太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレお母さまが弱って死んでいく過程、場面の描写が秀逸でした。静謐な空気が流れていました。
かずこが上原さんに自意識過剰な、前につんのめった感じの、もうストーカーっぽい手紙を送った頃は、あー、もうお母さま死にそうなのに何やってるの…と大層心配しました。
上原さんにはそんな気は、かずこを愛人にする気はないのかと思いきや、ほれちまった、なんて言われて意外でしたが、多分あれはその時ちょっとそう言っただけで、ちょっとそんな気がしてみただけで、別に惚れていたわけでは無いのではないかな。
お母さまが死んで、直治が死んで、多分上原ももうすぐ死んで、かずこは赤ちゃんと生きていくというのは、赤ちゃんがいるのは、もしか -
Posted by ブクログ
太宰の有名な作品を収めた贅沢な一冊。
こうして読んでみると、太宰の中にある自分への不信感や他人への恐怖心、それをどの作品も反映してるように思う。
文章が意外なほど美しく、リズミカル。
「走れメロス」の文体は、メロスが疲労困憊しながらも、体に鞭打って前に前に疾走する姿が感じられた。
簡単ではない文章なのに、するする読める。
とくに口語体の、話すような、語りかけてくるような言葉のリズムが心地よい。
聖書からの引用、女性の言葉遣いのたおやかさ、上品さなど、代表作を並べてみるとわかる太宰らしさを発見することができた。
大学生以来の「斜陽」が一番刺さった。
あの頃はこんなに感動しなかったのに。 -
Posted by ブクログ
「きりぎりす」
「ろまん燈篭」
「東京八景」
「みみずく通信」
「佐渡」
「清貧譚」
「服装に就いて」
「令嬢アユ」
「千代女」
「新ハムレット」
「風の便り」
「誰」
「恥」
久しぶりに太宰の作品を読んだ。この全集に収められている作品は初めて読むものばかり。どの作品も、時々クスっと笑えるものや、ハラハラする内容もあり面白く読めた。
特に「きりぎりす」は秀逸。画家の妻の告白の形式。夫である画家が売れない時代に嫁ぎ、貧しくとも張り合いのある暮らしをしていたが、夫が成功しお金持ちになるにつれ、夫が変貌してしまったことを嘆く。
「お金を持っていることが偉い」という拝金主義に毒されてしまった現代 -
なるほど
原作ではヨシ子も薬局のおばさんも死なないんだけどこれなら葉蔵を取り巻く女達がめったやたらに不幸になってストーリーの悲惨さが増しますね。人間失格は葉蔵が脳病院に入れられるところまでなんだけど太宰治との出会いセッちゃんと再開のエピソード、最後は葉蔵の息子の葉一が揚げるタコの新聞紙に太宰治の心中した記事が載っているというオチもよかった。