気になった。せっかく可愛くて素敵で好きなのに、残念。
それはさておき、引用したくなる、線を引いて覚えておきたくなる文章だらけだった。とっても鋭い。
この『女生徒』は、わたしの鏡だ。
ふいに「お父さん」と口に出してみて気恥ずかしくなったり、「よいしょ」と掛け声をした自分に気持ち悪さを感じたり、可哀想な犬に居た堪れず敢えていじわるをしてやったり、理不尽な状況を前に結局何もできず、悔しさに「こんなくだらない事に平然となれる様に、早く強く、清く、なりたかった。」と思ったり。
お父さんが後で「中心はずれの子だ」と言う。
他のレビューを見て、人がこの作品の是非を論じる様子をチェックして、素直に好きなものを好きと、人の目を気にせず全力で訴えることができないでいる自分に気づき、ああ、くだらないと思う。
バスから降りたところ、くすくす笑ってしまった。
「いい娘さんになろうと思った。」 -
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人間失格の太宰はキザったらしい言い回しをするメンヘラ放蕩野郎という感じがして、まったく共感できなかった。が、津軽人としての太宰はかなり好きだ。
教科書で使われてたりするので、たけとの再開にスポットが当たりがちだけど、違う、そうじゃない。
同じ津軽出身の立場としては、津軽人の人間性、郷土料理、風土、自分の思い出話などを面白おかしく書いている点がこの作品の本当の価値だと思っている。これを読むと太宰も津軽の人間であることを実感し、キザ野郎と切り捨てることができなくなる。
角川文庫版の解説は町田康氏が書いていて、それがさすが、この作品の面白さをうまいこと言語化していらっしゃるので、実はこれがおすすめポイントだったりする。 -
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズより、何年ぶりかに読み返した太宰の掌編「待つ」です。
すべての見開きページを飾る、今井キラさんの挿絵がぴったりすぎる。
それにしても、こんなに可愛らしくいじらしい話だったかしら?
自分がだれを、なにを待っているのかもさっぱりわからぬまま、それでもただ信じて冷たいベンチに腰かけている二十歳の少女を、期待と不安と覚悟をごちゃまぜに抱きしめながら信じるように待ちつづけている彼女を、はやく見つけてあげてほしい。
『女生徒』を彷彿とさせるような、心のうちから弾け飛ばんばかりの、行き場のない乙女の可愛らしい咆哮のようなものが好き。