太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレかなり集中して読まないと100%楽しむのは難しい。太宰治と行く!津軽探索、そして酒。といった感じの一冊。
内心、小説らしい物語を期待していたから、少し残念な気持ちも無くはないが、全体的に面白かった。酒を求めて歩き回り、太宰治の故郷を作者自身の目で体感できたことは面白かった。
ただ、自分が津軽に対してイメージする事が難しく、綺麗な風景や何もない長屋が並んだ村など、戦時中の津軽はこんな感じなんだと思いながら読んでいた為、感動も薄かったかもしれない。
人に慣らされた景色、人の匂いのする景色。この表現はとても秀逸だ。どれだけ綺麗な場所であっても、観光客が押し寄せ、たくさんの人の目に晒されるほど、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人間、特に日本人が薄ら感じ、考えていることをここまで突き詰めているのは凄まじいと思った。道化を演じる、他人の素性への無関心、父親への懐かしみと恐怖など激しく共感できる部分があったが、大ベストセラー小説というのもあって、読んでいる時の自分の感情を少し冷めた目線で見てしまうところもあった。正直、科学がより身近になった現代で、この小説が悩みのための「お薬」になることはなかった。シンプルに体を鍛えようと思ってしまう。太宰治がこの小説を書く時どのような感情が強かったのだろう。虚栄心、羞恥心は容易に想像できるが、芸術や小説そのものを壊してやろうという気概はあったのだろうか。彼の人生観と密接にリンクしている
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Posted by ブクログ
人と付き合う上で誰しもが少なからず道化を演じることがあると思うが突き詰めるとこうなるのかと感じることが出来た。
整った顔のおかげもあり次から次へと女と交わるが、忽然と姿を消したり共に心中を試みてはを繰り返す様は中々に酷いと感じた。
女性は魅力的な人物が多く登場したが、自分は純粋無垢なヨシ子の人物像が好きだった。
後半にかけては金が尽きては家内のものを質屋に入れ手に入れた金で酒を飲み、挙句の果てには薬にまで手を出した様子はまさに"人間失格"の様に感じた。
繊細に記された自身の堕落していく様子は先日読んだろまん燈籠と同じ作者のものとは思えずまた違う太宰の人間性を知ることが -
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津軽の近代風土記。太宰の津軽回想録と冒険譚。
太宰自身、本書を書く上で、津軽の歴史を勉強していることが窺え、資料の引用部分が冗長に感じるほど長く、頻繁にある。故に読みづらい箇所が多く、小説として読むにはかなり時間がかかるのではないかと思う。その部分は非常に面白くない。この部分は津軽に興味のある人でないと読めないのではないかと思う。太宰の回想部分や冒険譚で、ようやく太宰節が出てくるように感じがする。
また、他の太宰の作品に比べて、本書の太宰の筆致はかなり明るい。(といっても相対的に明るいというだけではある。)太宰の精神状態は常に病んでいると思っていたが、比較的健康な状態で書いたことはすぐにわ -
Posted by ブクログ
読むのに時間がかかった。
昔の言葉遣いに慣れていないということもあるが、ものの言い回しがめちゃめちゃ遠回しで言ってくることにあると思う。長い時は半ページも言い回しに使っていたこともあった。後半は、それにも慣れてきてスイスイ読めたと思う。
内容については、はしがきとあとがきの使い方が上手だと感じた。物語の本編などにあまり関係しないものの上手く全てを包んでいる感じがした。本編は、葉蔵の最初は人間を真似ていたが、最後には人間でなくなってしまった。からのタイトル回収が気持ちよかった。ほとんどの葉蔵の気持は共感できなかったが、何事も個人なのだという部分には共感できた。
内容は難しくて、頭に入ってきづ