• 千年後の世界

    続きが欲しい

    大変面白い。着想も切り口も見事だ。流石は海野十三。然し、何故に短篇? 十分に長編になるべき、卓抜なアイディアなのに。著作権もフリーな事だし、誰か続きを書いてくれ!

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  • 二人の盲人

    もっと掘り下げられるのに

    随分アッサリと終わったのに驚いた。様々の可能性を放棄した結末だ。
    やはり一人称視点にこだわって行くと、描写の範囲が狭くなってしまうのかな?

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  • 反逆

    取り敢えず勇ましい

    マア内容的には、必ずしも褒められない気がするが、それなりに勢いよく読み易いです。
    どうも拙者は、被害者意識で他人を非難する人は、好きになれないなぁ。

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  • 舌打する

    み、短い……

    多分小説の、冒頭だけの断片でしょうね。

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  • 睡魔
    ネタバレ 購入済み

    機動警察パトレイバー劇場版

    の、元ネタか知らん、と思う様なお話。他愛も無いけど、よくまとまってます。
    よくまとまりすぎて、大山鳴動して鼠一匹、の観も有りますが。

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  • 特許多腕人間方式

    作者お得意の

    ユーモラスな科学小説である。屈託無く、ウィットに富んでいる。後世の星新一氏と、似た雰囲気がある。

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  • 犯罪

    やっぱり似ている

    この人はどうも似ている。つげ義春に。最初に読んだ『機械』にしてからがそうだった。狭苦しい工場の中での、貧乏くさい抗争。それは実際に工場で働いている私にも共感できる程度に、よく描写されていた。そして価値観の不毛を感じさせる作風。つげ義春の同類と言うに十分ではないか。
    そう思っていたら、今度は鳥である。そのうち石を売ったりなどするようなら、同一人物とみなしても差し支えなかろう(あるか)。

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  • 冬の蠅

    相も変らず病んでいる

    この人の『檸檬』は傑作だ。紛れもなく傑作だと思う。それは、病み果てた主人公の心理が克明に描写され、絶望的な風景に終始しながらも、彼がすがっているささやかな癒しや明日への希望が、檸檬その他の小道具でもって象徴されているからだ。
    が、この作品にはそれがない。代わりに蝿。主人公は自分自身の病いと陰鬱に戯れながら、ますます自分を傷つけて、死に向かって堕ちて行く。その自分が蝿に思える……。これは、何と言うか、ただの甘えである。とうてい『檸檬』には及ぶべくもない。作者の関係者からしたら「折角療養に出してやったのに、歩き回ったり酒飲んだり女郎買いしたり、治る気があるのか!」と言いたくなる事必定であろう。
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  • 脳波操縦士

    思いの外興味深かった

    1938年の発表だから、戦前である。原爆も原発も、影も形もない時代。その頃に、この様な発想で書かれた小説が有ろうとは、考えてもみなかった。
    脳波とういのは、つまりは微弱な電波である。ならばラジオコントロールで模型が動く様に、脳波コントロールで機械を遠隔操作することも出来る……。あれから約80年。我々は未だ、家電を脳波コントロールする生活をしていない。脳波ほどの微弱な電波で操縦する機械が、他の電波に操られて暴走しないかと考えると、そういう時代の訪れるかどうかは疑わしいが、もしそういう時代になったら、果たして我々は、この蘭郁二郎という作家を、思い出すのだろうか?

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  • 夢鬼

    美女と野獣との絡み合い

    2・26事件の、少し前頃に書かれた小説である。読んでいてどうにも、江戸川乱歩の影がちらつく。醜い容貌のコンプレックスに押し潰されていた少年が、ボーイ・ミーツ・ガールによって成長し、しかしまたコンプレックスに捕まって堕ちてゆく。美少女は醜い心を持っているが、それゆえに蠱惑的で、少年が虜になってしまう心理に説得力がある。曲馬団の芸や、飛行機の描写も活き活きしていて、作者の力量は高い。他の作品も読みたくなった。

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  • 私はかうして死んだ!

    衒気満々なところが

    いかにも昔風である。新機軸を見つけたぞ、どうだ! という衒いと稚気が可愛らしい。読んで仕舞えば大したことも無いのだが、題名だけで、結構ワクワクしてしまった。

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  • 一灯
    購入済み

    戦時の文章

    これはもう見事に、時局に迎合した文章である。余りに見事なので、太宰が心底から皇室に敬意を表している、とても単純素朴な人という印象を受ける。が、拙者のイメージの中の太宰は、もっと皮肉な人の筈なので、その齟齬がとても気持ち悪い。太宰は見事に素朴な人を演じきったのか、それとも拙者のイメージが間違っているのか?
    「皇太子誕生で、兄の怒りから一時逃れられたぜ、ラッキー!」と読めてしまうのは、拙者の心が汚れているからであろうか?

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  • 容貌
    購入済み

    日記の断片ですか?

    恥ずかしいことを、恥ずかしがりもせず、書いているという感じ。自分を戯画化することで、自意識を紛らそうとして、多分、益々辛くなるのだろう。

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  • 香水紳士

    これが「少女小説」か……

    少女漫画の源流として、少女向け小説のあることは、以前より仄聞していた。しかし実際に読んだことは無かったように思う。
    可愛らしく、小ぢんまりと、良くまとまった良作である。傷痍軍人への畏敬の念とか、今とは違った時代背景を感じさせる描写も、興味深い。子供向けなので、深く考え出すと突っ込みどころは山ほどあるが、そういうものとして読めば読める。紳士の人間像が表面的だとか、そんなことを言うのは野暮というもの。

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  • 待つ
    購入済み

    太宰らしい、ただそれだけ

    自意識でがんじがらめで身動きできない、という状況がひたすら綴られている。自分一人では耐えられない重み。だが、他人がいたら尚更堪え難いというジレンマ。
    が、「作品」と言えるレベルでない気がする。

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  • 美少女
    購入済み

    物語風エッセイ

    実際に起こった出来事のようだが、普通に小説としても読める。温泉で見かけた少女を、床屋でも見た。それだけのことを、これだけストーリーとして語れるというのは、やはり太宰は、骨の髄まで作家なのである。
    ただの日常に対しても、自然と物語性を見出す。そういう風に生きられたら、なかなか楽しみが多いかも知れない。が、苦しみも多いのだろうな……

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  • 清貧譚
    購入済み

    原作もののファンタジーだが

    よく書けていると言えるでしょう。どこまでが太宰の手柄か、となると難しいですが。
    『聊斎志異』はどれも面白いから、リライトとは言え外れる筈もない。
    強いていえば、自意識と美意識が過剰な主人公像が、太宰好みかも、というところでしょうか。

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  • 世界的
    購入済み

    権威に敏感な太宰

    人間は得てして、得意分野でこそ、馬脚をあらわすということがある。思い入れが強いために、却って自分を客観視できず、暴走してしまうようだ。私はこの文章をそう読んだ。
    太宰は熱狂的なキリストファンだから、他人がキリストを語ることに厳しい。あたかもゲームの「名人様」が、他人のプレイに辛辣であるように。私は太宰の小説を読むにつけ、もうちょっと思慮深い人という印象があったので、この文章での彼は少しく意外であった。
    キリスト研究の「世界的」権威を否定する一方で、日本人の「世界的」思想家の名声を讃える……真珠湾前夜で、太宰も愛国心に燃えていたのであろうか?
    この「世界的」人物が誰なのかは分からないが、一時の権...続きを読む

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  • 一歩前進二歩退却

    構造主義以前?

    構造主義、というのは確か、作家の出自や人生行路や人間性を考えずに、作品のテクストそのものだけから批評しよう、というものだったかと思うが、それを訴えている文章、という気がする。が、多分動機は「自意識から自由になりたい」というもので、読者にと同時に、自分に言い聞かせているのであろう。
    「沈黙するな。自意識に埋もれるな」と。いつももがいている人、太宰。

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  • 一日の労苦

    独り相撲

    内心をただ書き連ねた文章。一応「小説家らしい心構え」が見えてはいるが、特に面白みがあるわけではない。太宰ファンだけが読めば良いもの。

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  • あさましきもの

    他人のことを書いても

    一番見えるのは自意識。哀しいかな、太宰。傑作「人間失格」の元ネタらしきものもある。まあまあ読み甲斐のある随筆。

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  • 貨幣
    購入済み

    吾輩は……

    途中までは「気の利いた書きっぷり」が少し鼻につくかなと思ったけど、落とし所は善し。戦後直ぐの読み物としては、それなりに読者の心を癒やしたろうと思われる。

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  • 鏡地獄

    鬱々とした私小説

    江戸川乱歩にも同名の作品があるが、似ても似つかない。あちらは物体としての鏡だが、こちらは自意識の象徴としての鏡である。主人公の近親憎悪がひしひしと感じられて、読むのが辛い。四十歳を前に自殺した作家の、晩年近い作品なので、さもありなんというところか。『爪』の頃のような作品が書き続けられたら、もっと長生きが出来たのだろうか……

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  • かくめい

    落書き

    自分が中学生か高校生の頃にしていた落書きと、似たような感じ。太宰もこんな凡庸な落書きをしていたんだな…という感慨がある。

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  • 我鬼

    歴史心理小説

    秀吉と秀次の、兄弟の確執を描写した作品。物理的なアクションでなく、心理描写にかなりの重点が置かれている。説得力はそれなりにあるが、面白いかと言われると微妙。論理は安吾流だが、筆力がイマイチ、という感じかな。

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  • 明治開化 安吾捕物 その八 時計館の秘密

    驚きの幕切れ

    幕末から明治初期へかけて、息の長い推理小説である。と言うよりも、ほとんど時代小説、ないしは風俗小説とでも言いたいような内容だ。推理要素は非常に薄いが、一人の男の流転の人生行路や、貧民窟描写に面白味が多い。安吾はやっぱり、貧乏やら闇市やらと相性の良い作家なのである。
    ここでの新十郎も、小粋で話の分かる探偵をやっている。

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  • 明治開化 安吾捕物 その七 石の下

    作家が趣味を書くと

    逆目に出ることが多い気がする。思い入れが強すぎるためだ。これはそういう一例。
    安吾は碁の達者で、素人離れのした腕前だったようだが、それだけに作中での碁の存在感を強調しようとして、却ってテンポも面白味も削いでしまっている。挙句に紙数が足りなくなり、当初の千頭家の謎はどこへやら。単なる殺人事件になってしまった。
    出だしはそこそこ面白いだけに、残念!

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  • 明治開化 安吾捕物 その五 万引家族

    表面上の問題と、裏に隠れた事件

    上手いな〜と思いました。謎が解かれ、全部の不審な点の、裏の事情が明かされていく爽快感。しかも隠された真実が明らかになった後の、探偵の台詞

    「末長く◯◯をお続けなさいませ」

    こんなの、他の誰に書ける!? ああ、革命的なるかな、安吾。
    結城新十郎は、「UN-GO」とはちょっと違い、不愉快な真実を公表しないことを、快しとすることもあるのであった。

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  • 明治開化 安吾捕物 その三 魔教の怪

    UN-GOの「因果論」の

    原案となった話である。宗教否定という安吾定番のテーマで、実に楽しげに、怪奇趣味で飾り立てて書いているが、少々竜頭蛇尾の感がある。恐らく紙数の関係上であろうが、犯人逮捕の場が直接描写されないのは、興醒めと言わざるを得ない。

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  • 明治開化 安吾捕物 その二 密室大犯罪

    原案にはなってないが

    アニメ第3話での唐突な乗馬シーンが、ここから取られていると分かる。
    番頭、店主、後妻、不義……話としてはえらく古臭いが、安吾の自由な筆致で読ませる。寄席や縁日の賑わいが、風流な雰囲気を醸し出す。
    お梨江のキャラクター造形は、今読んでも生き生きしている。
    しかし勝海舟は、しょっちゅう瀉血をしているが、ちょっとやり過ぎじゃないだろうか。どんだけ血の気が多いのか……。

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  • 明治開化 安吾捕物 その一 舞踏会殺人事件

    UN-GOを観たのを機に

    読んでみました。アニメ化で改変されたポイントが、作者安吾の人生観とちゃんと絡めてあったことが分かる。マア、美少女・美少年キャラを水増しもしてるわけですが。
    作者へのリスペクトのある映像化って良いものですね。
    小説としては、海舟の悠揚迫らざる雰囲気など、のんびり読めるところが良い。
    本格推理ファンには、物足りないかも知れませんが。

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  • 明治開化 安吾捕物 読者への口上

    安吾らしい

    率直で気の利いた挨拶である。読もうという気にさせる。
    それと、この人はやっぱり、筋金入りの合理主義者である。無論、情理主義者でもあるわけだが。

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  • 花匂う

    構成が良い。

    年代を追って、作者山本周五郎の成長の軌跡が概観できる。
    『宗太兄弟の悲劇』から『渡の求婚』までは年代順に時代劇、その後『出来ていた青』『酒・盃・徳利』という初期の異色作が置いてある。型にはまった人間描写しか出来ていなかった初期から、徐々にストーリーにユーモアが加わってきて、『渡の求婚』に到って円熟を得る、という具合である。初期の二作は、読むに値するかどうか疑問なくらいの出来だが、「名人にしてこの時代あり」という興味で読める。
    この人の場合は、人間としての成長と、小説の円熟とが、ピタリと一致している気がする。差別意識や原理主義が減退するに従い、小説が面白くなる。芸術家の模範と言うべき人だろう。

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  • 禁酒の心

    全部酒のせい

    戦時中に書かれたものらしい。人心が荒廃して、卑屈になって、吝嗇になるのは酒のせいだという論旨。人々の醜悪・滑稽な振る舞いがいろいろ書かれているが、果たしてそれが他人事なのか、自分も含めてなのかは、定かではない。だが、軽蔑にせよ、自嘲にせよ、衛生上良くない考え方であることは確かだろう。酒のせいにしてはいけない。酒は、駄目を加速させることはあっても、駄目にすることはない。
    が、読み物としては楽しく書けているし、戦時中の描写が貴重なので星4つ。読書は道徳講義ではないのである。

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  • 闇の書

    母もの

    母との道行を、夢幻的なタッチで綴った小品。これと似た心持ちで、母と歩いたことが一度は有ったような気がする。が、拙者なら気恥ずかしくて書けない。

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  • 雪の一日

    素直な胸の内を吐露した

    日記のような随筆である。雪から信州、信州から知人、知人から世界中の日本人へと、連想の糸が繋がって、ものを書く上での心構えを新たにする。綺堂氏の真面目な人柄が偲ばれて、雪のように清々しい読後感が良い。

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  • 月の夜がたり

    実話に基づく

    怪談話・因縁話である。そんなに怖くはない。昔風の価値観・道具立てで、のんびりした気持ちで読める。
    やはり綺堂さんはどことなく風流で良い。
    因みに、作中に登場する病弱の「梶井」は、基次郎ではない。

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  • 兄たち
    購入済み

    太宰治にしては

    面白がり方がよく分からない作である。登場人物は、やはり実在の家族がモデルなのだろうか? 事実に引き摺られて、彼本来のウィットや筆力が発揮されなかったように思われる。
    しかし、家族にさえもこのように、斜に構えた視線を注いで生きていたということは、辛い人生であったろうという気がする。

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  • 冬の日

    いつもながらの、暗い

    病んだ主人公の日常描写である。細緻な筆致で風景や風俗が描かれている。その筆力は、当然卓越したものであるのだが、作品としての焦点が奈辺にあるのかが不明。特に工夫もない。従って『檸檬』を既に読んでれば、余り高く買うことの出来ない作品である。強いて読みどころを挙げるなら、質屋での小店員とのやり取りと、友人との刃のような会話とであろうか。最後に檸檬が一個あるか否かで作品の読後感はこうも違うものか、と思わざるを得ない。

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  • 路上

    どこまでも自意識過剰な

    いかにも、梶井基次郎らしい小説である。自分が高校生の、文学青年であった頃を思い出させる。自分もあの頃にこういった経験をしていて、もう少し筆力があったなら、こんなものを書いたのではないか、そして十数年後の今頃「あんな恥ずかしいものを自分はよく書いたな」と、懐かしく思い返したのではないかと思わせる、そういう作品である。つまりは、良い感じに青臭い、ということである。

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  • 殺人狂の話

    昔から有った〈怖いもの見たさ〉

    牧逸馬(林不忘・谷譲次)の世界怪奇実話と同類の内容である。
    週刊誌的な、刺激的・野次馬的アプローチで殺人事件を記述してある。そこそこ面白い。以上。

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  • 夢の殺人

    江戸川乱歩風味

    法律問題を加味した、乱歩風犯罪小説。幾分衒学的な、気取った文体が可愛らしい。
    もっとも、文才のある作家なら、同じネタでもっと面白く書けそうではある。

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  • 烈婦
    購入済み

    烈婦

    俳句に世界情勢への見識を載せる……拙者には少々野暮にも思われるのですが、これも時代でございましょうか。

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