【感想・ネタバレ】新ハムレット(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

デカダンス文学の旗手、太宰のもう一つの面、天稟の文学的才能を存分に発揮した知性的作品群の中から、西洋の古典や歴史に取材した作品を収める。「ハムレット」の戯曲形式を踏みながら、そこに現代人の心理的葛藤と現代的悪の典型を描き込んだ表題作、全作品中もっとも技巧をこらした「女の決闘」、人生の本質的意味を数頁に結晶させた「待つ」ほか「古典風」「乞食学生」の全5編。(解説・奥野健男)

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Posted by ブクログ

舞台化にあたり、シェイクスピアの『ハムレット』を読んでから読みましたが、初っ端から太宰節がとまらず愉快でした。
ハムレットに登場する人物たちがイキイキと描かれ、太宰お得意の人間臭い描写が全開。『駈込み訴え』『走れメロス』といい、太宰の古典テーマの話は魅力的な作品が多いですね。

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2023年05月28日

Posted by ブクログ

リズミカルで小気味よい文章、思わず吹き出しそうになるユーモアさ、そして繊細な心理描写。やっぱり太宰治が好きだなあ〜。

安定期の中期とはいえ、破滅願望というのか、自己嫌悪なのか、処女作の晩年の面影もあるし、人間失格に繋がるような気持ちが垣間見えるなあ、と思った。

乞食学生、新ハムレットが特に好きです。

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2023年02月05日

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私が今まで読んできた太宰の中で一番か二番目に好きです!!
すごく面白い(((^-^)))
太宰の安定期は面白いから他のも読んでみる~!

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2016年04月12日

Posted by ブクログ

※こちらに収録された『待つ』のみの感想です


人が一番不安を覚える行為。それは待つ、ことかもしれない。

次に起きること・遭遇するものを充分に想像できてしまっているのに、
その予想を裏切られ、考えてもいなかったことと向き合うことになる。
そんな気持ちに駆られることが「待つ」の持つ一面だ。

しかし、そうなる可能性を背負うことは放棄できない。

主人公の娘は、誰もが逃げたくなるその事実に
まっすぐぶつかり、壊れそうになるまで考え、悩む。

彼女は、きっと、きっと幸せになれる、と私は確信している。


たった4ページの掌編小説が、もう何年も脳裏に焼きついている。

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2012年05月07日

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太宰作品をちまちまと読み直し。
やっぱり太宰はいいなあと実感したり。
ハムレットがまんま太宰になってますね!

私は「待つ」が好きです。
凄く好きです。

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2010年08月23日

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「新ハムレット」は私的太宰ベスト3の一つ(その他は「斜陽」と「女生徒」のつもり)。元のハムレットより好き。太宰的会話の描写がとにかくとにかく面白い。やぎのおじさんとかたまらない。シェイクスピアをこんな風に書き換えられるなんて、やっぱり天才である。愛は言葉だと熱く語るハムレットの青さは、原作のシェイクスピアに比べてだいぶ年齢が下だと思われるが、そこがわたしには好みだったのかな。
その他「古典風」や「乞食学生」「女の決闘」「待つ」など好きな短編が入っていて、新潮文庫のくくりでいうなら一番好きかもしれない。

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2009年10月04日

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こんなに読み手を不快にさせる物語もない!と思いつつも私はこういうまどろっこしく問題提起をしながら誰にも答えを求めていない物語が大好きなのでおいしく頂きました。
字書きの浅ましさが満載です。すばらしい!!!

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2009年10月04日

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太宰の中で一番すきかもしれない。新ハムレットはもちろん、女の決闘も目から鱗で面白かったし、古典風も普通にラブストーリーしてて面白い。

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2009年10月04日

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人間失格の解説にもあった通り、この人の作品は、「これは自分の話だ!」と思わせる。浅い共感ではなく、自分を見させられる。表題作もいいですが、他の作品も素敵。

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2024年11月28日

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大学生の頃太宰好きで新潮文庫でどんどん読んでったんだけど、その最初に読んだのがコレだった。太宰はやっぱり単純に文章が大好きだ〜!
なんて優しいのだろうか。
久しぶりに読み返したら、ハムレットが今職場で手を焼いている若い男の子に重なって仕方なかった( ・∀・;)

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2018年07月21日

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太宰中期の作品の中でも最も骨太で知的な作品が多いような印象を持った。収められている作品は海外文学に取材した作品が目立ち、かなり知的な太宰を味わうことが出来る。「新ハムレット」はハムレットをよく知らない私が読んでも面白かった。登場人物があまりに太宰的でちょっと笑えた。ハム(レット)にレヤチーズにポローニヤス…なんだか美味しそうである。本作のハムレットはかなり中二病をこじらせているが原典でもそうなのだろうか。「乞食学生」はまんまと騙されてしまう作家がカルピスを飲むラストがかわいい。あざとい。

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2016年05月21日

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ネタバレ

ハムレットはシェイクスピア派。ポローニアスがしゃべりすぎ。

乞食学生を初めて読んだとき、「熊本くんにも、佐伯くんにも欠点があります。僕にもあります。助け合って行きたいと思います。」という文章にどきっとした。一番好きなとこ。

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2016年04月16日

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一区切りずつ、丁寧に読むのが味わい深い短編集。太宰治の、緊張しきった鋭利な文章が目を覚まさせる。

『古典風』散文調が現代ではツイートと呼ばれる、様に思われた。てると十郎については少々思い当たる節がある。

『女の決闘』作中の作品とされるものの空気はまるで映画のよう。澄み切った文体で時は冬に違いないと感じた。ただ、舞台はロシアで水溜りは凍ってはいないが。ドキッとしたところを抜き出しておきたい。「真実は、家庭の敵」「念念と動く心の像のすべてを真実と見做してはいけません」「薄情なのは、世間の涙もろい人たちの間にかえって多いのであります」「『女は、恋をすれば、それっきりです。ただ、見ているより他はありません。』」

『乞食学生』「私」がついつい少年と話していて大笑いしそうだったところで、いっぺんに、あの玉川上水の景色が浮かんだ。そこまでは正直、なかなか入り込めなくて…でもその部分で「私」に愛着がわいた。「私」の気持ち超分かる。テーブル席よりカウンターの方が好き。「青木女之助とでも改名すべき」とかマジ笑った。この短編はコメディなのかな。「『元祖ですね。』と言い直した」とかさぁ。「ぐっと一息で飲みほした。うまかった」ただ「自分のからだに傷をつけて、そこから噴き出た言葉だけで言いたい」この言葉は覚えておきたい

『新ハムレット』この作品のことを「かすかな室内楽」と書いているが太宰の性質はまさに、バイオリンの弓のかすれさえ際立つような魅力があるように思う。また、自虐芸術。自虐がうまい。「若い者にとっては、陰の愛情よりも、あらわれた言葉のほうが重大なのです」これって若者だけじゃないよね…言葉にするの、大事。王の懐の深さが身に沁みる。優しい。で、ハムレットの若さが…初読は20代に違いないのだから当時は王の行っていることが分からなかった。今は王の親としての責務の方が共感できる。「生みの母ほど、子の性質を、いいえ、子の弱点を、知っているものはありません」

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2015年11月05日

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新ハムレットは、原作との違いが多いが、
「近代版」ハムレットとしてみれば、
それなりに面白い改変だと思います。

自分の知性と才能に絶対的の自信を持った、
思いあがった天才作家という人もいるが、
現実には、作家としての太宰は・・・

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2011年04月08日

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表題作、こんなにあっという間に読むほどのめりこむと思いませんでした。元のハムレットを軽く読んで途中挫折しそうだったから。
新ハムレットのハムレット君のまぁ痛いような切ないようなアルアルな若者らしさに目も当てられなかったり頷いたり恥ずかしくなったりしつつ、それぞれのキャラクター同士の会話に引き込まれて行きました。

愛してるというのは恥ずかしいのか恥ずかしくないのか
愛してくれというのは恥ずかしいのか恥ずかしくないのか

どうなんじゃろね。

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2010年12月15日

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奇抜な発想で現代風(!?)な心理描写を加え、構成されなおした「新ハムレット」。太宰はパロディが得意ですが、その中でもこの「新ハムレット」は最高峰じゃないかと。
ユーモラスだけど現実的な登場人物の内面の動きが面白かった。
ハムレットの悪口をハム母に言っちゃうオフィリヤとかね!

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2009年10月04日

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治感爆発。欺瞞と猜疑。疑心暗鬼!再読したい。ハムレットは治の得意な青年の躁鬱病的な性質を書きたかったのだろうか。見ていてイライラするけど自分もこんな風なのかと思うと恥ずかしい。オフィーリアの少女特有な冷めた感じが好きです。原作とはまるっきり違うけど素晴らしき換骨堕胎

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2009年10月04日

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乞食学生は良かった。その他は刺さらず。新ハムレットは原作の記憶がすでに曖昧なためもあって、そこまで⋯。

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2025年04月22日

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登場人物の、自分自身の行動を逐一言葉に表して発している部分が面白かったです。
特に王がポローニヤスを刺すシーンは印象的でした。
個人的にオフィリヤの王妃に対する愛慕の姿勢が好きです。
また、ハムレットの人に対して懐疑的な態度や自分の信念を貫いている姿は、太宰治自身の投影のような部分があるのではないかと思いました。
流動的かつそれぞれのシーンに重みがあり、読んでいて楽しかったです。

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2023年11月30日

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ハムレットも太宰治もまったく読んだことがなかったので、舞台観劇前に世界観を知ろうと読んだ。
予習的要素が大きかったので、物語そのものを楽しもうと言うよりは、役者さんがどんなふうに演技するんだろうな……を想像しながら読んだ。
普段馴染みのない文体だったから読みにくいところもあったけれど、総合的には面白い部類かな。
予習のおかげで舞台も思いっきり楽しめた。

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2023年06月24日

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ネタバレ

ポローニヤスが魅力的なキャラクターだった。何か条も続く留学の心得は面白い。愛情深いお父さんで、ポローニヤス家は健全で幸せそうに見える。
一方ハムレット家に愛情がないわけでもなく、ただハムレットに伝わっておらず、それで本人は苦しんでいる。
愛が言葉なのかどうか、という議論は興味深い。
ハムレットは愛を言葉で伝えてほしいと切望している(自分自身は伝えようとしていないが)。少なくとも、ハムレットのように愛が言葉であると思っている人に対しては、言葉を尽くさなければ愛は伝わらないのだろう。
しかし仮に、ハムレットに対し言葉を尽くしてみたところで、ハムレットは本当にそれを心からの愛の言葉だと信じられるのだろうか?
オフィリヤがガーツルードに言ったとおり、人間が正直な心を言葉で言い表そうとするほど、嘘っぽく変になってしまうものであり、うまく伝わらないものだと思う。
人間は必ずしも思ったとおり言葉にする生き物ではない、というだけでなく、さらに、思ったとおり上手く言葉にする行為それ自体が相当難しい、という二重の問題がある。
この作品の登場人物もみな多弁だが、そのセリフは、真実を話しているのか、あるいは心からの言葉なのか、いまいち信じきれないものが多い。
人の心を理解しようとすること自体が苦しみを生むようにも思える。人と人とは本当に難しい…。

クローヂヤスも哀愁がある。
結局本当に兄を殺しているのかいないのかわからず、読み返してしまった。
最後の告白が本当であるとすれば、殺すことを決意し、着手しかけたところをポローニヤスに目撃されたが、すんでのところで踏みとどまった、といったところだろうか?
だがクローヂヤスが心から国や新しい家族のためを思っている男であることもまた事実であり、かわいそうにも感じた。

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2023年06月14日

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シェイクスピアのハムレットを読んだことがないので比較は出来ないが、それでも太宰の人生観や恋愛観を登場人物たちが代弁していることは伝わって来た。当時としても斬新な手法だったらしく太宰の気合いを感じる勢いのある作品だった。

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2022年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古典風・女の決闘・乞食学生・新ハムレット・待つ、の5編からなる、太宰治中期の作品を集めた本。
待つ、を目的に買ったけど、どれも面白かった。
特に乞食学生と新ハムレットがよかった!

「乞食学生」は、裸の学生が川を流れていくっていうインパクト抜群の出だしですでに心掴まれた。
全盛期が学生時代で後は人生下り坂って人は、 過去の栄光にしがみつきたくて、延々と昔の話ばかりしがちだよね。
というのが読後の感想。

「新ハムレット」は、戯曲風の小説で、読みやすかった。
改めて太宰治は、女性の心情を表現するのが上手いなぁと思った。
シェークスピアが書いた方のハムレットも見たいし、 舞台もあれば行きたい!

御目当ての 「待つ」 は、3ページ程の短い小説。
いろんな解釈ができる文章だと思った。
彼女は駅のホームで一体何を待ち続けてるのだろうか。

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2022年08月01日

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「僕の帽子は、決して小さいほうでは、ありません。」熊本君はもっぱら自分の品物にばかり、こだわっている。「僕の頭のサイズは、普通です。ソクラテスと同じなんです。」
2014/08/29-09/14

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2014年09月23日

Posted by ブクログ

「乞食学生」のラストで大笑いした。夢の中とは言え、酔っ払って何してんの?しかも二人逃げてるし。ユーモアたっぷりの作品。表題作は登場人物の心の底が、まさに太宰という感じで深められている。一人一人、エゴを持っていて、誰が悪人なのか、いや、皆悪いところを持っている。

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2013年09月02日

Posted by ブクログ

表題作のほか『古典風』『女の決闘』『乞食学生』『待つ』が収録されている新潮文庫です。
新潮文庫は文字が大きくて読みやすいので好きなんだ(笑)

太宰さんの作品では『女の決闘』が高評価って聞いたことがあるから期待して読んだんだけど、らじ好みではなかったよ。
不倫相手の女学生さんが奥さんに撃ち殺され、奥さんが絶食して自殺するほどの価値が この旦那さんにはないような気がして(二人の女性もそのへんはわかってたんだけど…)パサパサした感じのお話でした。
表題作は良かったけど、最後がバサっとした感じで終わっちゃって残念。

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2013年08月08日

Posted by ブクログ

西洋の古典や小説を題材にし、自分の発想で書いた作品。
今まで読んだ作品とは違う新鮮さや構成の巧さを感じて、とても興味深い作品でした。

特に、「女の決闘」と「乞食学生」が面白かった。

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2013年04月05日

Posted by ブクログ

「女の決闘」では太宰治に対する世界観を大きく変えられた。今までロマンチストだと思っていたが、この手の描写もできるとはさすが奇才である。また「待つ」ではたった3ページという短さにあれだけ深い内容を凝縮させる彼の才能はすごい。

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2011年12月08日

Posted by ブクログ

太宰治の中で一番好きな作品です。
太宰治の描く自己愛、葛藤、優越、これらが苦手だなぁと思って
しまう私ですが、この作品では純粋にシンプルに内容を楽しめる
のではないでしょうか。

1冊で様々な技巧を凝らした文章が読める、少しアクが強い
本ではありますが、おすすめです。

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2010年11月30日

Posted by ブクログ

従来のハムレットじゃないけど、好き。面白ハムレット。その他「古典風」っていう短編もお気に入り。
主人公の手帳に書いてある言葉の数々がいつ読んでも笑えるの。

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2009年10月04日

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