太宰治のレビュー一覧
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構造主義以前?
構造主義、というのは確か、作家の出自や人生行路や人間性を考えずに、作品のテクストそのものだけから批評しよう、というものだったかと思うが、それを訴えている文章、という気がする。が、多分動機は「自意識から自由になりたい」というもので、読者にと同時に、自分に言い聞かせているのであろう。
「沈黙するな。自意識に埋もれるな」と。いつももがいている人、太宰。 -
Posted by ブクログ
戦時中の太宰のマイナー作品群。
比較的、マイナー。
戦争の流れの中で逆らわず。しかし、疑問は大きく抱いているが、そんなものは大々的に出せない。つまり、後世から帝国の太鼓持ちと呼ばれてしまう一因が集積された作品群である。
映画風立ちぬを見てから、戦争に加担する人々を責められない。なぜなら反抗すれば死ぬのだ。文学者は人で、聖人ではない。戦後世代が、彼らを責める資格があるのか、私にはわからない。読者と同じように世相に苦しんで、滅びゆく日本と共に生きただけでいいのではないだろうか。
にしても、太宰が女性の視点やるのはうますぎて鼻につく。
大いなる文学のために
死んでください。
自分も死にます。
この -
Posted by ブクログ
「太宰というのは、死にたいという思いと、やっぱり生きてみようと思わせる出来事との葛藤で作品を作っている人で、この背反する二つの要素の比率によってそれぞれの作風が異なって見えるのである。」という解説になるほどーと思った。
この本の中の作品では、「死にたい」方に傾いているものとして、「秋風記」が、「生きてみるか」の方に傾いているものとして「新樹の言葉」「愛と美について」「ろまん燈籠」「女の決闘」「古典風」「清貧譚」として分けることができるという。
「死にたくなった?」
「うん」
という会話がさらっと交わされる「秋風記」が好き。
ぐだぐだと自分を曲げることができない主人公の「清貧譚 -
Posted by ブクログ
ヤク中と自殺未遂という地獄の時代から這い上がろうと懸命にあがいていたころの作品中。
なんか、まだ精神病んでるせいか、やっつけな作品が多い気がする;
『懶惰の歌留多』とか『火の鳥』は、完全に途中放棄してるでしょ。特に後者は完成していたら太宰作品のなかでも結構名作になったと思うのにな~もったいない。
いくつか印象に残った作品についてメモする・
『秋風記』 人妻Kと自称・不良少年の主人公が旅館で心中しようとする話。太宰ってこの手の自殺未遂もの多いよね。。自身の体験をもとにしてるんだろうけど憂鬱になってしまう
『新樹の言葉』 故郷で世話を受けた乳母の子供たちと異郷の地で再会する話。
「投げ捨てよ