あらすじ
ああおいしい。姫君の喉もたべてやりましょう――。おぞましい遊戯に耽る男と女(坂口安吾「桜の森の満開の下」)。大怪我を負った夫に堕ちてゆく妻(江戸川乱歩「芋虫」)。幼き兄妹が罪深き愛故に望む裁き(夢野久作「瓶詰地獄」)。泉鏡花、谷崎潤一郎、小栗虫太郎、太宰治ほか名だたる文豪達による10の良識や想像力を越えた怪作。物語は今、あなたの網膜に焼き付き、忘却を拒む。
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豪華すぎやろがい。この一冊でいろんな文豪の文章に触れられて楽しかった〜!百年ぶりに読んだ谷崎潤一郎が良すぎて大興奮。そしてはじめて読んだ泉鏡花が激ムズすぎてひっくり返った。文章が独特でわけわからんくなりながら、描写がきれいなことだけは伝わってくるのが不思議でなおさらわけわからんくなっていたような。いや、でも、でも、やっぱり江戸川乱歩すきですァ〜!しかも「芋虫」って。何回読んでもウワァ…ってなる。たまらない。
Posted by ブクログ
とても良い!!!!!!!
読んだことあるやつもあったけど、乱歩の芋虫、坂口安吾の桜の森の満開の下、太宰治の駆込み訴え、辺りが気になっていたので読めてよかった。
Posted by ブクログ
とても豪華な1冊。
求めていた文豪の短編がビッシリ詰まっていて、不気味!耽美!最高!
夏目漱石、夢野久作、江戸川乱歩、太宰治が入っていてとても嬉しい。
どれも面白くて良い。
Posted by ブクログ
妖しげな姫様(?)の絵が好みでジャケ買い。近代文学史に名を残す文豪たちによる怪作集。「桜の森の満開の下」「芋虫」「夢十夜」は以前読んだことがありましたが、今回も変わらずおもしろくて好きな作品です。個人的には「白蟻」のいい意味で「何を読まされているんや…?」という気持ちになり印象的でした。
Posted by ブクログ
改めて読むと、夏目漱石や江戸川乱歩の文章のなんと読みやすいことか。
個人的には夢野久作の瓶詰地獄が、短編のなかに、考えさせられる構成の工夫があり、謎解きのようで面白かった。
わかりやすさや時系列がシンプルな今時には見られない昨日だった。、
Posted by ブクログ
総題の漢字よし。
収集箱じゃつまらない、蒐集函なのだ。
カバーイラストも素敵。
新潮文庫nexというレーベルで、ヤングアダルトにこの作品たちを差し出した編集部、GJ!
■坂口安吾 桜の森の満開の下
既読を再読。
■芥川龍之介 影 ★
初読。
芥川といいえばドッペルゲンガーなのでそういうことかと中盤で思わせておいて、ラストなんと映画だった? 夢だった? というオチ!
しかもそれすら真実かどうか不明な放り出し方。凄い。
しかし、「歯車」でも感じたことだが、狂気に飲み込まれそうな感覚を、それでも作品化「しちゃえる」ことが、逆に悲劇だったのかもしれないと考えたりもした。
■江戸川乱歩 芋虫
既読を再読。
■泉鏡花 浮舟 ★
初読。
少年士官、袂の懐中時計が消えたと思いきや、遭遇した赤ん坊が持っている。
赤ん坊は落ちないよう橋に赤い帯で結ばれている。
という、それだけの話。
それだけなのに、耽美で禍々しい予感だけが、際立つ。
■折口信夫 身毒丸
初読。中公文庫で読み切れなかったのだ。
で、実際読んでみても、あまり文意が読み取れず。
俊徳丸伝説をもとにした謡曲や説教はもとより知らず。
中上健次や三島由紀夫文脈で名前を聞いたことがあるくらい。
wikipediaに、
>折口信夫は俊徳丸伝説から仏教的・教義的な要素を取り払い、近世芸能の原始的なかたちを再現することを意図して短編小説「身毒丸」を書いた(大正6年発表)。「身毒丸」は「しんとく丸」にこの字を当てはめたもので、主人公は先祖伝来の病を持つ田楽師の息子として描かれている。折口信夫は「しんとく丸は『俊徳丸』と表記されることが多いが、もともとは『身毒丸』と表記されていたのだろう」と語っている。
とあるが。
なんとなくホモホモしい雰囲気で、いいといえばいいのだが。
■小栗虫太郎 白蟻 ★
初読。
面白……かったかどうかはわからないが、なんだか凄みのある文章だった。
というのも、人里から隔絶された家族は全員狂って、野生に返っていると思いきや、実際は明朗な滝人という女。
明朗というか、小栗式衒学を織り交ぜる形で、木の根っこに対して延々語りかける、その絵面はもう狂人。
しかも子供はフリークスで、足元の草むらをザザザーッと這い進む、それを殺人の道具にしちゃう、という、もうドウカシトル話。
その背後には、夫が入れ替わっているのでは!? という疑念があるわけだが、その犯行理由が凡庸に思えるくらい、クルットル設定で、あー確かに「黒死館殺人事件」でもワケワカランが勢いは凄まじかったなと思い出した。
■谷崎潤一郎 刺青
既読を再読。
■夢野久作 瓶詰地獄
既読を再読。
■太宰治 駈込み訴え
既読を再読。
耽美幻想という函に入れられることで、別の見え方。
■夏目漱石 夢十夜
既読を再読。
Posted by ブクログ
耽美とは何なのか未だ理解できていないが、収録作から思うに愛憎、背徳、情念、倒錯、フェティシズム、幻想、狂気etcが入り混じったものか。そこにタナトス≒死への衝動が加味された、名だたる文豪らによる10編。
「桜の森の満開の下」(坂口安吾)や「瓶詰地獄」(夢野久作)は本書のコンセプトをまさに体現している作品か。作家のフェチ全開「刺青」(谷崎潤一郎)、美しくニューロティックな幻想「夢十夜」(夏目漱石)、サスペンスからの意外な結末「影」(芥川龍之介)もそこに沿ったものかと。
"美"という点では泉鏡花の「浮舟」、折口信夫「身毒丸」なのだろうが、個人的には独特の文体含め作品世界にハマれず味わいきれなかったのが正直なところ。「芋虫」は愛憎や倒錯という点ではそうかもしれないが、乱歩の"耽美"な作品というなら「人でなしの恋」辺りでもよかったのでは。
上州の山間に住む逼塞した一家。落盤事故からの生還後変貌した夫に疑念を抱く妻の執念がやがて……という「白蟻」(小栗虫太郎)は異彩を放つ一編。終始陰鬱な情景描写、狂気を帯びた女性の独白と晦渋で読み辛い地の文が続き(一体何を読まされてるんだ……)という思いを抱えたまま一家の運命を見届けることになる。何となくだが平田弘史氏の画が非常にマッチしそうな気がする。ただし異形の息子だけは日野日出志風かも。
裏切者の代名詞として歴史に名を残す男の訴え「駆込み訴え」(太宰治)。ラストに男が名乗るが大半の読者は前半部で彼、そして"あの人"が誰なのか気付くだろう。敬愛を募らせた余りの独占欲からの憎悪。2000年前の裏切りの真相は最早知るべくもないが、収録作中で"愛憎"を明確に最も描いているのはこれかもしれない。
レーベルはライトノベル、YA向け中心の新潮文庫nexではあるが、「桜の森の満開の下」「芋虫」「瓶詰地獄」ら有名作品と共に「影」「白蟻」「駆込み訴え」などややマイナー?な作品も収録する凝った構成。10代のそれも早い内にこんなのを読んだらその後の人格形成に影響が出そうな気がしないでもない、が。
Posted by ブクログ
なかなか手を出すのを躊躇ってしまう、私にとってはハードルが高いと思ってしまう文豪たち。
こういったテーマに沿ったアンソロジーは、手を出しやすく助かります。
江戸川乱歩の「芋虫」と、太宰治の「駆込み訴え」が好きでした。
Posted by ブクログ
好きな作品集まってて、その中で泉鏡花、小栗虫太郎、折口信夫の話は未読だったので多分これらも好きだろうとウキウキで読んだけど結局これら全部ななめ読みで終わってしまった。むずいまだオレには
夢十夜、第一夜だけ一人歩きしているから第二夜以降新鮮な気持ちで読めた。
芋虫が本当に好きで何度も読み返しているのでここでも読めてよかった。