太宰治のレビュー一覧

  • ろまん燈籠(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     太宰治 (1909-1948) は、中学時代から芥川文学に魅せられ、後に短編小説の名手となった。現代文学の先駆的作品が多く、長く新鮮さを失っていない。第一回芥川賞候補となったが、結果は次席。選考委員である川端康成に「作者、目下の生活に厭な雲ありて、才能の素直に発せざる憾みあった」と私生活を評された。太宰はこの選評に憤慨抗議した。彼にはマイナス思考の作品が多く、川端はそれを危うんだのではないだろうか。
     『雪の夜の話』(1944) は、「少女の友」に発表した作品である。少女の目から、東京の戦時下の風俗を描いている。次の文は、その一節である。

     「おれの眼は、二十年間きれいな雪景色を見て来た眼

    0
    2021年05月13日
  • 斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇

    Posted by ブクログ

    斜陽(2020/10/20)
    文豪・太宰治の作品。小説を読むのは数年振りかもしれない。
    終始暗いストーリーで、読んでて寂しくなった。難しい言葉が多く、海外の作家や作品も多く登場していて、作者自身の知性をすごく感じた。昔から読み継がれて今でも残っている作品だけあって凄かった(小並感)。

    0
    2021年04月29日
  • ヴィヨンの妻

    Posted by ブクログ

    表題作ヴィヨンの妻他四作品!

    伊坂幸太郎のバイバイブラックバードを読み、どうしても本作収録のグッドバイを読みたくなり購入!

    グッドバイを読んで、作者に死んでほしくなかった事と伊坂幸太郎がNICEな解釈と適度なアレンジでバイバイブラックバードが時空を超えた作品に仕上がっていたと思えた。

    他の作品で手紙形式のパンドラの箱 読むに連れて登場人物達がくっきりしてきて輪郭がハッキリしたところで終了!これももう少し読みたかった!
    結核患者のサナトリウム?小説

    ヴィヨンの妻はダメな夫に腹立つものの皆んなが幸せなら良いのかなぁ?とも思ったり思わなかったり・・・

    眉山は主人公達に金払えと言いたくなる!

    0
    2021年04月10日
  • 人間失格

    Posted by ブクログ

    最初の1文から一気に魅了されてとても面白かった。
    中学の時に何気なく買ったが、太宰治や夏目漱石なども読むようになったきっかけの本。

    0
    2023年10月25日
  • 惜別(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     太宰治の新潮文庫にある作品のうちこれだけ読んでなくて、死ぬまでには読まないとと思いながら、ずっと手が出なかった。これを読んだらもう新しい作品には出会えないと怖かったので。
     しかしこのご時世いつ死ぬか分からないからと、読む決意をしたのであった。

    「右大臣実朝」は「鉄面皮」で多く引用されていたので、読まないといけないと思ってた。しかも熱意をかけて書いていたことを知っていたから余計に。思ってたよりも難しくなくて、実朝の人間性の移り変わりがドラマチック。「駆け込み訴え」に似た感じと解説にはあったけど後半は特にそう思う。そして最後の引用で締め括るとこまで手を抜いているように見えて、全然いない(少し

    0
    2021年01月23日
  • きりぎりす(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    現代の24歳と言えば遊び盛りであろうに。昔の人は大人だなあと感じる。今の若者は子供が背伸びしてるからませてるって言われるわけだ。どっちにしても、24歳で世の中を語るには早すぎるのではなかろうか。おわかれは別として。

    0
    2021年01月19日
  • ヴィヨンの妻

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    トカトントン、何を表した音なのかはっきりとは説明できないけど、ふっと我に返って冷める瞬間は自分にもあるので共感して読めた。最後の一段落の意味するところを理解できるようになりたい。

    ヴィヨンの妻は、「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。」というラストらへんの台詞が心に残った。

    この短編集で意外にも一番好きだと思ったのは眉山だった。眉山が可哀想で。「ほかへ行きましょう。あそこでは、飲めない。」というラストらへんの台詞から「僕」の強い後悔に胸を痛める心情が伝わってきた。そこで店を変えてしまうのはなんだか卑怯にも思えるけれど、あえてそういう人間の弱さ狡さみたいなのを描い

    0
    2021年01月12日
  • 富嶽百景・走れメロス 他八篇

    Posted by ブクログ

     この短編集は太宰治の戦前に書いた短編を集めたもののようですが、東京八景と井伏鱒二の解説を読むとこの当時の太宰治の生き方がよくわかります。富嶽百景を描いた時の状況がわかって面白い。
     太宰治の本は、彼がどんな精神状態でどんな生活をしながら描いたものであるか分かると、より面白く読めます。

    0
    2021年01月11日
  • きりぎりす(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「きりぎりす」
    こういう芸術家気取り、居るよなぁという感じ。
    妻が、芸術家の夫の欺瞞に満ちた本質を暴く。
    そこには時代を超えたリアリティがある。
    好きです。

    0
    2021年01月10日
  • ヴィヨンの妻

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    詩人の妻が借金返済のために働き始め、それによって生きがいを見出していくお話。

    斜陽に比べて短くて読みやすかった。ヴィヨンとは15世紀のフランスの詩人、フランソワヴィヨンのことだと考えられ、主人公の夫が詩人であることから引用されているものと考えられる。
    作品内で主人公の名前が明かされることがなく、これは主人公が自分の役割に対してしか価値が見出せず、自分自身の存在の無価値さのようなものを悟っているからなのかなと感じた。

    0
    2021年01月05日
  • 斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇

    Posted by ブクログ

    タイトルの他に、ダス・ゲマイネ、満願、富嶽百景、葉桜と魔笛、駆込み訴え、トカトントンを収録。豪華。
    正直、太宰治は何で人気なのかわからない勢だったんだけど、これだけ一気に太宰ワールドを堪能するとさすがという感想。

    0
    2020年12月24日
  • お伽草紙(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    太宰治の悲痛な感じは弱く楽に読める
    理屈っぽい面倒くさい持論を展開してて青さも感じる
    昔話をちゃんと読んだことがなかったから、
    昔話話自体の理解も深まって良かった
    1番好きなのは、浦島太郎の亀かな

    0
    2020年12月10日
  • 惜別(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    惜別
    (和書)2011年03月30日 15:17
    1973 新潮社 太宰 治


    太宰治さんはこういった作品も書いているのですね。知らなかったです。

    意外と良い作品でした。

    0
    2020年09月27日
  • 走れメロス

    購入済み

    メロスという人間は,突っ込みどころ満載である。
    確かに正直で誠実な男であり,絶対に真似できない。
    でも,リスク管理ができていないし,常に感情の赴くまま,全部自業自得なところがある。
    ラストのくだりは面白かった。
    セリヌンティウスは繊細な優しさに溢れる男に違いない。

    0
    2020年08月20日
  • 斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇

    Posted by ブクログ

    さすが太宰治。

    引き込まれる。
    生きることが下手な男が、恐怖と不安に負けながらも
    やっとの思いで生きた話。

    心が弱くて、様々なものに依存してしまう。
    酒、女、睡眠薬、モルヒネ…。

    「恥の多い人生を送ってきました。」

    「世間とは一体なんだ?誰を気にしているのだ。
    それは個人ではないか。」

    このフレーズが印象的です。
    女にとって罪な男。でも憎めない。
    面白い。

    共感できる。

    0
    2020年08月20日
  • お伽草紙(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    太宰治にかかると、子供のためのおとぎ話が、人間の生き方や深層心理を描く心理小説になってしまうのか。確かに採択されたお話はどれも一癖ある噺であり、素直に面白かったと終わるより、引っ掛かりのある噺である。かちかち山は特に男女の仲の恐ろしさを描くホラーとして優れている。

    0
    2020年08月09日
  • 斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇

    Posted by ブクログ

    「斜陽」、眠れない夜に一気に読んでしまった。やっぱりすごいよね。
    前読んだのがいつか覚えていないくらいだけど、下手したら20年くらい前だけど、それでもなんとなく覚えている表現はあって。
    読ませる力があるなあと思う。

    0
    2020年06月23日
  • 晩年(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    全体的に、ものすごく前衛的で、語り手である自分に批判的で、詩的で、難解なフランス文学を思い出した。

    「魚服記」は結末の意味がわからず、父親に犯されたという解釈を読んでなるほどなぁと思うと同時に何だか後味が悪かった。
    「列車」は人間の心理が深く描かれている作品だなぁと感嘆した。
    「地球図」はただシロオテに同情。悲しい話だった。純粋な信仰心に感動。
    「猿ヶ島」は冒頭の描写にまんまと騙されて、自分が見物されている側だったというオチをまさに体験した。
    「道化の華」は、一人称と三人称が交錯する型破りな形式で、こちらが恥ずかしくなるくらい己を曝け出し自己批判に終始していたが文章が美しくて惹き込まれてしま

    0
    2020年06月18日
  • 人間失格 グッド・バイ 他一篇

    Posted by ブクログ

    40年以上経って再読した『人間失格』は、10代の頃とは全く違ったところに刺さってくる。
    太宰治の真の凄まじさに気付いたのか、自身の経年による部分的な鈍化が明らかになったのかは不明。
    数十年後にもう一度読むとその答えに近づくかもしれない。

    0
    2020年05月04日
  • 晩年(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    太宰治の作品を読むのは「人間失格」に次いで2度目。
    15篇の短編に登場する男たちそれぞれに著者自身が投影されていて、全部を読み切ってはじめて彼の人物像が浮かび上がってくる。
    彼の人並外れて過剰な自意識とナルシシズムに垣間見える普遍的な人間臭さに読者は魅了されるのかもしれない。

    0
    2020年04月24日