太宰治のレビュー一覧
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戦時下の話が多かった。
表題作は私はあまり楽しめなかったが、他は結構好きなのがあった。
『恥』は笑えるような胸が苦しくなるような恥ずかしいような話。
『小さいアルバム』はところどころすごい笑ってしまった。この自虐、ギャグマンガにもありそうなレベルでどうしても笑ってしまう。
「私は今だってなかなかの馬鹿ですが、そのころは馬鹿より悪い。妖怪でした。」
「二匹の競馬の馬の間に、駱駝がのっそり立っているみたいですね。」
「かぼちゃのように無神経ですね。3日も洗顔しないような顔ですね。」
あたりが好き。自虐でこんないろんな言い方ができるのはさすがだなあと。
『佳日』も、白足袋がうまく履けない件は笑 -
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無糖のホットチョコレートみたいな1冊。苦さに苦さを重ねる中にほろりと甘く感じる一瞬があり、すっと溶けていく文体の滑らかさになぜだかほっとする。
マイチェホフの狂気を「斜陽」で思い出し、真の革命の意義を「おさん」で学び、「眉山」でやるせなさに涙して、待望の「人間失格」に取り掛かる。
人を針金入りのモールだとする。人を取り巻く社会(世間?)は常に渦を巻いていて、モールの体をうまく曲げれば、別のモールとひっかかることを繰り返し、渦の中心でずっと回り続ける事ができる。だけど自分が曲がらない、もしくは曲げる方向を間違ってしまえば、渦の外側へと容易に弾き飛ばされてしまう、そんなもんだと思う。
葉蔵は -
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「津軽」はけんちん汁みたいな一冊。地の物満載、郷土愛に溢れ、田舎出身のわたしにはどこか懐かしい味がする。
自分が生まれ育った故郷への愛情を幾千万人に伝えることのできる幸せを、太宰は果たして感じていたのだろうか。顔向けのできない愛する郷土の為に、太宰は情熱をもって仕事をしていたのだろうと推測する。
「人は、あてにならない、という発見は、青年の大人に移行する第一課である(40項)」
「『や!富士。いいなあ。』と私は叫んだ。富士ではなかった(132項)」
「親孝行は自然の情だ。倫理ではなかった(179項)」
登場人物の会話がなかなかにシュールでとても面白い。高尚な道化を交えるからこそ至言格 -
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江戸川乱歩、他『栞子さんの本棚2 ビブリア古書堂セレクトブック』角川文庫。
三上延の『ビブリア古書堂の事件手帖』に登場した古今東西の名作集、第2弾。残念ながら今回も抜粋作品が多い。
江戸川乱歩の『孤島の鬼』『黄金仮面』『江川蘭子』は抜粋。全文掲載は『押絵と旅する男』と『二銭銅貨』の2編。中でも『二銭銅貨』は傑作中の傑作。この時代にこれだけのレベルの暗号ミステリが創られたとは信じられない。何度読んでも面白い。
小林信彦の『冬の神話』、シェイクスピアの『ヴェニスの商人』『ハムレット』も当然の如く抜粋。
小沼丹の『黒いハンカチ』は江戸川乱歩と同じような系統の小気味良いミステリー。時代を感じつ -
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旬の秋刀魚みたいな一冊。肝の滋味あり、脂の旨味あり、食感の楽しさあり、太宰らしさが一番出ている文集では?と浅はかながら思った。
各文集にテーマがあるなら、ここでは「苦難」かな。「水仙」「正義と微笑」「花火」と、あたりまえの人生をあたりまえに送れない人達のほろ苦さがまざまざと描かれているけど、それはきっと太宰の心中を幾分は投影しているんだと思うし、滋味深いなと感じた。思えば、正義と微笑にある兄弟の絆は、太宰がとっても欲しかったものなのかもしれない。そんな軽い機構じゃないだろうけど、正義と微笑は太宰の理想を形にしたものにも思えてくる。
「これがあの、十六歳の春から苦しみに苦しみ抜いた揚句の果に -
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5人兄弟のリレー小説という形式の表題作「ろまん燈籠」を始めとした短篇集。
「ろまん燈籠」はとある5人兄弟がリレー形式で小説を執筆するのですが、物語の序盤で其々の性格や好みの文学について等の前情報があるので、その知識を踏まえて読むと「こういう風に繋げるのか、何となくわかる」「性格出てるなあ」など感じながら読み進めることが出来て面白かったです。5人其々に個性があるので、小説自体がどのような結末へ向かうのかという楽しみもありました。
其々異なった文体でロマンチックであったり怪奇的であったりと、ひとつの物語で様々な表現を試みた太宰の手腕にも驚きました。
「みみずく通信」では私の地元の新潟市を訪れた際の -
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ラズベリータルトみたいな一冊。溢れ出る激情の果汁が、さっくりした文体に乗っかって至極の風味を醸し出している。言い過ぎか。
激情ってのはなんだろう。上手く言えないけど嫉妬、憎悪、恋慕、人への憧れかな。共感できるテーマが多く編纂されていて、新ハムレットもあるし初めて太宰治を読むなら全集4がオススメかも。
きりぎりす
ろまん燈籠
みみずく通信(特にラストの一文)
清貧譚
千代女
新ハムレット
風の便り
恥
面白いのが本当に多かった。
なかでも新ハムレットは、まさに激情型。憎悪と愛情の交差。ここまで人を罵倒できる表現があるのかってぐらいに誰もが誰もを憎み、愛し、敬い、妬む。本作実は読んだことな -
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お中元でもらう高級お茶漬けセットみたいな1冊。食べ応えのあるもの、懐かしい味のするもの、新しい味のするもの、20篇以上の特色あるバラエティがアソートされてるので、すすすっと読めるうえ、どれも本当に風味が豊か。読みやすさ、親しみやすさにホッとする、そんな1冊だった。
全集2よりも気に入った短編が多かった。
全集2では人の優しさや温かさに触れる主人公の心情変化に主眼が置かれたものが多かったけれど、女性にフォーカスしたものと、太宰自身が生活を省みる自伝のような作品が収録されている。別にそんな他意なく編纂されてるんだろうけど。
畜犬談
皮膚と心
女人訓戒
駆込み訴え
老ハイデルベルヒ
善蔵を思う