太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
原作がウロ覚えだからマンガで読み返せるなら丁度いいや、とばかりに、普通ーに原作小説のコミカライズだと思って購入したら…とーころがどっこい! 現代を舞台に都会的にアレンジされてるほぼ別作品だったのでビックリしました。でも、この作者さんの絵の雰囲気は、原作小説の醸し出す雰囲気と相通じるものがあるカンジを受けるので、すごく似合いの取り合わせだと思います。相乗効果とでもいうべきものさえも感じられます。読みながら鬱々と気分が滅入ってくる感じも似てるかも。ひどく退廃的で刹那的で利己的で閉鎖的で…そしてイヤラシクなく多分にエロティック。気は滅入るけど…でも続きが気になる気持ちもあるかも。太宰『人間失格』を原
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Posted by ブクログ
すーげ読むのに時間かかっちった。てへ。私小説かと思えば純然たる小説だったり、届いた手紙の記録かと思ったらやはり創作だったり、ドキュメンタリーだと思ったらコントだったり、いやはやどこを切っても太宰治。この「おのれ自身のことなのかそうじゃないのかはっきりしろよ」感。それでいて意外と読後感は爽やかだから参っちゃいますね。私は太宰治を「技巧の人」だと勝手に思い込んでいるんだけども、この一冊は特にその「仕掛けに仕掛けたぜ」的な色合いが濃いと思います。個人的には「狂言の神」「虚構の春」「雌に就いて」「二十世紀旗手」が好き。その他の作品には創作物的興味を惹起されはせぬものの、「またやってるよ」的愛着は感じま
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Posted by ブクログ
「角川文庫クラシックス」で読む。
「パンドラの匣」「トカトントン」「ヴィヨンの妻」「眉山」「グッド・バイ」
の5作品が収録されている。
「グット・バイ」は太宰の未完の絶筆である。
どれもこれも、苦悩してばかりで情けなくて弱腰で困った男ばかり・・・のように見える。
死を意識して、自らそれを引き寄せながら、
しかし飛び込むことはできない小心者。
そうした弱さを丁寧に、しかし軽やかな文体と会話文で表現していくことで
太宰は人間を描き、
読者は、軽やかさに見え隠れするその繊細さに魅かれる。
「パンドラの匣」は
結核を病んだ主人公が、療養所の生活を手紙に書く、という形態をと