太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
太宰治27才、28才の頃の作品
晩年を発表したあとの
一番やさぐれでいた頃というか
まともな精神状態ではいられなかった頃
とのこと
病気のために使用した鎮痛剤が
中毒となりさらにひどい状態に
周りをヤキモキさせていたようです
この中のどの作品も
まるで自分を卑下しているかのような
すべてをさらけ出しているような
おかしな小説ばかり
自分宛の手紙を並べただけの小説もある
が、それもこれも
すべて計算ずくできっと
本当の小説なんだろうと言われている
どこまでが本当でどこまでが創作なのか‥
すべてひっくるめて
太宰治の作品なのでしょう
そう思うと
なかなかの作品ばかり
一捻りも二捻りもしてあり
さぞや世間をあっ!と思わせたはず
太宰治節といったような
軽快な文章が駆け抜けていく
リズムにのってまるでラップのように
次から次へと言葉が溢れかえっていく
やっぱり天才なんだろうな -
Posted by ブクログ
幼い頃から人間という存在を恐れ、道化でごまかしてきた主人公。人間である以上逃れない「人間の条件」から逃げ続けた末に、やがて破滅へと至る過程がとてもドライに描かれている。
自分にとって苦手なことや、時には恐ろしいと感じることは、人生の中でいつかは決着をつけなければならない。そんなことは誰にもいくつかはあるはずだし、だからこそ誰もが何らかの歪みを内に秘めているのだと思う。主人公の惨めな生き方に腹が立つと同時に、心情的に妙に共感できる部分があるのも多分それが理由だろう。
読み終えたとき、とても暗い気分になり、このストーリーをどう受け止めれば良いのか混乱したが、自分の内面を映す鏡として機能しているように感じた。 -
Posted by ブクログ
恥の多い生涯を送ってきました。
どんな人にも言える言葉ではないだろうか。
他人を信用出来ず道化に徹する葉蔵。
誰もが社会で生きていくにあたりその時々の仮面をつけている。職場、友人、家族……環境によって自分を演じ分けるのは皆そうではないだろうか。
特に刺さったのは堀木と母親の場面。
堀木は世渡り上手で人間的な人物として描かれていると思った。葉蔵がやや軽蔑していた堀木が、家ではしっかりしていてお母さんを敬い別人のよう。自分と同類、あるいは下に見ていた人間が実は内と外の顔を持っていて、世界にずっと適応していた、自分とは真逆の存在だったと突き落とされる。
この子はこちら側だと思っていたのに、と勝手にカテゴリ分けして勝手に落胆したりショックを受けたりすることがあるよなと自分に重ねた。
しかし葉蔵に全て共感できた訳ではない。一種の自己陶酔を全編通して感じ、やや批判的な目線で読んでしまった。
葉蔵は本気で悩んでいただろうが、どこか悲劇のヒロインを気取っているような印象を持った。
自己分析が非常に内側に向かっていて、人の苦しみに目が向いていない気がする。特にヨシ子に関しては彼女を守ったり心配するでなく、まず始めに純粋な信頼心が汚されてしまった、という言葉が来るのに違和感を持った。
自分も何もしなかったのに、その場で助けず自分を呼びに来た堀木に苛立つのも腹が立ったが、葉蔵自身が信用出来ない人間の部分が自分にもあるという描写なのだろうか……
私は葉蔵と一定の距離感を保ちながら読み進めた。
年を重ねるとまた印象が変わるのだろうか。まだ理解しきってはいない気がする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近たまたま短編集で読んだばかりの短編だが、表紙の人妻のエロさに惹かれて読んだ。乙女の本棚の中では、過剰なところのない画風がよかった。表情は描かず、色は淡くて、射す光がさわやか。
「おわかれ致します。」という書き出しもやはりいい。
貧乏な方が工夫ができて楽しくて、浮気は気にならなくて、自分じゃなきゃダメだという男に嫁ぎたい。
う~む。太宰の理想の女性だろうか。
芸術家だと思っていたら、成功して俗物になった夫に幻滅する妻。
う~む。私からしたら、太宰も成功者だけど、どういう気持ちでこの話を書いたのかな?
仰向けに寝転がって、背中の下で鳴くきりぎりすの声を背中にしまって生きようとする女。それがタイトルにもなっている。何も持たなくても持って生まれた自分の声で鳴いていたい、みたいな感じかな。わかるようなわからないような感じだが、なんとなくいい。
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Posted by ブクログ
ネタバレありです。
貴族の終焉を母親の死として描き、新しい時代に適応しようと足掻いたが、対応できなかったことを、弟、直治の自殺として描く。
新しい時代も、上原に描かれるようにロクなものでもなく、バラ色とは言えないが、かず子は、上原の子を身籠り、この子と一緒に生きていく覚悟を持つ。
途中、なんでロクでもない上原の子を持つことに執着するのか、分からなかったが、ラストの力強い決意と、革命という言葉で、小説的に、なるほどと納得できました。
最後の、ある女の人に産ませた子供のところは、分かったような、いまひとつのような気がしますが、時間をおいて、もう一度読んでみようと思う。
決して長文ではないけど、展開があって、面白かった。
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Posted by ブクログ
今まで読んできた太宰の小説の中で最も主人公がワクワクしているような気がする。概ね健康な印象を受けた。
太宰の人柄……常に他者の目線を意識しており、自分に自信がない。でもキザ。不器用な人間。まあモテるだろうな、と思う。
少年時代の描写について:
たかが、十里(約40km)、されど十里。少年時代の小旅行は、別の惑星に行くようなものだったんだろう。私も田舎者なのでわかる。
作中に出てくる太宰のファッションが、おそらくダサい。おのぼりさんルックという感じで愛おしい。慣れない場所に出たとき、ちょっとでもいい服を着て背伸びがしたくなるのは当然のことだ。
大人になってからの描写について:
太平洋戦争真っ只中なのに酒がわんさか出てくるので驚いた。地方と都市では、戦時下の状況もかなり違うのか。それとも、津軽という袋小路的な土地が、そうさせるのか。定期的に「国防上の都合で書けない」といった記述があると(ああ、戦争中か)と思い出す。そのくらい、のどかにわんさか飲んでいる。
大人になるって侘しい。気軽に「君も来い」とは言えない。『大人とは、裏切られた青年の姿である。』という部分に共感。大人になるといろんな思いやりが邪魔をすることがある気がする。信用するって怖い。
生家が息苦しい場所だった太宰にとって、忘れ得ぬ人が各地にいたことに少し安心した。
特に、子守りをしてくれていた「たけ」との再会のシーンは筆が乗っていて素晴らしい。
死に向かう太宰にとって、心安らぐ暖かい時間だったことは間違いない。
紀行文風だが、ジャンルとしては私小説なのだろう。NDC分類も、2類ではなく9類だ。
津軽風土記としての依頼、それを小説としたのは何故か。
太宰は、自分が体験したことを「物語」として少し距離を置いた状態で表現したかったのかもしれない。……と思ったけど、酔っ払って記憶がないところを創作でつないだ可能性だってある。まったくもう。
ところで、太宰の「〜かしら」「〜しちゃった」というような語尾、可愛くて好き。
結局のところ、太宰治は愛おしい人間である。