【感想・ネタバレ】斜陽 アニメカバー版のレビュー

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Posted by ブクログ

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読んだ太宰治の作品は「人間失格」に続き2作目。
太宰治の作品に触れると、自分の人生観や死という概念を改めて考えさせられ、今までと違う考え方もできるようになっていく実感があって好きです。
戦後の生活はあまり実感がありませんが、生きていくことの難しさは今も昔も変わらずあり続けるのだと感じました。
"人は、思想だけでは、死ねるものでは無いんですから。"
この言葉の重みを確かに感じました。

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本書と再会するタイミングが良かったのか、気づいたら集中して読んでいた。1日で読み終わった。比較的明るい話の小説やビジネス書しか読んでいなかったので、対比で心に響いたこともあった。

今しがた読み終わったこの「斜陽」は、高3の夏に読んだ「人間失格」に味を占め、小説の楽しさに目覚めた勢いそのままに古本屋で買った文庫本の一つだった。10年以上前のあの頃、読んでも「なんか面白くない」と本の書き出しで挫折したっきり読んでいなかったけれど、引っ越しを3回経てもなぜか手元に残っていて、今10数年越しに読み終えることができた。

当時の自分には明らかに早すぎた小説だった。TVゲーム筆頭に強い刺激に毒されていた当時の私が、つまんねー書き出しだな!と感じたかず子と母の食事のシーンも、今は味わい深く美しい文章だと感じられる。晴れた日の太陽、窓から床に落ちる日差しとその周りの濃い陰影。風吹き騒めく葉擦れの音、カチャリと微かに鳴る食器。映画のように作り物っぽくない、そこにあるかのように描写され五感に訴えかけてくる文章表現が太宰治らしい。

また、言動こそ違えど、かず子や直治が心同じく母をいたわしく想う気持ち。染みついた生活感から長くは続けられぬと分かりつつ贅沢を続けるかず子と母。真っ当な貴族にも下品にもなれず遊び呆ける直治。など、昔は登場人物と言葉と状況くらいしか追えなかったが、関係性や文脈を押さえて読めるようになった今、私は登場人物達の生い立ちから来る絶望感や、次第に漂い始める不幸の匂いに心奪われようにしてページをめくっていた。

正直に書くと、人間失格よりまだ登場人物の心情が推し量れないところが多い。特に上原と再会した後のかず子の心情は錯乱状態と言えば簡単だけど、何が布石となってそれに至ったのか理解しかねる言動が多く、細かい因果まで読み解けなかった。時間が許す限り、最初に出した上原宛てのかず子の手紙あたりから読み直したいと思う。

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2023年06月05日

Posted by ブクログ

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【主題】
没落貴族の生き様を母、娘(自分)、弟を交えて描いた作品。
生活に陰りが出てからの母娘の生活が一幕。その後貴族として生きた母の死を転機に、貴族でもない庶民でもない自身と弟が各々どう生きるかを見つめ直し、結論を出す。(これを「革命」とかず子は呼んでいる)

【感想】
親子関係、恋、葛藤、生きる意味など普遍的なテーマが様々織り交ぜられてる中で、母から(そして貴族として生きること)からの卒業が一番印象的だった。
物語が一気に動き出すのも、貴族として最後に生きた母の死によってもたらされていると感じた。
母の死までは身辺のものを切り売りして生計を維持していたかず子が「革命」に動き出すのは、”「清らかに」生きられたお母様”の監視下を脱したことによるのではないか。母の存命中は火事の一つや蛇の存在を隠したがっていたが、死後あまり悲しむ描写は無しに、ラブレターを描き認めるなど奔放な姿が描かれている。
冒頭、母がスウプを飲む姿を見て、とても可愛らしいと表現しているが、実際はそんな母を見て自分はとてもこうなれない(或いはなりたくない)、もっと奔放に生きたいと思う蔑みの心が薄らと陰っているように感じた。

またもう一つ印象に残ったのは、直治と上原との対比である。
自身のアイデンティティクライシスを抱えつつ、貴族の枠から結局出られない直治と、百姓上がりで奔放な上原。自身のアイデンティティや生きる意味を問いつめ直治は自死を選ぶが、上原は酒に呑んだくれ、かず子と関係を持ち、自身の行動に何ら疑問を持たない。
直治は詰まるところ自身の理解者が誰もいなかったことで自死を選び取ったように感じる。遺書では自身の葛藤とそれを姉に理解して欲しい旨を綴っており、死ぬことによって自身の承認欲求を満たしているようにも感じた。

また手紙について、かず子も直治も名前を伏せたまま書き綴るスタイルが共通してるのは、その恋が秘め事だと分かりつつ自分を理解して欲しい姿を表していてて、両者共にエゴイズムを感じた。
貴族として生ききれず、誰からも受け入れられなかったことの反動にも思える。

貴族になりきれなかった世代の2人は自死と出産という相反する結論に辿り着いたが、どちらの結果も「斜陽」と形容するに相応しい終わり方のように思う。

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2024年01月03日

Posted by ブクログ

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感性を磨きたいと思って、昔の文学を読んでみようと思った。まず第一に思ったのはむずかちー!です。
でも、自分の知らない感情がたくさんあるんだなって思って、ワクワクしました。自分にまだまだ知らない感情がたくさんあることを知ると、今自分の知ってる世界はまだほんの一部なんだっておもって、これかの自分にワクワクします。
あとがきの部分に書いていたけど、太宰治の文章は自分の重ねた年によって感じ方がちがって、読むたびに毎回新しくて新鮮なんだって。
私は、上原さんが和子に行った言った惚れちゃった、のかっこよさが私には全くわかんなかったし、むしろあんまいい感情いだかなかったし、人間は恋と革命のために生まれてきたってすごい言葉だしロマンティックとは思うけど、意味は全然わかんない。うっすい感想しかでないけど、これが今の私なんです。ストレートな文章だけじゃなくて、文章の裏に隠れてるもの、に気づきたい。
これから人生を歩んで行って、いろんな感情を経験して、この言葉に寄り添えるようになるのかな。

和子が上原さんの赤ちゃん生みたいって文章みて、すんげえじゃん貴族で生まれてその言葉言えちゃうのか!って思ったし、直治は貴族の血から逃れたくてもがいていてでも結局逃れられなかったけど、本当の直治の求めてた不良の生き方をしているのはは和子なんじゃないってくらい、和子がたくましくて革命に生きてた。
直治の遺書の自分の人生には希望のベースがないって言ってたのもなんだか心に残ってる。希望のレースっていつできるものなの。昔と今は考え方が違うのかな。
私って知らないことたくさんなんだろなー
本当に人生って自由だし無限大だなあってこの本読んでも思ったんだよね、能天気だなわたし本当ー笑

あったかい本だけじゃなくて、こーゆー本もみて感性をみがきたいな、はぁ、わくわくしてきた
2023.8.27

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2023年08月27日

Posted by ブクログ

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前半はずっとお母様との慎ましい暮らしの話だったので、上原さんのこと思い出して恋だ!革命だ!とか言い出したのは唐突に感じた。

ただ、恋って結構突発的だったりするのも納得ではある。私自身も中2で突発的に小学校の同級生に告白した気がする。いま思うと恥ずかしくて仕方ない。

彼女の恋のトリガーは何だったんだろうか。現実の辛さや思い通りにいかない歯がゆい気持ちが衝動的な思いに走らせたのだろうか。

恋焦がれて会えた上原さんは6年間の時を経て変わり果て、彼女の気持ちは冷めてしまった。しかし、性行為をすることになり彼の子供を身籠る。そしてその間弟が自殺。彼女の行動は全て裏目に出ている。生きることはままならない。

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2023年06月24日

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