太宰治のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
津軽風土記の執筆依頼を受けた太宰が、三週間かけて津軽半島(蟹のはさみの向かって左手)を一周し自身のルーツを辿ってきたという名紀行文です。
生れた町である金木を、特徴もないのに気取った町、底の浅い見栄っ張りの町、と序章でしょっぱなから貶しているのも愛ゆえ。津軽のことなんてほとんど知らないと言っているが、その故郷愛は随所に感ぜられる。
各地で旧友を訪ねてはへべれけになるまで酒をご馳走になっている姿は、まるで彼の書く小説の登場人物がそのまま抜け出してきたようでにやりとしちゃう。太宰は林檎酒でいいんですよなんて一応遠慮したりはしているが、それを見抜いて日本酒やビールを出してくれる友人たちは"朋あり遠方より来る、また楽しからずや"といったところか。
旅の最後の最後で(曰く自制を楽しんで)、小泊に立ち寄り運動会を彷徨い歩いてかつての乳母・たけと再会するエピソードは感動した。素直で素朴な太宰が垣間みれました。
私も年末年始はいつも帰省しているけれど、さすがに今年は断念。帰省の度にただ実家でごろごろだらだらして「田舎すぎて何もないわ〜帰ってきてもすることないわ〜」なんて愚痴りつつも、同級生と毎年のように会ってお酒を酌み交わして、本当そればっかりだけどでもそれがホッとするしなんやかんや楽しいんだよね。
住む場所も環境もすっかり変わってしまったけれど、そうやって僅かでも実生活を離れて親元や友人と過ごす時間は今の私にとってなによりも懐かしくて大切なのだな。原風景だなと思う。
うん、確かに今年はさみしかった。
"命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。" -
Posted by ブクログ
ネタバレこの作品は「富士山」を中心に主人公の様々な心情から「富士山」への価値観を述べ、そこから生まれる主人公にとっての考え方、心情の変化から人間としての成長が「富士山」を通して見えてくる作品だと考える。
この物語で主人公は、十五つにも及ぶ「富士山」に対しての心情や価値観を述べている。一つ目、最初の主人公の発言として客観的に「すらと高い山ではない 」これはある意味日本で一番高いとされている山に対しての「侮辱」とも言える言葉である。しかし、二つ目の発言ではこの富士山をあらゆる視点から見た時(十国峠)「高い」「完全のたのもしさ」があると富士山への価値観が一変にして変わったことがわかる。三つ目、東京での「アパートの窓から見る富士はくるしい」というように富士山が「苦しく」見えたそうだが、これは自分自身の「三年前の意外な事実を打ち明けられた」という自分自身の心情を富士山と共感しているような文であり、主人公は「富士山」に対して一心同体のような感性を持っているのではないかと考える。また、御坂峠で思いをあらたにする覚悟でみた富士山は「風呂屋のペンキ画」と本物の富士山を複製画と同じ扱いをしている。これも一つ目の侮辱のように富士山を貶しているように思えるが、ある意味では白のキャンパスに絵を描くという概念のように、絵のような富士山でも、これからの様々な人生の経験によって本物の富士山を目にすることができるように主人公は富士山と共に成長をするといった意思がここから感じとられるのではないかと考える。加えて、主人公が見る富士山は(御坂で浪漫派の友人と)「どうも俗だねえ」これは最後の甲府の安宿「酸漿に似ていた」との対比的比喩表現と考え、主人公の成長前と成長後の輝きを表し、ある時は、主人公は寛大な器だと富士山を見ながら自分自身を映しながら「いいねえ〜やっぱり偉い」や「富士がしたたるように青い」のように自分の鏡としてみていることがわかる。さらにまた、(御坂からの雪を降った富士山をみて)「御坂の富士もばかにはできない」や(ねるまえに)「『単一表現』の美しさなのかも知れない」と富士山の魅力について語っている。これは初めの「すらと高い山ではない」また「風呂屋のペンキ画」と言ったような表現と対照的であることがわかるが、これは先ほども言ったように主人公が、時が経つにつれて様々な人々と出会うことによって色んなものの見え方が変わっていったことがわかる。さらに主人公は、富士山を「大親分」と師弟関係のような表現が使われ、師弟の「弟」である主人公の「弟」イコール「若さ」が感じとられるような「少年の如く感奮」という感情を持てたこと、このような全てのことに関して、成長した主人公は「お世話になりました」と最後に富士山に感謝の気持ちを述べ、その返答のように富士山は「酸漿」のように朝焼けに照らされ輝き、人間の人生の通過点とも言えるような人間の成長としての輝き、そして成長したことによって本物の富士山を目にすることができたというものではないかと考える。
このことから、主人公の富士山に映し出す心情は人間の人生そのものであり、この「人生の輝き」というものを日本一の山である壮大な「富士山」をバックテーマに描くことによって、人間の「人生」というものの「壮大さ」とを掛け、輝かしく美しい作品だということが言える。
-
購入済み
子供の頃 、国語の授業で勉強した「走れメロス」
当時は読書が苦手で読むのに悪戦苦闘したことをよく覚えている。
太宰治シリーズは 結構大人向けの内容が多いので読むのに躊躇するが、この作品は、学校教育で出されるだけ合って、大人になってから読み返してみると読みやすかった。
(ただ、「人間失格」は学校教育に持ってきていい内容かのちに疑った)