【感想・ネタバレ】斜陽 アニメカバー版のレビュー

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太宰治の代表作は人間失格だか
斜陽は同じ人生没落のストーリーでも
万人受けする物語である
太宰治を読み始めるのなら
斜陽を読むのをおすすめする

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2024年05月04日

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とても好き。特に後半、既存の価値観と闘いながら、自分なりの社会との向き合い方を模索し続けるかず子、直治、上原の姿が。私も私なりに闘っているから。

お母様は滅びゆくものの象徴。ルイ朝の貴婦人のような、子供のような、ただ上品なだけでなにもできないお母様。戦前の時代が求める貴族の女性の条件を完璧に満たしていたお母様。

戦前的価値観がお母様と共に滅びゆく様を目の当たりにするかず子。経済的困窮のなかで生き続けるためは自分の中に革命を起こす必要があると考えた。革命とは、これまで築いてきた自分の中のものの見方や価値観を全く新しいものにすること。それはお母様を失うことでもあり、恐ろしくもあるけれど、それでもかず子は生きることを諦めきれず革命を起こすことを選択した。そのための原動力としてかず子は恋を利用することにした、という話だと思う。お母様のような女大学的価値観から抜け出して、新たな価値観で生きるこもを決心するかず子。強いなあ。

直治は、遺書のところでようやく彼の人となりを少し理解できた。僕は貴族です、と書いて遺書を終わらせていた。自己受容をできなかったことが彼の不幸の源泉だと思う。生まれに抗い続けながら生きてきた直治は直前にそれを認めて死んでいった。お母様と同じく貴族として死ぬことを選んで、後悔はないだろうなと思った。てか世の中自省しないせいか理解に苦しむ人種いるのわかる〜(共感)。

上原は、虚無を抱えながら生きている。直治は積極的に死ななければいけなかったのに対し、酒を飲みながら緩やかに自殺をしている。そうして不道徳に生きていることが彼なりの社会への反抗なのだろう。反抗せずに生きていけないのだろう。

ところでかず子は、上原にキスをされて身軽になったと書いていた。罪を背負っても「私たちはただ生きていればいいのよ」というリアリストなヴィヨンの妻を思い出した。リアリストとロマンチストの対比が太宰の普遍的なテーマなのだろうか。

太宰おもしれ〜〜文章うま!人間の解像度高すぎて登場人物全員生きてる!言語化うま!パンチラインありすぎ!というのがようやくわかってきてとても楽しい。

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2024年04月20日

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イカれた考えを持ちながら、どこか趣のある登場人物であることが感じられました。人間の怖さと展開の速さが相まって一気に読み終わりました。

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2024年03月14日

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ネタバレ

読んだ太宰治の作品は「人間失格」に続き2作目。
太宰治の作品に触れると、自分の人生観や死という概念を改めて考えさせられ、今までと違う考え方もできるようになっていく実感があって好きです。
戦後の生活はあまり実感がありませんが、生きていくことの難しさは今も昔も変わらずあり続けるのだと感じました。
"人は、思想だけでは、死ねるものでは無いんですから。"
この言葉の重みを確かに感じました。

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2024年02月29日

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人間失格が思ったより面白かったから、読んでみたけど、太宰治好きかも。面白いんだけど、やっぱりダークな雰囲気が常にあって、でもその重さに胸が苦しくなる事はなく、ただただ美しくて溜め息をつきたくなる、そんな感じ。内容も興味深い。お母様の美しさに惚れ込むのに気持ち悪さを感じたし、その感情は純粋な愛情か恋心か?また、三通もの手紙の内容は身震いした。まさに落ちぶれているにも関わらず、自分に圧倒的な自信がある勘違い女。物語の行き先は全く想像がつかない。そこがまた面白かった。絶対にまた彼の作品を読むと思う。

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2023年12月27日

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太宰、面白い。
きっと太宰自身の自己評価でもあり、人間失格にも共通する、ひとの弱さや情けなさを体現する人物がキャスティングされていて、読み手をヤキモキさせる。
この作品でら、戦後の没落をに、貴族としての生き方しか選べなかった美しい母と、時代と自分の想いとに振り回されていく主人公の儚さに、心が絡め取られる感覚になる。
それぞれが、幸せから離れていく、滅びに…。

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2023年11月13日

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読んでいると、やっぱり青森人らしい書き方だと感じました。太宰治先生の小説は殆どに手をつけましたが、一番は決められないくらいどれも好きです。このシリーズの本、もっと出して欲しいです。

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2023年10月12日

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学生時代に読んだ時よりも主人公と同じぐらいの歳になって読んだら、とても面白かった。
学生時代は共感できなかったが、大人になってから再度読むと共感できるところがあり、面白くて読むのが止められなかった。

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2023年09月23日

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昔、文学と云うこと、という深夜番組があった。斜陽はその番組で見た印象がものすごく強い。ちゃんと読んだのは初めてで、とても好きな世界観だった。ヨルシカの斜陽を聴いた時の頭の中のイメージに深みが出たと思う。

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2023年07月13日

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ネタバレ

本書と再会するタイミングが良かったのか、気づいたら集中して読んでいた。1日で読み終わった。比較的明るい話の小説やビジネス書しか読んでいなかったので、対比で心に響いたこともあった。

今しがた読み終わったこの「斜陽」は、高3の夏に読んだ「人間失格」に味を占め、小説の楽しさに目覚めた勢いそのままに古本屋で買った文庫本の一つだった。10年以上前のあの頃、読んでも「なんか面白くない」と本の書き出しで挫折したっきり読んでいなかったけれど、引っ越しを3回経てもなぜか手元に残っていて、今10数年越しに読み終えることができた。

当時の自分には明らかに早すぎた小説だった。TVゲーム筆頭に強い刺激に毒されていた当時の私が、つまんねー書き出しだな!と感じたかず子と母の食事のシーンも、今は味わい深く美しい文章だと感じられる。晴れた日の太陽、窓から床に落ちる日差しとその周りの濃い陰影。風吹き騒めく葉擦れの音、カチャリと微かに鳴る食器。映画のように作り物っぽくない、そこにあるかのように描写され五感に訴えかけてくる文章表現が太宰治らしい。

また、言動こそ違えど、かず子や直治が心同じく母をいたわしく想う気持ち。染みついた生活感から長くは続けられぬと分かりつつ贅沢を続けるかず子と母。真っ当な貴族にも下品にもなれず遊び呆ける直治。など、昔は登場人物と言葉と状況くらいしか追えなかったが、関係性や文脈を押さえて読めるようになった今、私は登場人物達の生い立ちから来る絶望感や、次第に漂い始める不幸の匂いに心奪われようにしてページをめくっていた。

正直に書くと、人間失格よりまだ登場人物の心情が推し量れないところが多い。特に上原と再会した後のかず子の心情は錯乱状態と言えば簡単だけど、何が布石となってそれに至ったのか理解しかねる言動が多く、細かい因果まで読み解けなかった。時間が許す限り、最初に出した上原宛てのかず子の手紙あたりから読み直したいと思う。

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2023年06月05日

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1番好きな太宰(23年3月現在)
青空文庫で読みましたがとりあえずこちらで。
貴族の没落感に自分と重なる部分があるのでとてと苦しいです。周りの誰かを見ているみたいで、私は今は直治の考えに近いです。

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2023年03月30日

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貴族の矜恃と没落、戦後の価値観の変遷、生への絶望、そして革命…
太宰が描く滅びの美学に惚れ惚れした。
元々「日没前の太陽」の意味としてしか常用されていなかった単語がこの作品の影響で「衰退、没落」的な意味が一般的になったと知り、太宰が当時の世間だけでなく日本語にまで影響を与えていたのかと驚愕。

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2024年03月28日

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生まれながらにプライドを与えられ、それを全うして生きることの難しさが姉弟の2つの側面から書かれていて面白かった。
気高く生きたママのすごさが沁みる。

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2024年02月09日

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思ったより読みやすかった!!美しつ儚いお母様が少しずつ弱っていくのはとても悲しく切なく感じた。戦争によって命を奪われた訳では無いが人生を奪われた人は沢山いるんだろつなあとおもった。
お母さんが弱った辺りから、主人公が少し変になり、なんか急に恋愛やら革命やら言い出したのか少し違和感があった。何科に縋りたかったのかもしないと思った。弟の遺書にはあんな借金をして家族にたかってるようなクズ男だったけと、自分は生活能力がなかった、こうしか生きられなかったと書いて買って、初めは確かにいい所の家の子供だったから急に自分で生きねばならなくなったのは大変だったかもしれないと思った。また、お母さんがいるのに死ねないというのは意外で、やはり母という存在はどんなグレた男でも特別なのだと感じた。
主人公が身ごもって終わるが、幸せになれただろうかと気になってしまう。どうか、クズではなく、もっと穏やかでつまらないけど信頼できるようなそんな男と巡り会って、幸せになって欲しいと思う。

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2024年01月17日

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「僕が嘘つきの振りをしたら、人々は僕を、嘘つきだと噂した。僕が金持ちの振りをしたら、人々は僕を、金持ちだと噂した。僕が冷淡を装って見せたら、人々は僕を、冷淡なやつだと噂した。けれども、僕が本当に苦しくて、思わず呻いた時、人々は僕を、苦しい振りを装っていると噂した」
後半の弟の手記も胸にきた。

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2024年01月14日

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ネタバレ

【主題】
没落貴族の生き様を母、娘(自分)、弟を交えて描いた作品。
生活に陰りが出てからの母娘の生活が一幕。その後貴族として生きた母の死を転機に、貴族でもない庶民でもない自身と弟が各々どう生きるかを見つめ直し、結論を出す。(これを「革命」とかず子は呼んでいる)

【感想】
親子関係、恋、葛藤、生きる意味など普遍的なテーマが様々織り交ぜられてる中で、母から(そして貴族として生きること)からの卒業が一番印象的だった。
物語が一気に動き出すのも、貴族として最後に生きた母の死によってもたらされていると感じた。
母の死までは身辺のものを切り売りして生計を維持していたかず子が「革命」に動き出すのは、”「清らかに」生きられたお母様”の監視下を脱したことによるのではないか。母の存命中は火事の一つや蛇の存在を隠したがっていたが、死後あまり悲しむ描写は無しに、ラブレターを描き認めるなど奔放な姿が描かれている。
冒頭、母がスウプを飲む姿を見て、とても可愛らしいと表現しているが、実際はそんな母を見て自分はとてもこうなれない(或いはなりたくない)、もっと奔放に生きたいと思う蔑みの心が薄らと陰っているように感じた。

またもう一つ印象に残ったのは、直治と上原との対比である。
自身のアイデンティティクライシスを抱えつつ、貴族の枠から結局出られない直治と、百姓上がりで奔放な上原。自身のアイデンティティや生きる意味を問いつめ直治は自死を選ぶが、上原は酒に呑んだくれ、かず子と関係を持ち、自身の行動に何ら疑問を持たない。
直治は詰まるところ自身の理解者が誰もいなかったことで自死を選び取ったように感じる。遺書では自身の葛藤とそれを姉に理解して欲しい旨を綴っており、死ぬことによって自身の承認欲求を満たしているようにも感じた。

また手紙について、かず子も直治も名前を伏せたまま書き綴るスタイルが共通してるのは、その恋が秘め事だと分かりつつ自分を理解して欲しい姿を表していてて、両者共にエゴイズムを感じた。
貴族として生ききれず、誰からも受け入れられなかったことの反動にも思える。

貴族になりきれなかった世代の2人は自死と出産という相反する結論に辿り着いたが、どちらの結果も「斜陽」と形容するに相応しい終わり方のように思う。

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2024年01月03日

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夏が好きな人は夏に死ぬって言うけど本当かしら
この台詞がすごい好き 
夏の匂いがした気がした
夏は何かと自殺したくなる季節だと思う

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2023年12月20日

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序盤の母様の所作の美しさが印象に残っている。
直治はどこかだらしない人間のように感じていたけど、結局は貴族らしい人だった。
かず子がこの先どんな風に暮らして行くのか気になる...。

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2023年10月22日

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超面白いやばい〜〜なんで今まで読まなかったんだろう

弟の遺書は読んでいて胸が痛くなった。ところどころ共感できて辛い。

ただ姉の恋愛エピソードには正直辟易した。キスしてきただけの奴になんでそこまで入れ込めるのかが分からない。ラブレターも怖いし、共感性羞恥を感じた。なんで上原があんなラブレターを書いたかず子を受け入れて、抱いたのかが分からない。適応能力高すぎでは?普通だったら怖がって近づかないでしょ。
かなり違和感が残った。納得できる解説があれば読みたい。


「戦闘開始」から始まる文は迫力があって良かった。

あとお母さんが聖女すぎて泣けた。親孝行しなきゃって思いました。お母さんいつもありがとう。

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2023年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感性を磨きたいと思って、昔の文学を読んでみようと思った。まず第一に思ったのはむずかちー!です。
でも、自分の知らない感情がたくさんあるんだなって思って、ワクワクしました。自分にまだまだ知らない感情がたくさんあることを知ると、今自分の知ってる世界はまだほんの一部なんだっておもって、これかの自分にワクワクします。
あとがきの部分に書いていたけど、太宰治の文章は自分の重ねた年によって感じ方がちがって、読むたびに毎回新しくて新鮮なんだって。
私は、上原さんが和子に行った言った惚れちゃった、のかっこよさが私には全くわかんなかったし、むしろあんまいい感情いだかなかったし、人間は恋と革命のために生まれてきたってすごい言葉だしロマンティックとは思うけど、意味は全然わかんない。うっすい感想しかでないけど、これが今の私なんです。ストレートな文章だけじゃなくて、文章の裏に隠れてるもの、に気づきたい。
これから人生を歩んで行って、いろんな感情を経験して、この言葉に寄り添えるようになるのかな。

和子が上原さんの赤ちゃん生みたいって文章みて、すんげえじゃん貴族で生まれてその言葉言えちゃうのか!って思ったし、直治は貴族の血から逃れたくてもがいていてでも結局逃れられなかったけど、本当の直治の求めてた不良の生き方をしているのはは和子なんじゃないってくらい、和子がたくましくて革命に生きてた。
直治の遺書の自分の人生には希望のベースがないって言ってたのもなんだか心に残ってる。希望のレースっていつできるものなの。昔と今は考え方が違うのかな。
私って知らないことたくさんなんだろなー
本当に人生って自由だし無限大だなあってこの本読んでも思ったんだよね、能天気だなわたし本当ー笑

あったかい本だけじゃなくて、こーゆー本もみて感性をみがきたいな、はぁ、わくわくしてきた
2023.8.27

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2023年08月27日

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登場人物は少ないと感じた理由は、それぞれの感情が滑らかに自分に沁みてきたからかな。
木枠の薄い窓からの西陽の光がベージュの部屋に差し込む雰囲気がずっと感じられた。
没落。受け入れる。草。貴族。酒。子。
どんどん成長する自分の子どもを大事にしたいと思った。

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2023年05月10日

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美しく、芯が強い文章だと思った。
「ご無事で。もし、これが永遠の別れなら、永遠に、ご無事で」
「結局、僕の死は、自然死です」
一つ一つの文章をゆっくりと、大事に読みたい。

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2023年04月13日

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雰囲気に飲まれていく感じがすき
かず子の行動力には驚かされた。深く理解したいのでまた再読したい。なにかに圧迫されるような、気分が良くないときにまた読みたい。静かに不幸が降り掛かってくる描写を自然に美しい文で書いている。上にあがる美しさより、下に落ちていく美しさの書き方がうまい。

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2024年03月22日

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貴族として生きた母
恋に奔走する革命家
生に絶望し命を絶つ弟
反骨の活力に溢れる百姓

うーん、戦争時下において犠牲となった明るく暗い命のお話で、私には少し難しかった

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2024年01月22日

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戦後、華族廃止によって没落した元貴族の娘の話。「斜陽」というタイトルはこの小説から来ているそうで。知らんかったです。

スウプをお上品に飲むかず子のママは体調崩しがち。戦争から帰還した弟で薬中の直次にお金を無心され、お金はどんどんなくなっていく。身の回りのものを売ってでも送ってあげるところがかず子の育ちの良さを感じさせます。どうしようもない弟。私だったら放置するかも。

人のごちそうになって生きるのが辛くて自殺した直次の「ぼくは貴族です」という最後の言葉。一人残されたかず子も上原との子供を一人で育てていく決心をします。余韻たっぷりで切ない文章。決して明るくないであろう薄暗い未来を予感させるラストにしみじみするところか「なんだかなー」と思ってしまったのが正直な感想です。「うまい具合に妊娠しすぎだろ」と思っちゃったからかなぁ。太宰作品は初めてです。

伊豆に引っ越してママと暮らすあたりの描写は淡々としていて好き。直次が帰ってきてからじわじわ不穏になっていくのがたまらんね。

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2023年10月24日

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ネタバレ

前半はずっとお母様との慎ましい暮らしの話だったので、上原さんのこと思い出して恋だ!革命だ!とか言い出したのは唐突に感じた。

ただ、恋って結構突発的だったりするのも納得ではある。私自身も中2で突発的に小学校の同級生に告白した気がする。いま思うと恥ずかしくて仕方ない。

彼女の恋のトリガーは何だったんだろうか。現実の辛さや思い通りにいかない歯がゆい気持ちが衝動的な思いに走らせたのだろうか。

恋焦がれて会えた上原さんは6年間の時を経て変わり果て、彼女の気持ちは冷めてしまった。しかし、性行為をすることになり彼の子供を身籠る。そしてその間弟が自殺。彼女の行動は全て裏目に出ている。生きることはままならない。

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2023年06月24日

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かずこの母の愛情が言葉だけではない愛情が染み染みと感じられました。女性と力強さと逞しさも
男より感じそれでも頼ってしまう人間の不条理さ
もあるように思いました。伊豆の高台の情景描写が綺麗だった。

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2023年05月30日

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太宰治(1909~48年)は、青森県北津軽郡金木村(現・五所川原市)生まれ、東京帝大文学部仏文科中退、小説家。左翼活動での挫折後、自殺未遂や薬物中毒を繰り返しつつ、第二次世界大戦前から戦後にかけて作品を次々に発表したが、38歳で愛人と心中した自己破滅型の私小説作家であった。代表作は、本作品のほか、『走れメロス』、『人間失格』。
本作品は、太宰が自死する1年前の1947年7~10月に「新潮」に連載され、すぐさまベストセラーになり、また、戦後没落していく上流階級の人々を指す「斜陽族」という流行語を生み出した。
私は基本的には小説よりもノンフィクション(新書含む)を好むのだが、先日偶々40年振りに『人間失格』を読み、太宰のもう一つの代表作である本作品も読んでみた。
本作品は、(少なくとも表面的には)分かりやすい作品である。
主な登場人物は、元貴族令嬢のかず子(私)、元貴族夫人のかず子の母、かず子の弟の直治、小説家の上原二郎の4人。かず子の母は、「本物の貴族」として、その気品と美しさを保ったまま結核で亡くなっていき、直治は、元貴族であることから逃れるために、「貴族は嫌い」と言う上原と頽廃的な生活を送るが、俗人になりきることができずに、自死してしまう。そして、かず子は、元貴族であることを殊更に否定することなく、俗人的な現実を受け入れ、既婚の上原の子を身籠りながら、その子どもと一緒に力強く生きていくことを宣言する。
津軽の大地主だった太宰の生家(津島家)は、戦後の華族制度廃止・農地改革を受けて没落していき、その様を見ていた太宰が、チェーホフが『桜の園』で描いた帝政ロシアの没落貴族のなぞらえて書いたと言われ、主要な登場人物が、当時の社会に存在したいくつかの集団を象徴しているのだ。
太宰好きを公言している又吉直樹は、太宰は「嫌いな人は大嫌いだし、好きな人は大好きです」と言っているのだが、確かにそうなのかも知れず、残念ながら、私にはそれほど面白いとは思えなかった。尤も、又吉氏はさらに続けてこう言っている。「何かを思える。好きだとも嫌いだとも思える。ヒーローにもヒールにもなれるということは特別な作家にしかできないことです。・・・現代の作家で、太宰の役割を担えるのは村上春樹さんしかいないんじゃないかと思います。村上さんが新刊を出せば多くの人が読み、好きだ、嫌いだと言います。ご本人からすれば「嫌いだ」と言われるのは腹も立つでしょうけど、どこかで誰かが「嫌い」と言ってもびくともしません。日本文学の中で過去から現在まで、最もその対象にされ続けているのが太宰治さんです。」。。。なるほどである。
(2023年4月了)

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2023年04月27日

Posted by ブクログ

太宰治二作目。
なんと言おうか、太宰治感というのはこう言うものなのかしらと思ってくる。
なんともまぁ作中生きづらい人間が多いこと。
不幸というのはその人の中にだけ生まれるものなのかもしれないと、思った。どんな周りから見て恵まれていたとしても本人が「不幸」なれば「不幸」
幸福だと思えば幸福なのだと。
時代が時代と言われたらそれまで。でもこの時代に太宰治がいたとしても彼はこの世界でも苦しんでいただろうに、とは思う。

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2023年04月13日

Posted by ブクログ

太宰治の著書は初めて読んだが癖が強いな。
終戦後の貴族没落の話を描いているが、弟の直治と太宰本人を重ねているとも思われる。
自分にはわからない貴族の苦悩を感じた。
ちょくちょく海外の文学の例え話など出てきてわからないのがもどかしかった。
YouTubeで解説も読んだ。

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2023年04月13日

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