あらすじ
日本文学の不朽の名作『人間失格』をトップホラー漫画家の伊藤潤二氏が
独自の表現で捌きます。
隣人の幸福が理解できない。なのに、隣人の目が
気になって仕方ない。そんな主人公・大葉葉蔵が必死で身につけたのが
道化だった。上京した葉蔵は堀木に誘われ、非合法活動に参加する。
活動に疲れた葉蔵はある女給と出会うが……
「世間と折り合いがうまくつかない」そんな読者に長く愛されてきた
名作を、伊藤潤二氏がホラーの要素を絶妙に取り入れ、構成した
衝撃作です。是非手にとってください。宜しくお願いいたします。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
開幕。雨の夜の玉川上水で女とウィスキーを分かち合う。
ずり落ちる瞬間、草をつかむ!
この場面だけで、ああ伊藤潤二先生わかってる! と感激してしまった。
少年時に人格を歪めてしまう下男下女による強姦。きちんと描いてくれた。
そうそう。太宰の小説はあまり言及されないように思うが、実に「散文的な性」(薄暗い畳の部屋でやむにやまれぬ行為)が、透明な糸で巧妙に織り込まれているのだ。
旧家独特の文化として「オズカス」が性的虐待を受けてもおかしくないほど軽視されていたということでもある。
「凄惨な改変」がありやなしやで評価は変わると思うが、僕はありと見た。
なぜなら葉蔵は少なからぬ人間を、「触れ合っただけで殺している」。
これは言葉の綾ではなく、「竹一のその後」が凄惨だったことは原作では「抑圧された事実」でありうる。
それならば女同士の葉蔵を巡る殺し合いも「あり得た」し、
溺死体は見るも憚られるほどに膨れていただろう。
伊藤潤二先生は眼を背けない、原作者が背けたかもしれない部分を容赦しないのだ。
そしてまた、どの登場人物の「顔」も、読んでびっくり、「知っている」のだ。
何十回となく読んできた登場人物はみな、ああこういう顔だったと納得させられる造形。
特にツネ子の顔ときたら。もうこれが本物で、今後これ以上更新されそうにない決定版。
「その咳、ほんとうかい?」と訪ねてくる巡査の表情も。
続刊が楽しみ。
大好きな小説
私の大好きな小説の人間失格が伊藤潤二先生の絵で漫画になってるなんて最高すぎます!先生独特の不気味で気持ち悪い絵が人間失格にこんなにマッチするなんてとても心踊りました。
文学の漫画化
最近の若者は文学どころか文字で表現されたものを読まないという。こういった漫画で文学に触れるならば、拒否反応も少ないのではないかと感じる。漫画で表現された文学のエッセンスに触れてから、文学書を手にするのもいいことかもしれないと思わせてくれた。
多分このイメージなんだろう
何冊もコミックバージョンの「人間失格」を読んでみたが多分このコミックが一番原作に近いイメージを再現してると思う。読んでいて寒気がしました。それでも余り原作からかけ離れたエピソードを入れない方がいいんじゃないかな。
他の作家さんの漫画版「人間失格」を何作か読みましたが、これが一番面白いコミカライズだと思いました。
絵も非常に耽美で恐ろしく、太宰治の原作のまとう空気感が表現されていると感じました。
伊藤先生のさらなる日本文学のコミカライズを期待しています。
ドグラ・マグラとか?
Posted by ブクログ
小説で読み解ききれなかった部分は、マンガで補完する。
小説よりも先にマンガを読んでいたら、登場人物のイメージが鮮明になっていたのかもしれない。
Posted by ブクログ
伊藤潤二による『人間失格』の漫画化作品。全体の筋は概ね原作どおりだけど、オリジナルのエピソードが追加され、悲惨さや滑稽さが誇張されている。
葉蔵が「道化」として振る舞うときに見せる、不安と緊張に満ちた笑顔が、伊藤潤二のタッチにぴったりはまっている。
驚愕
知ってはいましたが読んだ事はなかった、太宰治の人間失格。こんな話なの!!と驚きましたが。伊藤潤二さんの絵で読むと、ホラーじゃないのにホラーに見えてくる。小説も読んでみたいと思いました。凄い衝撃的を受けます。