太宰治のレビュー一覧

  • 惜別(新潮文庫)

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    「右大臣実朝」を読んだ。一番秀逸だと感じたのは公暁の描写である。太宰は実朝に対して滅んでいく美しさを投影したものの、公暁に対しては人間に潜む汚さを投影した。陰鬱で斜に構えた公暁の姿は人間失格に出てくる大庭葉蔵の姿、つまりは太宰の姿そのものであるように思える。太宰は自分の内面を公暁という一人のキャラクターに託したのだろう。

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    2026年02月10日
  • 津軽(新潮文庫)

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    苦い海に浮かぶ安寧の島「津軽」
    名家津島家にとっては黒い種
    友人にとっては愛すべき厄介な男、薄いつながりの糸でも大きな安らぎにしてきた哀しい人
    人生では自分の人生のあざなえる縄に周りをまきこんだひと
    作家として私小説という泥の浮き沈みに身を任せ、女体を巻き添えにして沈んでしまった人。生きる悲しみにあふれた生き方に流されていった人。
    野獣派とはそれぞれ勝手な生き方を選んだ人々。大雑把に一括りにされた作家のひとり。

    「津軽」を読めば心の底に潜んでいた悲しみに気がつく。苦しみにムチ打たれ続けた日々を書いた作品は読者を傷つける。たまたま日ごろ目を背けている自分の些細な出来事が、この苦しみの根源ではな

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    2026年02月05日
  • 人間失格

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    2026/02/01
     神に問う。無抵抗は罪なりや?
     堀木のあの不思議な美しい微笑に自分は泣き、判断も抵抗も忘れて自動車に乗り、そうしてここに連れて来られて、狂人という事になりました。いまに、ここから出ても、自分はやっぱり狂人、いや、癈人という刻印を額に打たれる事でしょう。
     人間、失格。
     もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。

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    2026年02月02日
  • 女生徒

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    ネタバレ

    おやすみなさい。私は、王子さまのいないシンデレラ姫。あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか? もう、ふたたびお目にかかりません。

    19歳、すごくささった。愛おしい。

    (青空文庫)

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    2026年01月26日
  • 斜陽 アニメカバー版

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    自分の感情を重ねるために斜陽を読むことはしたくなくて、傾倒するのも嫌で、でもそれでも斜陽じゃないとだめで、手を出したくなる

    ほんとは、表紙、違うのがよかったけど

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    2026年01月05日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    今まで太宰治の作品はYouTubeの朗読で聴いていたけど、目で読む方が自分に合ってることに気づきました。
    難しい、よくわからない、という印象がガラッと変わりました。
    こんなに繊細さとユーモアを兼ね備えた美しい文章だったなんて!
    食べるものがない、病気の子どもを病院に連れていけない、いつ家が焼かれるかわからない、ひしひしと伝わってくる戦時下の切迫感。
    「ああ、みんな焼けちゃったね。」という幼い子供の一言に、戦争の残酷さと愚かさが詰まっているように感じました。
    もっと太宰の作品に触れたくなる一冊でした。

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    2026年01月03日
  • 津軽

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    ネタバレ



    大好きな本。

    ・p13 弟と太宰は仲が悪かったが、ふたりで故郷を離れて暮らすとお互いの気性が分かってきた。弟は修治の吹き出物を心配して薬を買いにも行ってくれた
    →私自身の兄弟関係にも重なるところがあると感じた。遠く離れた場所へ来ると、お互いようやく向き合う覚悟ができる。みたいなものかな。この弟は2、3年後に亡くなったとあるけど、何でも打ち明けて話せる相手がいるというのは自分で思っているより遥かに心を強くする気がする。

    ・p23 弘前で暮らすうちに「め組の喧嘩」の鳶の者の格好をしようとして、股引を求めて呉服屋に聞き歩いて、結局消防士用の赤線の引かれた代物を提示されて消沈して諦める
    ・p5

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    2026年01月01日
  • きりぎりす(乙女の本棚)

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    2025/12/30
    p.38
    私は、ちっちもお金を欲しく思っていません。何を買いたい、何を食べたい、何を観たいとも思いません。家の道具も、たいてい廃物利用で間に合わせて居りますし、着物だって染め直し、縫い直しますから一枚も買わずにすみます。どうにでも、私は、やって行きます。手拭掛け一つだって、私は新しく買うのは、いやです。むだな事ですもの。

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    2025年12月30日
  • 富嶽百景

    購入済み

    太宰はやっぱり只者でない

    何十年も前の高校教科書掲載の記憶が薄っすらと残っている。超名文句「富士には、月見草がよく似合ふ」のくだりは、心に沁み入って未だに色褪せない。🏔️とはいえ、改めて全文をよく読むと、デカダン太宰らしさに苦笑を禁じ得ない。冒頭から富士山をディスりまくりだし、兎にも角にもいい加減で財布も落とすし、結末では若い娘らに対して随分なことをやっている。こんな話だったっけ。🏔️それにしても、誰しも賛嘆する富士山の美しさを、すんなりとは受け入れない太宰の只ならぬ感受性には、恐れ入った。🏔️

    #深い

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    2025年12月26日
  • ビルディング(乙女の本棚)作品集(乙女の本棚)

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     乙女の本棚シリーズから、ねこ助さんの「ビルディング 乙女の本棚作品集」です。収録されてるのは、新見南吉『赤とんぼ』、中島敦『山月記』、太宰治『魚服記』、堀辰雄『鼠』、夢野久作『ルルとミミ』のイラストの中から、ねこ助さん自身が選んだ作品です。このほかに描き下ろしとして、夢野久作『ビルディング』が新たに収録されています。

     これまでの「乙女の本棚作品集」(しきみさん、ホノジロトヲジさん)と同様、『ビルディング』以外の作品については本編を読むことはできません。イラストを眺めながら、あぁ…そうそう、こんなストーリーだったなぁ…と、思い出す感じですので、本編を読まれてからこの作品週を手にしたほうがよ

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    2025年12月18日
  • 人間失格

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    久しぶりの再読で、人間失格とJOKERってむちゃくちゃ色んなものが通底するんやなと思った

    世間と個人
    喜劇と悲劇
    他人の評価
    道化という仮面

    一方で、演じる道化に対する他人からの評価の違いで、葉蔵とアーサーのその後どう振る舞うのかは異なっていく。自らを破滅させるか社会を敵対視するか。

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    2025年12月14日
  • 斜陽 アニメカバー版

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    文章がずっと綺麗。
    最初はかず子の母親への想いに共感して、女性で通じるものも多くてかず子な気持ちで読み進めていたが、最後に『ちゃうわ、私は直治や。』てなりました。

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    2025年12月11日
  • 晩年(新潮文庫)

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    ネタバレ

    太宰治の第一創作集。

    太宰治をして「私はこの本一冊を創るためにのみ生まれた」と言わしめる一冊で、初期の作品が並び、その後の太宰治の色々な作品の種になるような短編が15入っている。

    この『晩年』は太宰治が27歳のときに刊行され、それぞれの短編が書かれたのは太宰治が22〜23歳頃。

    そんな若者が書いたとは思えないような、人生や人間の生々しい部分がえげつなく書かれている。

    でも、どこかちょっと爽やかさもある。

    短編の多くは、創作の苦しみ、世間の冷たさ、無常感のようなものが描かれている。

    太宰治がそれまでの人生の中で感じていたことだろう。

    この本の中に「私は散りかけている花弁であった。す

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    2025年12月10日
  • 斜陽 アニメカバー版

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    太宰らしい作品といえば『斜陽』か『人間失格』ではないかと思うくらいには、太宰らしい文章だったと思う。
    厭世主義の弟・直治、夢見がちな姉・かず子、没落貴族のお母様。それぞれの方向を向きながら生きていく人間の様を書くことができているのは、ひとえに太宰の人間観察力が優れているからではないかと思う。
    二十歳の節目にこれを読んだが、歳を重ねるごとに抱く感想も変わっていくのだろうか。

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    2025年12月06日
  • 斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇

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    まず、ラインナップがよかった。
    太宰には名作、傑作と呼ばれる作品がたくさんあるが、本書に収められたのはその中でも選りすぐりばかりで、太宰を今まで触れてこなかったような人でも、太宰文学のエッセンスを感じ取ることができるし、太宰特有の暗さ、ニヒルを与えすぎない。
    私は太宰のニヒリズム全開の小説は好きではない(むしろ嫌い)なのだが、そうしたものはこの本には入っていない。ラインナップがいい。
    この中だったら、特に「斜陽」「人間失格」は本当に良いと思う。どちらも中高生の頃に読んだが、当時は全く違う読み方をしていたと言わざるを得ない。大学生になってから読んで良かった。

    前に書いた太宰の新潮文庫の方にも感

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    2026年04月04日
  • パンドラの匣

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    ふたつともだいすき。女生徒も斜陽も正義と微笑も、表題のパンドラの匣も、太宰治は人の日記を作品にするのがうますぎる。
    正義と微笑のR大の同級生への描写、中学の先生についての考え、本当に好き。これをいいな、かっこいいーと思って影響受けちゃって学校で大浮きした。この状況も作品中の孤立派という言葉で正当化できちゃうんだから、なんという学生狂わせ!!「なんじら断食するとき、偽善者のごとく悲しい面容をすな。」これを大切に、大切に、生きていきたいと思う。何事も知識をひけらかさず、淡々と努力できる人になりたい。これも良くないか、まあ現実で会う誰もこのページ見てないし。でもこれを心に決めて生活すると本当に苦しい

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    2025年12月01日
  • 文豪死す

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    表紙や作者の紹介ページで使われるイラストがとても美しい。適度に服装、髪型は本人の雰囲気を残しつつ、完璧に美化されていてイラストレーターの腕の良さにたまげる。

    文豪たちの最後の作品を集めた本で、まとめて読むとその文豪らしさがよく感じられて良い。
    芥川の「歯車」 私も偏頭痛持ちだからこの現象(閃輝暗点)よくわかる!と共感するとともに、精神病になりやすい家系の人なんじゃないかと邪推してしまった。

    太宰の「グッド・バイ」 女性関係の華やかな作者の理想の別れ方を描こうとして、結末までいかなかったのは収集つかなかったのかな、と思った。

    梶井「のんきな患者」 若い頃から結核を患ってたから、今回の主人公

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    2025年11月30日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    坂口安吾、織田作之助との対談で乞食女と恋愛したいと言っていたが、グッドバイはそれを表現したのではないかと思う。続きが読みたいなあ。

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    2025年11月29日
  • 斜陽 アニメカバー版

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    本当に本当に面白かったです。
    生きるとはなにか、死ぬとはなにか、思想とは、恋愛とは……
    考えさせられると同時に気味が悪く、とても面白く、とても奇妙な本でした。
    場面の移り変わりも驚かされてばかりで、思わず声が出てしまう場面も多かったです。

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    2025年11月23日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    「太宰治の作品を初めて読んだのは、多分、現代文でやった『羅生門』だと思う。
    ロングスリーパーな私にとっては、ほとんど子守唄のような時間だったけれど、なんとなく、太宰治特有の人間のドロドロした部分を描いていたような気がする。

    そう思っていたからなのか、今回の作品を太宰治らしくないかも?と思った。
    でも、女生徒が毎日、何を思い何を見て何を感じ、悩み傷つき、悶々とひとりで考えているのか。そしてその一連の思考が、私も同じように感じていたことがあったことに懐かしく感じた。

    10代だからといって、侮るなかれ。
    彼女たち、現代ならば彼らたちは、我々大人より遥かに重く、解決しがたい悩みや葛藤を抱えている。

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    2025年11月19日