太宰治のレビュー一覧
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言わずと知れた日本文學界不朽の名作。読み終えて思うのは、やはり自分も「恥の多い生涯」を送ってきたのではということです。
幼少時代を振り返ると、両親や周囲の大人たちの期待や怒り、感情に応えようとする余り、自分の本心を隠しながら日々やり過ごしていたように思います。自分からこれがしたい!という気持ちで選択肢を選び取ったことって何回あったっけ、、
それから月日は流れ、思春期•青年期へ。これまでに染み付いた判断の物差しを外部に求める思考は中々棄てきれず、本音が言えなかったり、自分の殻を破れなかったりすることもしばしば。周囲に合わせるということは、自分で考えることから逃るということでもあるのです。
勿論、 -
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幼い頃から人間という存在を恐れ、道化でごまかしてきた主人公。人間である以上逃れない「人間の条件」から逃げ続けた末に、やがて破滅へと至る過程がとてもドライに描かれている。
自分にとって苦手なことや、時には恐ろしいと感じることは、人生の中でいつかは決着をつけなければならない。そんなことは誰にもいくつかはあるはずだし、だからこそ誰もが何らかの歪みを内に秘めているのだと思う。主人公の惨めな生き方に腹が立つと同時に、心情的に妙に共感できる部分があるのも多分それが理由だろう。
読み終えたとき、とても暗い気分になり、このストーリーをどう受け止めれば良いのか混乱したが、自分の内面を映す鏡として機能している -
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恥の多い生涯を送ってきました。
どんな人にも言える言葉ではないだろうか。
他人を信用出来ず道化に徹する葉蔵。
誰もが社会で生きていくにあたりその時々の仮面をつけている。職場、友人、家族……環境によって自分を演じ分けるのは皆そうではないだろうか。
特に刺さったのは堀木と母親の場面。
堀木は世渡り上手で人間的な人物として描かれていると思った。葉蔵がやや軽蔑していた堀木が、家ではしっかりしていてお母さんを敬い別人のよう。自分と同類、あるいは下に見ていた人間が実は内と外の顔を持っていて、世界にずっと適応していた、自分とは真逆の存在だったと突き落とされる。
この子はこちら側だと思っていたのに、と勝手 -
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ネタバレ最近たまたま短編集で読んだばかりの短編だが、表紙の人妻のエロさに惹かれて読んだ。乙女の本棚の中では、過剰なところのない画風がよかった。表情は描かず、色は淡くて、射す光がさわやか。
「おわかれ致します。」という書き出しもやはりいい。
貧乏な方が工夫ができて楽しくて、浮気は気にならなくて、自分じゃなきゃダメだという男に嫁ぎたい。
う~む。太宰の理想の女性だろうか。
芸術家だと思っていたら、成功して俗物になった夫に幻滅する妻。
う~む。私からしたら、太宰も成功者だけど、どういう気持ちでこの話を書いたのかな?
仰向けに寝転がって、背中の下で鳴くきりぎりすの声を背中にしまって生きようとする女。それ -
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再読です。
「人間失格」というタイトルは、何度見ても本当に魅力を感じます。
作者の遺書のような作品だということも知ってはいたのですが、あえて主人公に重ねないように意識して読みました。
前回よりも物語の解像度が上がったからか、主人公の恐怖や不安などの感情がこちら側にゆらり、もたれかかってくるような感覚でどこか儚く、目の前に居たらダメだとわかっていても思わず追いかけたくなっていたでしょう。
ふらりと終わりの近くを歩いている姿を羨ましく思ってしまうのは、生に喜びを感じている今の私だからこそ得られるものかもしれません。
次にこの作品を読むときに感じる感覚がどういったものになるのか、とても楽しみです。 -
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太宰治の生前残した最後の完結作品であるこの作品は、彼の遺書とも受け取れる。
死による解放、もしくは死による自らの存在証明を切望したことのある者は、
主人公の美しく破滅していくさまに、太宰治の姿を、もしくは自分の姿を投影して、
彼に憧れのようなものを抱きさえするのではないかと思った。
個人的には、胸の内を見破られたような冷たさよりも、人間に期待し、裏切られながら苦しみ生きる者たちに対する温かみさえ感じる作品だった。
(それは、作者が自分自身に向ける無意識の、そして最後の慈愛だったのかもしれない、と思うが、 慈愛という言葉は相応しくないかも。生きていく本能というべきか、もしくは諦めか、、)
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ネタバレありです。
貴族の終焉を母親の死として描き、新しい時代に適応しようと足掻いたが、対応できなかったことを、弟、直治の自殺として描く。
新しい時代も、上原に描かれるようにロクなものでもなく、バラ色とは言えないが、かず子は、上原の子を身籠り、この子と一緒に生きていく覚悟を持つ。
途中、なんでロクでもない上原の子を持つことに執着するのか、分からなかったが、ラストの力強い決意と、革命という言葉で、小説的に、なるほどと納得できました。
最後の、ある女の人に産ませた子供のところは、分かったような、いまひとつのような気がしますが、時間をおいて、もう一度読んでみようと思う。
決して長文ではないけど、展開