太宰治のレビュー一覧

  • 貨幣

    匿名

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    短編とはいえ、紙幣の一人語りを、ここまで饒舌に語る。太宰の力量がよく分かる。ラストのセリフがすがすがしい。

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    2024年01月03日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    登場人物の、自分自身の行動を逐一言葉に表して発している部分が面白かったです。
    特に王がポローニヤスを刺すシーンは印象的でした。
    個人的にオフィリヤの王妃に対する愛慕の姿勢が好きです。
    また、ハムレットの人に対して懐疑的な態度や自分の信念を貫いている姿は、太宰治自身の投影のような部分があるのではないかと思いました。
    流動的かつそれぞれのシーンに重みがあり、読んでいて楽しかったです。

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    2023年11月30日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    これは愛人を何人も抱えた主人公、田島が青木という超絶美人を実嫁という設定にして、愛人達に別れ話をしに行くお話である。実嫁は青木の他にいる。一見暗い設定に思えるが、田島と青木の掛け合いがコミカルに描かれていて、物語の雰囲気としてはとても明るい。未完なのが悔やまれる作品である。

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    2023年11月17日
  • 津軽(新潮文庫)

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    「太宰治」というより、本名「津島修治」による、故郷の津軽の随筆。紀行文。道中記。
    まあ、なんでもいいや。

    なかなか楽しい話であった。

    勝手なイメージだが太宰には暗くて人嫌いというものがあったが、見事にそれを覆してくれた。

    親友と呼べる友、幼馴染、親戚たち、可愛らしい姪っ子まで大歓迎で太宰を迎える。

    またこの人たちはホントに酒が好きだね。とにかく酒。とりあえず酒。戦時下であり、酒も配給制であったことから酒を出せない宿もあり、それを予想して自分たちで用意して持ち歩く。
    そこまでして飲みたいものなのかと、正直呆れた。

    ラストは太宰の育ての母ともいうべき、子守りのたけとの再会を果たす。

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    2023年09月13日
  • 魚服記(乙女の本棚)

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    ぼんじゅ山脈の馬禿山、そこの滝の近くで父親と小さな茶店を営む15歳のスワは、父が炭を売りにしょっちゅう村へ下りて行くので、その度に一人で店番をしている。
    ことしの夏の終りごろ、スワは滝の淵に落ちて亡くなる人をその目で見た。店はほとんど閑散としており、暇な時間でスワは滝について思いをめぐらせる。父親は酒臭い息をさせて帰ってくる。
    秋土用も過ぎてすっかり客足も遠のくと、二人は店をたたむ。スワは山奥できのこを採集して持ち帰り、それをまた父親に託し、じぶんは小屋にこもりくろい飯に焼いた味噌をかけてひとりで夕飯を食べる。
    夢心地で見えた初雪の晩が明けると、スワはからだに疼痛を覚えていた。あのくさい呼吸を

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    2023年09月13日
  • 魚服記(乙女の本棚)

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    太宰治の作品を幾つも読んだが、昔の事なので、これも読んだか覚えでいない。読み終えて感じる不思議な感覚。

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    2023年08月31日
  • 駈込み訴え(乙女の本棚)

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    「私」であるイスカリオテのユダを主人公とした視点で、イエス・キリストへの愛憎渦巻く感情や言動が綴られている。
    聖書において、ユダが"裏切り者"の弟子であることは有名だが、会計担当で金銭をくすねていたこととか、イエスはそれを承知のうえだったとは知らなかった。
    いわゆる最後の晩餐の席で、イエスがとうとう苦しげに告発し、一つまみのパンをユダの口に押し当てるシーンは厳かさがある。そのままそこを飛び出して、「あの人(イエス)を罰して下さい」と駆け込み訴えるユダ。イエスに対する、尊敬と侮蔑。彼の屈折した台詞の端々に、それでも私はどこか悲しさを感じた。

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    2023年08月27日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    「ああ、私は一体、何を待っているのでしょう。」

    省線の小さい駅で私は毎日誰ともわからぬ人を待つ。

    大戦争下の若い娘の心の不安定なゆらめきを感じた。
    太宰治は繊細な乙女心を描くのがうまい。

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    2023年08月13日
  • 駈込み訴え(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    「私」は常に「あの人」への羨望と嫌悪、愛憎を拗らせていた。物語の終盤「あの人」の唐突な振る舞いに対して、「私」は「あの人」は寂しさを抱えているのだと慮り、背信を取りやめようとする。その瞬間だけは「私」にとって「あの人」は神ではなく、2個上の自分と同列の人間であり、引け目を感じることなく愛せる対象になったのではないか。「私」にとって「あの人」は手が届かないからこそ惹かれ、手が届かないからこそ口惜しい存在だったように思う。

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    2023年08月09日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズ♪
    太宰治さんと今井キラさんのコラボ作品。

    自分でも分からない何かを待っている少女。
    分かるような、分からないような不思議な感じのする作品だったけど好きでした♡
    純文学、奥が深い〜。
    その独特な世界観と、今井キラさんの儚げでふわっとしたイラストがとてもマッチしてました♪

    普段、難しい気がしてなかなか手に取らない純文学の作品だけど、このシリーズだとスルッと世界に入り込めてしまう。
    aoiさんとチーニャさんに教えていただいたシリーズ♪
    まだまだ追いかけたいな〜\♡︎/

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    2023年08月08日
  • 魚服記(乙女の本棚)

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     乙女の本棚シリーズから、太宰治さんとねこ助さんのコラボ作品「魚服記」です。ねこ助さんの繊細でどこかさみしさを感じさせるイラストが印象的な作品です。

     炭焼きの父とその娘のスワ…父が炭焼きの仕事をしているときは、スワは茶屋の店番をしていた…。また、父がふもとの町に下りるときには、ひとり炭焼き小屋で過ごすのだった…。スワは15歳、少女から女性に成長する時期…「おめえ、なにしに生きてるば」「くたばった方あ、いいんだに」なんとも切ない会話…。季節は秋から冬に向かう頃、いつものようにひとり父を待ちながら過ごすスワ…外を見ると初雪、酒臭い父から逃れるかのように小屋を出ていき…。

     スワは父に、自分の

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    2023年07月23日
  • 新樹の言葉(新潮文庫)

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    太宰治30〜31歳にかけての作品集。「秋風記」「花燭」が特に良かった。

    (文学的価値があったとしても、)作者の全集ならともかく、未完の作品を収録することにいつも違和感を感じてしまう。

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    2023年07月20日
  • 魚服記(乙女の本棚)

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    地図にのっていないような山のふもとの寒村で、炭焼きの娘 スワは父親と二人で暮らしていた。

    少し不思議な物語だった。
    野性的に生きていたスワがある時から理知的になり、そして……。

    暗い。

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    2023年07月14日
  • 津軽(新潮文庫)

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    梅雨明けに東北を回ろうと思っている。津軽も行くので、本棚にあった文庫本を読み始めた。太宰治ってこんな紀行文も書いていたんだな。改めて楽しく読んだ。解説を亀井勝一郎が書いているのも懐かしかった。

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    2023年07月11日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    ハムレットも太宰治もまったく読んだことがなかったので、舞台観劇前に世界観を知ろうと読んだ。
    予習的要素が大きかったので、物語そのものを楽しもうと言うよりは、役者さんがどんなふうに演技するんだろうな……を想像しながら読んだ。
    普段馴染みのない文体だったから読みにくいところもあったけれど、総合的には面白い部類かな。
    予習のおかげで舞台も思いっきり楽しめた。

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    2023年06月24日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ポローニヤスが魅力的なキャラクターだった。何か条も続く留学の心得は面白い。愛情深いお父さんで、ポローニヤス家は健全で幸せそうに見える。
    一方ハムレット家に愛情がないわけでもなく、ただハムレットに伝わっておらず、それで本人は苦しんでいる。
    愛が言葉なのかどうか、という議論は興味深い。
    ハムレットは愛を言葉で伝えてほしいと切望している(自分自身は伝えようとしていないが)。少なくとも、ハムレットのように愛が言葉であると思っている人に対しては、言葉を尽くさなければ愛は伝わらないのだろう。
    しかし仮に、ハムレットに対し言葉を尽くしてみたところで、ハムレットは本当にそれを心からの愛の言葉だと信じられるのだ

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    2023年06月14日
  • あさましきもの

    匿名

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    あさましきもの。刺櫛すりてみがくほどに・・・。枕草子のこの篇をふまえつつ、自身を投影した作品であるだろう。

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    2023年06月06日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    妙に面白い。似た雰囲気の短編なのに何故か飽きさせない。良いところに研がれた文章がおいてある。読み手の心理を心得ている。

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    2023年05月19日
  • 晩年(新潮文庫)

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    人間らしい太宰治の事が色々書かれてあったり。

    よくわからない話もあったり(自分の読解力が足しないのかも?)

    またいつか読み返したらもっと何か分かるのかもしれない。

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    2023年04月24日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    20代前半の希望感と絶望感が入り混じった気持ちは、いつの時代も一緒なんだと感じました。

    そして、とにかく絵が綺麗で素晴らしい。

    全体のページは短いですが、ゆっくり読んだ方がいい本だと思います。

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    2023年04月21日