太宰治のレビュー一覧

  • 一歩前進二歩退却

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    構造主義以前?

    構造主義、というのは確か、作家の出自や人生行路や人間性を考えずに、作品のテクストそのものだけから批評しよう、というものだったかと思うが、それを訴えている文章、という気がする。が、多分動機は「自意識から自由になりたい」というもので、読者にと同時に、自分に言い聞かせているのであろう。
    「沈黙するな。自意識に埋もれるな」と。いつももがいている人、太宰。

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    2014年09月01日
  • 一日の労苦

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    独り相撲

    内心をただ書き連ねた文章。一応「小説家らしい心構え」が見えてはいるが、特に面白みがあるわけではない。太宰ファンだけが読めば良いもの。

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    2014年09月01日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    「僕の帽子は、決して小さいほうでは、ありません。」熊本君はもっぱら自分の品物にばかり、こだわっている。「僕の頭のサイズは、普通です。ソクラテスと同じなんです。」
    2014/08/29-09/14

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    2014年09月23日
  • ろまん燈籠(新潮文庫)

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    戦時中の太宰のマイナー作品群。
    比較的、マイナー。
    戦争の流れの中で逆らわず。しかし、疑問は大きく抱いているが、そんなものは大々的に出せない。つまり、後世から帝国の太鼓持ちと呼ばれてしまう一因が集積された作品群である。
    映画風立ちぬを見てから、戦争に加担する人々を責められない。なぜなら反抗すれば死ぬのだ。文学者は人で、聖人ではない。戦後世代が、彼らを責める資格があるのか、私にはわからない。読者と同じように世相に苦しんで、滅びゆく日本と共に生きただけでいいのではないだろうか。
    にしても、太宰が女性の視点やるのはうますぎて鼻につく。

    大いなる文学のために
    死んでください。
    自分も死にます。
    この

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    2014年08月20日
  • 二十世紀旗手

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    立続けに二度読みました。
    二度読んで、本を置き、腕を組み、ソファに深々座り直し、首を傾け、んーむと唸り、やはりもう一回読み直してみようかと考え始めた、今丁度この辺りです。
    太宰文学11作目にして最も難解、万華鏡のように様変わりする情景を追いかけるだけで必死の体でした。
    ただ、悩み苦しみ抜いている心情を、ひねくれ者らしい視点で吐露しているのだろうなぁ、という意図らしきものが透けて見えた気はしています。
    とすれば、ギリギリの精神状態で書き殴ったのだろう作品でこれだけ読ませてくれる作者は物凄い。
    やはりもう一回読もうか。

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    2014年08月14日
  • かくめい

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    落書き

    自分が中学生か高校生の頃にしていた落書きと、似たような感じ。太宰もこんな凡庸な落書きをしていたんだな…という感慨がある。

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    2014年08月11日
  • 惜別(新潮文庫)

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    右大臣実朝がけっこう読みにくい。
    自分のあほさ加減を知る。
    それに比べると惜別は読みやすくはなる。
    が、私にはそこそこの面白さ。

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    2014年06月30日
  • 畜犬談

    Posted by 読むコレ

    氏のユーモアが現代でも通じるものなのか、現代のユーモアが太宰文学から着想を得ているのかは定かでありませんが、少なくとも笑いのツボをよく押さえてあるなぁと感心させられる短編です。
    作中の主人公は犬を恐れ、生活の中での脅威を切々と訴えていきますが、その様子を擬人化し大袈裟に表現していく描写が兎に角可笑しい。
    と同時に現代の我々でもこういった話法を良く使う事を考えると、氏のセンスの先見性には驚かされるものがあります。
    尚この主人公、結構酷い奴ではありますが、ラストでは犬好きの方でも多少は溜飲を下げられるのでご安心を。

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    2014年05月03日
  • 女生徒

    Posted by 読むコレ

    小説にはターゲットがあり、読み手もそれを見越して入手するのだと思います。
    過去の名作という触れ込みだけで純文学に手を出す場合、それが何処に在るのかを読み切れず苦労する場合もありますが、本作は表題と1ページ目でピンときました。
    ここで狙われているのは女生徒等と縁遠く理解し難いと感じている存在、つまり我々(中年男性)なのでは。
    事実、本書の主人公はホトホト不可思議で興味が尽きません。
    その目まぐるしく変化する女生徒の思考に翻弄され、夢中で頁を捲らされる哀れな男の姿を、作者も草葉の陰でニヤついている事でしょう。
    畜生め。

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    2014年04月20日
  • 斜陽

    Posted by 読むコレ

    恐らく初読。
    女性として(当時の時代背景から鑑みる)通り一遍の幸福を得ることが出来なかった30歳直前の主人公が、最後の貴族と評される母親の時代の移り変わりや病に翻弄される姿を目の当たりにし、型通りの女性像から脱却の為の「最後の戦い」を決意し挑むまでの心の流れが描かれています。
    氏の後期の作品と知っているだけに、登場人物がすぐに死にたくなるのと、新しい女性の価値観がダメダメ作家を赦すという展開についつい穿った見方をしてしまって反省しきり。
    素直に読めば古いしきたりからの脱却は年代不変のテーマで大変面白かったです。

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    2014年04月14日
  • ろまん燈籠

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    「太宰というのは、死にたいという思いと、やっぱり生きてみようと思わせる出来事との葛藤で作品を作っている人で、この背反する二つの要素の比率によってそれぞれの作風が異なって見えるのである。」という解説になるほどーと思った。

    この本の中の作品では、「死にたい」方に傾いているものとして、「秋風記」が、「生きてみるか」の方に傾いているものとして「新樹の言葉」「愛と美について」「ろまん燈籠」「女の決闘」「古典風」「清貧譚」として分けることができるという。


    「死にたくなった?」
    「うん」
    という会話がさらっと交わされる「秋風記」が好き。

    ぐだぐだと自分を曲げることができない主人公の「清貧譚

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    2013年11月25日
  • 新樹の言葉(新潮文庫)

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    表題作ほか14作品を収めた新潮文庫です。
    どれも太宰さんが30歳から31歳頃のお話みたいだよ。

    あえて印象深かった作品をあげるとしたら『美少女』かな…。
    皮膚病に効くと言う温泉に行ったら、混浴の湯船のなかにすっごい美少女がいて、これまたナイスバディで「いいものを見た♪」ってゆ~お話。
    味がありました(笑)

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    2013年09月25日
  • 地図―初期作品集―(新潮文庫)

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    ここに収められる作品のほとんどは太宰が中学生・高校生だった頃の作品。10代の頃の作品が、全集ではなく文庫として出版されるとは……太宰がいまだに現代のトップランナーであるか、その人気がわかる。

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    2013年09月02日
  • 津軽通信(新潮文庫)

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    黄村先生シリーズを初めて読んだとき、これ本当に太宰の作品?というほど新鮮な気持ちになった。それでもサービス満天のユーモアが溢れている。「酒の追憶」は太宰が自殺する3ヵ月前に書かれたと知って、最後の最後まで読者に対してユーモアを忘れなかったと思わせる。自分の作家道を貫き通した太宰に感服。

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    2013年09月02日
  • もの思う葦(新潮文庫)

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    「如是我聞」の志賀直哉批判がすごい……ちょっとやり過ぎじゃないと思ってしまう。伝統的なものに対しての反発の意気込みが伝わる。

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    2013年09月02日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    「乞食学生」のラストで大笑いした。夢の中とは言え、酔っ払って何してんの?しかも二人逃げてるし。ユーモアたっぷりの作品。表題作は登場人物の心の底が、まさに太宰という感じで深められている。一人一人、エゴを持っていて、誰が悪人なのか、いや、皆悪いところを持っている。

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    2013年09月02日
  • 惜別(新潮文庫)

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    もう滅ぼうとしているのを自覚しながら、ならば明るく滅んで見せようという実朝は太宰の憧れだろう。最後の最後まで弱音を出してグズグズせず、静に微笑みでも浮かべながら、終わりが来るのを待つ。現代でもこの理想化された実朝に魅せられるのではないか。

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    2013年09月02日
  • 津軽通信(新潮文庫)

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    太宰さんの戦後の短編シリーズを収めた新潮文庫です。
    新潮文庫は文字が大きく、行間が広いので読みやすいのだ。

    太宰さんって実はけっこう優しい人だったのかな…って思えるお話が多かったです。

    太宰さん初心者よりも太宰さん中級者向けの1冊かな。
    らじはもう中級者のつもりだけどね(笑)

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    2013年08月22日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    表題作のほか『古典風』『女の決闘』『乞食学生』『待つ』が収録されている新潮文庫です。
    新潮文庫は文字が大きくて読みやすいので好きなんだ(笑)

    太宰さんの作品では『女の決闘』が高評価って聞いたことがあるから期待して読んだんだけど、らじ好みではなかったよ。
    不倫相手の女学生さんが奥さんに撃ち殺され、奥さんが絶食して自殺するほどの価値が この旦那さんにはないような気がして(二人の女性もそのへんはわかってたんだけど…)パサパサした感じのお話でした。
    表題作は良かったけど、最後がバサっとした感じで終わっちゃって残念。

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    2013年08月08日
  • 新樹の言葉(新潮文庫)

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    ヤク中と自殺未遂という地獄の時代から這い上がろうと懸命にあがいていたころの作品中。
    なんか、まだ精神病んでるせいか、やっつけな作品が多い気がする;
    『懶惰の歌留多』とか『火の鳥』は、完全に途中放棄してるでしょ。特に後者は完成していたら太宰作品のなかでも結構名作になったと思うのにな~もったいない。

    いくつか印象に残った作品についてメモする・

    『秋風記』 人妻Kと自称・不良少年の主人公が旅館で心中しようとする話。太宰ってこの手の自殺未遂もの多いよね。。自身の体験をもとにしてるんだろうけど憂鬱になってしまう

    『新樹の言葉』 故郷で世話を受けた乳母の子供たちと異郷の地で再会する話。
    「投げ捨てよ

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    2013年05月21日