太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
戦後の没落貴族が破滅していく様子を描いた作品。でも、ただ破滅に向かうだけではなく、そこから見える親子愛、労働や金銭面の苦労、落ちぶれていくことの恐怖や葛藤、生きる意味や自身の存在意義など様々な要素が散りばめられていたように感じて、暖かさも苦しさも深さも全部つまった作品だった。
主人公のかずこの、母に対する愛情はとても素敵なものだったし、貴族から転落し、家もお金もなく、親も旦那も失った状態で自分を奮い立たせてくれる存在が、上原だったように見えた。かずこの上原に対する執着に近い恋心は、静子が太宰に思っていたことなんだろうな。
直治の遺書は、自分が鬱っぽくなった時に考えていたことと全く同じで、と -
Posted by ブクログ
人間失格が面白かったので、斜陽も。
冬に読むには重たい小説だった。
もう少し暖かい季節に読まないと、気持ちが塞ぐ気がする。
どんよりが好きな人におすすめ。
救いがあるのか?なんとも言えないあたりが太宰だと思う。
死にゆく人の描写が美しいなぁと思う。
手を抜かない。
一方、死ぬ人の遺した言葉は圧巻だった。
筆者が自死しているのだからそうなのかもしれないが、なかなか書けない文章だと思う。
人間失格よりテンポというか、長さもあるためか読みづらい部分があるのだけれど、この文章が後半にあるので最後まで読む価値あり。
生きながらえることを選択する者は不気味だった。
恋に恋して6年の結果、ラストの望 -
Posted by ブクログ
華族制度が廃止になり、お母さまと、離縁した長女の「かず子」、戦争から帰ってきた長男「直治」の三人の生活が始まります。
生まれてから貴族である教育と生活を軸に生きていた彼らにとって、自分達で生活することはできません。
そうかと言って、かず子も再婚するつもりもなく、ひたすら現実逃避のような独りよがりの恋をします。「人間は恋と革命のために生まれて来たのだ」は自立した大人が言うセリフなのでは、といぶかしく思いました。
直治の「正しい愛情のひとがこいしくて」が切ないですね。
それに対して、戦闘開始を進めるかず子の曲がった行動力が凄まじく印象的です。あきれるけど、何度読み返しても新鮮なのは何故だろ -
Posted by ブクログ
太宰治はひねくれ者なのかと思っていたが、それ以上に真っ直ぐすぎた、少しの矛盾を見過ごせなかったのではないかと思った。
「自分には、あざむき合っていながら、清く明るく朗らかに生きている、或いは生き得る自信を持っているみたいな人間が難解なのです。」
誰しも、人と接する時(建前)と1人でいるときの自分(本音)は違うだろう。そのズレに耐えられなかったのではないかと思った。だから、そのズレがない子どものシゲ子のことが好きだったのだと思う。
だから誰しもやっているであろう「道化」は人を騙しているような気になってしまったのだとも思う。そんな自分を許せなかったから「非合法」「罪人」でいることに安心したの