太宰治のレビュー一覧

  • 晩年(新潮文庫)

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    この短編集は遺書のつもりのようだけれど
    なかなか遺書にしては
    面白いものも多い
    たとえば小説を書きながら、
    自らの心の声まで加えてしまう
    突然小説の中に自らが現れて
    なんだか愚痴をつぶやく
    小説の内容に自らが照れているかのようで
    かわいい感じもする
    これは読者への罠なのかも‥

    「道化の華」の締めくくり方もまたいい
    『‥そして、否、それだけのことである』
    太宰治らしく感じる

    もうひとつ
    「陰火」の中の「紙の鶴」の最後の一文がかわいい
    『‥まずこの紙を対角線に沿うて二つに折って、
    それをまた二つに畳んで、こうやって袋を作って、それから、こちらの端を折って、
    これは翼、こちらの端を折って、これは

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    2026年07月05日
  • ヴィヨンの妻

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    特に印象に残ったのは『ヴィヨンの妻』『おさん』
    破滅的な生活をする夫との家庭が、妻目線で語られています。
    これを太宰治が著しているというのが、余計になんとも言えない気持ちになりました。

    特に『おさん』のラスト。
    この妻の心情を綴っておきながらの、太宰の現実。
    重いし、切ないです。

    『親友交歓』は、呆れつつもクスっと笑えるおかしみがありました。

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    2026年07月05日
  • 津軽(新潮文庫)

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    この作品もすごく良かったです。ほのぼのとしていて、故郷である青森に帰った太宰治が思い出の 逢いたかった人 に逢えるまでの紀行文です。太宰さんの友達やその人達との会話や食事、こんな生活を送っていたのだなと知ることができます。特に太宰治さんが気になるけど、どんな特徴があるのか分からないよという人におすすめです。ただ、読み方や意味が分からない漢字が出てきたりなどと読むのに少し苦戦しました。
    ご興味あればご一読くださいね。

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    2026年07月05日
  • 二十世紀旗手(新潮文庫)

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    太宰治27才、28才の頃の作品
    晩年を発表したあとの
    一番やさぐれでいた頃というか
    まともな精神状態ではいられなかった頃
    とのこと
    病気のために使用した鎮痛剤が
    中毒となりさらにひどい状態に
    周りをヤキモキさせていたようです
    この中のどの作品も
    まるで自分を卑下しているかのような
    すべてをさらけ出しているような
    おかしな小説ばかり
    自分宛の手紙を並べただけの小説もある
    が、それもこれも
    すべて計算ずくできっと
    本当の小説なんだろうと言われている
    どこまでが本当でどこまでが創作なのか‥
    すべてひっくるめて
    太宰治の作品なのでしょう
    そう思うと
    なかなかの作品ばかり
    一捻りも二捻りもしてあり
    さぞ

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    2026年07月02日
  • 斜陽

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    人間は、恋と革命のために生まれてきたのだ。

    このセリフに触れたいがために読んだ。
    太宰が何を伝えたいかあまりわからなかった。
    病的なほどの愛をか?
    きっとこの先読み返すことになる作品なのだとは思う。

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    2026年06月29日
  • 人間失格

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    「女、酒、薬物に溺れていったクズ男の話」では括りきれない、なんとも言えない読後感。陰鬱な自伝ではあるものの引き込まれてしまう魅力的な作品だった。

    断れない性分だとかあまり人ごととは思えない心中の描写や逡巡の様が印象的だった。誰しも大なり小なり道家は演じてるんじゃないかと思う。
    せっかく多少上向いてきたかと思った中でのヨシ子の事件が辛かった。ただ少しも相手の男やヨシ子への憎悪の描写がないあたりがまた葉蔵らしく悲しい。

    幼少期の女中、下男からの性的虐待がなければ葉蔵の人生はこうはならなかったのかと考えてしまった。

    あとがきでメタ視点になる流れがまるで映画のようで美しかった。

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    2026年06月29日
  • 斜陽

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    ネタバレ

    太宰治作品初読です。全体的に決して明るくはないが、良い意味で淡々としていて、それでいて穏やかさの中にどことなく不安感を感じる、不思議な文章だなぁと思いました。雰囲気がとても好き。

    同じ家族といえど、母は最後の本物の貴族として、弟は崩壊した社会に馴染めなかった元貴族として、自身は貴族としての傲慢さは捨てずに変わっていく社会に挑んでいく元貴族の革命家として三者三様に描かれていて、この対比構造が綺麗でした。

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    2026年06月29日
  • 斜陽

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    かず子と直治の対照的な結末が印象的。

    かず子の上原への一直線なアプローチ。
    狂気すら感じる一方で、その逞しさにも惹きつけられました。

    時間を置いて読み返すと、また違った感想が出てきそうです。

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    2026年06月28日
  • 人間失格

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    言わずと知れた日本文學界不朽の名作。読み終えて思うのは、やはり自分も「恥の多い生涯」を送ってきたのではということです。
    幼少時代を振り返ると、両親や周囲の大人たちの期待や怒り、感情に応えようとする余り、自分の本心を隠しながら日々やり過ごしていたように思います。自分からこれがしたい!という気持ちで選択肢を選び取ったことって何回あったっけ、、
    それから月日は流れ、思春期•青年期へ。これまでに染み付いた判断の物差しを外部に求める思考は中々棄てきれず、本音が言えなかったり、自分の殻を破れなかったりすることもしばしば。周囲に合わせるということは、自分で考えることから逃るということでもあるのです。
    勿論、

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    2026年06月27日
  • ビルディング(乙女の本棚)作品集(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズ。夢野久作のビルディングが収載された、ねこ助さんの作品集です。

    ビルディングは、とっても短いストーリーですが夢野久作らしさが全開。ねこ助さんのイラストが、より一層作品にパワーを与えていました。最後のシーンの可愛らしさと不気味さの混じった様子が印象的でした。

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    2026年06月25日
  • ヴィヨンの妻

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    おさん、ヴィヨンの妻、家庭の幸福、桜桃と篇を追うごとに作品が暗さを増していく。
    特に家庭の幸福で書いてあった役人への不満は圧巻だった。
    東大という、国内で一番役人や政治家、経済に明るい人たちを輩出する学校に通っていた人間が、ここまで税金や政府の発言を忌み嫌う言葉を紡ぐ様子はさすが太宰治だと思った。

    生きることへの絶望、自殺への執着心がありありと感じられる作品だった。
    だいぶ病んでいるけど、アフォリズムが散りばめられているので現代人にも共鳴できる部分がある。

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    2026年06月25日
  • 斜陽 アニメカバー版

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    面白かった。文章綺麗だね。教養がないと難しいなぁ。ゲーテとかさなんかこの辺の時代背景関連なんも知らんし

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    2026年06月22日
  • 人間失格

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    幼い頃から人間という存在を恐れ、道化でごまかしてきた主人公。人間である以上逃れない「人間の条件」から逃げ続けた末に、やがて破滅へと至る過程がとてもドライに描かれている。

    自分にとって苦手なことや、時には恐ろしいと感じることは、人生の中でいつかは決着をつけなければならない。そんなことは誰にもいくつかはあるはずだし、だからこそ誰もが何らかの歪みを内に秘めているのだと思う。主人公の惨めな生き方に腹が立つと同時に、心情的に妙に共感できる部分があるのも多分それが理由だろう。

    読み終えたとき、とても暗い気分になり、このストーリーをどう受け止めれば良いのか混乱したが、自分の内面を映す鏡として機能している

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    2026年06月22日
  • 晩年 アニメカバー版

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    「思い出」が一番好き。
    太宰治はよく、「この感情に共感できるのは私だけなのでは…」と多くの思春期自意識バリバリの少年少女を勘違いさせてくれるが、それを全て煮詰めて短編にしてくれた感じ。
    本当に上手いなぁ…

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    2026年06月22日
  • 人間失格

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    恥の多い生涯を送ってきました。
    どんな人にも言える言葉ではないだろうか。

    他人を信用出来ず道化に徹する葉蔵。
    誰もが社会で生きていくにあたりその時々の仮面をつけている。職場、友人、家族……環境によって自分を演じ分けるのは皆そうではないだろうか。

    特に刺さったのは堀木と母親の場面。
    堀木は世渡り上手で人間的な人物として描かれていると思った。葉蔵がやや軽蔑していた堀木が、家ではしっかりしていてお母さんを敬い別人のよう。自分と同類、あるいは下に見ていた人間が実は内と外の顔を持っていて、世界にずっと適応していた、自分とは真逆の存在だったと突き落とされる。
    この子はこちら側だと思っていたのに、と勝手

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    2026年06月19日
  • 乙女の本棚3 葉桜と魔笛

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    姉妹(もしかしたら父親も)の愛情のある絆が感じられるお話。
    イラストも可愛らしく、マッチしている。
    9頁目のイラストがきれい。

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    2026年06月19日
  • 斜陽

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    皆の堕ちていく様を描いているのに終始美しい。
    最初のスウプのシーンがこの作品のトーンを設定していて秀逸。その場面からすでに3人の人となりが見えてくる。誰にも共感できないのに、なぜか気持ちがわかってしまうから嫌いになれない。3人に限らず、すべての登場人物の言動やエピソードが細かく、本当にそういう人がいた、こういうことがあったかのように思えてくる。物語の没入感はどれだけ読者を信じ込ませられるかにかかっているので、これはさすがとしか言いようがない。
    太宰治の人間への解像度の高さに気付かされる作品。

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    2026年06月18日
  • きりぎりす(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    最近たまたま短編集で読んだばかりの短編だが、表紙の人妻のエロさに惹かれて読んだ。乙女の本棚の中では、過剰なところのない画風がよかった。表情は描かず、色は淡くて、射す光がさわやか。
    「おわかれ致します。」という書き出しもやはりいい。

    貧乏な方が工夫ができて楽しくて、浮気は気にならなくて、自分じゃなきゃダメだという男に嫁ぎたい。
    う~む。太宰の理想の女性だろうか。

    芸術家だと思っていたら、成功して俗物になった夫に幻滅する妻。
    う~む。私からしたら、太宰も成功者だけど、どういう気持ちでこの話を書いたのかな?

    仰向けに寝転がって、背中の下で鳴くきりぎりすの声を背中にしまって生きようとする女。それ

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    2026年06月17日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    当たり前のように家事手伝いをこなす女生徒(゜o゜)思春期の悩み、心の葛藤、誰もが通る道…(*´ー`*)私も…いや、そんな道通ったか?(・_・;)何となく、太宰に乙女度が負けている気がする(⁠+⁠_⁠+⁠)

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    2026年06月17日
  • 人間失格

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    再読です。
    「人間失格」というタイトルは、何度見ても本当に魅力を感じます。
    作者の遺書のような作品だということも知ってはいたのですが、あえて主人公に重ねないように意識して読みました。
    前回よりも物語の解像度が上がったからか、主人公の恐怖や不安などの感情がこちら側にゆらり、もたれかかってくるような感覚でどこか儚く、目の前に居たらダメだとわかっていても思わず追いかけたくなっていたでしょう。
    ふらりと終わりの近くを歩いている姿を羨ましく思ってしまうのは、生に喜びを感じている今の私だからこそ得られるものかもしれません。
    次にこの作品を読むときに感じる感覚がどういったものになるのか、とても楽しみです。

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    2026年06月16日