太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ昭和十一年刊行の太宰治の処女作品集。
以前、別のアンソロジーで「富嶽百景」を読んだとき、自分がどう見られているのかをすごく気にする人だと感じたが、それは本書収録の作品にも直截的に書かれている。また、(意識的か苦しまげれかはさておき)小説の筋をいったん止めて作者自身が説明や言い訳をしたり、とりとめのない文句をコラージュ的に並べて雰囲気を演出したり、または箴言めいたことを書いてみたり、気取っていて自意識が非常に強い。解説には二十三、四歳のころに書かれたとされているので、そうなるのも当然ではあるのだろうけれど、いま一歩作品に入り込めない。思春期に読んでいれば、また印象は違ったのだろうとは思う。
ど -
Posted by ブクログ
ネタバレ古典風・女の決闘・乞食学生・新ハムレット・待つ、の5編からなる、太宰治中期の作品を集めた本。
待つ、を目的に買ったけど、どれも面白かった。
特に乞食学生と新ハムレットがよかった!
「乞食学生」は、裸の学生が川を流れていくっていうインパクト抜群の出だしですでに心掴まれた。
全盛期が学生時代で後は人生下り坂って人は、 過去の栄光にしがみつきたくて、延々と昔の話ばかりしがちだよね。
というのが読後の感想。
「新ハムレット」は、戯曲風の小説で、読みやすかった。
改めて太宰治は、女性の心情を表現するのが上手いなぁと思った。
シェークスピアが書いた方のハムレットも見たいし、 舞台もあれば行きたい!
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Posted by ブクログ
『晩年』の作品群と似た雰囲気をもっている。
モラトリアム期の懊悩を抱えたことがある人なら、なんとなくこの太宰作品群のもつ雰囲気にそれを感じとり、自分が書いたわけでもないのに何だか恥ずかしいような気持ちになるのではないか。
懊悩しながらあっちへいったりこっちへきたり、その勇ましくないクネクネのなかに、ふと美しいワンフレーズや、それはそうだよなと頷くような一文が現れてきます。
中学生の頃は、なんだかつらつら長々とまとまりのないことが書かれているなかに、むやみに魅力的な一節が出てくるなぁという印象だったが、30代の今読むと、つらつら書かれているようにみえて実はリズムよく計算されていることがわかる。