太宰治のレビュー一覧
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ネタバレろまん燈籠
5人の兄弟が物語を連作する話。5人の性格の描写が細かく、それぞれの作風がわかりやすく出ているのも面白い。末弟の物語は拙く、いろんな物語のつぎはぎだった。長女の物語は小説を自作しているだけあって文才が1番あり、女性ならではのラプンツェルの心理描写が見事だったように思う。次男の文章は口伝だったため、途中愛とは何かと熱弁し脱線していたが、物語の展開を大きく変え、続きが気になるようなストーリーに仕上げていた。次女の物語は、彼女の普段読んでいる本が影響を与えたのか、言い回しが独特で、長女が作り上げたラプンツェルの批判がメインであった。最後の長男は真面目な性格が故に、せっかくの物語の展開を台無 -
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太宰治は1948年6月13日に、玉川上水にて山崎富栄と入水自殺しました。
本作収録の3作は、太宰治の死後発表された作品です。
三作品それぞれ内容は大きく異なっているのですが、何れにせよ"死を前にして書いた"というには、あまりにもいつもどおりであると感じました。
晩年の芥川龍之介のような、読み手に作者の不安定さが伝わるような作品ではなく、一作品として楽しめる3作です。
そもそも太宰治の入水にも色々憶測があり、遺書も見つかっていることから自殺には違いないと思われますが、その死の間際の思いは不明、というかわかりようがないです。
愛人と入水しましたが、遺書には「小説を書くのがい -
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昭和57年9月15日 18刷 再読
太宰治中期の14編
戦時下の作品なので、各作品とも社会生活の貧しさや不便さは表現されているのですが、どこかコミカルであったりピリッとアイロニーを感じたり粒揃い。
女性の一人称で語られる作品が、深層心理まで描けていて戸惑うほど。これは、モテたでしょうね。
「きりぎりす」は、売れない画家に嫁いだ女性が、著名になっていくにつれ俗物的になっていくご主人に別れを告げる物語。この女性の気持ちは共感できる。とは言っても、好きなのは「ヴィヨンの妻」の底知れぬ強さ。
「日の出前」は日大生殺し事件をモチーフにした作品。太宰本人をも投影させ悲哀さが増されている。イヤミスの原型 -
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ネタバレ大庭が絶妙な運びで壊れていくのが悲しかった。堀木が普通だと思ってたのに、不意に見せた残酷さが衝撃だった。
大庭は生まれつき生きづらい性質かと思ってたけど、最後になってきっかけが明かされた…子供のときから辛い人生だったんだな…読み返すと、新たに気づく描写もある。女にも裏切られてたのか。みんなから好かれるような人が、抵抗する力もなく人間にすりつぶされたのがつらい。
表紙の大庭の悪人面は中身と違う気もするけど、悪い男ではあるな。
この世は辛いことが多すぎて、何もかもから逃げ出したい気持ちは私もあるな~、何もわからなくなるというか、周りを認識できなくなるのが救いというのもわかる気がする。
小説読んでな -
購入済み
「幸福クラブ誕生」の会での講演にしては暗くて地味な話をするのが面白い。中村地平との交友話だし、もしかしたら走れメロスのような友情論の類なのか。
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購入済み
ある小説で、「メロスを邪魔した黒幕は誰なのか」という話が出てきたので久方ぶりに再読。たしかに王はメロスが帰ってくるわけがないと思っているので邪魔するわけがない。未解決ミステリのような薄暗さを感じる。
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日中戦時下に書かれたとは思えない、不思議な明るさというかユーモアを含んだ作品が多い。
太宰治自身の経験にも重なるはずなのに、滑稽に心中失敗をえがいた姥捨、犬に嫌われる自信をもって実際犬がキライで生きているのになぜか子犬に好かれてしまいハッピーエンドな畜犬談、吹き出物に悩む肌自慢の妻の憂いと妻を思いやる夫のやりとりが素敵な皮膚と心、中国戦線から慰みで投稿される兵隊たちの小説を読みながら平穏な場所に住む自分の存在をおしの鳥になぞらえて自虐する鷗、百姓女に押し売りで買わされた薔薇が値段の割にはかなりの良い出来だと褒められ当惑する善蔵を思う、売れない画家の夫が不本意にも売れて俗物になりかえって没落を