【感想・ネタバレ】世界的のレビュー

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権威に敏感な太宰

2014年09月02日

人間は得てして、得意分野でこそ、馬脚をあらわすということがある。思い入れが強いために、却って自分を客観視できず、暴走してしまうようだ。私はこの文章をそう読んだ。
太宰は熱狂的なキリストファンだから、他人がキリストを語ることに厳しい。あたかもゲームの「名人様」が、他人のプレイに辛辣であるように。私は太...続きを読む宰の小説を読むにつけ、もうちょっと思慮深い人という印象があったので、この文章での彼は少しく意外であった。
キリスト研究の「世界的」権威を否定する一方で、日本人の「世界的」思想家の名声を讃える……真珠湾前夜で、太宰も愛国心に燃えていたのであろうか?
この「世界的」人物が誰なのかは分からないが、一時の権威や名声など虚しいもの。それに一喜一憂して自分の直感を否定したのは、芥川賞を渇望してやまなかったという太宰らしいと言うべきだろうか?

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