太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
パンドラの匣、トカトントン、ヴィヨンの妻、眉山、グッド・バイ
どれも好きな作品。
パンドラの匣:
友人への書簡の形式になっている。書き手は結核患者であり死を感じずにはいられないが、書き手は嬉々としたり落ち込んだり苦悩したり感情豊か。彼は生きているのだ、ということが伝わってくる。
同室の登場人物も看護婦とのやりとりもなんだかさわやか、ほがらか。しかし、背景は隔離された健康道場であることを思い出すととたんに、そこは幻想で、暗い死にとつながっている感じもする。
トカトントン:
無気力になる瞬間を「トカトントン」という音であらわす。
わかる。そういう瞬間がある。
ヴィヨンの妻:夫は -
Posted by ブクログ
時代としては太平洋戦争中、
太宰文学としては中期後半に書かれた
長編二作が収録。
「右大臣実朝」は、
源頼朝と北条政子の子として生を受け、
年若くして征夷大将軍となり、
28歳で甥の公暁に暗殺される源実朝の半生を、
その死によって源氏の将軍は
三代で途絶える事となった悲劇の年若き権力者の姿を
傍で仕えた従者の視点から語った作品。
謀略や抗争といった血生臭い場所に身を置き、
自身の破滅、源氏の破滅に向かって静かに進みつつも、
真の貴族であり、「金塊和歌集」などを生み出した
優れた歌人であった実朝。
「アカルサハホロビノ姿デアロウカ。
人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。」
そんな彼の発する -
Posted by ブクログ
何年か前に、文学を読もうと思って買ったのに、読んでいなかった本。2年くらい前かな。
09年3月19日15時2分26秒より更新
直治の自殺の告白の遺書は、こころに出てくる先生の告白に似ている。
辞書を見ながら読んだので時間はかかったが、読んでいていろいろ感じた。
まず、お金について。お金がないと生きて行けないと思った。・・小説を今まで読んでこなかったので、こんな凡庸かつ的外れなことしかかけなくて情けない。
直治の気持ちに少し共感を覚えながらも、自分もそうなるのではないかと思い怖くなった。
太宰治昇天:
これもとても興味深い。行き詰まりなどないのにそういう言葉で一括りにしてしまう