太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私個人の身の回りで、「楽観的に、人生を謳歌し、苦痛のない人」は一人としていない。
皆心のうちに悩みを抱えている。今ではなく、その時々のライフステージにおいて付き纏う。
大変恵まれた門出の主人公もそんな一人。
自らを偽り道化として振る舞い、周囲の大人の信頼を得て、簡単に女を手に入れる。どこで道を誤ったのか。
酒に溺れ、金に苦心し、手に職をつけられる根気は養われず、薬物中毒者として世間より隔離された。
人間らしい、それでいて分岐点が無数にある人生の選択を悉く誤ったものを失格者と呼び捨てるのは、太宰治自身の人生の後悔を表しているのだろう。
二つの道の選択がある時に、「より困難な道を選ぶ。そうす -
Posted by ブクログ
感激。わたしが文章を書くとき、内容に合った言葉を探しまわって、ひとつ見つけ出して、何とかして書くことが多いものです。けれども『人間失格』では、言葉があふれ出して、もう見つかっているなかでどの言葉がいいか…あれがいいこれがいい、と書いているように特に感ぜられます。
彼は『人間失格』を、頭で書きながら心で書いて、何だかよくわからないものの"魂"で書いているような気がしてくるわけです。"魂"って何だろう、とさえ思わせる何ががある…。
人間の奥底から溢れててくる想いと言葉たちを、ひとつの作品の中で明るみに出すこと。人間の奥底にある"何か" -
Posted by ブクログ
確か中学の朝読書で読んだ。
内容は全く覚えてなかったけど。
私自身も子どもの頃は家族から求められる「末っ子らしさ」を無意識に演じていた。
「自分はこういう役目を期待されてるだろうな」そんなことを考えて行動していたと思う。
自分では言葉にできなかった感覚を、ここまで言語化できるのかという驚きがあった。
最も衝撃を受けたのは、葉蔵の幼少期のある出来事がごく短く語られる場面だった。
Audibleだったので「え? 今なんて言った?」と思って戻ったくらい、サラッと通り過ぎた。
この短さにかえって本人にとって触れたくない、忘れたい記憶だったのではないかと思えた。
誰か一人でも気が付いて、葉蔵を守って -
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「太宰に対しては全肯定か全否定しか許されない。」と解説にあったように、太宰治は文豪の中でも好き嫌いがはっきりしているイメージを抱いていた。そして自分は太宰が好きな側の人間であることが分かった。『人間失格』を楽しめるというか、面白いと思う人間であることも。
『走れメロス』は当然学校の授業でやっていて、それ以外の機会に太宰を読んだ事はなかったが、新潮文庫のプレミアムカバーが出ていたので、購入してみた。
高校生の時に授業中暇で、電子辞書で冒頭だけ読んだことがあるように記憶してるんだけど、当時抱いた印象とは違って思っていたよりも全然読みやすかったし、文才に驚いた。どうしても心中ばかりしてたイメージが -
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この短編集は遺書のつもりのようだけれど
なかなか遺書にしては
面白いものも多い
たとえば小説を書きながら、
自らの心の声まで加えてしまう
突然小説の中に自らが現れて
なんだか愚痴をつぶやく
小説の内容に自らが照れているかのようで
かわいい感じもする
これは読者への罠なのかも‥
「道化の華」の締めくくり方もまたいい
『‥そして、否、それだけのことである』
太宰治らしく感じる
もうひとつ
「陰火」の中の「紙の鶴」の最後の一文がかわいい
『‥まずこの紙を対角線に沿うて二つに折って、
それをまた二つに畳んで、こうやって袋を作って、それから、こちらの端を折って、
これは翼、こちらの端を折って、これは -
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太宰治27才、28才の頃の作品
晩年を発表したあとの
一番やさぐれでいた頃というか
まともな精神状態ではいられなかった頃
とのこと
病気のために使用した鎮痛剤が
中毒となりさらにひどい状態に
周りをヤキモキさせていたようです
この中のどの作品も
まるで自分を卑下しているかのような
すべてをさらけ出しているような
おかしな小説ばかり
自分宛の手紙を並べただけの小説もある
が、それもこれも
すべて計算ずくできっと
本当の小説なんだろうと言われている
どこまでが本当でどこまでが創作なのか‥
すべてひっくるめて
太宰治の作品なのでしょう
そう思うと
なかなかの作品ばかり
一捻りも二捻りもしてあり
さぞ -
Posted by ブクログ
「女、酒、薬物に溺れていったクズ男の話」では括りきれない、なんとも言えない読後感。陰鬱な自伝ではあるものの引き込まれてしまう魅力的な作品だった。
断れない性分だとかあまり人ごととは思えない心中の描写や逡巡の様が印象的だった。誰しも大なり小なり道家は演じてるんじゃないかと思う。
せっかく多少上向いてきたかと思った中でのヨシ子の事件が辛かった。ただ少しも相手の男やヨシ子への憎悪の描写がないあたりがまた葉蔵らしく悲しい。
幼少期の女中、下男からの性的虐待がなければ葉蔵の人生はこうはならなかったのかと考えてしまった。
あとがきでメタ視点になる流れがまるで映画のようで美しかった。