【感想・ネタバレ】冬の蠅のレビュー

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相も変らず病んでいる

2014年12月07日

この人の『檸檬』は傑作だ。紛れもなく傑作だと思う。それは、病み果てた主人公の心理が克明に描写され、絶望的な風景に終始しながらも、彼がすがっているささやかな癒しや明日への希望が、檸檬その他の小道具でもって象徴されているからだ。
が、この作品にはそれがない。代わりに蝿。主人公は自分自身の病いと陰鬱に戯れ...続きを読むながら、ますます自分を傷つけて、死に向かって堕ちて行く。その自分が蝿に思える……。これは、何と言うか、ただの甘えである。とうてい『檸檬』には及ぶべくもない。作者の関係者からしたら「折角療養に出してやったのに、歩き回ったり酒飲んだり女郎買いしたり、治る気があるのか!」と言いたくなる事必定であろう。
が、文章力は、いつもながら優れている。だから3点。

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