太宰治のレビュー一覧

  • 斜陽

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    ネタバレ

    大人になってから太宰治を読むのは初めてかもしれない。
    最後の黄昏と夜明けの対比がいい。

    かず子の火の不始末でボヤが起こった翌日、お母様の言葉でかず子が救われた場面が印象的。聖書からの孫引きにはなるが、「機にかないて語る言は銀の彫刻物に金の林檎を嵌めたるが如し」が、「言いたかったけど今じゃなかった」がよくある自分に響きすぎてしまった。

    かず子の手紙に記された恋でも愛でもない虹の表現が凄すぎて何度も読み返した。自分の想いをこんな風にお洒落に喩えて手紙に書いてみたいと思って、そんな自分に少し驚いた。

    自身をモデルにしているというところに気持ち悪さもあるが、自分にはかず子みたいなところも上原みた

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    2025年08月03日
  • 人間失格

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    葉ちゃんには自分の本当の姿を人に見せたく無いというところがある。素の自分を晒すのが恥ずかしいのか?実は元来おどけた人なのか?自分でもよくわからなくて色々考えすぎてしまうのでは無いのか。そして、本人としては男より扱いやすい女性に依存してしまうのか。そして、自分と深く関わった女性を不幸にし、その事をまた考えすぎてしまうのか。実は軽薄であまり考えていないのか。最後は死にたいというよりとにかく逃げたくなるんだなあ。自分が存在する世界から消えたくなるんだな、きっと。

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    2025年08月01日
  • 人間失格

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    初めて太宰治の本を読んだ。
    かなり難しかった。大きくなってからもう1回絶対に読み返す。"大きくなってから"

    この本は太宰治自身が、自分を理解出来ないが、理解しようと、分かろうと思って書いたのではないかと思った。

    この物語は自分に、父性、性加害、愛、人間を教えてくれる作品となった。

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    2025年07月28日
  • 魚服記(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    これは乙女の本棚としてはけっこうな問題作ではないのかな。
    ある場面をどう読むかということなんだけど、ネットでの考察を読んでも、そう読む人が多いようだから、やっぱりそういうことなんだろうな。
    なんでこういう作品を書いたのか、太宰に聞いてみたい。

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    2025年07月23日
  • 人間失格

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    初の太宰治でした。
    太宰治の末期の話でしょうか、
    ほとんど手記の感じですね。
    ダメになっていくさまを
    ありありと語っていくさまは、
    情景が浮かびました。

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    2025年07月20日
  • ヴィヨンの妻

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    オーディブルにて。津軽に向かう道中にて。
    途中から、椿屋の夫婦と、奥さんも何かあるのではと思いはじめたが、ここに落ち着くとは…。女は怖い。

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    2025年07月19日
  • ヴィヨンの妻

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    私小説風の晩年の作品群で、それぞれに「妻」が登場する。太宰には自覚がある。世の中のことが手につかず放蕩する詩人たちが、妻に強いる労苦を知っている。単なる「ひどい夫」なら、そうした認識も関心も、悪気もないだろう。その上で、彼女らは家庭にとって無益な夫のムーブを爽快に叩き斬る。キレキレぶりに溜飲を下げた。
    詩人が「本質」をめぐって煩悶する間、幼子を抱える妻たちが手段を選ばず(選べず)に生き抜く姿こそ、「本質」以外の何物でもない。

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    2025年07月12日
  • 駈込み訴え(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    有名作なのだが、実は読むのは初めて。
    太宰の告白体の作品に外れはないよね。
    途中まで読んで、ああこれはあの人が語り手なのねとわかって、さらに面白さが増したように思う。
    ただ、乙女でない身には、どうもこの絵が馴染めない。作品と合っているのかな?
    乙女はこれで納得するのかな?

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    2025年07月12日
  • 斜陽

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     四人四様の滅びの姿とあるように重たい内容ではあるが、読みやすいとは感じました、それぞれに深く感情を移入せずに俯瞰して読んだからだと思います。
     

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    2025年07月07日
  • 人間失格

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    太宰治の、いや津島修治の遺書とも言えるこの作品、本当に残っていることが奇跡なぐらいだけれど、なんともいえない内容かも。

    ただの弱い人間の自伝だと言われたらそれでお終いだけれど。

    太宰治の感受性とか、社会や命、自分に対して、一般的な人々が深く入り込まずにふわふわと生きている中、太宰治はそうはいかなかった。自分を批判しないといけなかった。
    そこらへんに生きる人々のほうがよっぽど卑怯で、人生から逃げていると言われているみたい。
    太宰治は自分に厳しい。その感受性が良い方に行くには環境がダメだったのか。

    周りの人から勝手に好かれて逃げるたびに好かれて、誇張だとしても本当にそのように思えて津島修治の

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    2025年07月06日
  • 猿ヶ島(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    ショートショートといってもよい内容。この絵は思いっきりミスリードしているが、まあ本人の意識はこうなのだといえなくもない。達磨の絵はよくわからん。女の子の絵もどうなの。文中では男の子って書いてあるのに。これも何かの意図があるのだろうけど、それが何なのかがわからない。乙女にはわかるのかな。

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    2025年07月06日
  • 惜別(新潮文庫)

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    『右大臣実朝』
    太平記を、太宰流に空想の世界を広げた作品。語り手は実朝に仕える近習(武の者ではない?)

    平家ハ、アカルイ。
    アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。
    無理カモシレマセヌガ、学問、ソレダケガ生キル道デス。
    ↑この辺り、太宰は自分を実朝に被せてるんだろうな〜。と言うか、むしろ実朝を自分に被せて理解してそうだな〜と思いました。


    『惜別』
    仙台時代の魯迅を描く作品。語り手は魯迅と同級だったという設定。まぁ〜これは、当局に頼まれて書いてるのもあり、時代の制約もあり所々は読むに堪えない箇所もあるけど、それはしょうがない。

    烏の話が面白かった。1人で松の上

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    2025年07月04日
  • 猿ヶ島(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズ。初めて知る作品でした。

    最初は島流しの話?はたまた主人公は精神を病んでいるのか?と思いながら読んでいきましたが、なるほど納得。
    和風のイラストと作品が合っていて、より味わい深く感じました。

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    2025年07月02日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    総題の漢字よし。
    収集箱じゃつまらない、蒐集函なのだ。
    カバーイラストも素敵。
    新潮文庫nexというレーベルで、ヤングアダルトにこの作品たちを差し出した編集部、GJ!

    ■坂口安吾 桜の森の満開の下
    既読を再読。

    ■芥川龍之介 影 ★
    初読。
    芥川といいえばドッペルゲンガーなのでそういうことかと中盤で思わせておいて、ラストなんと映画だった? 夢だった? というオチ!
    しかもそれすら真実かどうか不明な放り出し方。凄い。
    しかし、「歯車」でも感じたことだが、狂気に飲み込まれそうな感覚を、それでも作品化「しちゃえる」ことが、逆に悲劇だったのかもしれないと考えたりもした。

    ■江戸川乱歩 芋虫
    既読

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    2025年06月24日
  • 斜陽

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    太宰三作目(?)
    人間失格の衝撃と比較し、たんたんと落ち着いた雰囲気に序盤は退屈でしたが、
    後半は持ち前のざらざらとした感情表現が加速度的に続き、とてもまとまりよく、人の不幸とモチベーションに関する強い感情が描かれていたと思う。

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    2025年06月23日
  • 十二月八日・苦悩の年鑑 他十二篇

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    “私はここに生れて、そうしてこんな淡い薄い風景の悲しさに気がつかず、のんきに遊び育ったのかと思ったら、妙な気がした。”(p.123『帰去来』)



    “元気とは、身体を支持するいきおい。精神の活動するちから。すべて物事の根本となる気力。すこやかなること。勢いよきこと。私は考える。自分にいま勢いがあるかどうか。それは神さまにおまかせしなければならぬ領域で、自分にはわからない事だ。 お元気ですか、と何気なく問われても、私はそれに対して正確に御返事しようと思って、 そうして口ごもってしまうのだ。”(p.137『作家の手帖』)


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    2025年06月23日
  • パンドラの匣

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    太宰治作品に対する先入観を裏切る、明るく前向きな2編が収められていた。
    特に『正義と微笑』には、心に残る言葉がたくさんあった。

    「微笑をもて正義を為せ!」

    青春小説でありながら、青春時代を過ぎた私のような読者も置いてけぼりにはされない。
    むしろ、歳を重ねるほどに「顔は柔らかく、芯は真面目に」と心がけるべき場面は増えていくように思う。

    とはいえ、決めたはずのスローガンを守り続けるのは難しい。
    主人公の進自身も八つ当たりや迷走を繰り返す。
    そんな中登場する『ファウスト』の朗読シーン。

    「此の虹が、人間の努力の影だ。(略)
    人生は、彩られた影の上にある!」

    実体のない虹と、苦労を包む微笑。

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    2025年06月20日
  • きりぎりす(乙女の本棚)

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    太宰治文学忌、入水遺体が発見された日
    1940年昭和15年の短編 太宰治30歳

    売れない画家へ望んで嫁いだ女性
    結婚後徐々に世間に認められる夫
    名声と共に失われる清貧
    金にも地位にも固執していく
    価値観の相違に耐えられなくなった妻からの
    5年目の夫への別れ

    きりぎりすの鳴き声を背骨にしまって生きていく
    物語は理解しやすいが、最後コオロギの声を女は認識しながらきりぎりすへと言葉を転換させる
    さらっと読むと不思議な一節となる
    ご本人も名声と仕事が欲しかったのではと思うのですが、それを逆手に取った戒めでしょうか

    しまざきジョゼさんのイラストは昭和前半の雰囲気があり良かったです

    きりぎりすとコ

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    2025年06月19日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    ある女生徒の朝起きてから、夜眠るまでの日常を描いた短編。
    ひたすら眼にしたものに対する感想、ちょっとした不満など女生徒が頭の中で考えている事をとりとめもなく書き連ねている。
    太宰のイメージとは正反対の乙女感丸出しの作品。
    今井キラさんのイラストと相まってまさに“乙女”の本棚に相応しい作品だなと感じた!

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    2025年06月18日
  • パンドラの匣

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    初の太宰作品。
    読みやすくて主人公の苦悩や想いに共感する部分あり。名言もあり。カルチベート大切にしていきたい。

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    2025年06月18日