【感想・ネタバレ】新ハムレット(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

デカダンス文学の旗手、太宰のもう一つの面、天稟の文学的才能を存分に発揮した知性的作品群の中から、西洋の古典や歴史に取材した作品を収める。「ハムレット」の戯曲形式を踏みながら、そこに現代人の心理的葛藤と現代的悪の典型を描き込んだ表題作、全作品中もっとも技巧をこらした「女の決闘」、人生の本質的意味を数頁に結晶させた「待つ」ほか「古典風」「乞食学生」の全5編。(解説・奥野健男)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ハムレットはシェイクスピア派。ポローニアスがしゃべりすぎ。

乞食学生を初めて読んだとき、「熊本くんにも、佐伯くんにも欠点があります。僕にもあります。助け合って行きたいと思います。」という文章にどきっとした。一番好きなとこ。

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2016年04月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ポローニヤスが魅力的なキャラクターだった。何か条も続く留学の心得は面白い。愛情深いお父さんで、ポローニヤス家は健全で幸せそうに見える。
一方ハムレット家に愛情がないわけでもなく、ただハムレットに伝わっておらず、それで本人は苦しんでいる。
愛が言葉なのかどうか、という議論は興味深い。
ハムレットは愛を言葉で伝えてほしいと切望している(自分自身は伝えようとしていないが)。少なくとも、ハムレットのように愛が言葉であると思っている人に対しては、言葉を尽くさなければ愛は伝わらないのだろう。
しかし仮に、ハムレットに対し言葉を尽くしてみたところで、ハムレットは本当にそれを心からの愛の言葉だと信じられるのだろうか?
オフィリヤがガーツルードに言ったとおり、人間が正直な心を言葉で言い表そうとするほど、嘘っぽく変になってしまうものであり、うまく伝わらないものだと思う。
人間は必ずしも思ったとおり言葉にする生き物ではない、というだけでなく、さらに、思ったとおり上手く言葉にする行為それ自体が相当難しい、という二重の問題がある。
この作品の登場人物もみな多弁だが、そのセリフは、真実を話しているのか、あるいは心からの言葉なのか、いまいち信じきれないものが多い。
人の心を理解しようとすること自体が苦しみを生むようにも思える。人と人とは本当に難しい…。

クローヂヤスも哀愁がある。
結局本当に兄を殺しているのかいないのかわからず、読み返してしまった。
最後の告白が本当であるとすれば、殺すことを決意し、着手しかけたところをポローニヤスに目撃されたが、すんでのところで踏みとどまった、といったところだろうか?
だがクローヂヤスが心から国や新しい家族のためを思っている男であることもまた事実であり、かわいそうにも感じた。

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2023年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古典風・女の決闘・乞食学生・新ハムレット・待つ、の5編からなる、太宰治中期の作品を集めた本。
待つ、を目的に買ったけど、どれも面白かった。
特に乞食学生と新ハムレットがよかった!

「乞食学生」は、裸の学生が川を流れていくっていうインパクト抜群の出だしですでに心掴まれた。
全盛期が学生時代で後は人生下り坂って人は、 過去の栄光にしがみつきたくて、延々と昔の話ばかりしがちだよね。
というのが読後の感想。

「新ハムレット」は、戯曲風の小説で、読みやすかった。
改めて太宰治は、女性の心情を表現するのが上手いなぁと思った。
シェークスピアが書いた方のハムレットも見たいし、 舞台もあれば行きたい!

御目当ての 「待つ」 は、3ページ程の短い小説。
いろんな解釈ができる文章だと思った。
彼女は駅のホームで一体何を待ち続けてるのだろうか。

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2022年08月01日

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