太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
はっきりとした感想が思い浮かびませんが、すごく身に覚えのある、共感に至るところがあります。
愛想よくすることは努める必要があり、他人との劣等性を強く感じてしまい、逃げることを選択する。
この相容れなさは自分を下げ続けてしまう感情です。
所感はただのクズが勝手に落ちぶれて、沼に嵌って抜け出せず、自滅していく無様な話ですが、何か引っ掛かるのです。
自殺する選択肢があまりにも軽くあるのは時代背景なのかわかりませんが、女とともに死を選択するところは私の思考にはなく、理解し得ません。
孤独感からの解放を求めていたのでしょうか。
人間失格
いまは自分には、幸福も不幸もありません。
ただ、いっさいが過ぎて行きます。 -
Posted by ブクログ
序盤からすぐに引き込まれた。
文体が難しそうという先入観があったのだけど、全然そんなことなくてすごく読みやすかった!
時代背景は今とはかなり異なると思うけど、そんなに時代ギャップを感じなかった。すごい。さすがは時代を超えて愛される名作である。
人間というものが理解できず、怯え、紛れ込めるように道化を演じる主人公。彼視点の周囲の人間への洞察が非常に興味深かった。
上辺の付き合いというのは人間関係でよくあるものだし、こうしてメタ的な視点で見ると人間関係とは実に奇妙なものだと思う。かなり主人公に首肯できる部分も多くあり。
太宰治の人生と重なる部分が多く、彼自身も道化を演じ続けていたのだろうかと想いを馳せる。しかし、道化を演じてない人なんていないんじゃないかとも考える。人はだれしも浮かないように、必死に道化を演じて取り繕いあったものが世間なんじゃないかなあとこの本を読んでて思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ太宰治は、授業で走れメロスを読んだきりで他の作品は読んだことがなく、ほぼ初めてのような感じだった。
古典って、いつか読んでみたいと思いつつ難しそうでなかなか手が出なかった。
本書を読んだきっかけは、静岡旅行で太宰治ゆかりの旅館、安田旅館に泊まった際に、部屋に文庫が置いてあったから。
読み始めてみたら意外と読みやすくて、舞台が宿泊している伊豆ということもあり、情景も思い浮かべやすくて時間が許すまで読んだ。
後日、読書アプリからダウンロードして通勤中にちょくちょく読み進めた。
読んでいて、なんだか物悲しい気持ちになった。
戦後、没落した貴族の親子は東京から伊豆へ引っ越してくる。
そこでの慣れない生活に四苦八苦する娘とその母、そして戦争から戻った息子。
そこにうっすらと漂う「死」の気配。
「斜陽」という言葉は、この小説が元になり、後に国語辞典に「没落」の意味も付け加えられたのだとか。
小説のタイトルから日本語に新たな意味づけがされるなんて、その影響力の強さに驚く。
お母さんが亡くなる前の描写が読んでいてとても辛かった。
所謂アラサーで、年齢的には立派な大人であるかず子だが、まだ大人になりきれずに母を慕っている様子は、いい年になっても大人になりきれていない自分にも重なってしまった。
そして、母が亡くなった後のかず子の暴走っぷりは少し引いてしまった。
妻子のある上原へのラブレターなんかは、なんだか必死すぎて心配になってしまった。
そして急な弟の死には衝撃を受けた。
弟の遺書は、読んでいてその辛さが痛いほど伝わってきて心苦しくなった。
1人残されたかず子はどうなるのかと思ったら、上原との子どもを1人で育てていく決意を、上原への手紙に綴るのだ。
正直、子どもができたというのも本当なのか疑ってしまったのだが、具体的なお願い(弟の無念を少し晴らしてあげようと思ってのことか)をしてることから恐らく本当なのだろう。
かず子が意気揚々と主張する「恋と革命に生きる」とはどういうことなのか、イマイチピンと来なかった。
今までの道徳に縛られず、自分の欲のまま、恋をして生きて行くということなのか。
それが、妻子ある人との子どもを1人で育てていくということで体現しようとしているのか。
戦後の新たな価値観へ向かう過渡期の雰囲気ってこんな感じだったのかなと思う。
大人が信じられない。今までの価値観が信じられない。未来が見えない。新しい思想を求めては、時代の変化に苦しみ、消えゆくものは消えて行く…。
人間の生きる苦しみを描きながら、最後は1人の女性の決意の手紙でぷつっと終わる。
かず子がその後どうなったのかわからない。
その余韻が強く印象に残る作品だった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ青年・葉蔵が狂人と化していく物語。
葉蔵は世間を恐れ、不信感・無関心を内に隠しながら道化を演じて生きている。女にめっぽうモテた。初めて恋した女との心中で死に損なったことを転機に女、酒に溺れて堕ちていく。
ただ、登場人物(特に女)はほとんど善人のようだ。その優しさに、葉蔵は甘えずには居られなかった。
葉蔵には強い意志そのものがなかったのだろう。
だからこそ道化を演じられたのだが、だからこそ甘さを跳ね除けられず、抜け出せなかった。
人との出会いにより展開していくストーリーは現代では想像し難いが、没落していく様子は非常にリアリティがある(没落の様子は常にリアリティがあるものかもしれないが)。
意思を持たぬこと、易きに逃げること、あるいは心が折れることの恐ろしさを感じさせる一冊。
その恐怖心が、人生のあり方を考えさせてくれる。 -
Posted by ブクログ
私個人の身の回りで、「楽観的に、人生を謳歌し、苦痛のない人」は一人としていない。
皆心のうちに悩みを抱えている。今ではなく、その時々のライフステージにおいて付き纏う。
大変恵まれた門出の主人公もそんな一人。
自らを偽り道化として振る舞い、周囲の大人の信頼を得て、簡単に女を手に入れる。どこで道を誤ったのか。
酒に溺れ、金に苦心し、手に職をつけられる根気は養われず、薬物中毒者として世間より隔離された。
人間らしい、それでいて分岐点が無数にある人生の選択を悉く誤ったものを失格者と呼び捨てるのは、太宰治自身の人生の後悔を表しているのだろう。
二つの道の選択がある時に、「より困難な道を選ぶ。そうすれば人生が上等になる」と考えていたが、この本を読むと「人生を落第させないために苦行すべき」なのかもしれないと考えを改めた。 -
Posted by ブクログ
この短編集は遺書のつもりのようだけれど
なかなか遺書にしては
面白いものも多い
たとえば小説を書きながら、
自らの心の声まで加えてしまう
突然小説の中に自らが現れて
なんだか愚痴をつぶやく
小説の内容に自らが照れているかのようで
かわいい感じもする
これは読者への罠なのかも‥
「道化の華」の締めくくり方もまたいい
『‥そして、否、それだけのことである』
太宰治らしく感じる
もうひとつ
「陰火」の中の「紙の鶴」の最後の一文がかわいい
『‥まずこの紙を対角線に沿うて二つに折って、
それをまた二つに畳んで、こうやって袋を作って、それから、こちらの端を折って、
これは翼、こちらの端を折って、これはくちばし、こういう工合いにひっぱって、ここのちいさい孔からぷっと息を吹きこむのである。
これは鶴』
これを読んであるバンドの歌の歌詞を思い出した
その歌詞はちょうちょ結びの結び方を
文章にしていた
やっぱりかわいかった
そして
この「紙の鶴」は初めにカギかっこ、そして
最後にカギかっこ。長い文章がすべてカッコの中にある。改めて見直していて初めて知った
すべて友人に話している言葉だったのか‥
またしても太宰治にしてやられている
どれもこれもさみしい小説なのに
さみしさを感じない
でも本人としては
何もかもがしっくりこなかったのかなあ
つらかったのかな‥