太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人間の演じる、本音と建て前、エロス(生)とタナトス(死)、悲劇と喜劇を真面目に笑いながら皮肉る太宰作品は好物で、年に一度は読み返してしまう。5人兄弟姉妹が小説の連作に興じる「ろまん燈籠」。「ただ、好きなのです。それでいいではありませんか。純粋な愛情とはそんなものです。」と好意の弁解を嫌悪するところ、最後一番できの良かったのは母親のみよに決めるところ、が面白い。 その他、「秋風記」「思い出に生きるか、いまのこの刹那に身をゆだねるか、それとも、将来の希望とやらに生きるか、案外、そんなところから人間の馬鹿と利巧のちがいが、できてくるかもしれない」、「女の決闘」「芸術家には、人でない部分が在る、芸術
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Posted by ブクログ
ネタバレお母さまが弱って死んでいく過程、場面の描写が秀逸でした。静謐な空気が流れていました。
かずこが上原さんに自意識過剰な、前につんのめった感じの、もうストーカーっぽい手紙を送った頃は、あー、もうお母さま死にそうなのに何やってるの…と大層心配しました。
上原さんにはそんな気は、かずこを愛人にする気はないのかと思いきや、ほれちまった、なんて言われて意外でしたが、多分あれはその時ちょっとそう言っただけで、ちょっとそんな気がしてみただけで、別に惚れていたわけでは無いのではないかな。
お母さまが死んで、直治が死んで、多分上原ももうすぐ死んで、かずこは赤ちゃんと生きていくというのは、赤ちゃんがいるのは、もしか -
Posted by ブクログ
太宰の有名な作品を収めた贅沢な一冊。
こうして読んでみると、太宰の中にある自分への不信感や他人への恐怖心、それをどの作品も反映してるように思う。
文章が意外なほど美しく、リズミカル。
「走れメロス」の文体は、メロスが疲労困憊しながらも、体に鞭打って前に前に疾走する姿が感じられた。
簡単ではない文章なのに、するする読める。
とくに口語体の、話すような、語りかけてくるような言葉のリズムが心地よい。
聖書からの引用、女性の言葉遣いのたおやかさ、上品さなど、代表作を並べてみるとわかる太宰らしさを発見することができた。
大学生以来の「斜陽」が一番刺さった。
あの頃はこんなに感動しなかったのに。