あらすじ
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人気シリーズ「乙女の本棚」第20弾は太宰治×イラストレーター・ねこ助のコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
「おめえ、なにしに生きでるば」
地図にも載っていないような山のふもとの村で、炭焼きの娘・スワは、父親と2人で暮らしていた。
太宰治の『魚服記』が、書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどで美麗な人や獣を描き、本シリーズでは中島敦『山月記』と新美南吉『赤とんぼ』を担当する大人気イラストレーター・ねこ助によって、鮮やかに描かれる。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ともかく人が死ぬ不吉な滝壺の話。
太宰治は「少女」を描くのが上手いよなぁと思う。
大人から見た、瑞々しさ、幼さ、残酷さを持った「少女」。
おまけに挿絵が、華奢だけど少しずつ色気が出てくる少女の様子が上手いんだ。
孤独な父親に対して
「おめえ、なにに生きでるば」。
聞いてはいけない質問だ。答えられない上に、相手を追い詰める残酷さがある質問だからだ。
でも、親に対してこういう視点を持ってしまうのが娘だよねえ。
雪の中で目覚めてから、スワが走り出す様子が見どころだと思う。親父は何をしたんだよ。
Posted by ブクログ
相変わらずこのシリーズは絵が綺麗で、想像力がかきたてられます。
お話は個人的にはちょっと怖い。
闇に引きずられそうな感じ。
人の考察を見て、知るものもあり。
モチーフになったと思われる作品があるのも、面白いですね。他の作品へと渡り歩けるところが考察系の好きなところです。
Posted by ブクログ
ホドーミーマイハピィーネスとどけ〜〜たい〜♪
メローディーわたしだけぇ〜のおくり〜もの〜♪
まぁそういことよ
マイハピネス届けたいのよ
はい、26おネエは遂に太宰っちです!
いやもうそれこそ太宰っちなんか昔あほほど読んだはずなんだけど、ちーっとも覚えてない
この『魚服記』も読んだことあるような気もするけど、ちーっとも覚えてない
もう太宰っち読んだことあるって記憶そのものが捏造なんじゃなかろうかって本人が疑ってしまうくらいちーっとも覚えてない
わいの海馬には一層の奮起を促したい今日この頃である
しかし、あれよね今あれよ
オーディブルがまたねひとつの読書法としてその存在を確立しつつあるけど、やっぱりわいはどうしても受け入れられんよのね
いや、いいのよ
あれで楽しめてる人を否定するつもりは一切ないのよ
目の方がちょっと…っていう事情のある方にとってはまさに救世主だろうし
あくまでわいはってことね
で、その理由のひとつが特に近代日本文学のあたりを読んだときに思うんだけどさ
本を読むときに何を漢字で書き、なにをひらがなで書くのか、あるいはこの擬音はひらがななのにこっちの擬音はカタカナなのかってけっこう気にならない?
まぁ、作者は適当だったりすることも多いんだけど、そこらへん日本語の本を読むときの面白味のひとつだと思うんよね
この『魚服記』なんかも太宰っちがどこまで意識的にやってるかはよく知らんけど、ひらがなと漢字のバランスみたいなところに趣きを感じたりするんよな〜
ってねこ助さんの美麗イラストがメインのくせになにを日本語がどうのって語っとんねん!ていうねw
Posted by ブクログ
悪い夢の中みたいな話だと思った。うっすらと暗くて怖い、不思議な感じがあって説明するには難しい。
スワは望む所に行けたんだろうか。友人に会えていたらまだ望みのある話に思う。
Posted by ブクログ
短いが難しい。
調べてみると津軽地方の伝説をもじって作ったものらしい。
男子学生が滝壺に落ちた意味はあるのかが疑問。
「そんなことで自殺するん?」って思っていたが、実は近親相姦にあっていた説があるとか。
どちらにせよ不思議な物語。
最後は大蛇でなく鮒になったという皮肉。
スワの飛び込み自殺=太宰の自殺(しかも入水)との関係性は絶対にあるに違いない、、。
と思いながらも、今回は高校生以来の再読ですが、なかなか読みとることが難しかったです。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズの一冊。
これは乙女の本棚としてはけっこうな問題作ではないのかな。
ある場面をどう読むかということなんだけど、ネットでの考察を読んでも、そう読む人が多いようだから、やっぱりそういうことなんだろうな。
なんでこういう作品を書いたのか、太宰に聞いてみたい。
Posted by ブクログ
二度の自殺未遂の後、24歳で書かれた『魚服記』。太宰治の作品です。ねこ助さんのイラストが、物語の雰囲気をうまく伝えてくれているように思いました。
東北の人里離れた村で父親と暮らすスワ。日中過ごす滝のそばで、ある青年の不慮の死を目撃します。その後もこの場所で父親の帰りを待つ毎日。そして成長し···。という感じでした。
物語は、全体的に重苦しさを感じました。スワが父親に放った言葉が、この物語ではとても印象的でした。
最後に、生まれ変わって自由と解放を手に入れたスワが、滝壺に吸い込まれていったことで、なんともいえない気持ちになりました。
ねこ助さんのイラストのスワの眼に、思いが込められている感じがしました。
Posted by ブクログ
内容を完全に理解できてないけど、絶望的な話だった。
冒頭の植物採集中に転落死した学生の話が、こういう風にストーリーに関わってくるとは…。
その学生も魚になったかも?
思春期特有の「なぜ生きるか」みたいな不安を持っている女の子にとって、父親からの「そだべな、そだべな」だけじゃ足りなかったんだろうな。
フナも金魚みたいに長生きしたりするし、別に大したことない魚じゃないと思うけど、蛇には見劣りするもんね。
Posted by ブクログ
さっき読んだのよりもっと意味わからんかった…笑
何が何でどうなった!?って思っちゃうので、読み慣れてないなぁとしみじみする。
イラストは全面に描いてあったりもして、わりと好きな感じだったりはした。
Posted by ブクログ
太宰治文学忌、桜桃忌
遺体の発見された日を文学忌としている
1933年 太宰治24歳の作品
15歳の少女
父親と山間で暮らす
植物採集に来ていた学生が滝に落ちて亡くなる
少女はその様子を見る
ここに恋があるのかな?
父親から少年が滝に落ちて大蛇になってしまう昔話を聞く
少女がゆるやかに成長していく様子が垣間見れる
成長と共に 従順だった少女の反抗
少女は山に生まれた鬼子という
父親と血の繋がりがあるのか
どちらにしても父親の罪
父親の裏切りから滝壺への投身自殺
彼女はフナになり 解放される
絵はネコ助さん
可愛くも哀しげで 色彩も良い
できれば文字は黒で読みたいかな
Posted by ブクログ
津軽あたりの山奥の谷脇で、炭を作る父と客に駄菓子を売る少女スワ。
駄菓子も売れず、学校にも行かないで、本当に暇なのだろう。貧困が希望を奪うとは、この通り。毎日大してやることもなく、ただ無駄に時が流れていくだけのスワのような生活は、確かに生きる気力を削がれてしまいそうだ。
もう、つまらなすぎたのだろう。谷に飛び込んで、大蛇になれたかと思ったら、ただの鮒だった、というのも、父に漏らした「おめえ、なにしに生きでるば」「くたばった方あ、いいんだに」という言葉が示す通り、自分なんて全然大したことないんだという思いが実現してしまったようで、とても悲しい。
こんな一人ぼっちの所にいないで、町におりてみればよかったのに…。人との交流がなすぎても、人はダメになる。ちょうどよい刺激が必要なのだなぁと思った。
ずっと霞の中にいるような、幻想的で、冷ややかで涼しくて、谷の水飛沫をずっと浴びているようなウェットな感じが切なさを増幅させる。ねこ助のイラストがそれをよく描いていた。
貧困と暇は人を破壊する。目標や目的がないと、モチベーションが生まれないと、人はまともに生きてゆけないのだなと感じた。
Posted by ブクログ
ぼんじゅ山脈の馬禿山、そこの滝の近くで父親と小さな茶店を営む15歳のスワは、父が炭を売りにしょっちゅう村へ下りて行くので、その度に一人で店番をしている。
ことしの夏の終りごろ、スワは滝の淵に落ちて亡くなる人をその目で見た。店はほとんど閑散としており、暇な時間でスワは滝について思いをめぐらせる。父親は酒臭い息をさせて帰ってくる。
秋土用も過ぎてすっかり客足も遠のくと、二人は店をたたむ。スワは山奥できのこを採集して持ち帰り、それをまた父親に託し、じぶんは小屋にこもりくろい飯に焼いた味噌をかけてひとりで夕飯を食べる。
夢心地で見えた初雪の晩が明けると、スワはからだに疼痛を覚えていた。あのくさい呼吸を聞いた。
吹雪のなか滝壺に飛び込んだスワは、自分は大蛇になったのだと嬉しく思うのも束の間、じっさいは小さな鮒だった。鮒は口をぱくぱくさせ、尾鰭をつよく振って底深くもぐり遊んでいたが、やがて何かを考え込むかのようにじっと動かなくなった。
やがてからだをくねらせながら滝壺に向かい、そのまま吸い込まれていった。
太宰治が23歳ごろ、作家人生の初期に書いた短編(『晩年』所収)。
とても幻想的だと思ったのだけど、考察を読んでみるにどうやらスワは酔った父親に犯されたようだと分かってゾッとした。
投身し大蛇になれたと思って喜び勇んでいたはずなのに、ほんとうは鮒だったこと、そしてその結末が物悲しい。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、太宰治さんとねこ助さんのコラボ作品「魚服記」です。ねこ助さんの繊細でどこかさみしさを感じさせるイラストが印象的な作品です。
炭焼きの父とその娘のスワ…父が炭焼きの仕事をしているときは、スワは茶屋の店番をしていた…。また、父がふもとの町に下りるときには、ひとり炭焼き小屋で過ごすのだった…。スワは15歳、少女から女性に成長する時期…「おめえ、なにしに生きてるば」「くたばった方あ、いいんだに」なんとも切ない会話…。季節は秋から冬に向かう頃、いつものようにひとり父を待ちながら過ごすスワ…外を見ると初雪、酒臭い父から逃れるかのように小屋を出ていき…。
スワは父に、自分のことをもっとわかってほしかったんじゃないかな…それとも父から解放されたかったのか…。でも私的には、父に愛してほしかったんじゃないかと感じました。なんとも切ない最期は、しんみりと心に広がって静寂な余韻を残してくれました…。
Posted by ブクログ
地図にのっていないような山のふもとの寒村で、炭焼きの娘 スワは父親と二人で暮らしていた。
少し不思議な物語だった。
野性的に生きていたスワがある時から理知的になり、そして……。
暗い。