太宰治のレビュー一覧

  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    好きな作品とそうでない作品が入り乱れていた。でも、結局表題作の「グッド・バイ」で最後に盛大なコメディで締めくくられて、ああこれが太宰かと。遺作がグッド・バイで良かったなと思える、明るく軽快で未来を向いた作品だった。
    もったいない、もったいない、続きが読めないなんて。でもなんだかこれを書きかけで逝ってしまうのはとても、喜劇みたいな、悲劇みたいな、人生。

    戦後ずっと、世の中の変わらなさに絶望しつづけていた太宰が、この遺作でこんなことを言う。驚いた。
    「けれども、それから三年経ち、何だか気持ちが変わって来た。世の中が、何かしら微妙に変わってきたせいか、...(中略)小さい家を一軒買い、田舎から女房

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    2023年10月16日
  • もの思う葦(新潮文庫)

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    太宰の随想が単行本として死後まとめられたもの。
    随想ともなると作品以上に、より太宰治の直接的な思考の断片が見えるようでおもしろい。切れ味の良い言葉が沢山あった。
    太宰作品をいくつか見たあとに読むととても良い。
    「もの思う葦」というタイトルがあまりにしっくりくる。

    「太宰治ほど生きるのに真剣でド真面目ひとはいない」というのが読み終えた今の一番の印象だ。ド真面目というか、嘘をつきたくない思いというか。
    彼は、考えたことは実行し、また小説と生活は一致しなければならないという思いがとても強い。その思いの強さがある一方、圧倒的な批評能力が自分自身に向き、弱い自分とひたすらに真正面からむきあってしまうか

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    2023年10月12日
  • お伽草紙(新潮文庫)

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    太宰によるフォークロア新解釈をたっぷり味わえる一冊。新釈諸国噺などは、西鶴の原文にちかいのだろうなという話と、『粋人』『遊興戒』『吉野山』など太宰節が滲み出ている話とに分かれている。
    特に好きだったのが『竹青』と『浦島さん』。
    こうも伸びやかな想像力、幻想的な世界を鮮やかにいきいきと書くことができる作家とは。戦時中の制限された中で、ひとびとを、そして自分自身を鼓舞させるような、そんな切実とした思いも裏に感じる。両者、あまりにうつくしい世界観で、もっと色んな人に読んでもらいたいなぁと思った。これを作者名を伏せて読んで、一体どのくらいのひとが太宰と気づくだろうかと。
    そうした美しい描写のなかで、太

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    2023年10月08日
  • 津軽通信(新潮文庫)

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    好きなタイプの太宰作品が多い、良い短編集だった。
    『一燈』、『庭』の雰囲気がすきだった。どちらも長兄とのエピソードなので、私はその2人の関係性が好きなんだろうか....
    落ち着いていて、しおらしく、それでいてユーモアやあたたかさのあるこうした系統の太宰作品が好きだ。
    『未帰還の友に』は取り残された太宰のやりきれないどうにも苦しい気持ちが全体に流れており、こちらも苦しくなる。「自分だけ生き残って、酒を飲んでいたって、ばからしい」なんて。
    『チャンス』は前半の恋愛に関する御託が面白い。「『ふとした事』から異性と一体になろうとあがく特殊な性的煩悶、などという壮烈な経験は、私には未だかつてないのである

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    2023年10月05日
  • きりぎりす(新潮文庫)

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    電子書籍『きりぎりす』を読む。
    短編ですぐに読めてしまう。

    お金が入ってくると、別のものを失っていく寂しさ、悲しみ。もう戻ってこないのだなと思った妻はお別れする。
    きりぎりすの声が聞こえてくるようだ。

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    2023年09月19日
  • 惜別(新潮文庫)

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    ふるさと文学全集の宮城編で読んだ。魯迅の藤野先生の日本語版である。魯迅のオリジナルよりもはるかに丁寧に書いている。どこまで取材したのかがよくわからないが、より詳細により分量も多く書いているので、読みごたえがある。魯迅のオリジナルと一緒に東北大学に行く前に読むとよい。高橋源一郎の紹介である。

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    2023年09月14日
  • きりぎりす(新潮文庫)

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    ネタバレ

    表題作、「きりぎりす」を聴き読書。最近暑すぎて散歩ではなく自転車なので自宅で。わたし(24歳の女性)は19歳の時にとある画家と結婚した。絵を見て身震いがするほど絵に共感する。しかし夫は口下手で展覧会など興味を持たず好き勝手な絵を描く画家だった。そんな夫との結婚生活が心地よく、貧乏でもハリを感じた。しかし、個展を開いてから、夫は人が変わる。お金に固執し、成功者と一緒にいるようになり、夫への魅力、関心が無くなる。このわたしの寂寥感が夫には伝わらず、別れることを決意する。妻が思う過去の夫への未練が伝わった。⑤

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    2023年09月03日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    戦時中から戦後に移って、変わったかと思えばそうではない、そんな自分の中の期待の裏切りを登場人物の赤裸々な感情を通して描いているような作品。人のあり方が大人らしく、自分もいずれそんな世の中をそんなふうに過ごしていくのかなぁと少し悲しくもなった。

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    2023年09月02日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    戦争の時代、彼女は何を待ったのか。
    この短い文章に太宰さんの中の乙女から見た世界が濃くみえる。
    そういえば、私も何かをずっと待っている気がしてくる。

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    2023年07月05日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    この作品を読んで初めて、太宰治はラブコメのライトノベル作家だと思った。
    未完であることが残念でならないけれど、先の展開や結末を想像するのも楽しい。大好きな作品。

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    2023年06月23日
  • 太宰治全集(2)

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    ネタバレ

    2023/06/16
    桜桃忌が近いため、以下の作品を読んだ。

    『燈籠』
    冒頭で語られる痛々しい思いと、強く虚しく眩しい終わり方がとても好きだった。
    この作品を読んだときのどうしようもない気持ちは、言葉では言い表すことができない。


    『満願』
    夏の穏やかな日々に、ふと差し込む眩しい光。
    そんな情景がラストで描かれる。
    私はこの作品を読むたびに、爽やかな青と白を思い浮かべる。


    『葉桜と魔笛』
    姉と妹の間で繰り広げられる優しい嘘に、胸が締めつけられる。
    あの口笛はもしかしたら父親なのでは……と私も思ったが、高齢になった姉自身から語られる昔話は、口笛の正体は分からないままでもいいと思わせてくれ

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    2023年06月19日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    舞台化にあたり、シェイクスピアの『ハムレット』を読んでから読みましたが、初っ端から太宰節がとまらず愉快でした。
    ハムレットに登場する人物たちがイキイキと描かれ、太宰お得意の人間臭い描写が全開。『駈込み訴え』『走れメロス』といい、太宰の古典テーマの話は魅力的な作品が多いですね。

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    2023年05月28日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    大好きな『女生徒』を乙女の本棚シリーズで再読。
    朝の目覚めから夜の眠りにつくまで、多感で読書家な少女のとある一日を生きる。
    光を集めてさまざまに模様をかえてゆく万華鏡のように、少女の脳内はくるくると忙しい。それらを可愛らしくかけがえのない喜怒哀楽、と思ってしまうのは、私がすっかり大人になってしまった証拠なのだろうね。〈いま〉が手をすり抜けていく不思議な感触をたしかに自分でみつけて知っていたのに。苦しくて苦しくて、いつまでも、恥ずかしいスッポカシをくらいながら、少女たちはいつだっていまを生きている。「わるいのは、あなただ」
    読むたびに新鮮で、気づきがある。私はこの作品を好きすぎている。一言一句を

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    2023年05月20日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    『女生徒』の素晴らしいところは、感情の描写のリアリティさにあると思う。
    本当に繊細に、丁寧に伝わる。美しい。
    実際に共感できるし、なるほどこの子ならそう言語化するのかと関心する。
    ヒロインの名前が最後まで明かされないミステリアスさも魅力。太宰作品は、苗字か名前どちらかでも明かされることが多い気がするので、なんとなく気になる。どんな名前なのか想像してみるのも結構楽しい。
    (元ネタは有明淑という太宰ファンの日記らしいので、少女の名前は「シズ」とかかもしれないなぁ。と思ったり。ちなみに元ネタの資料は青森近代文学館で販売されているのでぜひ!)

    ヒロインの行動は時に才女で、時にあどけなく、急にしょげた

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    2023年05月06日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    物語の儚さや寂しさとイラストが合っており大変読みやすかった。そしてこの主人公の感情は現代の人でもわかるとこがあるかもしれません。

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    2023年04月29日
  • 乙女の本棚3 葉桜と魔笛

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    表紙をみて男性と女性かと思っていたら、どちらも女性、しかも姉妹。太宰の少女目線の話は、読むと心がきゅっとする。なんでこんなことわかるんだろ。

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    2023年04月22日
  • 人間失格 グッド・バイ 他一篇

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    ネタバレ

    『人間失格』と『グッド・バイ』の温度差が激しすぎて『グッド・バイ』の話がよく分かりませんでした。そのため7年の時を経て再チャレンジ。

    改めて読み返すと、『グッド・バイ』は完全なギャグでした。ギャグ漫画として世に出ても不思議じゃないぐらいです。愛人全員と別れたあと、キヌ子さんはどうするのか、本当の奥さんはどうなったのか生きて最後まで書いてほしかったです。

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    2023年04月21日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    どこか官能的で退廃的な太宰治の文章に今井キラさんの作風がとてもマッチしている。
    文章も勿論だけど、今井キラさんのイメージ力が素晴らしいなと感じた。

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    2023年03月09日
  • 斜陽

    匿名

    購入済み

    話の進みがわかりやすい

    太宰治の中で一番好きな話なので、マンガ版も気になって買ってみました。
    小説での長い話が簡潔にまとめられていて、とてもわかりやすいです。
    小説の方では比喩などで意味が分かりにくい部分もマンガで表すことによって、ああ、こういうことなんだ、と改めて話を理解することができます。一番おすすめは小説とマンガのどちらも読むことです。マンガの方はわかりやすいですが、あくまでも補足書と見ておいた方がいいと思います。

    #感動する #切ない #カッコいい

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    2023年02月27日
  • 津軽

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    ▼「津軽」太宰治。初出1944年。35歳くらいの太宰治が生まれ故郷の青森県津軽地方を、旅して歩いた紀行エッセイのような一冊。以前から「積ん読」になっていたものです。

    ▼太宰治さんは、恐らく高校生くらいの頃かに、一通りというかそれ以上くらい読みました。基本は面白かったです。大作?よりも「眉山」なんて大好きでした。ただまあ、何となく再読するという気分にならず。
     今回のご縁は、司馬遼太郎さんなのです。

    ▼司馬遼太郎さんは、手塚治虫さんと並んで小学生・中学生時分からとにかくお世話になってきたんです。どちらもほぼほぼ舐めるように読み尽くして、自分の感じ方や考え方というのはもう、このお二人の創作物で

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    2023年02月26日