太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「恥の多い生涯を送ってきました」――
ネット上に見つけた大庭葉蔵の独白が赤裸々に綴られたページ。
掲示されていた3枚の写真は、葉蔵の転落の人生の軌跡を描いていた。読み進めるほどに堕ち、崩壊していく葉蔵の人生。彼は何を恐れ、逃げていたのか。
大庭葉蔵は、「道化」を演じることで生きてきた。
同級生が声を掛けてきた時は変顔で応じ、先生の前で答えを発表する時はツメの部分でわざと間違え、高校までは「面白い奴」というキャラで人気者になり、そんな道化が息苦しくなると美術予備校に逃げ場所を求め、風俗でしか自然な笑顔を見せることが出来ず、周りが求める「普通」の正解に沿って演技をすることで人間関係を成り立たせてい -
購入済み
大好きな短編
久しぶりに読んで感涙。太宰治作品の中で一番好きです。たくさん笑って、最後はホロリとさせられます。私の亡き父が、それこそ甲斐犬のブリーダー的な事をしておりました。もう何十年も前の事で、私も噛みつかれた事があります。その頃は野良犬もたくさんいましたし、読みながら共感する事が多々あって懐かしく嬉しくなりました。
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Posted by ブクログ
太宰治は学生時代にかじった程度だ。
文字からインプットする話は、ネガティブ結末を好む傾向があるものの三島由紀夫はハマったのに太宰はハマらなかった。今回は井伏鱒二が描いた「太宰治」を読み、どのような時を生きた人が描いたのか。を想像しながら読むことができた。
人間失格の葉蔵然り、斜陽の直治然り、ダス・ゲマイネの馬場然り。何とも言えぬ、瞳の奥にひどく暗く深い闇を持った瞳が常に読者を見据えているような感覚に陥る。
太宰の描いた作品に登場するこれらの人物は少なからず太宰本人の過去を投影し、あるいは膨らませた上での人物なのだと感じる。
作品に作者そのものがここまで投影されているように感じるのは、太宰に魅せ -
Posted by ブクログ
何作かは再読
大好きな人間失格も斜陽も収録されてて最高
自分の話以外もだいたい本人がモデルか?っていう感じの酒の誘惑に弱くちゃっかりしていてそんな自分に嫌悪感抱いてる外見はいいクズ男みたいなのが多くてふふってなっちゃう。
そして晩年よりの作品集だからか登場人物が死んじゃう話が多い。
✳︎グッド・バイ(絶筆)
編集社で働く傍ら、闇稼業で儲けている34歳の男の田島周二が、愛人15人との関係を解消しようと闇稼業で知り合った絶世の美人(ただし最低の鴉声、大食い、怪力)を連れて別離の行進をする。
「人生足別離」の一句があり私の或る先輩はこれを「サヨナラ」ダケガ人生ダ、と訳した。まことに、相逢った -
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「薄明」
現実主義でポジティブ志向
そういう人であるがゆえに周りからはいつも
「本気か冗談かわからない」
などと言われてしまう
それでひそかに傷ついたとしてもポジティブ
その明るさが滅びの姿であろうか
「苦悩の年鑑」
軽薄なポーズでくそ真面目
そういう人であるがゆえに周りからはいつも
「本気か冗談かわからない」
などと言われてしまうんだろう
それで世をひねて、純粋なものに憧れる
実際、本気か冗談かわからない
「十五年間」
彼はサロン文化を軽蔑していた
そこでは誰もが空気に敏感であった
異物を探してこれを叩き、連帯感を強めていた
挙句が開戦論である
しかしそれはそれとして、彼は戦争に乗った
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やっぱり「人間失格」は凄まじい。
太宰作品をそんなに読んだわけではないけど、これだけは別格だ。葉蔵の心理描写が恐ろしいほど真に迫っており、自分の心理とシンクロし、ドキドキする。
自分と葉蔵は似ているわけではない。だが「お前も同じ穴のムジナじゃないのか?」と問われれば…葉蔵が竹一に見透かされた時のように血の気が引いて顔面蒼白になるだろう。
僕は外面は常識的な好人物を演じている。職場では仕事がデキるやつ、部下に慕われる面倒見の良い上司ヅラするのも自然と板についているし、大方の評価も良い。
しかし、本当は問題は避けたい、サボりたい、休みたい、楽したい、逃げ出したい。生活と対面維持のためだけに仕 -
Posted by ブクログ
言わずと知れた名紀行文。
高校生の時授業でダイジェストを読み、夏休みに通しで読んだ上で感想文を書かされた。
多分、その時は全文を読まず、適当に書いた。
自分を含むあらゆることを呪っていた高校生で極度のひねくれ者だったが、高校3年間で現国の教科書で習った『城の崎にて』『檸檬』『こころ』、そしてこの太宰の文章はいずれも心に残った。
後々、本を読むのが大好きになって今に至るのは、これらの作品のおかげかもしれない。
解説で町田康が、最後の場面での、乳母たけの言葉に「ここにいたって心が動かぬものがあったとしたらその人は人非人である」と書いている。そこまで言うか。
と言いつつ、僕はおばあちゃん