太宰治のレビュー一覧
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青森県五所川原市 エルムの街 くまざわ書店にて購入。
太宰治の故郷、青森へ旅に出ると本が買いたくなる。今年は きりぎりすにした。
好きな物語がたくさん入っている。
「燈籠」のどんでん返しは痛快。
この女の子の目線から見ると、自分を正当化し凄まじく善人として描いているが、男の子側から見ると、迷惑な勘違い女にしか思えない。
このギャップがとても愉快だ!
姥捨は、太宰の自殺衝動へのプロセスかと思えてしまう。
「黄金風景」はもう圧巻。
嫌がらせをした相手から優しさで仕返しされる。
親切さで報復されるのが一番堪えるのだ!!
女中お慶がキラキラ輝く、その様はまさに黄金風景!!
まーぶしーいっ!
「皮 -
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ダス・ゲマイネ
馬場と私の話。海賊という雑誌を出そうと持ちかけられる。「太宰治とかいう若い作家」という人物が出てくる。馬場と言い争いになり、雑誌はやめる。
主人公は電車に轢かれて死ぬ。
あいつ、うまく災難にかかりやがった。僕なんか、首でもつらなければおさまりがつきそうにないのに。
君、太宰ってのは、おそろしくいやな奴だぞ。
君は自分の手塩にかけた作品を市場に晒した後の突き刺されるような悲しみを知らないようだ。
富嶽百景
けれども、苦悩だけは、その青年たちに、先生、と言われて、黙ってそれを受けていいくらいの、苦悩は、へてきた。
苦しむものは苦しめ。落ちるものは落ちよ。私に関係したことではない。 -
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ネタバレ些細な日常を皮肉やユーモアを感じさせる言葉選びで表現しており、クスっと笑ってしまう。
佐渡と畜犬談が好き。
どの話も割と好きに言いたい放題でコンプラ等存在せず自由で良い。
畜犬談の犬に対して、
「日に十里を楽々と走破し得る健脚を有し、獅子をも斃す白光鋭利の牙を持ちながら、懶惰無頼の腐り果てたいやしい根性をはばからず発揮し、一片の矜持無く、てもなく人間界に屈服し、隷属し、同族互いに敵視して、顔つき合わせると吠え合い、嚙み合い、もって人間のご機嫌を取り結ぼうと努めている。」
と表現しており、今まで犬に対して、憎らしい思いをストレートに緻密に書く人間はいただろうか。
愛犬の話の起承転結もわかり -
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久しぶりに訪れた故郷津軽の旅日記。親戚や旧友はみんな太宰を歓迎し、もてなしてくれる。酒三昧の気ままな旅。人の温かさが身に沁みる。思い出の地を巡りながら、その土地やゆかりの人々を紹介していく紀行文。厳しい東北の土地柄、人柄を褒めたりけなしたりする中で、太宰のちょっぴり性悪な心の内も時々垣間見られて、笑いを誘う。
何よりも故郷を愛する太宰の気持ちがひしひしと伝わってくる。
最後のたけとのエピソードに心を動かされた。何も語らなくとも2人の思いが伝わってきて、泣けてくる。この章だけは星五つをあげたい。胸のつかえが降りたそんな気分で読み終えた。
この4年後に彼はこの世を去る。
どんな思いで津軽を巡ってい -
購入済み
残念な未完成
シューベルトは未完成でもしっかりした味わいの作品を残したが、太宰治の場合は残念なばかりの未完成である。ユーモアをたたえたこの作品をどのように仕上げようとしたのか、想像することはできるが 読むことはできない。このユーモアも太宰治特有の照れ隠し 恥じらいの表現なのか いずれにしても惜しまれる。
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購入済み
はにかむような文体
太宰治特有のはにかむような文体が特徴の作品である。口笛をクライマックスの道具として使うのなら もう少し強調しても良かったような気がする。
結核が不治の「死病」として怖れられていた時代はそれほど遠い昔ではないということを改めて認識させられた。石川啄木や梶井基次郎のように結核が名作を生んだ ということも。 -
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文豪6名の最後を飾った作品を集めたもの。同じような趣旨で、デビュー作代表作を集めた「文豪誕生」も読んで出版社の策にとても共感している。
表装は今風というかアニメタッチな文豪が1人、芥川だろうかと想像する。
登場する6名の文豪、初めましての方もいて、読書の門扉が少し開けた気がする。
それでも好きになったかと言うとそこまでではないが、この点が点と合って線になっていくんだろうなと思う。
特に芥川龍之介はこの作品でちょっと興味をもった。そして梶井基次郎は檸檬の他に機会があって良かったと思う。
文豪死すも文豪誕生も、名前は知っているけどそこまでじゃないと言う人にはぴったり。機会があったら読んでみると良