太宰治のレビュー一覧

  • 富嶽百景・走れメロス 他八篇

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    資産家に生まれたことの原罪意識があるのか、いかにも的なものへの拒否が下流文士として、地の底を舐めるような作品を産む。

    美しいものを美しいという不自然さに顔をしかめる反面、穢れや裏切りに対する潔癖。
    芸術は私だと言わせるのはそれだけ謙虚な証しでもある。

    強いてあげるなら、「魚服記」「満願」「富嶽百景」「駆け込み訴え」「きりぎりす」「東京八景」

    中でも「東京八景」は私には渾身の一作に思える。

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    2023年04月19日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    東京に暮らす一人の少女。
    彼女のある1日の心の動きを描く。

    繊細なようで図太い。
    猫のように気まぐれで子リスのように臆病、万華鏡のように気分が移ろう少女。
    これぞ思春期って感じがした。

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    2023年04月13日
  • 乙女の本棚3 葉桜と魔笛

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    何度か読んだことがある太宰の『葉桜と魔笛』。
    病床に臥している虚弱な妹のために、姉が文通相手のふりをして手紙を書いてあげる、しかしその文通相手がそもそも妹のつくりあげた架空の人物、という胸がギュッとなるような切なさを超えて、姉妹愛が麗しい。お庭の葉桜の奥からきこえてくる軍艦マアチの口笛は、どのような音色だったんだろう。新緑に目を細めたくなるような、眩くてやさしい短編です。

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    2023年04月27日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    よく、こんな話思いつくものだ。ぼんやり電車を待つ事は、あるが。山で最終列車に乗り遅れ、駅で一晩過ごした事がある。こんな内向的な気持ちには、なれないが、ストーリーとしては、面白し。

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    2023年04月06日
  • 惜別(新潮文庫)

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    読書会のため。課題は『惜別』なんだけど、ついでだから『右大臣実朝』も読んだ。太宰って、憑依が得意だな。

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    2023年03月27日
  • 晩年(新潮文庫)

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    ネタバレ

    昭和十一年刊行の太宰治の処女作品集。

    以前、別のアンソロジーで「富嶽百景」を読んだとき、自分がどう見られているのかをすごく気にする人だと感じたが、それは本書収録の作品にも直截的に書かれている。また、(意識的か苦しまげれかはさておき)小説の筋をいったん止めて作者自身が説明や言い訳をしたり、とりとめのない文句をコラージュ的に並べて雰囲気を演出したり、または箴言めいたことを書いてみたり、気取っていて自意識が非常に強い。解説には二十三、四歳のころに書かれたとされているので、そうなるのも当然ではあるのだろうけれど、いま一歩作品に入り込めない。思春期に読んでいれば、また印象は違ったのだろうとは思う。

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    2023年03月20日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    人付き合い・人間関係の息苦しさ、開戦後の閉塞感とぼんやりとした焦燥と不安。
    待っているのは人か、平和か、とにかく自分や社会を含む周囲を現状打破してくれるなにかか。
    いつの時代も共通の人との関係から回避したい気持ちに、今はウクライナ情勢やコロナ後の変化していく社会への漠然とした不安が、なんとなく重なって、おそらくこの作品執筆時とは違う共感?があった。
    今井キラさんの繊細で、作品の物憂げな世界観にあったイラストが素敵。

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    2023年03月15日
  • 富嶽百景・走れメロス 他八篇

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    太宰治が女子中学生の目線で書いたという事、若手女優南沙良さんの愛読書だという事を同時期に知って読んでみたくなった「女生徒」。時代もあるのでしょうが、身体も意識も大人になりかけの女子特有(?)の〝大人はきたない、いやらしい、恥ずかしい“という気持ちがよく描かれていて、そう感じてるんだなぁ、と納得する反面、本当にそんなもんなのか?とも思ってしまった。

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    2023年03月01日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    読んでる間は酒飲みの登場人物や風刺的な内容に辟易するし読後感も良くはないけど、読み終わってみると面白かったと思う
    文章がうまくて読みやすい
    たずねびと、冬の花火、春の枯葉、メリイクリスマス、フォスフォレッセンス、饗応夫人、美男子と煙草が好き

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    2023年01月17日
  • 太宰治 電子全集1

    匿名

    購入済み

    有名どころを集めた、代表巻と言える。この中では、走れメロスはもっとも太宰らしくないが、名作として人口に膾炙してしまっているので仕方ない。

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    2023年01月14日
  • 二十世紀旗手(新潮文庫)

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    「二十世紀旗手」という
    華々しいタイトルに反して
    太宰の苦悩や混乱が
    感じられる
    読みづらいけど
    文章のリズムとか表現には
    ハッとさせられる

    古本屋かえりみちにて購入 

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    2022年12月25日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    「わあ! 何というゲスな駄じゃれ。全く、田島は気が狂いそう。」

    舞台を先に観た。やっぱり著者の終末も見たいな

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    2022年11月21日
  • 太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ

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    女性主人公はそれぞれ個性的なのに、男性主人公は皆作家本人を投影したような色白なよなよ文学青年なのはなぜなんだ。当時の若い読者はそういうタイプがお好きだったんだろうか。

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    2022年10月25日
  • もの思う葦(新潮文庫)

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    太宰の評論を初めて読んだ。
    気付かされる言葉が多く、たまに読み返して、その言葉を思い出したいと感じた。

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    2022年10月18日
  • 桜桃

    購入済み

    人の世界はめんどくさい

    私は人付き合いや生きること自体を面倒だと感じる性分なのですが、桜桃を読んだ感想もやはり此処にたどり着きました。

    社会を構築して生きる人間は様々なしがらみに縛られ、身動きが取れなくなる。
    心がまた厄介で長く生きるほど消耗していく。

    親の方が弱いというのは、心に余裕がなくなっているからだと思いました。

    そして桜桃の主人公が人間失格の主人公と酷似しているようにも感じました。
    是非とも人間失格と一緒に読んでみてください。

    #シュール

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    2022年09月13日
  • ろまん燈籠

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    5人の兄弟姉妹が順に物語を繋いでいく体裁になっているが、5人それぞれの性格や性別で「なにをハッピーエンドと捉えるか」が異なる表現をされており(特に男女で真逆になっている)面白いなと思った。

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    2022年08月29日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    ようやく購入できた本の一冊。

    乙女の本棚シリーズの「女生徒」

    物語が素敵なイラストとコラボレーションして、より一層イメージが付きやすい。


    「私」と同じ時代を経たことですべてではないけど、共感しやすいなと感じた。

    この本に描かれている「私」の想いや、感情が切なく、悲しく、時に心温まる。

    もどかしさや、自分の中では処理できないどうしようもない感情。

    どれも自分で感じたことのある感覚。


    思っていたほど、読みにくくなくさらっと読むことが出来た。

    イラストもとっても素敵で物語の雰囲気がより感じられた。

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    2022年08月21日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    シェイクスピアのハムレットを読んだことがないので比較は出来ないが、それでも太宰の人生観や恋愛観を登場人物たちが代弁していることは伝わって来た。当時としても斬新な手法だったらしく太宰の気合いを感じる勢いのある作品だった。

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    2022年08月17日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    ネタバレ

    古典風・女の決闘・乞食学生・新ハムレット・待つ、の5編からなる、太宰治中期の作品を集めた本。
    待つ、を目的に買ったけど、どれも面白かった。
    特に乞食学生と新ハムレットがよかった!

    「乞食学生」は、裸の学生が川を流れていくっていうインパクト抜群の出だしですでに心掴まれた。
    全盛期が学生時代で後は人生下り坂って人は、 過去の栄光にしがみつきたくて、延々と昔の話ばかりしがちだよね。
    というのが読後の感想。

    「新ハムレット」は、戯曲風の小説で、読みやすかった。
    改めて太宰治は、女性の心情を表現するのが上手いなぁと思った。
    シェークスピアが書いた方のハムレットも見たいし、 舞台もあれば行きたい!

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    2022年08月01日
  • 二十世紀旗手(新潮文庫)

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    『晩年』の作品群と似た雰囲気をもっている。
    モラトリアム期の懊悩を抱えたことがある人なら、なんとなくこの太宰作品群のもつ雰囲気にそれを感じとり、自分が書いたわけでもないのに何だか恥ずかしいような気持ちになるのではないか。
    懊悩しながらあっちへいったりこっちへきたり、その勇ましくないクネクネのなかに、ふと美しいワンフレーズや、それはそうだよなと頷くような一文が現れてきます。

    中学生の頃は、なんだかつらつら長々とまとまりのないことが書かれているなかに、むやみに魅力的な一節が出てくるなぁという印象だったが、30代の今読むと、つらつら書かれているようにみえて実はリズムよく計算されていることがわかる。

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    2022年08月03日