太宰治のレビュー一覧
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先日、100分de名著『太宰治 斜陽:名もなき「声」の物語』高橋源一郎 を読み、
思いの温かいうちに『散華』だけでも読もうと。
よって今回は、『ろまん燈籠』に収録された『散華』のみのレビューとする。
太宰は結局自ら死を選び逝ってしまったけれど、丸っきりこの世の全てを放棄していたわけではないように思えた。
小説家を目指す若き芽を育てていた。
太宰はそんな風に思ってはおらず、友人として接したようだけれど。
三田君が、作品を持参した日とそうでない日の、玄関の戸が開けられる音の違い。
太宰はちゃんと聞き分けて、体も心も気遣う。
まずは体を丈夫にして、それから小説でもなんでもやったらいいなんて言う。 -
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ネタバレいやぁ。自分は太宰治の熱心な読者というわけではないですし、自虐と自己憐憫の果てに破滅に至るような作品なのかと身構えていましたが、意外なほどの明るさと瑞々しさを湛えた青春の書じゃないですか。
まずもって、27歳の若さで世に送り出した処女作品集のタイトルが『晩年』って。人生に疲弊し切った老人の繰り言のような題です。が、内容を読むにつけ、人生にそれだけ絶望し尽くすというのもまた若さなのかも、と思わされましたね。年齢ではなく、感性において、太宰は本当に若い。逆に若者でなければ書き得ないような鋭さといいますか、斬新な感覚に満ちています。
妻の裏切りを知らされ、共産主義運動から脱落し、心中から生き残っ -
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〈乙女の本棚シリーズ〉
太宰治+今井キラ
あさ、目をさますときの気持ちは、面白い。の書き出しで始まる女生徒。
1日の出来事で感じたことを言葉にしている。
その言葉ひとつひとつが音符のようでリズムを感じる。
女生徒ならではの女に関する言葉も鋭い。
草をむしっては、形はちっとも違っていないのに、いじらしい草と、にくにくしい草と、どうしてこう、ちゃんとわかれているのだろう。
理屈はないんだ。女の好ききらいなんて、ずいぶんいい加減なものだと思う。
けさ、電車で隣り合わせた厚化粧のおばさんをも思い出す。ああ、汚い、汚い。女は、いやだ。
自分が女だけに、女の中にある不潔さが、よくわかって、歯ぎしり -
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ネタバレ教科書にも載ってあるとても有名な作品をまだ
読んでないことに気付き、急いで買いました。
「走れメロス」をまだ読んでいなかったとは、かなり自分でも意外でした。冒頭の有名なフレーズが「メロスは激怒した。」から始まるのですが、妹の結婚式のために、3日間のあいだ、竹馬の友であるセリヌンティウスを人質にささげ、ひたすら
走り続けるメロス、その疾走感と、セリヌンティウスとメロスの友情にも注目してほしい。
今回一番私の中で、心に響いた作品が、「富嶽百景」で、太宰治が、山梨県にある御坂峠の茶屋にて、執筆活動中の出来事を描いているのですが、その茶屋で出会う人々との交流がとても微笑ましくて、闇の太宰治がここで払拭 -
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空気を読み、愛想笑いをし、役割を演じる。世間の人々は人間関係の調整をしながら”普通”に生きている。一方、葉蔵にとって演技は人間関係の表面的な調整ではなく、存在全体の偽装と感じる。素の自分を出した瞬間、存在を否定されると恐怖する。葉蔵を否定するのは世間ではなく葉蔵自身。自分で自分を否定しているため、幸福が来ると「自分には資格がない」と感じる。葉蔵は自分を隠すため、命懸けの演技を続けているうち、何が自分の本音か、どこまでが役なのかわからなくなる。演技しているのではなく、演技しかなくなる。仮面を外した奥が空洞になり、”人間である”という感覚から脱落していく。太宰治『人間失格』1948
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乙女の本棚シリーズから、太宰治さんと紗久楽さわさんのコラボ作品の「葉桜と魔笛」です。鮮やかな表紙で、少女漫画から抜け出してきたような姉妹が描かれていますね♪って、いうか…お姉さんなのって、彼かと思っちゃった(^-^;)
桜が散って、このように
葉桜のころになれば、
私は、きっと思い出します。
で、はじまるストーリー。なんともきれいで切ないはじまり…老夫人が語りだしたのは、今は亡き妹と父のことでした。35年前、妹は腎臓結核の診断にて余命いくばくもない状態…ある日妹がしまい込んでいた、恋人と思われる男性からの手紙を発見する…。妹を元気づけるために、姉は恋人になりすまし手紙を書いて妹の -
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物語の世界に没頭したい質の私はあまり短編集は好んで読む方ではない。しかし、本書は素晴らしかった。
太宰治の執筆活動による中期に書かれた作品集なので、晩年のとことん破滅的、反逆者的な側面は少々なりを潜めており、所々普通に笑かしてくる。
特に「風の便り」ではお笑いコントのような軽快さで偏屈な貧乏作家と毒舌なベテラン老作家の手紙のやり取りがなされていく。突然の「馬鹿野郎」は声に出して笑った。
だからといって、やはり太宰治なので一貫して厭世的でありネガティブである。
太宰治は「人間失格」で完成されてしまっているので、作品順に読んでいくのもまた一興。
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表題作「パンドラの匣」よりも、もう一編の「正義と微笑」の方が面白い。進学のため必死で勉強してきた16歳の芹川進という少年が、自分の本当にやりたいことは何なのかと自問し、演劇の道に邁進する。全編に散りばめられた聖書からの引用が胸を打つ。
太宰治の小説「女生徒」のような瑞々しさを感じる青春小説で、帯に強調されているような「なぜ人生に勉強は必要なのか?」という問いに率直に答えてくれるような小説とは少し違うが、人生や自分の行く道を考えるヒントを与えてくれる作品と思う。それでいてテーマをやたらと重く考えず、爽快感のある読後感を得られる作品と思う。「学生時代に読みたかった…」というのはその通り。
反対に -
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『私の小説を、読んだところで、あなたの生活が、ちっとも楽になりません。ちっとも偉くなりません。だから、私は、あまり、おすすめできません。
こんど、ひとつ、ただ、わけもなく面白い長編小説を書いてあげましょうね。いまの小説、みな、面白くないでしょう。
みんな、面白くないからねえ。面白がらせようと努めて、いっこう面白くもなんともない小説は、あれは、あなた、なんだか死にたくなりますね。』
短編小説かと思って買ったらエッセイだった。
面白い方ですねえ。現代を生きてたらひねくれたブログとかやたら書いてそう。
太宰治は女生徒が特に好きで、「なんで男なのに女の子の細かな心情がわかるのかしら」と思っていた