太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この短編集は遺書のつもりのようだけれど
なかなか遺書にしては
面白いものも多い
たとえば小説を書きながら、
自らの心の声まで加えてしまう
突然小説の中に自らが現れて
なんだか愚痴をつぶやく
小説の内容に自らが照れているかのようで
かわいい感じもする
これは読者への罠なのかも‥
「道化の華」の締めくくり方もまたいい
『‥そして、否、それだけのことである』
太宰治らしく感じる
もうひとつ
「陰火」の中の「紙の鶴」の最後の一文がかわいい
『‥まずこの紙を対角線に沿うて二つに折って、
それをまた二つに畳んで、こうやって袋を作って、それから、こちらの端を折って、
これは翼、こちらの端を折って、これは -
Posted by ブクログ
太宰治27才、28才の頃の作品
晩年を発表したあとの
一番やさぐれでいた頃というか
まともな精神状態ではいられなかった頃
とのこと
病気のために使用した鎮痛剤が
中毒となりさらにひどい状態に
周りをヤキモキさせていたようです
この中のどの作品も
まるで自分を卑下しているかのような
すべてをさらけ出しているような
おかしな小説ばかり
自分宛の手紙を並べただけの小説もある
が、それもこれも
すべて計算ずくできっと
本当の小説なんだろうと言われている
どこまでが本当でどこまでが創作なのか‥
すべてひっくるめて
太宰治の作品なのでしょう
そう思うと
なかなかの作品ばかり
一捻りも二捻りもしてあり
さぞ -
Posted by ブクログ
「女、酒、薬物に溺れていったクズ男の話」では括りきれない、なんとも言えない読後感。陰鬱な自伝ではあるものの引き込まれてしまう魅力的な作品だった。
断れない性分だとかあまり人ごととは思えない心中の描写や逡巡の様が印象的だった。誰しも大なり小なり道家は演じてるんじゃないかと思う。
せっかく多少上向いてきたかと思った中でのヨシ子の事件が辛かった。ただ少しも相手の男やヨシ子への憎悪の描写がないあたりがまた葉蔵らしく悲しい。
幼少期の女中、下男からの性的虐待がなければ葉蔵の人生はこうはならなかったのかと考えてしまった。
あとがきでメタ視点になる流れがまるで映画のようで美しかった。 -
Posted by ブクログ
言わずと知れた日本文學界不朽の名作。読み終えて思うのは、やはり自分も「恥の多い生涯」を送ってきたのではということです。
幼少時代を振り返ると、両親や周囲の大人たちの期待や怒り、感情に応えようとする余り、自分の本心を隠しながら日々やり過ごしていたように思います。自分からこれがしたい!という気持ちで選択肢を選び取ったことって何回あったっけ、、
それから月日は流れ、思春期•青年期へ。これまでに染み付いた判断の物差しを外部に求める思考は中々棄てきれず、本音が言えなかったり、自分の殻を破れなかったりすることもしばしば。周囲に合わせるということは、自分で考えることから逃るということでもあるのです。
勿論、 -
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幼い頃から人間という存在を恐れ、道化でごまかしてきた主人公。人間である以上逃れない「人間の条件」から逃げ続けた末に、やがて破滅へと至る過程がとてもドライに描かれている。
自分にとって苦手なことや、時には恐ろしいと感じることは、人生の中でいつかは決着をつけなければならない。そんなことは誰にもいくつかはあるはずだし、だからこそ誰もが何らかの歪みを内に秘めているのだと思う。主人公の惨めな生き方に腹が立つと同時に、心情的に妙に共感できる部分があるのも多分それが理由だろう。
読み終えたとき、とても暗い気分になり、このストーリーをどう受け止めれば良いのか混乱したが、自分の内面を映す鏡として機能している -
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恥の多い生涯を送ってきました。
どんな人にも言える言葉ではないだろうか。
他人を信用出来ず道化に徹する葉蔵。
誰もが社会で生きていくにあたりその時々の仮面をつけている。職場、友人、家族……環境によって自分を演じ分けるのは皆そうではないだろうか。
特に刺さったのは堀木と母親の場面。
堀木は世渡り上手で人間的な人物として描かれていると思った。葉蔵がやや軽蔑していた堀木が、家ではしっかりしていてお母さんを敬い別人のよう。自分と同類、あるいは下に見ていた人間が実は内と外の顔を持っていて、世界にずっと適応していた、自分とは真逆の存在だったと突き落とされる。
この子はこちら側だと思っていたのに、と勝手 -
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ネタバレ最近たまたま短編集で読んだばかりの短編だが、表紙の人妻のエロさに惹かれて読んだ。乙女の本棚の中では、過剰なところのない画風がよかった。表情は描かず、色は淡くて、射す光がさわやか。
「おわかれ致します。」という書き出しもやはりいい。
貧乏な方が工夫ができて楽しくて、浮気は気にならなくて、自分じゃなきゃダメだという男に嫁ぎたい。
う~む。太宰の理想の女性だろうか。
芸術家だと思っていたら、成功して俗物になった夫に幻滅する妻。
う~む。私からしたら、太宰も成功者だけど、どういう気持ちでこの話を書いたのかな?
仰向けに寝転がって、背中の下で鳴くきりぎりすの声を背中にしまって生きようとする女。それ -
Posted by ブクログ
再読です。
「人間失格」というタイトルは、何度見ても本当に魅力を感じます。
作者の遺書のような作品だということも知ってはいたのですが、あえて主人公に重ねないように意識して読みました。
前回よりも物語の解像度が上がったからか、主人公の恐怖や不安などの感情がこちら側にゆらり、もたれかかってくるような感覚でどこか儚く、目の前に居たらダメだとわかっていても思わず追いかけたくなっていたでしょう。
ふらりと終わりの近くを歩いている姿を羨ましく思ってしまうのは、生に喜びを感じている今の私だからこそ得られるものかもしれません。
次にこの作品を読むときに感じる感覚がどういったものになるのか、とても楽しみです。