太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
太宰中期の短編集。
表題作はキャラ立ちまくりの5人兄妹が、暇つぶしにリレー小説を書く話。
ラプンツェルときいて読んでみたけれど名前だけで特にラプンツェルではなかった。
才能はないけれど参加したい末弟が一番手を買って出たもののなにも思いつかず剽窃した、と書かれた部分は本当に「雪の女王」まんまで吹いた。いいのかこれ。
しょうもなさが面白い。
戦中の作はやはり戦中っぽい。
後書きに戦中だということを考慮して読んでねとある。
でもやっぱりどう読んでいいかわからない。
どこまで本気かわからない。
たとえば玉砕した青年からの「大いなる文学のために/死んで下さい。/自分も死にます、/この戦争のために。」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ情緒に訴えかける作品が多かった。
太宰といえば「文学」「絶望」「暗い」「取りあえず暗い」というイメージを抱きがち(?)だけど、それがガラリと変わる。
表題の「女生徒」は「私」が平凡な一日をこれでもかというくらいに説明していく内容だが、朝に目を覚ますときの気分から、夜眠るときの気分まで、それがもう半端なくリアル。つかみどころがないというか、感性で語るあの年頃の女子の本質をよく捉えているというか。思考の混乱具合や、とりとめのないような文章が本当に女性的。
「おさん」と「雪の夜の話」も良かった。「女生徒」とはまた違った年の女性が主人公の話でどちらもやっぱり女の書き方は跳び抜けている。 -
Posted by ブクログ
新潮文庫から出ている太宰中期の短編集『きりぎりす』を読みました。
まず最初の、女性の独白体小説「燈籠」、特に結び方が素晴らしいので、
ぐぐっと読む者の気持ちがつかまれます。
それで、だだーっと読んでいくと、
どうもこの時期の(?)太宰はまるで自分を卑下するように、物語の主人公を卑下して、
卑屈とさえ思わせられるくらい徹底的に、自らを人間の屑だと自認するんです。
それを読んでいても決して、僕なんかにしてみたら太宰は屑になんか思えないわけです。
自分を屑とする太宰以下なのが、それを読んでいる自分だなということに、
個人的に気付かされるので、しょんぼりして寝付くという事態に陥ります。
しかし、し