太宰治のレビュー一覧

  • お伽草紙

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    抱腹絶倒、爆笑必至の痛快コメディ、著:太宰治。
    こんなことがあって良いのでしょうか…と呻かずにはいられない一冊。
    またしても意義深い書と出会ってしまいました。
    オーソドックスからちょっと逸脱した言葉の選択だったり、物事の本質を思い掛けなくも言い得て妙な言葉に置き換えられたりという日本語のセンスに面白さ、可笑しさを感じるのは森見作品で既知の事柄でしたが、本作は正にその要素が凝縮された作品。
    そのうえ時代背景や太宰作品のイメージとのギャップも効いて、兎に角笑えます。
    中学の教科書にこれが載ってたら文学部に行ってたかも。

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    2014年04月28日
  • 新樹の言葉(新潮文庫)

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    未完の『火の鳥』は、是非とも完結させてほしかった・・・これから面白くなりそうなところで終わってしまうのが残念です。

    ロマンス好きな兄妹たちがリレー形式で物語を紡いでいく『愛と美について』
    兄妹ひとりひとりの人柄と、物語がマッチしていて温かみを感じます。

    一番心に残っているのは『葉桜と魔笛』
    太宰お得意の女性の一人称小説なのですが
    短い物語に関わらず、とんでもない完成度です。
    太宰本人が主人公かな?と思われる他の作品とはえらい違いです。
    心が洗われるような、素敵な話です。

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    2014年04月26日
  • 富嶽百景

    Posted by 読むコレ

    本作が手記に近い手法であると理解した時点で、氏の履歴を併読しながら読み進めました。
    この頃までに氏が「藁一すぢの自負」となる苦悩をどのように経てきたのかを理解する事こそ、本書における正しい富士の見え方なのだろうと単純に思い至ったからです。
    しかしふと振り返り、この曖昧で揺らぎのある富士の情景が果たして「太宰治」という人格を理解されたくて表現されたものだったのか。
    実はそれこそ思考放棄で、本来はその時の読み手の気持ちに沿った富士山を映し出させる事こそ本書の目指す所だったのではないか。
    考えは尽きません。
    中々に深い。

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    2014年04月19日
  • 人間失格

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    再読。晩年に心身ボロボロの状態で自身の思いの丈をぶつけた手記的な作品、という印象でしたが、全く異なりました。
    言うなれば(生意気ですが)冷静そのもの。

    主人公の持つキャラクター性は、世間一般に知られる著者の性格とはきちんと一線を画している様ですし、物語は伏線を張るなどしてリーダビリティにも気を遣っていた様子。ましてやコミカルな描写まで抜け目なく挟まれており、まさか人間失格でちょっと笑わされてしまうとは!

    氏がどんな心境で本作を執筆されたかなど知る由もありませんが、作家の気迫と矜持は見せつけられました。
    すげえ。

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    2014年04月16日
  • もの思う葦(新潮文庫)

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    日本が負けて戦争が終わったってえのに
    文壇じゃ相変わらず戦争前の伝統やらを重んじて
    戦争協力してきた連中をありがたがっていやがるのは
    いったいどういう了見だ
    これあるを期してさっさと死んだ芥川を
    ちったあ見習ってみてはどうなんだい
    といった具合の剣幕で怒り狂う太宰の「如是我聞」は
    戦後日本に対する、たったひとりの宣戦布告である
    これによって太宰は、ほとんどの文芸誌にあっさり干されてしまう
    そもそも芥川にしたって
    志賀直哉や久米正雄のようなずぶとい神経にあこがれて
    「エゴイストになりたいのだ」などと書いてたはずなんだけどね

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    2014年02月25日
  • 太宰治全集(8)

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    前から読みたかった「トカトントン」を読むべく借りました。
    他の話も短編で読みやすく、久しぶり文学作品にしては読むのに時間がかかりませんでした。

    やはり太宰はこのくらいの短編の方がいいですね。

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    2014年02月11日
  • BUNGO 文豪短篇傑作選

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    なんだろうこのくくりは、とちょっともやもやするけど一編一編は素晴らしい。三浦哲郎の「乳房」以外は全部読んだことある作品だったけど。なんで谷崎は「冨美子の足」にしたんだ。
    「グッド・バイ」は何回読んでも同じところで笑える。

    小説に出てくる食べ物って芥川の芋粥ですらなんとなく食べたくなるのに岡本かの子の「鮨」だけはちっとも鮨食べたくならない(褒めてます)。

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    2013年10月26日
  • ろまん燈籠(新潮文庫)

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    全部で17冊ある新潮文庫の太宰さんシリーズ最後の本です。
    やっと読み切ったよ♪

    この本には表題作を含む全16編が収録されていました。
    戦時中、太宰さんは兵隊ではなかったけど、当局の厳しい規制のなか、一所懸命作品を書いてたんだろうな…って思いました。
    変にとがった感じもなく、飄々としてるけど、やっぱり苦しかったんだろうな…って行間から読めるときもありました。

    夏目漱石さんは「読まされてる」って感じで苦手だけど、太宰さんは読みたくて読んでる自分がいます。
    これからも太宰さんの本は、ちょこちょこ読み直していきたいと思います。

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    2013年10月11日
  • ろまん燈籠(新潮文庫)

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    太宰32歳から36歳までの作品を収録。
    表題作の「ろまん燈籠」と「雪の夜の話」が物語で、
    後はエッセー調。

    戦時中で、書きたいことも自由に書けない、
    自分の考えも、内容によっては
    あるがままを語るのは、危険な状況だったが、
    そんな制約の中でも、彼の文体の軽やかさは
    失われなかった。

    自分だけでなく、家族、友人の
    死を、常に意識せざる終えない状況に置かれても、
    不安に負けて自分の魂を売り渡す事だけは、
    時に道化を演じ、おどけてみながらも、
    断固として拒絶していたのではないかと思う。

    太宰は、読者に向かって、
    たとえ暗い時代にあっても、
    腹を括り、命のある限り生きろ、希望を失うな、
    と、自

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    2013年09月15日
  • ろまん燈籠(新潮文庫)

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    「人間失格」や「走れメロス」といった有名作とは違う太宰の一面がここにある。太宰を初めて読む人にも、いつか読んでほしいなと思う。

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    2013年09月02日
  • 惜別(新潮文庫)

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    『右大臣実朝』と『惜別』の二作品から構成される。
    いずれも文豪と称されるだけある筆力だった。

    にわかファンなので、あまり詳しいことは知らないし語れないけれども、説得力のある、ものすごい引力を持った文体だな、とは思った。
    もしかしたら語り手が率いる作品だからかもしれないけれど、そこに作家のガッツというか意欲というか情熱のようなものが感じられた。

    さらさらと流れるように語られる雅やかな『右大臣実朝』
    動乱の中を精神的にもたくましく生きなければならなかった『惜別』

    二つの異なった魅力と趣をもつこれらの作品は、どこか根底に作家の自信と意気込みがあるように思える。
    しかし、物語の展開が急進するあた

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    2013年07月05日
  • 走れメロス

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    数年前に10回ぐらい聴きました。そのとき思ったのは俳優が朗読するオーディオブックで古典の名作を愉しむのもなかなかいいかもと思いました。そして、先月からランニングを初めたので、これを聴くと走るモチベーションも上がっていいかなと思ってます。

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    2013年06月27日
  • 惜別(新潮文庫)

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    表題作のほかに『右大臣実朝』が収録された新潮文庫です。
    どちらも太宰さん中期後半の作品で、歴史が好きな らじにはとても面白かったです。

    『惜別』は戦時中、国家に依頼されて書いたお話らしいけど、中国の魯迅さんが仙台で学んでいたときの物語で、大日本帝国万歳とかいう話じゃないし、中国と日本の文化交流について、いろいろ考えさせられたお話でした。
    はるか昔は中国の文化を朝鮮経由などで受け入れていた日本が、近代では逆に日本に中国からの留学生が来るようになっていたわけで…。
    そもそも中国という土地は不変でも、そこを統治した民族はぐるぐる入れ替わっているからね。
    日本のように長いこと同じ民族(混血はあるけど

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    2013年06月21日
  • 人間失格 グッド・バイ 他一篇

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    太宰治の最晩年3作を所収した一冊。

    『人間失格』
    子供のころから、他人・世間の条理が理解できず、恐怖と戸惑いを感じながら、それでもやっていくために道化を演じ、酒を飲み、身を持ち崩していった男の独白。
    理解できない、理解されない。下手にうまく世を渡ってしまったものだから一人深く悩んだまま、答えは見いだせず。
    ここまでとはいかなくとも、周囲に溶け込めず、集団の中で孤立あるいは浮いてしまった経験のある人なら、この辛さを理解できるし、この辛さを世のマジョリティたちにぶっ放した太宰に喝采を送りたくなる、そんな作品。

    『グッド・バイ』
    闇市でやり手の主人公は、恋愛もやり手で愛人が10人ほど(妻も子もあ

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    2013年05月16日
  • 女生徒

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    高校生の時にこれに出会ったらどんなになっただろう。
    思春期特有の思考のぐるぐる。
    もう子どもではなくて、でも大人でもないから「おつきあい」や「それなり」というのができず、そんな半端な状態が汚ならしく感じてわざと無邪気にふるまってみせたり。自分以外を軽んじたかと思うと持ち上げて自分を卑下してみたり。
    空や草や花で気分がコロリと変わるけどそれも長続きしない。

    この苦しい感じ、なんで太宰治は少女だったこともないのにこんなに占い師みたいに見事言い当てるんだろう?

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    2013年04月28日
  • ろまん燈籠(新潮文庫)

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    「恥」、「佳日」が好き。

    あとは、「鉄面皮」の、兄の言葉が衝撃的だった。

    「お前は、よその人にもそんなばかな事を言っているのか。よしてくれよ。いい恥さらしだ。一生お前は駄目なんだ。どうしたって駄目なんだ。五年?十年?俺にうむと言わせたいなんて、やめろ、やめろ、お前はまあ、なんという馬鹿な事を考えているんだ。死ぬまで駄目さ。きまっているんだ。よく覚えて置けよ。」

    「駄目」という言葉と、「きまっている」という言葉がセットになるのはどうしようもなく辛い。身動きがとれなくなる。この2つの言葉は、できるだけ遠く離れていて欲しい。

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    2013年04月17日
  • 斜陽

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    これはとてつもなく暗い作品です。
    零落した貴族というのも悲しさが漂いますし
    母親が弱り、あっけなく死に行く様も暗いと来ています。

    主人公もとかく悲しい目に遭っています。
    そう、離婚という。
    そして行き着いた先は傷つく恋…

    全部に陰鬱が漂います。
    この作品は死の1年前に書かれたそうで。
    きっとこの時期から彼の死の渇望は
    あったのだとおもいます。

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    2012年12月01日
  • BUNGO 文豪短篇傑作選

    Posted by ブクログ

    名作と言われる作品はやっぱり名作!

    昔は感じなかった面白さや奥深さを今は感じるのは、私が歳を重ねた証拠なのかも。
    今の恋愛作品にはない面白さ!

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    2012年10月26日
  • ヴィヨンの妻・清貧譚

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    古き良き時代の女の強さとはこの妻のような女性であろうか
    どうしようもない境遇の中、ダメ男を一途に献身的に支える姿は、究極の自己犠牲の中に毅然と自己を失わず、決して何事にも動じない強かさや覚悟を感じる。

    彼女がこれ程、強く、しなやかに生きる原動力とは何なのか?

    彼女の純真無垢な一面と誠心誠意な心情が悲観的状況をむしろ爽やかな透明感さえ感じ、良き前途を予感させるまでに至る。

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    2012年10月12日
  • 新樹の言葉(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    表題作、「老ハイデルベルヒ」「誰も知らぬ」あたりの佳作に、作品としては破綻の様相ながらも作者の葛藤が垣間見える一冊。この本とは関係ないけど、途中で気になって「黄金風景」を再読。何度読んでも素晴らしい。

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    2012年09月15日